レクサスの人気SUV、NXがフルモデルチェンジし登場
2021/10/15
次世代レクサスの幕開けを飾る第1弾
レクサスが次世代モデルの第1弾として新型NXを10月7日に発表した。発売は11月以降の予定だ。
設定されているグレードと税込み価格は次のとおりである。
【2.5L PHEV E-Four】
NX450h+ バージョンL 714万円
NX450h+ F-SPORT 738万円
【2.5L HEV FF】
NX350h 520万円
NX350h バージョンL 608万円
NX350h F-SPORT 608万円
【2.5L HEV E-Four】
NX350h 547万円
NX350h バージョンL 635万円
NX350h F-SPORT 635万円
【2.4Lターボ AWD】
NX350 F-SPORT 599万円
【2.5L FF】
NX250 455万円
NX250 バージョンL 543万円
【2.5L AWD】
NX250 482万円
NX250 バージョンL 570万円
新型NXの開発コンセプトは、躍動感と先進技術を融合したスポーツギア、すなわち「バイタルとテックギアの掛け合わせ」である。
電動化ビジョンに基づいてレクサス初のPHEVが用意され、HEVとともに電動車の普及を推し進めていく。この他にも後述する多彩なパワートレイン、行き先ルートを先読みするエコドライブ制御といった先進技術も採用されている。
新型NXの特長は次のとおり。
1)カーボンニュートラル社会への貢献と多様化するニーズを見据えた多彩なパワートレイン
2)駆動力のコントロールに着目した力感と安心感のある走り
3)運動性能と機能に寄与する独自のプロポーションに代表されるデザイン
4)最新の予防安全技術と利便性を高める先進技術
5)日本市場向けに導入された、利便性を追求した先進技術
EV走行距離90kmのレクサス初PHEV
2019年発表の電動化ビジョン「Lexus Electrified」に基づき、レクサス初のPHEVを導入。2.5L直4エンジンに前後モーターと大容量のリチウムイオン電池が組み合わされており、EV走行距離はクラストップレベルの約90kmを実現している。
走行モードはEV、AUTO(EV/HV)、HV、セルフチャージの4つから選べる。AUTOモード選択時にはレクサス初採用の先読みエコドライブにより、ナビで目的地を設定すればバッテリー残量や道路の特性に応じて自動的にEVとHVに切り替わって効率の良い走りが行える。さらに、エアコン冷媒を利用したバッテリー冷却システムおよび低温時に作動するバッテリー昇温システムにより、電費と燃費を向上させる取り組みも。
充電ポートは車両の右側に設定されている。簡単に開けられるプッシュオープン式で、充電インレットを照らす照明も採用されている。また、オーナー以外の第三者がリッドを開けたり充電終了後までコネクターを取り外せないロック機構も採用。
希望時刻に充電を始めたり、出発時刻までに充電を完了させるタイマー充電、外部からの給電でバッテリー上がりを気にせずエアコンやオーディオが使えるマイルームモードも用意されている。逆にアクセサリーコンセントを使って外部に給電できる機構も備わっている。
新型NXには、GA-Kプラットフォームが使われていて、軽量・高剛性ボディと低重心化された車体を実現。基本性能が引き上げられたことで、ドライバーの意図に忠実でリニアな応答を得られる。パワートレインは以下の6種類から選べる。
【2.5L PHEV E-Four】
レクサス初のPHEVで、前後駆動力が100:0から20:80まで最適にコントロールされる。大容量バッテリーは床下に置かれていて低重心化を実現。
【2.5L HEV E-Four】【2.5L HEV FF】
高効率の2.5L直4エンジンと高出力モーターが組み合わされ、優れた加速性能と低燃費を両立。E-Fourでは前後駆動力が100:0から20:80まで最適にコントロールされる。
【2.4Lターボ AWD】
2.4L直4ターボと高トルク対応型8速AT、電子制御フルタイムAWD(いずれも新開発)を採用。エンジンは高速燃焼システムに加え、レクサス初のセンター直噴システム、ターボチャージャーと触媒の近接配置によって世界各地の排気・燃費規制に対応。新開発のトランスミッションは過給エンジンに合わせて最適化され、最適なシフトスケジュールによってドライバーの意図に沿った加減速を実現する。電子制御フルタイムAWDは前後駆動力が75:25から50:50まで最適にコントロールされる。
【2.5L AWD】【2.5L FF】
