フォレスター ▲2025年3月17日に新車は受注終了となった5代目スバル フォレスター。もうしばらくすれば次期型も登場するはずですが、「そんなの待ちきれない!」という人のため、その代わりになり得るSUVを5車種、ピックアップしてみましょう

静かな人気を誇るロングセラーだったが、ついに生産終了

決して「中型SUVにおける一番人気!」というほどの存在ではありませんが、ある種の層には確実に刺さり、確実に売れ続けているのが5代目となる現行型スバル フォレスターという名作です。

全長4640mm×全幅1815mm×全高1715mmというちょうどいいサイズ感と、スバルグローバルプラットフォーム+シンメトリカルAWDがもたらす安定感と安心感のあるオンロード性能およびオフロード性能、そして最新世代のアイサイトによる安全性能の高さなどが、5代目フォレスターが愛され続けている大きな理由なのでしょう。

しかしそんな5代目フォレスターも、ついに2025年3月17日をもって受注停止となり、中古車でしか手に入らないモデルとなってしまいました。
 

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スバル フォレスター(5代目) × 全国
フォレスター▲写真はフォレスター(5代目)のオフロード志向が強いグレード「エックスブレイク」

次期型フォレスターは北米ではすでに発売されていますし、日本への導入もそう遠くないタイミングであるはずです。しかしそれでも「今このタイミングで欲しいんだ」という人はいるかもしれません。

この記事ではそんな方々に向け、5代目フォレスターの代わりになり得るSUVを5車種、ピックアップしてまいります。
 

 

フォレスターの代わり①|スバル フォレスター(5代目・後期型)
想定予算:総額260万~360万円

「現行型フォレスターの代わりとして現行型フォレスターを選ぶ」というのも、実は十分に合理的な選択です。なぜならば現行型フォレスターというのはなかなか代替が利かないSUVであり、なおかつその後期型は、同じ「現行型」であっても熟成の域に達しているため、大いに選ぶ価値ありと考えられるからです。
 

フォレスター▲現行型スバル フォレスターの最終世代(F型)

2018年7月にA型(最初期モデル)が発売された現行型フォレスターは、基本骨格に前述した「スバルグローバルプラットフォーム」を採用。パワーユニットは当初、最高出力184psの2.5L 水平対向4気筒自然吸気エンジンと、同145psの2L 水平対向4気筒に同13.6psのモーターを組み合わせた「e-BOXER」の2種類が用意されました。

その後は2019年6月と2020年10月の一部改良でそれぞれ「B型」「C型」となったわけですが、続く2021年8月に「D型への大幅改良」が行われました。

D型ではフロントフェイスやアルミホイールのデザインを変更しただけでなく、しなやかでスポーティなドライブフィールを実現するべく足回りも改良。そしてe-BOXER搭載車のすべてにアダプティブ変速制御「e-アクティブシフトコントロール」を採用するとともに、予防安全・運転支援システムも「新世代アイサイト」に刷新。ステレオカメラの広角化やソフトウエアの改良により、その性能と機能は大幅に向上しています。
 

フォレスター▲グレードによって微妙な違いはあるが、現行型フォレスターの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン

そんなD型と、さらに少々の改良が加えられたE型(2022年8月~2023年8月)のフォレスターは現在、総額290万円前後の予算感で、走行距離2万km台までの物件を検討可能。そして後退時ブレーキアシストの設定を変更した最終進化型であるF型(2023年8月~)でも、総額330万円程度から超低走行物件を見つけることができます。

まあまあ手頃な予算で買える「きわめて頼りになるSUV」として、D型以降の現行型スバル フォレスターは依然として大いに魅力的です。
 

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フォレスターの代わり②|マツダ CX-5(2代目・4WD)
想定予算:総額270万~350万円

雪上などにおけるトラクション性能は現行型スバル フォレスターほどではないかもしれませんが、「SUVとしての総合力」はフォレスターに負けず劣らず高いといえるのが、マツダの大人気ロングセラー、現行型CX-5です。
 

