メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲2018年に登場した現行モデルが初の大幅改良。3LディーゼルターボエンジンにISGを組み合わせることで、パフォーマンスを向上させている。まずはG 450d ローンチエディションが販売される

型式名を変えるほど力の入った大幅改良

昔のカタチ、どころか型式名(W463型)まで引き継いで、18年に事実上のフルモデルチェンジを果たしていた現行Gクラス。このたび初めての大幅改良をうけ、なんと今度は型式名も新たにW465型として登場した。

話題はなんといっても先に紹介したG580 with EQテクノロジーというフル電動グレードだったが、もちろん内燃機関グレードも改良を受けており、中でもG 400d改め450dの完成度が特に出色であったのでリポートしたい。

見た目の変化はごくわずか、と言っても、実は細部までこだわっている。G 580においては空力を特に煮詰めたわけだが、450dにもその恩恵があった。フロントシールドまわりの空力デザインやルーフエンドスポイラーなどだ。Gクラスのような角ばったモデルだからこそ、細かな空力リファインが利いてくるということだろう。

 

メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲4本の水平ルーバーを備えたフロントグリルを採用。Aピラーの形状最適化やリップスポイラーの装着、フロアの吸音材追加などが行われている

もっともそんなことは些事である。特筆すべきはマイルドハイブリッド(ISG)としたパワートレインだ。これがもう出色のデキというべきで、今、Gクラスに限らずブランドの大型SUVを選ぶというときに、これほどメルセデスらしさのあるパワートレインは他にないと思えるほど良くできていた。例えばGLE 450dなどは、SUV嫌いの筆者をして蕩けさせるエンジンフィールを有していた。

G450dでもそれは変わらない。そもそもメルセデスの3L 直6ディーゼルターボはよくできているうえ、これにお得意のISGを組み合わせることで、そのパワーフィールには非の打ちどころがなくなった。

とにかく立ち上がりから力強くその力の出方はスムーズで、ちょっとラフに踏み込んでも心地よく均してくれるだけのおうようさまである。加えて、今回アダプティブ・ダンピングシステムが標準装備となったことで、乗り心地もはっきりとわかるほどよくなっているから、加速の滑らかさはGクラスであることを忘れさせるくらいだ(もっともその点についていうとG580 with EQテクノロジーはさらに上をいくわけだが)。
 

メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲車速や路面状況に応じてダンピング特性をシステムが調整してくれるアダプティブダンピングシステムを標準装備

Gクラスの内燃機関モデルはこれだけで十分と思わせる完成度

さすがにこのサイズになると遮音材などの効果はテキメンで、ディーゼルの嫌味な音はまるで聞こえてこず、逆にストレート6の心地よい回転フィールの方が強調されて感じることができる。Gクラスのエンジン付きは、もうこのグレードだけで良いのじゃないか? と個人的には思ったほどだ。

ここまで気分よく走り出してくれると、ハンドリングに多少クロカンフィールが残っていても気にはならない。コーナーをクリアするたびの加速で「ふぅむ」とうなずいてしまうからだ。良い点だけが印象に残り続けた。
 

メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲ローレンジモードやデフロックなどに加え、車両前側下部の路面を仮想的に表示するトランスペアレントボンネットなどを備えている。ダイナミックセレクトにはオフロード専用プログラム(トレイル/ロック/サンド)が追加されている

G史上、最高バランスのモデルであることは間違いない。そのことはオフロード走行でも証明された。ジムニーあたりとは違って、積極的にオフロード走行を楽しむような最新Gクラスオーナーは皆無だろう。今や2000万円超級の高級車だから、レンジローバー同様そんなお大尽は砂漠にしかいなさそうだ。ほとんどのユーザーがオフロードなど走らない、というのに、Gクラスのオフロード性能は世界でもトップクラスだ。

試乗会でも急勾配やぬかるんだすり鉢などいろんなラフロードを走ってみたが、数々の先進装備を駆使しつつ(使用方法を覚えるのはちょっと大変かも)、いずれの難所もすんなりクリアした。要するに、オーナーが決してやらないこと(G580 with EQテクノロジーのGターンもそうだが)を、実際にやれると証明しておくことが大事であり、なぜなら、決してハリボテではなく中身まで本物であることがGクラス(もしくはゲレンデ)というブランドを作っているからである。

というわけで、メルセデスAMG G63にも試乗したが、過激な魅力は相変わらず。サウンドなどちょっと今の時代にはトゥマッチな気がしないでもなかったが、静かなG580 with EQテクノロジーが存在するから、差し引きで良しとしようじゃないか。

新型Gクラスに死角なし。車両価格は跳ね上がってしまったけれども、人気はしばらく続きそうな気配である。
 

メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲対話型インフォテインメントシステムのMBUXを搭載、最新世代のマルチファンクションステアリングも備わっている
メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲450dにはAMGラインパッケージやナッパレザーシートを標準装備、上質感を高めている
メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション▲ラゲージ容量は通常640L、分割可倒式のリアシートを倒せば最大2010Lまで拡大する

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メルセデス・ベンツ G 450d ローンチエディション× 全国
文/西川淳 写真/井上誠、メルセデス・ベンツ日本

自動車評論家

西川淳

大学で機械工学を学んだ後、リクルートに入社。カーセンサー関東版副編集長を経てフリーランスへ。現在は京都を本拠に、車趣味を追求し続ける自動車評論家。カーセンサーEDGEにも多くの寄稿がある。

メルセデス・ベンツ Gクラス(現行型)の中古車市場は?

メルセデス・ベンツ Gクラス

1979年に登場した本格オフローダー初のモデルチェンジにより、2018年に登場した現行Gクラス。スタイリングやラダーフレームなどは踏襲しつつも、素材やボディなどが全面的に見直されており、最新運転支援システムなども採用された。2024年には大幅改良が施され、対話型インフォテインメントシステムのMBUXなどを採用。Gクラス初のBEVモデル「G580 with EQテクノロジー」が追加設定されている。

2024年12月中旬時点で、中古車市場には550台程度が流通。支払総額の価格帯は1200万~2900万円となる。ハイパフォーマンスモデルのメルセデスAMG G63は340台前後が流通するなど人気が高い。G63の支払総額の価格帯は1650万~3900万円。流通台数は多いものの、どちらも超人気モデルだけに新車時の車両本体価格を上回る価格の物件の割合が多い状況といえる。
 

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文/編集部、写真/柳田由人

【試乗車 諸元・スペック表】
●G450d ローンチ エディション (ISG搭載モデル) ディーゼルターボ 4WD

型式 7CA-465310C 最小回転半径 -m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 4.68m×1.99m×1.98m
ドア数 5 ホイールベース 2.89m
ミッション 9AT 前トレッド/後トレッド 1.66m/1.66m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 2560kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 0.23m
マニュアルモード
標準色

オブシディアンブラック、ソーダライトブルー

オプション色

オパリスホワイト

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型式 7CA-465310C
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 9AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 オブシディアンブラック、ソーダライトブルー
オプション色 オパリスホワイト
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 -m
全長×全幅×
全高
4.68m×1.99m×1.98m
ホイール
ベース
2.89m
前トレッド/
後トレッド
1.66m/1.66m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2560kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.23m
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エンジン型式 656M 環境対策エンジン -
種類 直列6気筒DOHC 使用燃料 軽油
過給器 ターボ 燃料タンク容量 100リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 2988cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 367ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
750(76.2)/2800
エンジン型式 656M
種類 直列6気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 2988cc
最高出力 367ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
750(76.2)/2800
環境対策エンジン -
使用燃料 軽油
燃料タンク容量 100リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -