フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント▲2022年10月に国内発売が始まった新型フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント。自動車テクノロジーライターの松本英雄氏によるインプレッションをお届けしよう

新型ゴルフヴァリアントの最もハイパワーなモデル

フォルクスワーゲンといえば、しっかりとした骨格に下から叩きつけるような路面のアンジュレーションにもモノともしない強靭なサスペンションが思い浮かぶ。

そして、その名を世に知らしめたのが、FFモデル最強のゴルフである。

私は運良くゴルフ1から歴代モデルに試乗する機会があったが、どのモデルも安心感を損なうことなど皆無であった。

もちろん走りだけではない。最近ではモデルチェンジを重ねるたびに高級な雰囲気を感じられるが、精度の高さはもちろん、質感も非常に高くなっている。

それでありながら、ゴルフはどのモデルにおいても実用的で裏切ることなく扱いやすい相棒である。しかも、どこに行っても好感を持たれるという稀有なモデルだ。

ゴルフの素晴らしいところは、FFハッチバックにしてバリューの高い位置を築いたところであろう。

現在はどこのブランドもベンチマークにしているのは言うまでもない。

今回試乗するのは新型ゴルフ8のステーションワゴン版であるヴァリアント。しかも、最もハイパワーな「R」である。

そもそも開口部広く大きなボディとなるステーションワゴンは、剛性バランスの相違によってバイブレーションを誘発しやすい。

最新のゴルフヴァリアントは、ハッチバックタイプに比べホイールベースが50mmも延長されている。

すでに試乗を済ませていたハッチバック版のゴルフRは、ソリッドなボディにロールを抑えたセッティングでしなやかになり、どっしりとした風格とGT的な複雑で立体的な乗り味になってきている。


果たして2023モデルとしてのゴルフRヴァリアントではどんな提案をしてくるのだろうか。

それでは、試乗時の印象をお伝えしていこう。
 

フォルクスワーゲンが本気を出して作ったマニアックなモデル

精悍な外観は、横置きユニットとヴァリアントならではのボディの長さゆえ、Aピラーより前の短さが協調される感じだ。逆を言えばゴルフを堂々とさせた佇まいというべきであろうか。
 

フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント▲ハッチバックモデルに比べホイールベースと全長が長く、堂々とした佇まいだ
フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント▲ステーションワゴン版は、高い積載性などユーティリティ面で優れている

専用シートのフィット感は、通常モデル以上にホールド性が高く、いとも簡単に身体の勝手な揺れを抑制する。
 

フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント▲ゴルフRシリーズには専用のスポーツシートが装着されている

いよいよエンジンの始動だ。DNF型の2L 4気筒ユニットは最高出力320psを発揮し、最大トルクはおよそ43kg・mもある。このスペックを見ると、低速から高速域までよどみのない加速が約束されていることがうかがえる。

またこれだけのスペックを誇りながら、エンジン始動時の静粛性は非常に高い。チューニングしたモデルとは思えないほどジェントルだ。
 

フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント▲最高出力320psを発揮し、最大トルク42.8kg・mを発揮する直列4気筒 2Lターボユニット

ハッチバックよりも強靭な印象は薄れるものの、決して不満ではない。

うねりのある一般道でもしなやかな動きを見せ、乗り心地はよい。1kmほど続く直線では、7速DSGのトランスミッションを小気味よくシフトアップさせ、パーシャル状態にして3速を維持する。伸びやかでゆとりを感じさせる制御である。

ゆっくりブレーキングする。低速だと細やかなコントロール性が苦手なのだろうかと感じたが、中速域から低速への移行は素晴らしくスムーズだ。シフトのコントロールも連続的に変わり、気持ちがいい。
 

フォルクスワーゲン ゴルフRヴァリアント

高速入口のコーナーのRは一定でないため、タイヤにかかる荷重に変化があるが、4モーションの制御は実にスムーズかつ連続的で、以前のモデルよりも柔らか。これは乗り心地のよさにも寄与している。

また、このような状況下でもエンジン回転が安定しているということは、スタビリティの確保がしっかりできていることを表している。

ステアリングは正確無比であるのはもちろん、そこにさらにラグジュアリーな重量感と扱いやすさが加わっている。

しばらく高速をクルージングしたのだが、静粛性はとても良い。

続けてワインディングを走る。下からくるやや大きめなアンジュレーションを受け止めた瞬間のサスペンション収束の速さが、スポーツカーであることを知らしめる。

ハッチバック版のゴルフRに比べると全長、ホイールベースともに安定感あるディメンションで、コーナリングが連続していても路面とのコンタクトは抜群である。

そして、何よりもこの車はちょっと踏み込めば電光石火の加速であるにかかわらず、とても扱いやすいユニットで、ロングディスタンスでもストレスを軽減してくれる。

見かけ以上に速いワゴン車のゴルフRヴァリアントは、中身を知っている人御用達の通好みのモデルと言える。

質の良いスポーツワゴンは数あれど、700万円近い価格と各部の作り込み、性能を鑑みると、やはり本気のマニアックなモデルであることは間違いない。

フォルクスワーゲンがゴルフで挑んだ、最速にして横置きエンジンモデル最高峰のグランツーリズモワゴン。それが、最新版のゴルフRヴァリアントである。
 

▼検索条件

フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント(現行型)× R 4WD×全国 ※流通状況により物件が表示されない可能性があります
文/松本英雄、写真/篠原晃一、井上誠

【試乗車 諸元・スペック表】
● R 4WD

型式 3BA-CDDNFV 最小回転半径 5.1m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.65m×1.79m×1.49m
ドア数 5 ホイールベース 2.67m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.54m/1.52m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1600kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト

オプション色

ラピスブルーメタリック

掲載コメント

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型式 3BA-CDDNFV
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 ピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト
オプション色 ラピスブルーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 5.1m
全長×全幅×
全高
4.65m×1.79m×1.49m
ホイール
ベース
2.67m
前トレッド/
後トレッド
1.54m/1.52m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1600kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント -
エンジン型式 DNF 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 56リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1984cc 燃費(WLTCモード) 12.2km/L
└市街地:8.6km/L
└郊外:12.3km/L
└高速:14.9km/L
燃費基準達成 -
最高出力 320ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
420(42.8)/5350
エンジン型式 DNF
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1984cc
最高出力 320ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
420(42.8)/5350
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 56リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) 12.2km/L
└市街地:8.6km/L
└郊外: 12.3km/L
└高速: 14.9km/L
燃費基準達成 -
松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。