ボッシュが電気自動車向けの画期的なバッテリー技術を取得
カテゴリー: パーツ関連ニュース
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2015/10/02
・純リチウムアノード:革新的に進化するセル構造
・全固体バッテリーセルにより2倍を上回る航続距離の実現が可能に
ヘイワード / シュトゥットガルト – ボッシュは、5年足らずで量産準備が整うと見込まれる電気自動車向けの新しいバッテリー技術を世界に先駆けて発表します。ボッシュ取締役会会長フォルクマ ル・デナーが「ボッシュはその知識と多額の資金を投入し、eモビリティを躍進させようとしています」と述べるように、ボッシュは米国の新興企業である SEEO(本社:シリコンバレー近郊のカリフォルニア州ヘイワード)を傘下に収め、これを実現しようとしています。バッテリー技術の分野で独自の開発を進めてきたボッシュはこれにより、リチウムイオンバッテリー向けの革新的な全固体バッテリーセルに関する重要なノウハウと広範囲にわたる特許技術を取得する ことになります。「全固体バッテリーセルは画期的な技術となる可能性があります。そしてその革新的な新技術が、グローバルに事業を展開するボッシュの幅広 いシステムの知識とそれを実現する資金力に出会ったということです」(デナー)。これまで産業面で掲げられてきた目標は、2020年までにバッテリーのエ ネルギー密度を2倍に引き上げ、コストを半分に引き下げることでした。しかし、この新しい全固体バッテリーセルがあれば、ボッシュはエネルギー密度を2倍 以上に引き上げ、コストも著しく引き下げることができると考えています。現在の航続距離が約150 kmの電気自動車が、追加充電することなく、航続距離が300 km以上に伸びるうえ、それを低コストで実現できるようになるのも遠い先の話ではありません。
SEEOの獲得は、ボッシュのeモビリティ戦略にも沿っています。ボッシュはすでにモーター、パワーエレクトロニクスやバッテリーにいたるまで、広範囲に わたるeモビリティ向けのコンポーネントを提供し、eモビリティに関する30件の量産プロジェクトを実現してきました。また、エンジニアは技術のさらなる 高度化に取り組んでおり、eモビリティをよりいっそう実用的な提案にしようと努めています。ボッシュは2025年までに世界の新車の少なくとも約15%に ハイブリッド パワートレインが搭載されると予測しており、欧州では新車の3分の1以上が電気駆動(多くがプラグインハイブリッド)となる見込みです。そのため、よりパワフルなリチウムイオンバッテリーの開発を目指し、2014年にボッシュは株式会社GSユアサおよび三菱商事株式会社とともに合弁会社のリチウム エナジー アンド パワー社(Lithium Energy and Power GmbH & Co. KG)を設立しました。そしてSEEOの技術は、ボッシュが日本の提携企業と進めてきたこの作業を補完するものとなります。これにより、ボッシュのシステ ムと技術的ノウハウ、GSユアサのバッテリーセル関連の技術、そして三菱商事の幅広い産業基盤に、この画期的な新技術が加わることになります。
自動車メーカーとサプライヤーはこれまで長年にわたり、よりパワフルなバッテリーを作り上げようと努力を重ねてきました。電気自動車のバッテリーは相互に 接続された大量のセルで構成され、これらのセルが付加価値の相当な部分を占めています。このエネルギー貯蔵装置の性能は、さまざまな方法で向上させること ができます。たとえば電池化学では、正極と負極(カソードとアノード)の材料が大きな役割を果たします。現在のリチウムイオンバッテリーでは、アノードの 大部分がグラファイトでできていることが、エネルギー容量が制限される理由の一つとなっています。しかし、全固体電池技術を用いることで、ボッシュは純リチウムからアノードを製造することができ、これによりエネルギー貯蔵容量が著しく増加します。さらに、新しいセルは電解液を用いずに機能するため、可燃性 ではなくなります。「バッテリーセル構造において、この純リチウムアノードの存在は非常に革新的な飛躍につながります」とデナーは述べています。ボッシュ はSEEOを傘下に迎え、最初のサンプルセルを入手しました。このセルは、耐久性と安全性に関する自動車業界の高い水準を満たす大きな可能性を秘めている と言えるでしょう。