スバル フォレスター「前期型」なら100万円台後半から狙える!? 中古車で狙うときのオススメな価格帯・選び方を解説!
2025/02/25

「BOLDER」顔になる前の前期型に注目
スバルのフォレスターといえば、当代きってのスポーツ派クロスオーバーSUV。20世紀の頃からクロスオーバーの市場を開拓してきた先駆者でもある。
5代目となる現行型は集大成と言って良い完成度で、走行性能、パッケージ、安全性能とも文句のない仕上がりだ。デビューしてから早くも6年半が経過。その間に新型車、フルモデルチェンジした車が続々登場したが、魅力は全く褪せていない。
特に2021年8月以降の後期型はフロントマスクの印象ががらっと変わり、性能面でもグレードアップしている。ただ、新車は最も安いグレードでも300万円台、最上級グレードになると400万円近い。当然、中古車価格も高水準で、総額250万円~が目安だ。
そこで思い浮かぶのが、同じ現行型フォレスターでも前期型という選択肢。走行距離10万km以下であれば、ベースグレードの「アドバンス」を中心に総額100万円台後半で狙える物件もある。とはいえ、性能面での後期型との違いや中古車のコンディションが気になるところ……。
そこで今回はフォレスター(5代目)の概要を振り返りつつ、前期型と後期型の違いをチェック。中古車の状況を確認しつつ、オススメのグレードを選んでみたい。

▼検索条件
スバル フォレスター(現行型)× 前期型 × 全国モデル概要:フォレスターなら、オンもオフも両方アクティブに楽しめる
まずはフォレスター(5代目)とはどんな車か、改めて概要を確認しておこう。2018年7月に登場した現行型、シャシーが5代目インプレッサにも採用されたスバルグローバルプラットフォームとなったことで、ボディ剛性やサスペンションなどの走行性能が一段と進化した。
ボディサイズは全長4625mm×全幅1815mm×全高1715~1730mm。従来型よりも全長で30mm、全幅で20mm大きくなっているものの、取り回しやすく、きびきびと走れるサイズ感が保たれている。もちろん車内空間も5人乗りSUVとして十分に広く、荷室は509Lという大容量を確保。一部グレードには電動リアゲートも採用された。

競合のクロスオーバーSUVたちがモデルチェンジで3列シート化&大型化される中、2列シートと割り切ったパッケージとしているのはフォレスターの美点だ。
搭載されるパワーユニットはデビュー当初、2.5L水平対向ガソリンエンジンと、2Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「e-BOXER」の2タイプを設定。「e-BOXER」はトランスミッション内に小型モーターを設置し、必要に応じてエンジンの駆動をアシスト、特に40km/h以下の速度域ではモーターのみでの走行も可能にする。いわゆるハイブリッドだが、燃費性能の向上よりもむしろ、アクセルレスポンス、加速性能の向上を狙ったものと言えるだろう。

2.5Lエンジンは長年スバル・ファンに寵愛されてきた名機だったが、2020年10月のマイナーチェンジで廃止、代わって従来からあるグレードが全車「e-BOXER」になるとともに、直噴1.8Lガソリンターボエンジンを搭載する「スポーツ」グレードが新たに設定された。こちらはよりパンチ力のあるエンジンで、進化したシャシー性能を十分に生かせる特性が自慢だ。
駆動方式は全車アクティブトルクスプリット式4WD、トランスミッションはいずれもスバルが水平対向エンジン用に開発したCVT「リニアトロニック」となっている。路面状況に応じて走行モードを切り替えることができ、エンジン出力や変速、ブレーキを最適に制御してくれる「X-MODE」も採用。近年はSUVでも二輪駆動が主軸となるケースが多いが、あくまで4WDにこだわるあたりも本格派のフォレスターらしい。

安全性能、運転支援性能の高さも魅力のひとつ。デビュー当初から全グレードにアイサイトを標準搭載。さらに全車速追従機能付きクルーズコントロールなどをパッケージしたアイサイト・ツーリングアシストも全車標準で装備された。
フォレスター(5代目)の主なグレードは下記のとおり。
「ツーリング」:17インチタイヤを採用する標準グレード
「エックスブレイク」:オフロードを意識した内外装、機能を採用するグレード
「アドバンス」:18インチタイヤ、メッキのドアミラーなどを採用する上位グレード
「スポーツ(2020年10月~)」:ターボエンジン、スポーツ志向のサスペンションや内外装を採用するグレード
「STI スポーツ(2022年8月~)」:STIによってサスペンションなどがチューニングされた最上位グレード
前期型と後期型の差異:外観とアイサイトの機能向上がメイン。走行性能には大きな違いナシ!
さて、ここからは前期型と後期型の違いに注目してみたい。まず、最も大きく変わったのは外観だ。フロントまわりはスバルの新デザインコンセプト「BOLDER」を採り入れたデザインに刷新。
前期型は従来型のイメージを残した、どちらかというとコンベンショナルな顔つきだったが、後期型では異型のヘッドランプを採用してスポーティかつ前衛的なイメージに。同時にバンパーやアルミホイールのデザインも見直され、シャープな印象となっている。ただボディサイズそのものは変わっていない。


