Aクラスセダン ▲新車時は色モノ扱いされることもあったマツダ AZ-1ですが、その後はピュアスポーツとしての魅力が再評価され、地味に人気が高まっています。しかし中古車の流通量は減少の一途をたどり、実際に購入するのはなかなか困難な状況になってきました。ならば、ということで「AZ-1の代わり」になり得る流通量豊富は軽スポーツを探してみることにしましょう!

再評価され人気は高まったが、今や流通量が激減

1992年に「オートザム AZ-1」との車名で発売され、現在ではマツダ AZ-1と呼称されることが多い、全長3295mmのきわめて小さなミッドシップスポーツ。FRPを多用した軽量ボディとロック・トゥ・ロック2.2回転というきわめてクイックな設定のステアリング、そして堂々たるガルウイングドアを採用したAZ-1は、まごうことなき軽規格のピュアスポーツでした。とはいえ、そのスーパーカーというよりは「スーパーカー消しゴム」的なビジュアルがもたらす印象のせいで、新車時は「色モノ」的に見られていたかもしれません。

しかし生産終了後はその真価が正しく再評価されて一部マニアから人気を博し、中古車の平均価格はどんどん上がっていきました。
 

Aクラスセダン▲左右のドアはインパクト十分なガルウイング方式!
 

ですが、今度は「モノ(中古車)がない!」という問題が発生してしまいました。

もともと生産台数が少なかったからということもあって、2025年3月上旬現在の中古車流通台数はわずか9台。そしてさらに希少な限定車は総額380万円以上まで値上がりしてしまったということもあって、マツダ AZ-1は「絶対に買えない」というわけではありませんが、「入手はきわめて困難」という車種になってしまったのです。

とはいえAZ-1の「あの味わい」を完全にあきらめてしまうのも癪ですので、マツダ AZ-1とおおむね似た味わいが堪能できる、それでいて豊富な数の中古車が流通しているモデルを探してみることにしましょう!
 

▼検索条件

マツダ AZ-1(初代) × 全国
 

マツダ AZ-1の代わり①|ホンダ ビート(初代)
→想定予算:総額90万~260万円 流通台数:約120台

マツダ AZ-1の代わりとして順当なチョイスは、まずはこれでしょう。1990年代初頭、AZ-1および後述するスズキ車とともに、俗に「平成ABCトリオ」と呼ばれたグループを結成(?)したホンダの軽ミッドシップスポーツです。
 

Aクラスセダン▲こちらがホンダ ビート
 

ホンダ ビートは1991年から1996年まで販売された、専用設計のミドシップレイアウトを採用した軽ピュアスポーツ。搭載エンジンは直列3気筒自然吸気のE07A型で、これは自然吸気の軽自動車用エンジンとしては唯一、自主規制値であった64psをマークしたユニットです。しかもその最高出力は8100rpmというきわめて高い回転域で発生しました。

トランスミッションは5MTのみという、マツダ AZ-1と同様の硬派な設定で、エンジンにはホンダのF1テクノロジーも注入。ターボチャージャーなどの過給器に頼ることなく、ナチュラルで鋭いレスポンスを小さなエンジンで実現させるべく、ホンダのF1テクノロジーを応用したハイレスポンス・エンジンコントロールシステム「MTREC(Multi Throttle Responsive Engine Control system)」を組み込んだのです。
 

Aクラスセダン▲5MT車のシフトストロークは初代NSXと同じ40mmで、ステアリングホイールは直径360mmの小径タイプ。ドライバーにゆとりをもたらすため、センタートンネルは25mm左へオフセットしている
 

その他にもマニアックな技術がふんだんに投入されたホンダ ビートは、完調な状態でさえあれば、いまだ超一級品といえる走りを堪能できます。

2025年3月上旬現在、ビートの中古車は約120台が流通中で、平均価格は99.2万円。じりじり値上がりしていますが、まだまだ現実的なプライスであるとはいえるでしょう。
 

▼検索条件

ホンダ ビート(初代) × 全国
 

マツダ AZ-1の代わり②|スズキ カプチーノ(初代)
→想定予算:総額90万~260万円 流通台数:約100台

マツダ AZ-1の代わりとしては、1990年代初頭に「平成ABCトリオ」と呼ばれたグループの一角を成したスズキ カプチーノも適任となります。
 

Aクラスセダン▲「思いのままに操縦する楽しさを追求する」というコンセプトのもと誕生したスズキ カプチーノ
 

スズキ カプチーノは1991年に発売された、本格的なスポーツカーとほぼ同等のスペックを備えていた軽自動車規格の2シーターオープン。当時のアルトワークス用直3 DOHCインタークーラー付きターボを縦置きに搭載し、トランスミッションは専用セッティングの5MTを採用。そしてほぼ同時期に販売されていたホンダ ビートの760kgをも下回る「700kg」という、驚きの車両重量も実現していました。

