デュアルクラッチAT「Alfa TCT」は今、世界一の質感!

  • アルファ ロメオ ミト 走り|ニューモデル試乗
  • アルファ ロメオ ミト インパネ|ニューモデル試乗
↑上級仕様にはキセノンヘッドライトや専用17インチアルミホイールを装備(左)スポーツペダルとパドルシフトスイッチを追加(右)
本命の登場である。このミトを機に、アルファ ロメオはいっきに新世代のパワートレインへの移行を果たす。先に買っちゃった人、ごめんなさい。

なにしろ従来型のミトを買った某評論家が地団駄踏んで悔しがり、挙げ句の果てに交換してよと半分マジで迫ったとウワサされるほど、パワートレインの進化は甚だしく、また装備の充実も顕著である。カタチが変わらなかったことだけが、既存ユーザーのせめてもの慰めか。

5シーター/トランクスルー/オートエアコン/電動格納式ミラーなど、実は最初から用意されていた装備をこのたび日本仕様にも採用した、というだけでも悔しいのに、最先端のエンジンとミッションを積み込んでなお、数万円の価格アップ。ひょっとすると従来仕様は中古で買い“やすく”なるかも、なんて既存ユーザーの心のキズに塩を塗るようなことは言いたくないが…。

とにかく凄いエンジンとミッションである。マルチエアは気筒ごとに油圧電子制御で吸入空気量をきめ細かにコントロールするもの(BMWのバルブトロニックは機械式)、TCTはいわゆるツインクラッチタイプの2ペダルミッション。グループ内の技術開発部門(フィアットパワートレインテクノロジーズ)がモノにした。

ここではミトに積まれたパワートレインは最先端の技術であることを知ってほしい。より詳しく知りたい向きは技術専門誌をひも解とかれたい。フィアットのパワートレイン技術がそこまで進んでいたことに驚かれる人も多いはずだ。
  • アルファ ロメオ ミト エンジン|ニューモデル試乗
  • アルファ ロメオ ミト ホイール|ニューモデル試乗
↑アイドリングストップ&6速TCT搭載で燃費は10%向上した(左)タイヤサイズは215/45R17(右)

『走行性・制御性・質感』全てが魅力!コンパクトスポーティー

乗ってみると、どうか。まずはエンジン。さすがに以前のアルファ ロメオのような“官能性”はぼやけてしまった。これは最初のミトにも言えたことなので、時代の要請として粛々と受け入れよう。

その代わり、マッチングのいいTCTという強力な武器を得たことで、よりスムーズで気持ちのいい加減速を手に入れている。あまたあるダブルクラッチシステムの中でも、トップクラスの制御質感だと思う。

ごついDNAスイッチをDに入れれば、アクセルペダルから向こうの圧力がぐっと増し、図太いトルク感が右足に跳ね返ってきて、文句ナシに楽しい。ステアリングフィールも重くスポーティで、十二分な前輪トルクをガッチリと受け止める。街中から峠道まで、すべてをソツなくこなすという点で、従来型より大幅な魅力アップとなった。

ミト乗りのみなさん、ごめんね~。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード コンペティツィオーネ
全長×全幅×全高(mm) 4070×1720×1465
車両重量(kg) 1260
エンジン種類 直列4気筒DOHC+ターボ
総排気量(cc) 1368
最高出力[ps/rpm] 135ps/5000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 23.5kg-m/1750rpm(Dモード使用時)
車両本体価格 278万~292万円
Tester/西川 淳 Photo/向後一宏