フォレスター▲年次改良を重ねながら販売が続けられているマツダ CX-5

ボディサイズは全長4545mm×全幅1840mm×全高1690mmと、現行型フォレスターとおおむね同水準で、ドライバーのステアリング操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させ、操縦性と安定性を高める「G-ベクタリング コントロール」は全車標準装備。

パワーユニットは2L(155ps)および2.5L(190ps)の直4ガソリンと、2.2Lの直4ディーゼルターボ(175ps)が基本ですが、2018年10月には最高出力230psの2.5L直4ガソリンターボも追加されました。

4WD車の四駆システムはセンターデフ付きではなくFFを基本としたオンデマンドタイプですが、27個のセンサーが1秒間で200回に及ぶ演算により前輪のスリップを予測するという「i-ACTIV AWD」。個人的にはスバルの四駆システムに信頼を置いている筆者ですが、CX-5のi-ACTIV AWDもかなり悪くないシステムであると感じています。
 

CX-5▲写真は2021年12月の大幅改良後の「スポーツアピアランス」

そしてマツダ CX-5は、常に「そろそろさすがに販売終了か?」と噂されながらも年次改良を行い続け、もともと素晴らしかった出来栄えは、最終型に近づくにつれてより素晴らしくなっていきました。

2021年12月には大幅改良を行い、フロントおよびリアまわりのデザインを変更するとともに、車体とサスペンションに減衰構造を採用。そしてスプリングとダンパーの特性も変更しつつ、スイッチ操作ひとつで任意に走行モードが切り替えられる「Mi-DRIVE」も新設定しました。

その他、日常的な使い勝手の面でも大きく進化した2021年12月以降のマツダ CX-5(4WD車)は、総額290万円前後で走行距離2万km台までのディーゼルターボ車を検討可能。現行型スバル フォレスターの代替案として、かなり悪くないチョイスであるはずです。
 

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マツダ CX-5(2代目) × 4WD × 全国
 

フォレスターの代わり③|ホンダ ZR-V e:HEV(初代・4WD)
想定予算:総額320万~380万円

マツダ CX-5の「i-ACTIV AWD」も決して悪くないと思いますが、「やっぱり4WDはオンデマンド式ではなく、プロペラシャフトでリアに駆動配分されないと!」と考える人であれば、ホンダ ZR-Vの4WD車の、なおかつe:HEV(ツインモーターハイブリッド)車が良いかもしれません。
 

フォレスター▲「神経直結の走り」を売りとするホンダ ZR-V

全長4570mm×全幅1840mm×全高1620mmの中型SUVであるホンダ ZR-Vのe:HEVモデルは、先述した4WD機構の前に「走り」自体が非常に素晴らしい1台です。スバル フォレスターとは走りのニュアンスが異なるため直接の比較はできませんが、「ドライビングプレジャーの総量」はおおむね同じです。

ZR-Vの開発者はこのSUVの走りを「神経直結の走り」というニュアンスで表現していましたが、ZR-Vのe:HEVモデルはまさにそのとおり。まるでドライバーの神経が右足とお尻を通じて車と直結しているかのような、痛快すぎるほど痛快な走りを堪能できるのです。

そして「リアルタイムAWD」と呼ばれる四輪機構は、FFをベースにプロペラシャフトを用いてリアに駆動を配分するシステム。駆動力配分はアクセル開度や車輪速、ステアリング舵角、ヨーレートなどのセンサー情報から最適化されます。雪上でもスムーズな加速と減速、旋回をアシストしてくれる「SNOWモード」の存在とあわせ、ハードな雪道を走る場合が多いユーザーにとっても頼れる相棒となるでしょう。
 

フォレスター▲ホンダ ZR-Vの運転席まわり。その造形はなかなかしゃれていて、質感も高い

そんなホンダ ZR-V e:HEVの4WD車は総額360万円前後で、上級グレードである「e:HEV Z」の走行距離1万km台の物件を検討可能。まだ少し高めではありますが、大いに魅力的な選択肢です。
 

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フォレスターの代わり④|スバル クロストレック(初代・e-BOXER)
想定予算:総額280万~330万円

