【試乗】新型 アルピーヌ A110 R|控えめに言ってサイコーの走り! 徹底軽量によりさらに“過激”な味付けに
カテゴリー: アルピーヌの試乗レポート
2023/08/28
“ライトウエイトスポーツ”をさらに軽量化
Radical(過激)を意味する“R”の文字を車名につけたアルピーヌ A110 Rだけに、ワインディングロードでは、その真価を味わうのは難しいのではないかとも思っていたが、いざ走らせてみたら一瞬でそんな不安は消し飛んだ。走り慣れたワインディングロードで、A110 Rは控えめに言ってもサイコーの走りの楽しさに浸らせてくれたのだ。
過激なのは、まずその軽量化に向けられた姿勢である。リアウインドウガラスが取り払われた代わりにカーボン製カバーがはめ込まれて、周辺パーツの簡略化も含めて4kgを削り取っている。デュケーヌ社が供給するホイールもやはりカーボン製で、4本で12.5kgを削減。さらにサベルト製の専用左右シートと6点式シートベルトで6.5kg、カーボン製フロントフードで2.6kg、パーツ削減で8.9kg……と、積み重ねていった結果、専用サスペンションの1.2kg増を差し引いてもなおベースのA110 Sに対してトータルで34kgの軽量化を実現しているのである。
何しろオールアルミボディで元々とても軽い車だ。車検証数値での車両重量は、わずか1090kgにすぎない。
エアロダイナミクスの追求も、やはり過激なほどだ。いずれもカーボン製のリップ、サイドスカート、ディフューザー、スワンネックタイプのリアウイングを装着。フロントの開口部内にはエアインテークバルブが追加され、前述のカーボン製フロントフードには2つのダクトが開けられている。さらにカーボン製ホイールはフロントが冷却性能重視、リアがエアロダイナミクス重視でデザインを違えているといった具合である。
獲得したダウンフォースはノーマル比でフロントが+30kg、リアが+110kg。興味深いことに、A110 Sのパックエアロでは、フロントが同+60kg、リアが+81kgだったから、つまり後輪のグリップがより重視されているのが分かる。ちなみに、ブレーキ冷却性能は+20%、ドラッグは車高を10mm下げたトラックポジションにするとノーマルと変わらなくなるという。
車高だけでなく減衰力が20段調整できるサスペンションはZF製。タイヤはミシュラン パイロットスポーツ カップ2を組み合わせる。
A110 Rの真価を知るには、このコダワリぶりを伝えないわけにはいかない。説明が長くなってしまったが、そろそろ走り出そう。マイクロファイバー張りとされた室内に入り、クッション薄めのカーボン製バケットシートに腰を下ろす。シートベルトは何と6点式のみ。さらにリアウインドウがふさがれているためルームミラーもない、なんともストイックな空間だ。
走り出して即座に実感したのは、やはり軽さだった。0→100km/h加速はA110 Sの4.2秒から3.9秒に短縮されているが、実はエンジンパワーは300psで変わっていない。それなのに特にトップエンドで明らかに伸びるのは、軽さ、そしてトラクションの効果だろう。
エンジンカバーの省略、そして内部の電子制御バルブを取り去ったエグゾーストの採用もあり、乾いたサウンドがよくダイレクトに響く。はじけるような吹け上がり感も、加速の快感に利いているのは間違いない。
サスペンションも締め上げられているが、決してガチガチではない。むしろ軽やかさ、しなやかさを覚えるのはダンパーの仕立てもそうだし、カーボン製ホイールの軽さのおかげでもあるだろう。
車の動きも、やはり軽い。余計な質量を一切感じさせず、まさに意のままのラインをトレースできる。リアの接地感を重視した方向のサスペンションのセットアップ、エアロダイナミクスも利いていて、コーナー立ち上がりで安心して右足に力を込めていける。
つまりよく曲がり、よく加速する。さらに言えば、よく止まるということ。しかもそれは電気仕掛けでなく、軽さとエアロダイナミクス、そしてセットアップの妙による、他ではちょっと味わえない人と車の一体感の下に実現されているのだ。
確かに過激な仕立てではあるが、アルピーヌのテイストは濃厚に残され、生かされていて、独特の走りの世界を堪能できる。個人的には正直、A110はいいんだけれど最後の塩コショウひとつまみが足りないかな……という気がしていたのだが、このA110 Rはそんな思いを完全に解消し、まさに欲しい1台となった。
幸いA110 Rは限定車ではなく、つまりまだ手に入れられるチャンスはある。とはいえ、供給台数は多くはないだろうから、気になる人は常にチェックしておくべきだ。そのかいは、間違いなくある。
アルピーヌ A110(現行型)の中古車市場は?
復活を果たしたアルピーヌブランドから2017年にリリースされた、往年の名車の名前を継承する2シーターのライトウエイトスポーツ。オールアルミ製ボディにより軽量化が図られ、1.8Lターボエンジンをリアミッドにレイアウトした。2022年のマイナーチェンジでラインナップを変更。ベーシックグレードに加え、グランドツーリング向けのGTとクローズドコースでのパフォーマンスを向上させたSをラインナップする。
2023年8月後半時点で、中古車市場には20台強が流通中。価格帯は650万~1360万円、平均中古車価格は708万円と、比較的値落ちはおだやか。走行距離2万km未満の物件が大半を占めているため、今が比較的コンディションを気にせず選べる状況とも言えそうだ。
▼検索条件
アルピーヌ A110(現行型)× 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●R
型式 | - | 最小回転半径 | 5.8m |
---|---|---|---|
駆動方式 | MR | 全長×全幅×全高 | 4.26m×1.8m×1.24m |
ドア数 | 2 | ホイールベース | 2.42m |
ミッション | 7AT | 前トレッド/後トレッド | 1.56m/1.55m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | - | 車両重量 | 1090kg |
シート列数 | 1 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 2名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | コラム | 最低地上高 | -m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ノワールプロフォンM |
||
オプション色 |
ブルーアルピーヌM、ブラン イリゼM、グリ トネールM、ブルーアビスM、グリ トネール マット、オランジュ フーM、ブルーレーシングマット |
||
掲載コメント |
※カタログモデルではあるが、国内導入台数に応じて期間限定で購入申し込みを受付ける販売方法となります |
型式 | - |
---|---|
駆動方式 | MR |
ドア数 | 2 |
ミッション | 7AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | - |
標準色 | ノワールプロフォンM |
オプション色 | ブルーアルピーヌM、ブラン イリゼM、グリ トネールM、ブルーアビスM、グリ トネール マット、オランジュ フーM、ブルーレーシングマット |
シート列数 | 1 |
乗車定員 | 2名 |
ミッション 位置 |
コラム |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.8m |
全長×全幅× 全高 |
4.26m×1.8m×1.24m |
ホイール ベース |
2.42m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.56m/1.55m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 1090kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | -m |
掲載用コメント | ※カタログモデルではあるが、国内導入台数に応じて期間限定で購入申し込みを受付ける販売方法となります |
エンジン型式 | M5P | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 45リットル |
可変気筒装置 | - | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 1798cc | 燃費(WLTCモード) | - |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 300ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
340(34.6)/2400 |
エンジン型式 | M5P |
---|---|
種類 | 直列4気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | - |
総排気量 | 1798cc |
最高出力 | 300ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
340(34.6)/2400 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 45リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | -km/L |
燃費基準達成 | - |