マツダ RX-7▲日本を代表するピュアスポーツカーのFD3S型RX-7ですが、気づけば中古車平均価格は500万円を大きく超え、手が届きにくい存在となってしまいました……

孤高のロータリーターボを搭載するRX-7も手の届かない存在へ

今でも美しいと思える秀逸なデザインと、唯一無二の存在感を放つロータリーターボエンジンが同居するという孤高のスポーツカーであるFD3S型RX-7。

1991年12月に、当時のマツダの販売チャンネルのひとつであるアンフィニ店から「アンフィニRX-7」という名前でリリースされた3代目RX-7は、アップデートを繰り返しながら2002年8月まで生産が続けられたピュアスポーツカーとして知られており、当時を知らない人でも漫画「頭文字D」の登場人物である高橋啓介の愛車として認識している人も少なくないのではないでしょうか。
 

RB26DETT ▲RX-7といえばロータリーエンジン!

そんなRX-7はデビュー時の最高出力は255psとなっていましたが(それでも十分高出力でしたが)、1996年1月のマイナーチェンジで265psとなり、1999年1月には当時の自主規制値いっぱいとなる280psを達成(すべて最もハイパワーなグレードでの値)。

それに合わせて細部もアップデートがなされ、2002年4月に最後を飾る特別仕様車の「スピリットR」を1500台限定でリリースし、終売となったのでした。

新車当時はエントリーグレードでは300万円を切り、最も高額だったスピリットRでも399.8万円という価格だったRX-7ですが、90年代国産スポーツの高騰の影響もあって“平均価格”で500万円オーバー。最も高額な部類の物件になると1500万円前後ととても手が届く価格ではなくなってしまっているのです。
 

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マツダ RX-7/アンフィニRX-7(FD3S)×全国

そこで今回は、RX-7が新車だったころの200万~300万円前後で狙うことができる、RX-7にも負けない楽しさをもった中古車たちを独断と偏見でピックアップしてみました。
 

 

代替案1|マツダ RX-8(初代)

マツダ RX-8 ▲ロータリーエンジンは絶対外せない! というなら、マツダ RX-8はいかがでしょう?

ロータリーエンジン搭載車であるFD3Sの代わりといえば、やはりロータリーエンジン搭載車ということで、第1候補はRX-です。

エンジンはターボではなくNAとなり、クーペスタイルではあるものの観音開きタイプの4ドアをもつRX-8は、RX-7とはキャラクターが異なるようにも思えますが、ロータリーエンジンを搭載したFRレイアウトのスポーツモデルという基本は不変。

さすがにターボのFD3Sのようなパワーは望めませんが、ハンドリングの楽しさは一級品で軽快に回るNAロータリーエンジンとの相性もよく、チューニングすれば本格的なスポーツカーに化ける1台なのです。
 

マツダ RX-8 ▲RX-8に搭載されるのはFD3Sと同じロータリーエンジンでも、NAタイプとなります

中古車としては50万円以下の安価なものも存在していますが、できれば熟成の進んだ後期型(2008年3月~)を狙いたいところ。

最後の特別仕様車であるスピリットRは400万円台のものも存在しますが、300万円前半の物件も少なくなく、通常のカタログモデルであれば300万円以下で十分狙うことができます。
 

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代替案2|ホンダ S2000(初代)

ホンダ S2000 ▲FD3Sにも負けないシャープなハンドリングがもち味のホンダ S2000

FD3Sがシャープなハンドリングが魅力のFRモデルであると考えると、近しいキャラクターと言えるのがホンダ S2000でしょう。搭載されるエンジンもレシプロエンジンではあるものの、ノーマルで9000回転を許容する(2.0Lモデル)超高回転型のNAエンジンとなっており、ヒュンヒュン回るロータリーエンジンに相通じるものがあります。

ボディ形状はオープン2シーターとなりますが、FD3Sもリアシートは人が座るには厳しいミニマムなもので、一部グレードには2シーター仕様も存在しているほどなので、そこまで問題にはならないハズ。

オープンボディではありますが、クローズドボディと同等以上のボディ剛性をもっているため、シャープなハンドリングへの悪影響はほとんどないというのも美点です。

2005年11月のマイナーチェンジではエンジンの排気量が2.2Lへと拡大され、許容回転数は8000回転へ下がっていますが、それでも高回転を許容するエンジンという点は変わりなく、S2000のキャラクターは一切失われていませんでした。
 

ホンダ S2000 ▲デビュー時には2Lのエンジン(F20C)が搭載されていましたが、マイナーチェンジで2.2Lに排気量がアップ(F22C)しました

S2000の中古車価格は一時かなりの高騰ぶりを見せていましたが、ここへきてかなり落ち着いてきています。

最終型のタイプSなどは相変わらずプレミア価格であるものの、300万円台で狙える物件も多くなってきており、まだまだ現実的な選択肢と言えるのではないでしょうか。
 

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代替案3|トヨタ GR86(2代目・現行型)/スバル BRZ(2代目・現行型)