ここまでに挙げたマツダ CX-5もホンダ ZR-Vも素晴らしいSUVだと考えますが、スバル車を愛好している人は「次もスバル車で!」と考える場合が多いのかもしれません。

もしもそうであるならば、現行型フォレスターの代わりとしてはクロストレックが有力候補となるでしょう。
 

クロストレック▲スバル XVのフルモデルチェンジに伴い、グローバルでの車名に改めたクロストレック

ご承知のとおりスバル クロストレックは、それまでのスバル XVから車名を変えて2022年12月にフルモデルチェンジを受けたCセグメントのSUV。フォレスターと比べるとおおむね1つ下のクラスとなるため、ボディサイズは全長4480mm×全幅1800mm×全高1575mmと、現行型フォレスターよりひと回り小さいニュアンスです。

それにともなって荷室容量などもフォレスター以下となりますので、大きな荷物や道具などを載せたいタイプのユーザーにはややキツいかもしれません。また、Dセグメントであるフォレスターに対してクロストレックはCセグメントですので、内装の質感なども(フォレスターと比べれば)やや劣ります。

それゆえフォレスターを狙っているすべての人にオススメできるわけではないのですが、「車のダウンサイジングを考えている人」であれば、クロストレックの中古車は一考するに値します。サイズと内装の高級感についてはさておき、オンロードとオフロードの走行性能とそのニュアンスはフォレスターとおおむね同じですので、そのあたりの不満はほぼ感じないでしょう。
 

クロストレック▲e-BOXERの上級グレードである「リミテッド」のインテリア

本当は2024年12月に発売されたストロングハイブリッド版「プレミアムS:HEV EX」がベストなのですが、あいにくそちらの中古車はまだ少なく、あったとしても、割安感はほとんどありません。

しかし、ハイブリッド車であるe-BOXERの「リミテッド」または「ツーリング」でOKと考えるなら、走行距離1万km台の物件を総額300万円前後で見つけることができます。

18インチホイールを履く上級グレード「リミテッド」が気になるかもしれませんが、17インチホイールの「ツーリング」も、乗るとわかりますが、これはこれでかなり良好な仕上がりです。

もちろん好みや予算感は人それぞれでしょうが、筆者のオススメは「比較的安く狙えるツーリングのコンディション良好な物件」です。
 

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フォレスターの代わり⑤|スバル レガシィアウトバック(4代目)
想定予算:総額340万~390万円

スバル クロストレックは非常に使い勝手と走りの良いSUVですが、とはいえ「サイズの点でフォレスターの代替品にはなり得ない」と考える人も多いでしょう。

であるならば、ボディタイプは少々異なることになりますが、スバルのフラッグシップである4代目レガシィアウトバックでどうでしょうか?
 

フォレスター▲こちらが2025年3月末をもって生産終了となるスバル レガシィアウトバック

1995年に北米で誕生したレガシィグランドワゴンを源流とする現行型レガシィアウトバックが国内で発売されたのは2021年10月。スタイル的には乗用車とSUVの長所を融合させたクロスオーバーSUVで、フォレスターのような「いかにもSUV」というフォルムではありませんが、デパーチャーアングルなどを含めた悪路走破性は、フォレスターと同様に抜群です。

そしてボディサイズは全長4870mm×全幅1875mm×全高1675mmという十分な存在感と広さをともなうものであり、フラッグシップですので、インテリアの質感なども十分以上に満足できる水準です。

いささかボディが大きすぎるきらいはあるかもしれませんが、そこが問題とならないのであれば、レガシィアウトバックはきわめて素晴らしいチョイスです。そして「2025年3月末で生産終了になる」というレア物感も、ある種の人にとっては魅力的に映るでしょう。
 

フォレスター▲インテリアの質感はさすがにクロストレックやフォレスターよりも格段に高い

走行距離2万km台までの物件の中古車価格は総額340万~510万円といったところですが、総額360万円付近にて、十分好条件な「エックスブレイク EX」を見つけることができます。高級感とギア感をあわせ持つクロスオーバーSUVが嫌いでなければ、ぜひチェックしてみてください。
 

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文/伊達軍曹 写真/尾形和美、スバル、マツダ、ホンダ
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

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