ミニ ▲何とも愛らしいデザインと最新の諸性能が組み合わされた新型ミニ クーパーは非常に魅力的ですが、新車を買うとなると乗り出し価格は400万円台半ばから500万円ちょいぐらいにはなります。その金額はちょっとキツいかも! ということで、半額ぐらいで買える「新型ミニクーパーの代わり」を探してみることに

上級グレードの新車支払総額は500万円を超えるレベル

以前は「ミニ」という車名だった、見た目はちょっとレトロな、でも中身はバリバリに現代的なハッチバック車が2024年3月にフルモデルチェンジを受け、車名を「ミニクーパー」へと変更しました。

新しくなったミニクーパーは電気だけで走るバッテリーEVもラインナップされたり、最新の先進運転支援システムやAIを活用した操作インターフェイスを採用するなど、中身はずいぶん先進的になりました。しかし内外装デザインに関しては、依然として「ちょっとレトロで可愛い感じ」という好ましい基本トーンを変えていません。

それゆえ猛烈に「欲しい!」と思うわけですが、新しいミニ クーパーは新車価格もちょっとお高くなりました。具体的には「C 3ドア」という標準グレードの車両本体価格が396万円で、「S 3ドア」という上位グレードは465万円。S 3ドアの場合、新車の支払総額は500万円を超えるぐらいになってしまうでしょう。
 

ミニ▲こちらが新型ミニクーパー。これを買うに越したことはないのですが……

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ミニ ミニクーパー(4代目) × 全国

筆者を含め、「乗り出し価格500万円はちょっとキツい……」と感じる人は多いかと思います。しかし中古車市場全体をしっかりチェックしてみれば、もしかしたらミニクーパーの新車価格の半額ぐらいで、つまり「総額250万円ぐらい」で、ミニクーパーの新車を買った場合とおおむね同じ満足が感じられる中古車が見つかるかもしれません。

そんなモノが本当にあるのかどうかはわかりませんが、とりあえず真剣に探してみることにしましょう!
 

 

新型ミニクーパーの代わり①|ミニ ミニ(3代目・後期型)
→想定予算:230万~280万円

こちらは先代(3代目)ミニの後期型、つまり1コ前のミニの中では最も新しい、2021年5月の最終マイナーチェンジを受けた世代です。
 

ミニ▲こちらが1世代前のミニ3ドアの後期型。写真のグレードはクーパー
 

運転支援システムやユーザーインターフェイスなどの点で、新型ミニクーパーの方が先代後期型よりも優れているのは当然ですが、しかし同時に「とはいえだいたい同じようなもの」と言うこともできます。

パワーユニットと変速機の型や性能にさほどの違いはありませんし、内外装のデザインも、違うといえば違いますが、「だいたい同じようなもの」とも言えなくはないテイストです。

もちろん総合的な能力は新型の方が高いわけですが、先代の後期型であってもだいたい同じようなキビキビした走りと、ポップでかわいいデザイン、そして全体にわたる上質な手触りと肌ざわりを楽しむことはできるのです。
 

ミニ▲大きな円形のディスプレイパネルが印象的。インテリア全体としての素材感や手触りなども上々

それでいて先代後期型ミニの中古車は、走行距離2万km台までの物件であっても230万~280万円ぐらいで普通に見つけることが可能。

「半額で狙える新型ミニの代わり」としては、かなり悪くないチョイスであるはずです。
 

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ミニ ミニクーパー(3代目) × 2021年5月~2024年2月 × 全国
 

新型ミニクーパーの代わり②|フィアット 500(3代目)
→想定予算:180万~280万円

現代のミニは「1959年にデビューした英国製元祖ミニのオマージュモデル」ですが、このフィアット 500は、1957年にイタリアで誕生したフィアット ヌオーヴァ500という車(※ルパン三世が劇中で乗っていたりする小型車)を、現代のテイストと技術でよみがえらせたものです。
 

