トヨタ bZ4X▲BEV専用プラットフォームに4690mm×1860mm×1650mmのボディが組み合わされたbZ4X。前輪駆動のFWDと、前後輪にモーターが設置された4WDから選べる

ユーザーの不安解消を念頭に置いてリース販売に限定

トヨタは5月12日に新型BEV(電気自動車)のbZ4Xを発売する。

国内では、ユーザーの不安解消や電池の全数管理を確実に行うため、リース販売に限られる。個人ユーザーにはサブスクの「KINTO」を通じて提供、法人ユーザーには全国のトヨタレンタリース店とトヨタモビリティサービスを通じてリースで提供される。

KINTOのbZ4X専用プランは最長10年間乗れる設定で、契約期間中の電池性能は10年20万km/容量70%が保証される。5年目以降は1年ごとに月額が段階的に引き下げられ、中途解約金はゼロに設定される。この月額利用料には保険代、自動車税、メンテナンス代、コネクテッドサービスの利用料も含まれる。

設定グレードとメーカー希望参考価格は下記のとおり。

・Z(FWD) 600万円
・Z(4WD) 650万円

5月12日から第1期分として3000台の申し込み受付が始まり、秋には第2期分の受付が行われる。初年度は5000台の生産と販売が予定されている。生産は元町工場が担当する。
 

快適な移動空間と新しいライフスタイルを提供

bZ4Xには、BEV専用プラットフォームが用いられ、前後シート間の距離はDセグメントセダン並みの1000mmを確保。これによって足元のレッグスペースも前後席ともにミディアムSUVでクラストップレベルに達している。
 

トヨタ bZ4X▲前後シート間隔が1000mmに設定されてDセグメントセダン並みの広さがもたらされるキャビン。レッグスペースもミディアムSUVの中でクラストップレベル

居心地の良さを実現するため、インパネは低く設計され、パノラマムーンルーフとともに高い開放感がもたらされる。そのインパネにはファブリックが貼られていて落ち着いた雰囲気を演出。

遮音ガラスの採用、風切り音の低減によって高い静粛性も実現されている。
 

トヨタ bZ4X▲低く設計されて開放感が確保されたインパネ。助手席側にファブリックが貼られてリビングルームのような居心地の良さが演出されているのもユニークだ

優れた空力性能、ボディとユニットの軽量に加え、走行以外の消費エネルギーを抑えるためにヒートポンプ式エアコン、シートヒーター、ステアリングヒーター、トヨタ初の輻射ヒーターも採用されている。

DC急速充電は150kWまで対応しており、90kW充電器なら40分で80%充電が可能。200Vの普通充電であれば約12時間で満充電にできる。
 

BEVならではの運転する楽しさと可能性を期待させるワクワク感

走りはスバルとの共同開発を通して磨かれた。

薄型大容量バッテリーは床下に平置きされ、モーター/トランスアクスル/インバーターが一体化されたeアクスルをトヨタ初採用。主要骨格部位にはホットスタンプ材と高張力鋼板が用いられて軽量化と高剛性化が図られている。

また、電池パックやBEVユニット、前後サスペンションまわりも高い剛性を確保。クロス骨格による高い衝突安全性能が電池パックとキャビンを守り、衝突時の入力エネルギーを複数の経路に分散させる構造が取り入れられている。
 

トヨタ bZ4X▲大容量バッテリーは床下に搭載されている。衝突時に影響が及ばないよう、クロス骨格が用いられるなど、しっかりと守られている。ボディ全体で高い剛性も確保

モーター駆動ならではの素早いレスポンスとリニアな加速感を体感できる走りに加え、4WDモデルは前後モーターが独立制御されて回頭性と操縦安定性の向上が図られている。スバルのAWD技術であるX-MODEも採用されており、ライトなオフロードも走れるグリップコントロールが新開発された。

メーターは、ステアリングホイールの上側から確認するトップマウント方式をトヨタ初採用。少ない視線移動量と遠視点化によって見やすく仕上がっている。
 

トヨタ bZ4X▲トヨタ初のトップマウントメーターはステアリングホイールの上側から確認する方式で、開放感の確保にも貢献している

一部車種には、ステア by ワイヤと異形ステアリングホイールをトヨタ初採用。ステアリングホイールと車輪のメカニカルな結合がなく、路面からの不要な振動が遮断されて操舵感が向上している。

