【試乗】BMW M3 コンペティション M xDrive ツーリング|刺激的でレーシーな走りを味わえる、M3シリーズ初の高性能ワゴン
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2023/11/22
縦置きユニットが生み出すパフォーマンス
縦置きユニットを搭載するBMWのステアリングを握ったことはあるだろうか。まだ知らない人は内燃機関が珍しくなる前に確かめた方がいいだろう。
正直言ってすべてのモデルにおいてダイレクトなフィールが約束されている。スポーツモデルではなくてもスポーティで、意のままに操るエッセンスが初めから導入されているということになる。少なくとも私の記憶ではそうである。
フロントから湧き上がるパワーを後輪に伝える動力伝達系は、最も歴史のあるレイアウトだ。BMWはそれらのレイアウトが理想だと考えて自動車作りをしてきたのである。
そのレイアウトを中心に全体的なフォルムをデザインしてきた結果、ダイナミックで洗練された形が継承されているのだ。デザイン力を利用したスタビリティにも早く導入している。
メルセデス・ベンツも高級車には縦置き基本リア駆動を採用しており、BMWも同様の考え方だ。
ただ、BMWとメルセデスの基本モデルの違いは、ゆったりと堂々とした縦置きユニットかハンドリングを重視に設計されてきたモデルなのか、ということだろうか。お互いのたもとには違いがある。
だからこそ、BMWの場合、市販モデルで特化したハイパフォーマンスを生むときには、M社(MシリーズをプロデュースするBMWの子会社)でこしらえたモデルは、より高い意のままの走りのステージへと誘えるのではないだろうか。
今回試乗したM3ツーリングは、そんなBMWの考えが詰まっている。
M3はご存じのとおり、名門BMWを代表するコンパクトなスポーツエグゼクティブモデルだ。エンジンメーカーでもあるBMWの名を恥じない名機の数々を搭載した3シリーズは、いわばM社の礎のモデルだと私は思う。
だからこそ、M3はBMWの意思を最もダイレクトに伝える重要なモデルなのだ。
量産ベースとは思えない高性能ワゴン
前置きが長くなってしまったが、M3ツーリングはただ単に510馬力のユニットを搭載したモンスターではないことを理解していただきたいのだ。
直列6気筒ほど王道かつ最善なユニットはない。静粛性の高さと官能的なハーモニックのエグゾーストノートと、出力の向上には欠かせない多気筒ユニットである。BMWはこのレイアウトをずっと突き詰めて、哲学を曲げずに高性能を追い求めてきた。
ステーションワゴンというスタイルは開口部が広く、そして重量がかさむ。それでいて、M3ツーリングはセダンやクーペよりも時代に合った多目的要素を注入し、さらにバリューを求めたカスタマーに進言した本物のハイパフォーマンスモデルである。
実は、日本には正規輸入はされなかったが、V型10気筒のM5のツーリングモデルが1000台強ほど存在した。M社は十分そのときに手応えをつかんでいたのだろう。しかし、500馬力以上となれば四輪駆動がスタビリティには必須である。
シートはソリッドで最高のホールド感である。レーシングユニットから量産車モデルにチューニングされたユニットの音は、陳腐な言い方だが震えがくる。
加速すると爆発的な燃焼が繰り返される。精度よくチューニングされた燃焼は、加速によって圧力が上昇し、たまらないハーモニックな音を脳に叩きつける。
ステアリングフィールもダイレクトであり、細かな操作で車の動きを路面に伝える。リアの開口部の剛性のうんぬんなど、全くと言っていいほどインフォメーションとして伝わってこない。
奥深いサスペンションセッティングは、ソリッドなシートであるからこそ車の動きが理解できる。小気味よいシフトアップダウンも意のままに大切な情報だ。
しかし、マルチな情報すべてを理解しようとしてはいけない。情報と理解は似て非なるものだ。ひとつひとつ理解していたら正確に乗りこなすには時間が足らない。その情報をもとに、今まで培わったドライビングで正確なステアリングとアクセルワークをマルチタスクに行うのだ。
これほどまでにストイックな量産ベースのモデルがあるだろうか。経験によって意のままに体験できるファンタスティックなエステートが、M3 コンペティション M xDriveツーリングなのである。
【試乗車 諸元・スペック表】
●BMW M3ツーリング コンペティション M xドライブ 4WD
型式 | 3BA-12GB30 | 最小回転半径 | 5.3m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 4.81m×1.91m×1.45m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.86m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.61m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1870kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | 2145kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
アルピン・ホワイトIII |
||
オプション色 |
ブルックリン・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンパウロ・イエローメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、スカイスクレイパー・グレーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、フローズン・ブラック・メタリック、フローズン・オレンジメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3BA-12GB30 |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | アルピン・ホワイトIII |
オプション色 | ブルックリン・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンパウロ・イエローメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、スカイスクレイパー・グレーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック、フローズン・ブラック・メタリック、フローズン・オレンジメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、フローズン・ピュア・グレーメタリック |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.3m |
全長×全幅× 全高 |
4.81m×1.91m×1.45m |
ホイール ベース |
2.86m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.61m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1870kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 2145kg |
最低地上高 | 0.12m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | S58B30A | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 59リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 2992cc | 燃費(WLTCモード) |
9.8km/L
└市街地:6.8km/L └郊外:10.1km/L └高速:11.9km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 510ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
650(66.3)/5500 |
エンジン型式 | S58B30A |
---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2992cc |
最高出力 | 510ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
650(66.3)/5500 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 59リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 9.8km/L
└市街地:6.8km/L └郊外: 10.1km/L └高速: 11.9km/L |
燃費基準達成 | - |
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。