カプチーノは足回りも本格的です。軽自動車でありながらサスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式で、ブレーキも四輪ディスク。部品点数がどうしたって多くなる本格的な機構を採用しながらも、ライバルより圧倒的に軽い車重を実現していた点に、当時のスズキの技術者の「本気っぷり」が見て取れる気がいたします。

ちなみに1995年5月にはマイナーチェンジが実施され、エンジンがオールアルミ化されたことで、ただでさえ超軽量だったカプチーノの車重は「690kg」となり、その軽量っぷりにさらなる磨きがかかったのでした。
 

Aクラスセダン▲ルーフは、量産車では世界で初めて4通り(ハードトップ/Tバールーフ/タルガトップ/フルオープン)に変更することができた
 

そんなスズキ カプチーノは現在約100台が流通しており、注目の価格帯は総額150万円前後といったところ。マツダ AZ-1とまったく同じではありませんが、ある意味似たニュアンスの圧倒的なドライビングプレジャーを、まず間違いなく堪能できる1台です。
 

▼検索条件

スズキ カプチーノ(初代) × 全国
 

マツダ AZ-1の代わり③|ダイハツ コペン(初代)
→想定予算:総額50万~220万円 流通台数:約650台

硬派で超クイックな操縦フィールが堪能できるマツダ AZ-1とは若干キャラクターが異なりますし、駆動方式もいわゆるFFになってしまいますが、「同じ2シーターの軽オープンスポーツである」という意味で、ダイハツの初代コペンも注目に値します。
 

Aクラスセダン▲こちらが初代ダイハツ コペン
 

初代ダイハツ コペンは、「平成ABCトリオ」のブームから10年あまりを経た2002年に登場したFF方式の2シーター軽オープン。「ティアドロップシェイプシルエット」と呼ばれる軽量・高剛性なボディに電動開閉式ハードトップ「アクティブトップ」を載せ(※樹脂製のディタッチャブルトップもあり)、直列4気筒のターボエンジンや専用チューンのサスペンションなどによってスポーティな走りが実現されました。

車両重量は「平成ABCトリオ」よりは重い830kg(アクティブトップ車)または800kg(ディタッチャブルトップ車)ですが、それでも十分軽量ではあり、ショートストロークな「スーパー5MT」または電子制御4速ATである「ESAT」(イーサット)との組み合わせにより、軽快な走りを堪能することが可能です。またトランクスペースにはゴルフバッグ1セットが収納できるという実用性の高さも、完全な硬派ではないコペンならではの魅力といえるでしょう。
 

Aクラスセダン▲3本スポークのステアリングホイールは、軽自動車でありながらチルト(上下調整)とテレスコピック(前後調整)が可能
 

中古車流通量は600台以上と豊富で、トランスミッション別の割合はMT車が約25%で、AT車が約75%。AT車は総額70万円前後で、やや希少なMT車の場合は総額90万円前後にて、まずまずコンディション良好な1台が見つかるはずです。
 

▼検索条件

ダイハツ コペン(初代) × 全国
 

マツダ AZ-1の代わり④|ホンダ S660(初代)
→想定予算:総額130万~400万円 流通台数:約600台

マツダ AZ-1の代わりとしては、AZ-1とおおむね同世代にあたるネオクラシックな軽スポーツが望ましいことはわかります。しかし、もしもそこにさほどこだわらないのであれば2015年に登場した「ホンダ S660」も、マツダ AZ-1の代わりとして十分に機能します。
 

Aクラスセダン▲2015年に登場したホンダ S660。カスタムパーツやチューニングパーツも豊富だ
 

多くの説明は不要かもしれませんがホンダ S660は、2015年から2022年まで販売された軽規格のミッドシップ2シーターオープン。車両重量を830~850kgという、現代の車としてはかなりのライトウェイトに抑えつつ、「静的ねじり剛性はホンダ S2000を上回る」とうたわれている高いボディ剛性を実現しています。

