【試乗】新型 BMW M2|MTこそ運転する歓びに満ちている! 後輪駆動の“ミニM4”
カテゴリー: BMWの試乗レポート
2023/09/19
M4の走りをほうふつとさせる“ショートホイールベース版”
新型M2はどんなモデルか。ミニM4だ。マイナス110mmのショートホイールベース版だから、ほとんど懐かしのM3クーペだ。最後の6気筒M3クーペはE46型で、それよりも少し大きいから、E46型M3クーペの正常進化版、といえなくもない。
そして、BMWが先祖として名指ししたモデルが2002ターボだった。コンパクトな2シリーズにM3/M4用のパワートレインとシャシー&サスペンションをぶち込んだ高性能仕立て、と聞けば“マルニターボ”の子孫として不足に思うはずがない。
M4と同じS58型3L 直6Mツインパワーターボを積んだ。最高出力460ps、最大トルク550N・m。M4比では出力において20ps劣るのみ。先代M4を上回るスペックだ。これにM4同様、8速Mステップトロニックを組み合わせた。ギアシフトアシスタント付き6速MTを選択することもできる(日本仕様はAT、MT同価格設定)。アクティブMデファレンシャルも標準で装備する。
スタイリングにはもはやベースとなった2シリーズクーペ(G44型)の面影はほとんどない。見るからにグラマラスで、面構えもフェンダーの張り出しも凶暴だ。新たなキドニーグリルデザインも目を引く。フロント275/35の19インチ、リアは285/30の20インチ。要するに前後タイヤともM4の日本仕様標準グレードと同じサイズ。ワイドトレッド&ワイドタイヤを覆うために全幅はなんと1890mm近くにまで広げられた。
ニュルブルクリンクで鍛え抜かれたボディ骨格に、前後50:50の重量配分、電子制御ダンパー付きのアダプティブMサスペンション、可変ギアレシオMサーボトロニックステアリング、6ピストンのMコンパウンドブレーキなどなど、M4も顔負けの仕様である。
新型M2の走りには確かにどこかしらM4のような雰囲気がつきまとっていた。街乗りではソリッド&フラットで硬派な乗り心地がいかにもM4っぽい。ひょっとするとさらに激しく感じることさえあった。速度を上げていくにつれて乗り心地に滑らかさが出て、均質な弾性を感じさせるライドフィールへと収束する感覚もよく似ている。高速クルーズもなかなか良く、長距離ドライブも楽々こなす。
フロントには後輪用かと見紛うほどに太いタイヤを履いているというのに、低速域から違和感なく動かすことができた。もちろんドライブモードの設定次第で様々なキャラクターへと変更できるわけだが、コンフォートでもスポーツプラスでも、前輪の大きさを特に感じることがない。
S58型エンジンを回したときの気持ち良さはやはり格別だ。すでにいろんなモデルに積まれた実績のあるエンジンで、逆にいうと慣れ親しんでいるはずだというのに、力強さと官能フィールで、何度乗ってもいいなぁと思わせてくれる。ドライバーを鼓舞し続けるエンジンだ。踏めば踏むほどに足元から腰がパワートレインと一体となっていく感覚は今や貴重で、特にMT仕様では内燃機関を操る歓びを十分に堪能できた。改良されたMTの操作フィールは、優れたシャシー制御とともに、先代M2に比べて大幅に良くなったと思える点だった。
旧型M2のMTは操作フィールに節度感が足りず、ぐにゃっとした感じが目立った。エンジンの官能性と手足を駆使する楽しみだけが取り柄の3ペダルだった(もっとも、エンジンの官能性があれば今の時代、十分に貴重なのだけれど! )。シフトレバーの操作性そのものが気持ちいいとは思えなかったのだ。新型ではそれがかなり改善されている。ビシビシと吸い込まれるようなシフトフィールと、さらに優秀なレブシンクロの機能も付いて、積極的に操れば操るほどに楽しめる。
一方で、2ペダルのオートマチックをドライブすれば、いっそうドライブフィールはM4に近づく。DCTではもはやないというのに、Mモードでの変速は切れ味も鋭く、マニュアル操作で十分に楽しめる。サーキットでも試乗したが、その速さとドライブ感覚はまるでM4。思う存分に楽しめた。
なるほど、このクラスでもすでに2ペダルの方が加速タイムも短い。となれば3ペダルMT車の役目は速く走らせることではもはやないのだ。ドライバーを気分よく運転させることに尽きる。マニュアルギアボックスのシフトフィール改善は新型M2のウリだと言っていい。
▼検索条件
BMW M2(現行型)× 全国自動車評論家
西川淳
大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。
同じエンジンを積んだ”兄貴分”BMW M4クーペ(現行型)の中古車市場は?
4シリーズをベースとしたMハイパフォーマンスモデル。現行モデルは2021年に登場、M2と同じ3Lツインターボ(S58型)を搭載する。FRのベーシックグレードに加え、最高出力510ps/最大トルク650N・mに性能を引き上げたエンジンを搭載するハイパフォーマンスモデルのコンペティションもラインナップ。コンペティションは4WDが設定されている。最新の運転支援システムやインフォテインメントシステムを備え、日常使いにも問題ない。
2023年9月中旬時点で、中古車市場には30台以上流通しており、その価格帯は900万~2800万円。うち20台ほどがコンペティション、BMWの量産車最速をうたう国内限定25台のM4 CSLもわずかだが流通している。M4クーペで唯一MTが選択できるFRのベーシックグレード(3.0)は、現在流通している10台強のすべてがMT仕様。FRスポーツ×MTを探している人は要チェック。
▼検索条件
BMW M4クーペ(現行型)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●3.0
型式 | 3BA-12DM30 | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | FR | 全長×全幅×全高 | 4.58m×1.89m×1.41m |
ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.75m |
ミッション | 6MT | 前トレッド/後トレッド | 1.62m/1.61m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1710kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 4名 | 車両総重量 | 1930kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.12m |
マニュアルモード | - | ||
標準色 |
アルピン・ホワイト、Mザントフォールト・ブルーメタリック、Mブルックリン・グレーメタリック、Mトロント・レッドメタリック、ブラック・サファイアメタリック |
||
オプション色 |
- |
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掲載コメント |
- |
型式 | 3BA-12DM30 |
---|---|
駆動方式 | FR |
ドア数 | 2 |
ミッション | 6MT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | アルピン・ホワイト、Mザントフォールト・ブルーメタリック、Mブルックリン・グレーメタリック、Mトロント・レッドメタリック、ブラック・サファイアメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 4名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
- |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
4.58m×1.89m×1.41m |
ホイール ベース |
2.75m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.62m/1.61m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1710kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | 1930kg |
最低地上高 | 0.12m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | S58B30A | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 52リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 2992cc | 燃費(WLTCモード) | 9.9km/L └市街地:6.8km/L └郊外:10.3km/L └高速:11.8km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 460ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/5870 |
エンジン型式 | S58B30A |
---|---|
種類 | 直列6気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 2992cc |
最高出力 | 460ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
550(56.1)/5870 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 52リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 9.9km/L └市街地:6.8km/L └郊外: 10.3km/L └高速: 11.8km/L |
燃費基準達成 | - |