高効率の2.5L直4エンジンと8速ATを採用。2.4Lターボと同じく、制御技術と最適化されたファイナルギア比によって十分な駆動力と気持ちのいい走りを両立。AWDでは前後駆動力が100:0から50:50まで最適にコントロールされ、走行安定性と低燃費を実現。
駆動力をしっかりと受け止めるため、軽量・高剛性ボディではサスペンションメンバーなどに補強部材を追加。カウルの形状を見直して板厚を上げるなど、GA-Kプラットフォームを進化させた。
骨格の接合においては、レーザースクリューウェルディング、構造用接着剤、レーザーピニング溶接技術を適材適所に使用し、従来モデルと比べて接着長を約35%伸ばすことで強度を上げている。
重量低減策では、ロッカーアウターリーンフォースメントを約1.6kg、ルーフセンターリーンフォースメントを約0.3kg軽量化。
新開発されたサスペンションは、前輪がマクファーソンストラット式、後輪がトレーリングアーム式ダブルウィッシュボーン。F-SPORTには最新のAVSが装備されて操安性と乗り心地を高次元で両立させている。
ホイールは、スタッドボルトとハブナット締結からハブボルトによる締結に変更。これにより、剛性アップとバネ下の軽量化(約0.7kg減)を図ることでスッキリとした操縦フィールと質感の高い乗り心地を実現している。20インチタイヤには、パンクの際にも一定距離を走ることができるExtended Mobility Tireを採用。
ブレーキは、新形状のブレーキペダルパッドによって踏み替え、踏み込み操作のしやすさを追求。
ステアリングには、新開発のバリアブルラックギアが用いられ、高速域で安定性を保ちながらコーナリングでクイックなレスポンスを両立。低速域での取り回しやすさにも寄与している。
空力操安技術では、ドアとベルトモールの段差を最小化したフラッシュベルトモールを採用し、空気の流れを整流化することで操縦安定性アップに貢献。床下のエンジンアンダーカバーにはディンプル形状を設けて微小渦を発生させ、接地感を高めるとともに走行安定性アップに寄与。フロントバンパーは、空気の流れの整流化とダウンフォースを考慮した形状に、リアバンパーには開口部が設けられてバネ上の上限運動低減が図られている。
静粛性においては、車内に侵入するノイズを低減するために各部の吸音材と遮音材を最適配置し、ボディの気密性も向上。
レクサス初のオープニングウェザーストリップとフロントドアガラスラン形状を新開発してドアのシール性を高めた。フロントドアガラスには高遮音タイプを採用。また、ボンネットフードにはレクサス初のツインフードロック構造を採用することで振動を抑えて静粛性アップに寄与。
2.4Lターボモデルには、アクティブノイズコントロールとエンジンサウンドエンハンスメントを採用し、特有のノイズを除去して調和の取れたサウンドを演出している。
スイッチとヘッドアップ・ディスプレイを融合させたTazuna Concept
次世代レクサスのデザインランゲージ確立に向け、運動性能や機能に寄与する独自のプロポーションと、テクノロジーに根差したシンプリシティを追求。新型NXではプラットフォーム変更によって骨太なダイナミックさと艶やかな造形の表現をめざした。
インテリアは乗員をもてなす空間づくりと、運転操作に集中できる新たな思想「Tazuna Concept」を初めて採用している。
前後タイヤを225/60R18インチから235/50R20インチに拡大し、前後トレッドも広げることでダイナミックな骨格を表現。また、後席はヒップポイントを下げることでヘッドクリアランスが拡大された。
外観ではスピンドルグリルを起点に、大きく張り出しながらリアフェンダーに向かう立体がリニアな走りを表現。また、フロントフェンダーからキャビンに駆け上げる立体がリアフェンダーに向かう立体と交差していてレクサスの独自性を表現している。
フロントグリルは垂直に立てられ、ボンネットフードが先端まで伸ばされて塊感を効果。そのグリルはメッキ枠が廃され、シンプルな構成で軽量化を表現している。
サイドビューでは、ベルトラインの直線部を短くし、リアへ向かうキックアップを強調することでキャビンの凝縮感を表現。また、リアオーバーハングを短くして軽快感が演出されている。
リアでは、ハッチゲート中央に向かうスピンドル形状をモチーフに取り入れてキャビンまわりの凝縮感とタイヤの張り出しが強調されている。
ボディカラーには、金属表現技術を採用したソニッククロム、深みと鮮やかさを併せ持ったブレイジングカーネリアンコントラストレイヤリングなど、全11色が揃っている。
コックピットは、2019年に発表されたコンセプトカーのLF-30 Electrifiedで公表された「Tazuna Concept」に基づき、人間中心の思想で開発された。馬を操る際に使う手綱にヒントを得て、ステアリングスイッチとヘッドアップ・ディスプレイを連携させて視線移動や煩雑なスイッチ操作を減らして運転に集中しながら各種機能が制御できる。