500▲往年の名作イタリア製小型車のエッセンスを現代の技術とセンスでよみがえらせたフィアット 500

エクステリアデザインは、見てのとおりの「キュートだが、決して甘すぎないレトロ調」といったニュアンスで、ボディサイズは全長3570mm×全幅1625mm×全高1515mmという都市部でも扱いやすいサイズ。そして「運転好き」な人が多いイタリアの車ですので、かわいい見た目からイメージする以上にキビキビと、しっかり走ることができる車でもあります。

パワーユニットは0.9L 2気筒ターボと1.2Lまたは1.4L 4気筒の計3種類が用意されましたが、新しめの年式に搭載されているエンジンは0.9Lターボまたは1.2L4気筒です。そのうちオススメは0.9L 2気筒ターボなのですが、まぁエンジンは種類にはさほど気にせず、この素敵なビジュアルと雰囲気をとにかく楽しむというのも決して悪くありません。
 

500▲フィアット500のインテリアはこのような世界観。日本仕様のハンドル位置は右

中古車は、3年落ち以内かつ走行距離1万km台までの物件であっても、総額180万~280万円付近。もちろん新型ミニクーパーも素敵なわけですが、こちらフィアット 500も「約半値で買える車」の中ではトップクラスに素敵です。
 

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フィアット 500(3代目) × 全国
 

新型ミニクーパーの代わり③|フォルクスワーゲン ザ・ビートル(初代)
→想定予算:170万~290万円

「往年の名車のエッセンスを現代の世によみがえらせた車」といえば、こちらも忘れるわけにはいきません。

ビートル(カブト虫)との愛称で1945年から2003年まで世界中で愛されたフォルクスワーゲン タイプ1のオマージュモデルとして2012年に登場したフォルクスワーゲン ザ・ビートルです。
 

ザ・ビートル▲こちらがフォルクスワーゲン ザ・ビートル。写真は2016年9月以降の後期型

全長4270mm×全幅1815mm×全高1495mmという程よいサイズのボディの中に、初代ビートルのデザインテイストを大胆に取り入れたポップな車ではありますが、そのベースとなったのは、ハッチバックの世界的定番であるフォルクスワーゲン ゴルフです。

そのためザ・ビートルは走りもインテリアの作りも非常にしっかりしており、決して「往年の名車のデザインだけを真似したネタ系の車」ではありません。普段の買い物から長距離高速移動まで、ドイツ車ならではの高性能っぷりを遺憾なく発揮してくれる1台なのです。

安価な中古車は総額40万円程度から見つけることもできますが、これからザ・ビートルを買うのであれば、しかも「新型ミニクーパーの代わり」として購入するのであれば、2016年9月のマイナーチェンジを経た後期型がオススメで、なおかつ2017年7月の一部改良を経た世代であればさらにベターです。
 

ザ・ビートル▲2017年7月以降のザ・ビートルの運転席まわり。カラーはグレードやオプションなどにより様々

2016年9月のマイナーチェンジでは主にデザインが変更されたのですが、2017年7月の改良では純正インフォテインメントシステムを改良。ラジオシステムである「Composition Media」の画面が6.5インチから8インチに拡大され、視認性と操作性が向上しています。またこのタイミングで、死角にいる車などの存在を知らせる「ブラインドスポットディテクションと、出庫時に車両後方の安全確認をサポートする「リアトラフィックアラート」が標準装備となりました。

そんな2017年7月以降のザ・ビートルは、走行距離3万km台までの物件を総額190万~280万円付近の予算感で探せるでしょう。
 

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新型ミニクーパーの代わり④|ジープ レネゲード(初代)
→想定予算:200万~280万円

新型ミニクーパーとは若干毛色が異なる「SUV」にはなってしまいますが、往年のジープ(米軍が使っていた軍用小型車)のデザインテイストが生きている「ジープ レネゲード」も、大いに注目に値します。
 

レネゲード▲ジープブランド初のコンパクトSUVであるジープ レネゲード
 

ジープ レネゲードは、2015年に登場したアメリカ製のコンパクトSUV。ジープブランドには「ジープ ラングラー」という本格的でかなりカッコいいSUVもあるのですが、ラングラーは普段づかいするにはボディが少し大きすぎますし、きわめてハイレベルな悪路走破性能も、都市部では「宝の持ち腐れ」になりかねません。