トヨタ GR86、スバル BRZ ▲水平対向エンジンを搭載する兄弟スポーツカーの、トヨタ GR86(右)とスバル BRZ(左)

今ではすっかり希少となった、現実的な価格で買うことができる新車のFRクーペとして気を吐くのがGR86/BRZです。

現在は2021年に登場した2代目が現行型となっており、プラットフォームこそ先代のキャリーオーバーですが、エンジンは2.0Lから2.4Lへと排気量が拡大され、動力性能が大幅に向上。それに合わせて各部も当然ブラッシュアップがなされており、スポーツカーとしての実力は着実に高まったモデルとなっています。

FD3Sほどのとがったキャラクターではありませんが、維持していくうえで当面は部品の心配の要らない現行型である点や、チューニングも日々進化しており、モアパワーを求めるのであれば過給機チューンなどの選択肢がある点も魅力的と言えるでしょう。
 

トヨタ GR86、スバル BRZ ▲先代の2Lから400ccアップの2.4Lエンジンを搭載しています

中古車も2車種合わせて800台以上の掲載があり、300万円前後の予算があれば上級グレードで比較的低走行なものも選び放題!

GR86のRCグレードなどは登録済未使用車なども射程圏内となりますし、年式の割に走行距離の多い物件であれば、総額250万円を切るものも存在しています。
 

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代替案4|テスラ モデル3(初代・現行型)

テスラ モデル3 ▲ロータリーエンジンの「モーターのような」フィーリングが好きなら、いっそのことEVを選ぶのもありでは!?

ロータリーエンジンはそのスムーズな回転フィーリングから、「モーターのような」という形容詞を使われることが多かったワケですが、今ではそのモーターを動力源とする車も普通に購入できる時代となっています。そこで提案したいのが、テスラ モデル3です。

こちらもボディ形状は4ドアのクーペセダンとなっていますが、ボディサイズは日本市場も意識した比較的コンパクトなものとなっており、後輪駆動(AWDモデルもあり)というのも走りを楽しみたいユーザーにとってはうれしいポイントと言えるでしょう。

航続距離は2019モデルのスタンダードレンジプラスで409km、ロングレンジ(AWDモデル)で560kmとなっており(ともにWLTPの数値)日常使いであれば十分なスペック。FD3Sの街乗りでの実燃費はリッター6km前後といわれているので、76Lタンクで計算すると、だいたいどちらも同じくらいの航続距離ということになります。
 

テスラ モデル3 ▲走りとは関係ありませんが、こんな開放的な空間もモデル3の魅力!

中古車としてはスタンダードレンジプラスであれば総額300万円を切るものも存在し、ロングレンジでも300万円ちょっとの予算があれば比較的走行距離が少ないものを狙うことができます。

FD3Sのように購入後も価格が上がる余地を残した車とは言い難いのも事実ですが、モーターによるシームレスな加速感は一度実体験する価値があるものと言えるかもしれません。
 

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代替案5|シボレー コルベット(C5)

シボレー コルベット ▲どことなくFD3Sのフロントデザインに似ている? シボレー コルベット(C5)

FD3Sの流線形のデザインがたまらなく好きなんだ! という方に個人的にオススメしたいのが、アメリカンマッスルスポーツカーの雄であるコルベットの5代目モデルです。

1963年に登場した2代目モデルから脈々と受け継ぐリトラクタブルヘッドライトを備えるコルベットは、この5代目モデルでもそのスタイルを踏襲。ただ時代の流れもあって、1984年デビューの先代型の直線的なデザインから流線形のデザインへと一新されています。

そんな5代目コルベットをフロントから見てみると、特徴的なリトラクタブルヘッドライトカバーやコンビランプ、そしてフロントフェンダーに設けられたダクトなどがどことなくFD3Sを思わせるデザインに見えてくるではありませんか。

さすがにリアセクションはコルベット伝統の丸形4灯テールランプとなっていてFD3S感はありませんが、フロントのデザインはグラマラスになったFD3Sのようなスタイルと言えるのではないでしょうか。
 

シボレー コルベット ▲丸形4灯テールランプが特徴的です

ボディサイズはFD3Sに比べると一回り以上大きく、搭載されるエンジンはV8 5.7Lと途方もない大排気量モデルとなってはいますが、中古車としては総額300万円を切るものもポツポツと存在しています。

こちらもFD3Sほどではないかもしれませんが、古き良きアメリカンマッスルカーを感じることができるモデルとして再評価されつつあるため、手の届く価格であるうちに触れてみるのはいかがでしょうか。
 

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※記事内の情報は2025年3月17日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/マツダ、尾形和美、篠原晃一、テスラ、GM
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、シビックタイプRに17系クラウンなど雑多な車種を所有中。

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