フォルクスワーゲン ティグアン▲フォルクスワーゲンのベストセラーモデルとなるミドルサイズSUV。ボディサイズの拡大により居住性が向上、アダプティブシャシーコントロール「DCC Pro」の採用などにより走行性能も進化を果たしている

新たなブランドの“主役”となったベストセラーモデル

2024年11月、7年ぶりのフルモデルチェンジで3世代目となるミドルサイズSUV、新型ティグアンが発売された。ティグアンは2007年の初代モデル導入以来、全世界で760万台以上が販売されており、2019年以降はフォルクスワーゲングループ全体のモデルラインナップの中でも、ベストセラーモデルになっているという。

プラットフォームは、従来の「MQB」の進化版となる「MQB evo」アーキテクチャーを採用。ボディサイズは全長4540mm×全幅1860mm×全高1655mm、ホイールベース2680mmと先代モデル対して全長・全高が約25~30mm拡大し、後席は身長180cmの大人が座ってもゆとりあるスペースを確保。背もたれは40:20:40の分割可倒式で、荷室容量は先代比で+37Lとクラス最大級の652Lを実現している。
 

フォルクスワーゲン ティグアン▲2種類のエンジンには、運転支援装備などを標準装備としたエントリーモデルのアクティブ、“IQ. LIGHT”HDや前席シートリラクゼーション機能を備えたエレガンス、20インチアルミホイールをはじめとした専用エクステリアなどでスポーティなスタイルのRラインをそれぞれラインナップ

エクステリアデザインは、ボンネットの位置を従来モデルより高くすることで力強さを強調すると同時に、空力性能も追求しcd値は0.33から0.28へ向上。LEDマトリックスヘッドライトは、片側1万9200個の高精細なマルチピクセルLEDを搭載し、従来よりも細かい制御が可能になった“IQ. LIGHT”HDへと進化している(エレガンスとRラインに標準装備)。

インテリアは、デジタルメータークラスターに10.25インチのTFT液晶ディスプレイの採用にヘッドアップディスプレイを組み合わせている。インフォテインメンシステムは最新のMIB4システムを搭載する“Discover Pro Max”で、ダッシュパネル中央に15インチの大型タッチパネルを配置。エアコンや音量など頻繁に使う機能はディスプレイ下部のタッチスライダーバーで操作する。また、「ハロー・アイダ(IDA)」または「ハロー・フォルクスワーゲン」で起動する音声操作機能「IDAボイスアシスタント」も搭載している。

シフトセレクターがステアリングコラムに移設されたことで、センターコンソールにはダイヤル式のドライビング・エクスペリエンス・コントロールを配置。ダイヤルのセンターにある小型スクリーンをスワイプ、もしくは押すことで機能を切り替え、ダイヤルで音量調整や運転モードの選択などが可能となっている。また、センタコンソール奥には「Qi」に対応したスマートフォンワイヤレスチャージングを備えた。さらに、前席シートにはまるでラグジュアリーカーのような空気圧式リラクゼーション機能までも標準装備する(エレガンスとRライン)。
 

フォルクスワーゲン ティグアン▲シフトセレクターをステアリングコラムに移設するなど操作系を一新し、すっきりしたインテリアデザインとした

燃費も優秀! 1.5Lエンジンでも不満のない走り

パワートレインは、48Vマイルドハイブリッド仕様の1.5L 直4ガソリンターボエンジン×前輪駆動の「eTSI」、と2L 直4クリーンディーゼル×フルタイム4WD「TDI 4MOTION」をラインナップ。今回の試乗車は前者のスポーティ仕様である「eTSI Rライン」だった。

「eTSI」は、最高出力150ps(110kW)/最大トルク250N・mを発揮する1.5L 直4ターボエンジンに、ベルト統合型スタータージェネレーターを組み合わせる。モーターの出力は約18ps(13.5kW)/56N・m。トランスミッションは7速DSGの組み合わせだ。
 

フォルクスワーゲン ティグアン▲モデル初の48Vマイルドハイブリッドを採用。1.5Lターボには4気筒のうち2気筒を停止させて走行するACTを備え効率を向上、コースティング機能も備わる

ステアリングコラムの右側にあるシフトセレクターは、BEVの「ID.4」と同様の操作方法で奥にひねるとDレンジに、手前にひねるとRレンジに入る。SUVのボディに1.5Lではどうかなと思ったが、モーターのアシストもあって低回転域から軽快に動き出す。DSGも小気味よく変速してくれるので力不足を感じるシーンはなかった。また、走行状況に合わせて2気筒を停止するアクティブシリンダーマネージメントを搭載しており、燃費性能はカタログ値15.6km/L(WLTCモード)で、実際に高速道路を走行してみても状況次第では20km/Lオーバーも可能と、とても優秀だ。

