BMW M3コンペティション▲【BMW M3 コンペティション|写真=郡大二郎】

縦長グリルは原点回帰!?

第6世代となる、G80型M3が日本に上陸した。最高出力510ps、最大トルク650N・mを発揮するM社謹製S58型3L直6ツインターボエンジンに8速ATを組み合わせるモデル。駆動方式はFRと、M3としては初となる四輪駆動(xDrive)モデルが設定されている。

実車に対面すると、いやが上にも目を奪われるのは大きなキドニー・グリルだ。近年のBMWは7シリーズで、先代比約40%もの面積アップを実施するなどキドニー・グリルの拡大に積極的だった。そして2019年のフランクフルトモーターショーで、現行型4シリーズのコンセプトモデルである「コンセプト4」を披露し、この大きな縦長のキドニーグリルの導入を示唆していた。

そして翌年、新型4シリーズは宣言どおりこの大きな縦長のキドニー・グリルを携えて登場した。ちなみにこのグリルのルーツは、1933年、BMWとして初のオリジナル四輪車として登場した「303」にある。当時、グリルといえば大きな1枚ものが一般的だったが、他車との差別化を図るために2分割したことがキドニー・グリルの始まりだったという。

その後、キドニー・グリルのデザインは縦長から四角や横長など、時代とともに変化を繰り返していくことになるが、再び縦長へと原点回帰してきたというわけだ。この新たな4シリーズ顔を、セダンで唯一身につけているのが、新型M3ということになる。

新型M3/M4のキドニー・グリルは、M専用のデザインとして、フレームレスのオールブラック仕様で、ダブルバーと呼ばれる横桟を配している。このグリルの背後に、大量の冷却用エアが必要なパワフルなエンジンを搭載していることを暗示するものという。

また、グリルの左右には、ドライブトレインとブレーキシステムの冷却を最適化するため大きなインテークが追加され、ボンネット上にもグリルと一連のものとなるへこんだデザイン処理が施されており、より立体的な印象を与えている。
 

BMW M3コンペティション▲撮影車両はイメージカラーのアイル・オブ・マン・グリーンメタリックをまとっていた。空力効果を重視したMミラーも従来同様装備されている
BMW M3コンペティション▲ホイールはフロント19インチ、リア20インチの異径サイズ。雨天でも抜群のグリップ性能を誇るミシュランパイロットスポーツ4Sを標準で装着する
BMW M3コンペティション▲日本では、コンペティションとコンペティション トラックパッケージのみをラインナップ。トラックパッケージは安全先進機能を省くなどにより約25kgの軽量化、カーボンセラミックブレーキの標準化など、さらにサーキットでの走行性能を重視した設定

フロントにばかり目を奪われがちだが、カーボンルーフやフロントからリアへと続くブラックシルなどM専用のデザインエレメントが、エクステリアを引き締めている。

ベース比で全幅80mm、トレッドは35mmも拡大しており、前後フェンダーまわりの抑揚のある造形を目の当たりにすれば、ベースの3シリーズとはまったくの別物だということがわかる。もちろん見た目だけの話ではなく、Mモデルはシャシーなどに念入りな補強が施されていることはよく知られた話だ。
 

BMW M3コンペティション▲カーボンルーフによる低重心化やワイドボディは、コーナーでのコントロール性能をさらに高めた
BMW M3コンペティション▲シルキーシックスと呼ばれる6気筒エンジンの上部には、シャシー性能を向上させるタワーバーが備わる

以前、BMW AGに在籍する日本人デザイナーの永島譲二氏にキドニー・グリルについて話を聞いたことがある。i3やi8といった電動車では、機能的にはグリルは必要ない。実際にテスラなどは、グリルレスのデザインをメーカーの個性としている。そうした中で、キドニー・グリルのないBMWモデルは考えられないのかと。永島氏の答えはこうだった。

「そういう議論はもちろんあります。しかし、まず大前提としてBMWに見えなければならない。説得力のある代わりになるものができるのであれば、もちろん歓迎します」

キドニー・グリルの歴史は実に88年にも及ぶ。冷静に考えれば、これほどのデザインアイコンは他にないと言えるだろう。電動化が声高に叫ばれる時代において、最後になるかもしれない純粋な6気筒の内燃エンジンを搭載するMモデルに、BMWにとって重要なヘリテージを最大化して提示してみせたのはある意味で、歴史的必然と言えるのかもしれない。
 

BMW M3コンペティション▲インテリアはメリノレザーを使用したフルレザーが標準。ステアリングのMボタンやシフトセレクターは、Mモデル専用パーツだ
BMW M3コンペティション▲標準でスポーツシートを装着。オプションで、カーボンステアリングやカーボン製バケットシートが用意された
BMW M3コンペティション▲トラック、スポーツなどの3種類の表示パターンを備えたデジタルメーター(写真は標準表示)。Mドライバーズパッケージを装備すれば、最高速度を250km/hから290km/hへと変更可能だ
文/藤野太一、写真/郡大二郎

▼検索条件

BMW M3セダン(3代目、G80型) × 全国

【試乗車 諸元・スペック表】
●コンペティション

型式 3BA-32AY30 最小回転半径 5.2m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.81m×1.91m×1.44m
ドア数 4 ホイールベース 2.86m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.62m/1.61m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1740kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2015kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.12m
マニュアルモード    
標準色

アルピン・ホワイトIII

オプション色

ブルックリン・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンパウロ・イエローメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック

掲載コメント

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型式 3BA-32AY30
駆動方式 FR
ドア数 4
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アルピン・ホワイトIII
オプション色 ブルックリン・グレーメタリック、ブラック・サファイアメタリック、サンパウロ・イエローメタリック、アイル・オブ・マン・グリーンメタリック、ポルティマオ・ブルーメタリック、トロント・レッドメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、オキサイド・グレーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズンポルティマオブルーメタリック、タンザナイト・ブルーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.2m
全長×全幅×
全高
4.81m×1.91m×1.44m
ホイール
ベース
2.86m
前トレッド/
後トレッド
1.62m/1.61m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1740kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2015kg
最低地上高 0.12m
掲載用コメント -
エンジン型式 S58B30A 環境対策エンジン -
種類 直列6気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 59リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 2992cc 燃費(WLTCモード) 10km/L
└市街地:6.9km/L
└郊外:10.4km/L
└高速:12.1km/L
燃費基準達成 -
最高出力 510ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
650(66.3)/5500
エンジン型式 S58B30A
種類 直列6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2992cc
最高出力 510ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
650(66.3)/5500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 59リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 10km/L
└市街地:6.9km/L
└郊外: 10.4km/L
└高速: 12.1km/L
燃費基準達成 -