しかし同じジープでもレネゲードであれば、ボディサイズは全長4255mm×全幅1805mm×全高1695mmという扱いやすい水準で、4WDの他に、舗装路を走る際には燃費などの面で有利なFF(前輪駆動)も用意されています。

そして全体のデザインはポップかつちょいレトロな雰囲気で、ジープ伝統の丸形ヘッドライトや「7スロット」のフロントグリルや、あるいは軍隊などがガソリンの運搬などに使う「ジェリカン」の意匠をモチーフにした「X」型のマークが各所に散りばめられている点などは、「デザインにこだわりたい!」という人に強くオススメしたい部分です。
 

レネゲード▲インテリアデザインの細部は年式によって異なるが、総額200万円台で狙える年式の内装はおおおむねこのような感じ。高級感は十分以上だ
 

ジープ レネゲードの中古車価格は総額110万~560万円という、かなり上下に幅広い状況ではありますが、おおむね200万~280万円にて、走行2万km台までのFFグレードを見つけることができます。ちょっとミリタリーっぽい雰囲気を味わいたい人にはかなりオススメですし、もちろん車としての出来も普通に十分以上です。
 

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新型ミニクーパーの代わり⑤|ホンダ N-ONE(2代目)
→想定予算:130万~190万円

ここまでは輸入車に限定したうえで「新型ミニクーパーの“デザイン力”に対抗できる1台」を探してまいりました。しかし冷静に考え直してみたところ、足元にある国産車の中にも、新型ミニクーパーに勝るとも劣らぬデザイン力を備えた1台があることを思い出しました。

それは現行型のホンダ N-ONEという軽乗用車です。
 

N-ONE▲現行型ホンダ N-ONE。写真は2022年8月に発売された特別仕様車「オリジナル スタイル+ アーバン」
N-ONE▲街中でも映えるクラシカルもアーバンな雰囲気

ホンダ N-ONEの初代モデルは2012年にデビューし、8年間販売された後の2020年に、2代目となる現行型N-ONEが発売されました。

で、2代目へフルモデルチェンジされるとなると、普通はけっこう大掛かりなデザイン変更が行われるものです。しかし2代目のN-ONEは、細かな部分を除けば「初代とまったく同じデザイン」をまとって登場しました。

なぜデザイン変更が行われなかったかというと、初代のタイムレスでシンプルビューティなデザインの完成度があまりにも高かったため、ホンダは「……変えようがない!」と判断し、ほぼそのままのデザインで2代目を発売したのです。

そのように判断したホンダの気持ちはよくわかります。レトロという安直な言葉だけでは片付かないN-ONEの「ミニマルな造形美」は、世界中のどこへ出したとしても恥ずかしくない傑作であるといえるからです。

初代と2代目で外観は大きく変わっていませんが、もちろん中身は大きく進化しました。エンジンは新しい世代のものに刷新され、初代N-ONEの弱点だった予防安全装備と運転支援システムも、2代目(現行型)ではしっかり標準装備となっています。
 

ミニ▲「オリジナル スタイル+ アーバン」のインテリア。通常グレードの内装も、ここまでではないが、十分にシックなイメージでまとまっている
 

そんな現行型ホンダ N-ONEは、一番安いモノであれば総額110万円ぐらいから見つけることもできますが、「新型ミニクーパーの代わり」として買うのであれば、走行1万km以下の超低走行物件であることにこだわりたいものです。そしてその場合でも、中古車価格は総額130万円から。2022年8月に発売されたシックな特別仕様車「オリジナル スタイル+ アーバン」も、総額150万~190万円のゾーンで見つけることができます。

「自分は軽自動車でもぜんぜんOKだ」と考える人であれば、十分「新型ミニクーパーの代わり」になり得るでしょう。
 

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文/伊達軍曹 写真/尾形和美、ミニ、ステランティス、フォルクスワーゲン、ホンダ
※記事内の情報は2025年3月10日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。