新アーキテクチャーになって、大きく改善された点が最新のアダプティブシャシーコントロール「DCC Pro」。ダンパーの伸び側と縮み側に個別のオイル回路を備えたことで、減衰力の独立制御が可能となっている。「コンフォート」や「スポーツ」といったドライブモードに連動する他、「カスタム」モードを使えば、コンフォートよりもさらにソフトに、またはスポーツよりもさらにハードにと任意での調整が可能。Rラインでは255/40R20サイズのピレリ製スコーピオンを装着していたが、首都高速の目地段差を超える越えるようなシーンでもいやな上下動もなく、ピッチングやロールもうまく抑制されていた。

新型ティグアンは、デザインは洗練され、内装質感は高まっており、走行性能も安全性能も燃費性能も向上と、ベストセラーモデルにふさわしい全方位での進化を果たしていた。「eTSI Rライン」で588万9000円と600万円を切る価格設定は、軒並み値上がりしているいまの輸入車界隈においてリーズナブルといえるものだと思う。
 

フォルクスワーゲン ティグアン▲シルバーのルーフレールを標準装備。Rラインはメッシュグリルなどを備える専用エクステリアが採用される
フォルクスワーゲン ティグアン▲片側1万9200個のマルチピクセルLEDを備えたマトリックスヘッドライト“IQ. LIGHT” HDを装備
フォルクスワーゲン ティグアン▲Rラインには専用デザインのファブリックシートを標準装備、オプションでリラクゼーション機能を備えたレザーシート(写真)が用意される
フォルクスワーゲン ティグアン▲Rラインとエレガンスには左右後席にもシートヒーターが備わるなど、居住性を向上させている
フォルクスワーゲン ティグアン▲ラゲージ容量は通常652L、後席を倒せば最大1650Lまで拡大する
文/藤野太一 写真/阿部昌也

先代となるフォルクスワーゲン ティグアンの中古車市場は?

フォルクスワーゲン ティグアン

2017年に登場した2代目は初めてMQBを採用、初代より全長と全幅を拡大しつつ全高を低くすることでスポーティなスタイルとなった。当初は1.4Lターボを搭載するFWDのみだったが、2028年には2Lディーゼルターボを搭載した4WDモデルが追加設定された。また、2021年のマイナーチェンジではガソリンエンジンを従来の1.4Lターボから1.5Lターボへと変更、2Lターボを搭載したハイパフォーマンスモデルのRがラインナップされている。

2025年1月下旬時点で、中古車市場には320台程度が流通。支払総額の価格帯は200万~680万円となる。ディーゼルモデル(TDI)は100台程度、ハイパフォーマンスモデルのRも15台程度が流通している。
 

▼検索条件

フォルクスワーゲン ティグアン(先代)× 全国
文/編集部、写真/フォルクスワーゲン グループジャパン

【試乗車 諸元・スペック表】
●eTSI Rライン

型式 3AA-CT15 最小回転半径 5.4m
駆動方式 FF 全長×全幅×全高 4.54m×1.86m×1.66m
ドア数 5 ホイールベース 2.68m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.59m/1.59m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1610kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

シプレッシーグリーンメタリック、パーシモンレッドメタリック、オイスターシルバーメタリック、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト

オプション色

オリックスホワイトマザーオブパールE

掲載コメント

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型式 3AA-CT15
駆動方式 FF
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 シプレッシーグリーンメタリック、パーシモンレッドメタリック、オイスターシルバーメタリック、ナイトシェードブルーメタリック、ドルフィングレーメタリック、ディープブラックパールエフェクト、ピュアホワイト
オプション色 オリックスホワイトマザーオブパールE
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 5.4m
全長×全幅×
全高
4.54m×1.86m×1.66m
ホイール
ベース
2.68m
前トレッド/
後トレッド
1.59m/1.59m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1610kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DXD 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 60リットル
可変気筒装置 燃費(JC08モード) 18.3km/L
総排気量 1497cc 燃費(WLTCモード) 15.6km/L
└市街地:11.9km/L
└郊外:15.9km/L
└高速:17.7km/L
燃費基準達成 -
最高出力 150ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
エンジン型式 DXD
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置
総排気量 1497cc
最高出力 150ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
250(25.5)/3500
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 60リットル
燃費(JC08モード) 18.3km/L
燃費(WLTCモード) 15.6km/L
└市街地:11.9km/L
└郊外: 15.9km/L
└高速: 17.7km/L
燃費基準達成 -