【試乗】新型 シトロエン C5 X|“歴史が作った乗り心地”が、ドライバーや同乗者を心地よさへと誘う
2022/10/26
新たなC5はクロスオーバーモデル
2021年、シトロエン C5は新たな世代へと進化した。
初代が登場してからの22年の間に3回のモデルチェンジを行ったわけだが、今回新たに導入されたモデルはC5に“X”が付く。
これはクロスオーバーを意識したモデルであると想像できる。
2000年当時、初代C5に試乗した瞬間、「これぞシトロエン!」という印象があった。
路面とのコンタクトは良好で、高速道路などの路面状況が穏やかなところでは“マジックカーペット”のようであり、一方で段差などを乗り越える際に感じるインパクトハーシュネスは、キャラクター以上にハードな印象だった。
しかし、これこそが「血液が通ったサスペンション」といわれたハイドロニューマチックのモデルに共通した歴史的な乗り心地だった。
そしてしばらく続いた沈黙を破り、今回C5 Xが登場したのである。
これぞシトロエン! 歴史が育んだ乗り心地
全高こそ1490mmと抑えられ、穏やかな乗り心地を継承し表情もマッチした様相であったが、C5 Xは個性の強いフロントビューにより、シャープな印象すら受ける。
そして最もSUVのエッセンスを感じられるのが、19インチのホイールと165mmの最低地上高である。
クロスオーバーといっても、ハッチバック乗用車をリフトアップしたような感じで、新型クラウンクロスオーバー的なエッセンスだ。
シートに腰を沈めると、見た目のしっかりとしたシートの素材感とは裏腹に、ヒップと背中を優しく包み込む。マジックシートはいつの時代も変わらない。
このちょっとした感じ方が、シトロエンであるということを伝えてくれる。
特に、C5クラスのミディアムアッパーモデルでは如実に感じることができる。
ノーブルな色使いと適度なクオリティのマテリアル表皮を採用しているインテリアは、クリーンなデザインで、過度な部分がなくバランスが良い。
エンジンを始動させると静粛性はとても高い。
我々が試乗した仕様は1.6Lターボのガソリンモデルであり、NAで考えるとおおよそ2.5L強の出力を示す。
ターボによるトルク特性を8速ATにゆだねて路面に伝える。
クロース化されたレシオによって、出力の山谷の深さが抑えられ、スムーズな特性となって路面とのコンタクトを確実なものとし、乗り心地のよさを助長する。
この乗り心地は、このクラスでは他には見当たらない“歴史が育んだ乗り心地”である。
血液が流れるといわれたサスペンションを、このダンピングは忠実に再現している。
しかし、それ以上に質がいい。特に突発的な荒れた路面では、ショックを寛容に受け止めて気持ち良く乗せてくれる。
この「コンタクトの良さ」こそが良好な乗り心地の源であり、また雨天時などでも安心感を与える操縦安定性を実現している。
カーブでは身体を適度にホールドしてくれるシートも相まって、ドライビング時にはおおらかな気持ちになれる。
この乗り心地は、非常に価値が高い。
C5 Xには急な加減速など似合わないし必要ない。ドライバーと同乗者を平常心に導き、心地よさへと誘う稀有な要素を持ち合わせている。
興味を持たれた方は、ぜひ“歴史が作った乗り心地”を体験していただき、その価値を味わっていただければ幸いである。
【試乗車 諸元・スペック表】
●シャイン パック
型式 | 7BA-E435G06 | 最小回転半径 | 5.6m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FF | 全長×全幅×全高 | 4.81m×1.87m×1.49m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.79m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.6m/1.61m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1520kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.17m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ブルーマグネティック |
||
オプション色 |
グリ アマゾニトゥ、ブランナクレ、ノアールペルラネラ |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 7BA-E435G06 |
---|---|
駆動方式 | FF |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ブルーマグネティック |
オプション色 | グリ アマゾニトゥ、ブランナクレ、ノアールペルラネラ |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.6m |
全長×全幅× 全高 |
4.81m×1.87m×1.49m |
ホイール ベース |
2.79m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.6m/1.61m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1520kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.17m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | - | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 52リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1598cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 180ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/1650 |
エンジン型式 | - |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1598cc |
最高出力 | 180ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
250(25.5)/1650 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 52リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。