ドライブモードセレクトと連動して特性を変えられる他、ステアリングを持ち替えずに操舵できる約±150度に設定されていてUターンやワインディング路での負荷を軽減。まずは中国向けに採用され、その後、各国・地域に展開される予定で、日本向けの展開時期は調整中だ。

外観のデザインテーマは「ハイテク&エモーション」。長いホイールベースを活用して車輪が四隅に配されたことで、サイドビューは流麗なプロポーションとSUVならではのリフトアップ感が組み合わされている。

フロントは、空力アイテムが織り込まれたコーナー部分と上下に薄いバンパーにより、BEVならではの表情を創出。ボンネットフードからヘッドランプへと連続する特徴的な形状が独自性を打ち出している。一方、リアではコンビランプやハッチゲートが車輪へと向かう台形テーマによって低重心で力強い印象を演出。
 

トヨタ bZ4X▲車輪が四隅に配され、SUV特有のリフトアップ感とともにデザインテーマである「ハイテク&エモーション」が具現化されている

ナビには、クラウド上の地図情報を活用して交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得できるコネクテッド方式を採用。BEV専用の機能として、充電設備や航続可能エリアも表示される。

OTA(オーバー・ジ・エア)に対応しているため、車載ソフトウエアは販売店に入庫することなくアップデートできる。

連携したスマホでドアロックの施解錠とシステム始動が行えるデジタルキーは、スマホ間で受け渡しできるため、離れた場所にいても車両の貸し借りが行える。

全車に標準装備されているDCM(車載通信機)を通じてデータ通信容量無制限でインターネットに接続できる車内Wi-Fiも採用されている。
 

CO2排出量などマイナスを減らすだけでなく、プラスも生み出す

メーカーオプションのソーラー充電システムは1日最大で約11.6km走行分(1年間で1750km分)の電力を発電する。充電スタンドのない駐車場で充電できる他、災害時に太陽光で充電可能。発電した電力は補機バッテリー系の消費にも補われる。

電池容量維持率は、10年後90%という世界トップレベルを目標に開発。また、リビルト/リユース/リサイクルの3Rにも取り組み、資源を最大限活用して次代の車に循環させることにもチャレンジしていく。
 

安心・安全な社会づくりに貢献

安全デバイスには、検知範囲が拡大されたミリ波レーダーおよび単眼カメラが併用されるセーフティセンスを搭載。プリクラッシュ・セーフティは右折時の対向車や右左折時の横断歩行者と自転車、交差点で交差する道路からの車両と二輪車も検知する。

低速時に自車の前にいる歩行者や二輪車、車両を検知して加速を抑制する低速時加速抑制機能、静止物に対応するパーキングサポートブレーキによって低速域での検知対象を拡大。また、緊急時にドライバーのステアリング操作をキッカケに操舵をアシストする緊急時操舵支援機能も備わっている。
 

トヨタ bZ4X▲セーフティセンスのミリ波レーダーと単眼カメラは検知範囲の広い最新版で、右左折時の横断歩行者や交差する道路からの車両および二輪車も検知する

プロアクティブドライビングアシストは、歩行者の横断や飛び出しといったリスクを先読みし、近づきすぎないようにステアリングとブレーキの操作をサポートする機能だ。先行車や前方のカーブを検知して減速操作をサポートする機能も含まれている。

後方から自転車や車両が接近しているときにドアを開けると、ドアミラー内のインジケーターが点滅してブザーが鳴る安心降車アシストも採用されている。

駐車を支援するアドバンストパークは並列駐車時の後退駐車に加え、前進駐車&バック出庫にも対応。また、専用アプリをインストールしたスマホを使って車外で遠隔操作できるリモート機能も採用されていて狭い場所での駐車に重宝する。
 

トヨタ bZ4X▲アドバンストパークは駐車を支援するデバイスで、ステアリングや車速を車が制御する。スマホのアプリを使って車外から操作することも可能だ

電池パックは、セルの異常発熱につながる異物混入が起きたとしても発熱しない構造に設計されており、異物混入を排除する製造プロセスを実現。また、電池パックの冷却水が漏れても電池に触れない設計にすることで短絡(ショート)による発火を防止。

なお、トヨタは充電インフラの拡充にも取り組み、2025年をメドに全国のトヨタ販売店に急速充電器を設置していく。
 

文/マガジンX編集部、写真/トヨタ