ドライバーのニースペースは、適度にタイトに設計されていて快適な運転に寄与。これに対して助手席と後席は開放感のある空間づくりで快適な移動時間がもたらされる。
ステアリングのタッチセンサースイッチに触れると、操作ガイドがヘッドアップ・ディスプレイに表示され、前方を向いたまま操作できるタッチトレーサー・オペレーションを採用。そのヘッドアップ・ディスプレイには表示内容とレイアウトが異なる3つのモードが用意されていて自在に切り替えられる。
大型のセンターディスプレイには、多くの機能のソフトスイッチが集約されている。また、センターコンソール前方にはスマホのおくだけ充電トレイを設定。
新開発されたステアリングは、握りやすく操作しやすい形状を継承しつつ、ホーンパッドの小型化とスポークデザインの変更でスポーティさが向上。レーンディパーチャーアラートの振動システムは従来の専用モーターではなく、電動パワステのモーターを利用するシステムに変わって慣性モーメント低減に貢献している。
シフトレバーは、シフトbyワイヤ用を新開発。しっとりとした触り心地と握りやすい形状が追求された。
64色の室内イルミネーションは、キャビン全体を彩り、14色の推奨カラーがプリセットとして登録されている。また、センターディスプレイで50色の中から自由に選択できる。
フロントシートには、長時間の運転でも姿勢が崩れにくいTNGA骨格を採用。表皮を固定する位置をパッド側に深く引き込むことでクッションの座圧変化を低減し、コーナリング中にも優れた安定性を実現する。
リアシートは、センターディスプレイ内またはラゲージルーム内のスイッチで電動格納&電動復帰が行える。また、シート肩口のレバーを引けば素早く格納できる。2段階のリクライニング機構付き。
キーを身につけた状態で、バンパー下に足をかざすだけで自動開閉するハンズフリー電動ハッチゲートも用意。作動時間の短縮と作動音の低減が図られた。
内外装と足回りに専用パーツ採用されたF-SPORT
F-SPORTには、20インチの専用アルミホイール、バンパー下部スポイラー、フロントサイドガーニッシュなどが採用されている。内装ではステアリングホイール、フロントシート、アルミペダル、シフトレバーなどに専用品を起用。中でも専用シートは、テクニカルセンター下山での走行テストを繰り返すことでフィットする形状が追求された。
おおきな「うねり」と細かい凹凸が続く路面でもフラットな姿勢とショック遮断を両立し、優れた操縦安定性と快適な乗り心地を高い次元で両立するAVSも標準装備されている。また、走行中に生じる「しなり」と微振動を吸収してシャープなハンドリングをもたらすパフォーマンスダンパーをボディ前後に装備。
近づいてくる自転車や車両との接触を防ぐ世界初のドア機構
安全デバイスではミリ波レーダーと単眼カメラの検知範囲が拡大されたレクサス・セーフティシステム+(プラス)を採用。
プリクラッシュ・セーフティには出合い頭の衝突の回避を支援する機能をレクサス初採用。交差する車両や右折時の対向直進車、右左折時の横断歩行者や自転車との衝突回避も支援する。さらには、二輪車や車線逸脱してきた対向車、夜間の自転車も検知対象に含まれる。
【フロントクロストラフィックアラート】
交差点に進入する際、左右からの接近車両を検知するとヘッドアップ・ディスプレイにアニメーションで表示。そのまま発進すると表示とブザーで減速を促す。
【緊急時操舵支援】
ドライバーの操舵をキッカケに車線内でアシストする緊急時操舵支援に加え、衝突の危険性が高いときに衝突被害軽減ブレーキとともに操作制御を行うアクティブ操舵支援機能を設定。
【全車速追求機能付きレーダー式クルーズコントロール】
追い越し時にターンシグナルを操作すると予備加速し、車線変更後に自車より遅い先行車がいる場合にはターンシグナル操作に応じて予備減速を行って急接近を防ぐ。また、前方のカーブに合わせて早めに減速するカーブ速度抑制機能も進化。
【レーンディパーチャーアラート】
電柱、縁石、ガードレール、パイロンにも対応できるようシステムが進化した。低速域にも作動して接触事故の被害軽減を支援する。
【レーントレーシングアシスト】
車線認識性能が向上して途切れにくい操舵支援を実現。隣車線の車両を追い抜く際や路外の障害物との距離が近いとき、人間の運転と同じく車線内でオフセットして回避する。
【ドライバー異常時対応システム】
