▲ベースモデルは249万円と魅力的な価格設定。しかし、オプションのナビキセノンプラスパッケージ(36万円)などを装着していくと、あっという間に300万円を超えてしまうのが悩ましいところ。まあそこは「クラス超の質」ということで…… ▲ベースモデルは249万円と魅力的な価格設定。しかし、オプションのナビキセノンプラスパッケージ(36万円)などを装着していくと、あっという間に300万円を超えてしまうのが悩ましいところ。まあそこは「クラス超の質」ということで……

“3気筒リッターカー”は時代の高性能車の証し

“1L 3気筒”と聞いて、ワクワクしている自分に驚く。昔は3気筒の軽自動車のことをあんなにバカにしていたのに……。ベースのエンジンはVW up!に搭載されるものという。直噴ターボ化などによって20ps/65Nm増強されており、さらにup!がシングルクラッチのASGなのに対し、7速Sトロニックが組み合わされている。エクステリアも少し手が加えられた。シングルフレームグリルはよりワイドに、ヘッドライトの形状も変更された。また前後バンパーのデザインが改良され、全長が20mm延びている。以前よりも全体的にシャープになった印象だ。

3気筒特有の音や振動などを想像していたが、そういったものはほとんど感じられない。意識しなければそれと気づかないだろう。またエンジンの小型化などによって車重が約80kg軽量化されているというが、これがその必要十分な動力性能や乗り心地の良さにつながっている。小さな体躯ながら高速走行も得意だ。100km/h巡航なんて本当に静かで、粛々と走る。

何よりも驚いたのはその乗り心地の良さだ。試乗車はベースグレードのため、最もベーシックな15インチタイヤを装着していたのだが、剛性感の高いボディにストローク感のあるサスペンションとのマッチングが素晴らしく、Bセグメントカーであることを忘れさせるしなやかで上質な乗り味だった。それはお世辞抜きに、このあとに乗ったCセグメントカーがかすんでしまうほどの良さだった。このA1のリッターカーは期待どおり、いや期待以上の出来だった。

かつて“3気筒”や“リッターカー”という言葉には、その性能の低さを揶揄するような意味合いがあったが、これからは逆の“高性能”な意味をもつようになるのかもしれない。

▲ヘッドライトやLEDテールランプのデザインを変更。電動機械式パワーステアリングも新型に ▲ヘッドライトやLEDテールランプのデザインを変更。電動機械式パワーステアリングも新型に
▲基本的な変更はないものの、アルミニウムルックやハイグロスブラックの装飾を増やし上質感を高めた ▲基本的な変更はないものの、アルミニウムルックやハイグロスブラックの装飾を増やし上質感を高めた
▲アウディ初の3気筒エンジンを搭載、JC08モード燃費はブランド過去最高の22.9km/Lを達成 ▲アウディ初の3気筒エンジンを搭載、JC08モード燃費はブランド過去最高の22.9km/Lを達成

【SPECIFICATIONS】
■グレード:1.0 TFSI ■乗車定員:4名
■エンジン種類:直3DOHCターボ ■総排気量:999cc
■最高出力:95/5000-5500[ps/rpm]
■最大トルク:160/1500-3500[N・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:7DCT
■全長×全幅×全高:3985×1740×1425(mm) ■ホイールベース:2465mm
■車両重量:1120kg
■車両本体価格:249万円(税込)

text/藤野太一 photo/郡大二郎