トヨタ、日産、ホンダ、三菱の4社は、EVやプラグインハイブリッドカー(PHV、PHEV)などの電動車両用充電器を設置し、利便性の高い充電インフラを構築するための新会社「日本充電サービス」(NCS)を共同出資により設立した。政府系金融機関の日本政策投資銀行もこれを支援し、ファンドを活用して出資する。

電動車両はガソリン車やハイブリッドカーに代わる、次世代エネルギー対策の最有力候補と考えられているが、充電器などのインフラ整備が遅れていることが最大の障害となっている。これまでは経済産業省が主体となり、補助金制度を整備するなどして普及に努めてきた。

しかし、掲げられていた今年3月までに急速充電器4万基、普通充電器6万基という予定数は、現実的には急速2000基、普通3000基と、大きく及ばなかった。これを見越して、4社は昨年11月に、政府からの補助金では賄いきれない初期費用(本体・工事費用など設置費用の3分の1)や、ランニングコストの一部を支払う仕組みを発表していた。

具体的には、自治体などが関わる公共性を有する充電器のうち、商業施設や宿泊施設などの「目的地充電スポット」や、高速道路のSA・PA、コンビニや道の駅などの「経路充電スポット」など、一定の要件を満たす施設に設置するものを対象としている。

すでに一部の商業施設や宿泊施設、高速道路などがこの取り組みのもとで充電器の設置を開始。今後、充電器の管轄はNCSが行い、設置者にはNCSの運営するインフラネットワークへ加盟してもらう。電動車両のユーザーは1枚のICカードで、NCSが管轄するすべての充電器を利用できるようにしていく予定だ。

NCSは年内に急速充電器4000基、普通充電器1万2000基を新たに増やす予定。航続距離に不安を生じることの多い電動車両だけに、普及にはインフラの整備は不可欠だ。NCSの設立によって、電動車両がいっそう普及するか注目される。

急速充電器でも満充電までは30分ほどかかる。混雑時にはSAなどでは充電待ち渋滞も発生するなど、設置後の課題もまだまだ多い

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日産リーフの場合、累計販売台数5万台突破までは2年強だったが、10万台突破まではそこから1年ほど。徐々にEVの普及は進んでいる

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