レーントレーシングアシスト中にドライバーの無操作状態が続くと、音と表示と緩減速によって操作を促すほか、ハザードランプ・ホーン・ストップランプで車外に異常を知らせながら車線内で減速&停止して事故の回避および被害軽減を支援する。停車後はドアロック解錠とヘルプネット自動接続が行われる。
【レーンチェンジアシスト】
高速道路や自動車専用道でレーントレーシングアシスト中にドライバーがターンシグナルを操作すると、レーンチェンジのための操舵と車線変更先車両監視を支援する。
【ロードサインアシスト】
最高速度、はみ出し通行禁止、車両進入禁止、一時停止に加えて転回禁止と赤信号の告知にも対応。
【発進遅れ告知機能】
先行車だけでなく、信号の停止表示が解除(ターンシグナルと同一方向の矢印信号も含む)されても停止し続けた場合に、メーターパネルとヘッドアップ・ディスプレイへの表示とブザーによる告知機能を追加。
【プロアクティブ・ドライビングアシスト】
歩行者の横断や飛び出してくるかもしれないなど、リスクを先読みして危険に近づきすぎないよう運転操作をサポート。先行車やカーブに対する減速もサポートする。
【eラッチシステム】
ドアのアンラッチ機構を電気制御に置き換えることで滑らかな操作フィールを実現。
【安心降車アシスト】
ブラインドスポット警告のセンサーを活用し、後方から接近している自転車や車両を検知してドアミラー内のインジケーターを点灯させて注意を促す。それでもドアを開けようとした場合、eラッチシステムと連携してドアオープンをキャンセルする機能を世界初採用。
【アドバンストパーク】
並列駐車における前向き駐車、バック出庫、前向き出庫が機能に加わった。また、車外から専用アプリをインストールしたスマホを使って遠隔操作で並列および縦列駐車および出庫が可能になった。ラゲージスペースの荷物を取り出す際の前後移動にも対応。
【デジタルキー】
専用アプリをインストールすれば、スマホがデジタルキーとして使える。画面操作なしでドアロックの施錠と解錠、エンジンスタートが行える。スマホ間でデジタルキーの受け渡しができるため、離れた場所から家族や友人に車両を貸し借りすることも可能だ。
【パノラミックビューモニター】
手前で撮影した路面の映像を車両直下に合成表示することで、下方の路面状況やタイヤ位置を把握するための床下透過映像表示機能が加わった。
クラウド上の地図データと通信するコネクティッドナビ
利便性向上のために、マルチメディアシステムとコネクティッドサービスを刷新。タッチ式のセンターディスプレイには14インチと9.8インチが用意されており、反射防止コーディングによって低反射かつ鮮明な表示を実現。
各種メニューの選択スイッチをドライバー側に常時アイコンで表示して優れたアクセス性を確保している。また、使用頻度の高い機能が簡単に呼び出せて利便性が向上。
ナビにはクラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報がリアルタイムで取得できるコネクティッド式を採用。G-Link契約中は常に最新の地図データが使える。
音声認識機能は、トークスイッチによる起動だけでなく、あらかじめ設定した起動ワード(例えば「ヘイ! レクサス」など)を発話すればスイッチ操作なしでも起動できる。
Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しており、Apple CarPlayはOTAソフトウエアアップデートで無線接続にも対応する予定だ。
マイセッティング機能はドラポジなど従来の車両設定に加えてナビやオーディオなどマルチメディアの設定にも対応している。デジタルキーやBluetooth機器でもドライバーが特定される。また、G-Link契約中は設定がデータセンターに格納されるため、別の車両でも呼び出して利用できる。
レクサスプレミアムサウンドシステムは、大容量のサブウーファーボックスを含む10個のスピーカーで構成。一方、マークレビンソン・プレミアムサラウンドサウンドシステムでは大容量のサブウーファーボックスを含む17個のスピーカーが最適配置され、ステージ感と歪みのない音を再現。どちらもCD音源より情報量の多いハイレゾ音源にも対応している。
スマホアプリはデザインが見直され、直感的に使えるMy LEXUSを新開発。手元で燃料の残量や走行距離、充電・給電状況が確認できる他、乗車前に空調を作動させられるリモートエアコンも含まれる。また、任意の期間においてエンジンを始動させられないマイカー始動ロックを新サービスとして用意。
DCMによる無線通信でソフトウエアの更新が行えるOTAソフトウエアアップデート機能を採用。マルチメディアやレクサス・セーフティシステム+、メーターなどの表示内容と操作性の改善に加え、新機能の追加や性能向上を行うことができる。