ミッドに搭載されるパワーユニットは「N」シリーズのS07A型ターボエンジンをベースに独自の改良を施したもので、トランスミッションは、1~5速をクロスレシオ化した6速MTまたはCVT。CVTは7速マニュアルモードに加え、「SPORT」と「DEFAULT」を選択できる走行モード切り替えシステムを採用。そしてMT車のエンジンは強化バルブスプリングを採用するこがで、最高許容回転数をCVT車の7000rpmから7700rpmに高めました。

プリミティブな作りゆえに「ヒリヒリするような運転快楽」が感じられるAZ-1とは違い、現代のミッドシップ車であるホンダ S660の走りは、AZ-1と比べるならばずいぶんと安定志向です。しかしそれでも「一般的な車」とは何もかも異なる、ミッドシップ軽スポーツならではの軽快感を堪能することができます。
 

Aクラスセダン▲ホイールベースは「N」シリーズ(2520mm)より235mm短い2285mm。ホイールサイズは前後で異なり、前15インチ/後ろ16インチとなる
 

モデル全体の中古車価格は総額130万~400万円といったところで、標準車の注目価格は総額170万円前後がひとつの目安。ホンダの純正アクセサリーメーカーであるホンダアクセスのカスタマイズパーツ、生産過程で装着して販売した「モデューロX」は、ちょっとお高い総額290万円前後、そしてホンダのモータースポーツ活動などを手がけるM-TEC(無限)がリリースした「S660 MUGEN RA」も、かなり希少ですが総額290万円前後で見つけることができるでしょう。
 

Aクラスセダン▲S660試乗時の様子

▼検索条件

ホンダ S660(初代) × 全国
 

マツダ AZ-1の代わり⑤|ケータハム セブン160(現行型)またはセブン170(現行型)
→想定予算:総額510万~950万円 流通台数:約20台

ここまでに挙げた4車種はいずれも「マツダ AZ-1の代わり」として十分に機能するはずですが、それでもやはりAZ-1の「ある意味スーパーカー的な魅力」は、AZ-1でしか得られないものなのかもしれません。

そしてAZ-1的な感覚を別の車で味わおうとしたら、それこそV8ミッドシップフェラーリなどの「本当のスーパーカー」を買わなければならないのかもしれませんが、さすがにそれは、いろいろな意味で現実的ではありません。できれば軽規格のスポーツカーという範囲内で、代わりになる1台を探したいところなのです。

であるならば、いっそのこと英国の「ケータハム セブン160」または「セブン170」でどうでしょうか?
 

Aクラスセダン▲「軽自動車規格のスーパーセブン」であるケータハム セブン160
 

ケータハム セブン160は、2014年に登場した軽規格のライトウェイトスポーツ。ビジュアルは見てのとおりの「スーパーセブン」ですが、搭載エンジンは0.66Lのスズキ製軽自動車用ターボエンジン「K6A」で、最高出力は80ps/5500rpm。そして日本の軽自動車規格に適合させるためフェンダーの幅を切り詰めたことで、ボディサイズは全長3100mm×全幅1470mm×全高1090mという、堂々たる軽規格の範囲内。そしてエンジン排気量も前述のとおり0.66Lということで、ケータハム セブン160は「黄色いナンバーの軽乗用車」として登録されることになります。

しかしながら車両重量490kgという、マツダ AZ-1どころではない超軽量っぷりも相まって、セブン160は0-100km/h加速6.9秒、最高速160km/hをマーク。これであれば、「体感速度はほぼスーパーカー」であるマツダ AZ-1を狙っていた人であっても、おおむね同様の満足が得られるのではないでしょうか。
 

Aクラスセダン▲乗車スペースはきわめてタイト。必要な計器やスイッチ類をならべただけのシンプルなインパネまわりも、この車の場合は逆に好ましい
 

2021年に登場した後継モデル「ケータハム セブン170」と合わせ、いずれも中古車価格は総額510万~950万円と高額であり、なおかつ流通量もAZ-1より少々多い程度ですので、決して万人向けの選択肢ではありません。

しかし「本当の意味でマツダ AZ-1の代わりになり得る1台」というものを考えた場合、真の候補はコレしかないのかもしれません……!
 

▼検索条件

ケータハム セブン160(現行型) × 全国

▼検索条件

ケータハム セブン170(現行型) × 全国
文/伊達軍曹 写真/マツダ、ホンダ、スズキ、ダイハツ、ケータハム、尾形和美
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。

この記事を読んでいる人にオススメの動画