次いで大きな違いのひとつが安全性能の進化だろう。アイサイトが新世代のものとなり、広角化されたステレオカメラを採用、衝突回避支援できる領域が広がるなど性能が向上。またヘッドライトについても内蔵された複数のLEDで照射範囲を緻密にコントロールする「アレイ式アダプティブドライビングビーム」が新たに採用されている。

その他では、前期型で「エックスブレイク」にしか採用されていなかったアダプティブ変速制御「e-アクティブシフトコントロール」を「ツーリング」と「アドバンス」にも採用。これはアクティブな走りをしているとECUが判断した場合にコーナー手前で変速するなどの制御を自動的に行う、スポーツ走行に適した機能だ。
パワーユニットについては先に述べた2020年10月の変更で搭載された2タイプのエンジンがそのまま引き継がれた。装備についてもエアコンをジェスチャーで操作できるようになるといった細かな違いはあるものの、大きくは変更されていない。
つまり前期型と後期型の大きな違いは、外観と先進安全機能の内容ということになるだろう。前述したように前期型にもアイサイトが搭載されており、基本的な機能はすべて備わっている。「オーソドックスでSUVらしいデザインが好み」「安全性能は1世代前のもので十分」という人なら、前期型を検討する価値が十分にあるだろう。以下では、前期型のオススメグレードを2タイプ選んでみたい。

中古車のオススメ①:「エックスブレイク」でアクティブに遊びたい! 価格重視なら2.5L版がオススメ
ひとつ目のオススメグレードは「エックスブレイク」。新車価格では中級に位置するグレードだが、内外装にオレンジの差し色が入っており、フォレスターらしいアクティブさが表現されている。
また前述したように、他グレードに先んじて前期型でもアダプティブ変速制御を採用しているなど、機能面でも充実。フォレスター(5代目)のキャラクターを象徴するグレードと言えるだろう。

フォレスター(5代目)全体の中古車市場流通量は約1000台あり、前期型と後期型の割合はほぼ半々。そのうち前期型の「エックスブレイク」は100台ほどとなっている。「エックスブレイク」には2020年9月以前の2.5Lエンジン版と2020年10月以降の「e-BOXER」版があるが、ボリュームが多いのは前者だ。価格的にも2.5Lエンジン版の方が求めやすい。
価格の一例を挙げると、2018年式・走行距離3万kmの「2.5 エックスプレイク」で総額245.5万円。当時の新車価格よりも50万円近く安く手に入る。また数は少ないが、走行距離10万km未満であれば、180万円台から探すことも可能だ。
ちなみに2.5L水平対向ガソリンエンジンは自然吸気の素直な特性と、豊かなトルク感が特長。加速の鋭さでは「e-BOXER」に一歩譲るものの、クルージングの快適さといった点で魅力のあるエンジンだ。

▼検索条件
スバル フォレスター(現行型) × 前期型 × エックスブレイク × 全国中古車のオススメ②:後期型と走行性能は同じ、前期型「スポーツ」が狙い目
低速域から力強く加速してくれる「e-BOXER」も魅力的だが、歴代フォレスターの特徴といえばターボエンジンの荒々しい加速感。その魅力を堪能できるのが、2020年10月に追加されたグレード「スポーツ」だ。
「スポーツ」全体では中古車市場に約190台が流通。「STI スポーツ」が追加されるまで最上位に位置するグレードだっただけに後期型の中古車相場は高めとなっているが、前期型なら比較的リーズナブルな価格で手に入る。

2020年10月~2021年7月という短い期間しか生産されなかった前期型「スポーツ」だが、中古車市場では後期型より物件数が充実している……というところもオススメ理由のひとつだ。
ということでカーセンサーで前期型「スポーツ」に絞って検索すると、約100台がヒット。総額200万円台から狙うことができる。例えば2020年式・走行距離3.5万kmの物件なら総額293.4万円。当時の新車価格よりも35万円ほど安く手に入る計算だ。

▼検索条件
スバル フォレスター(現行型) × 前期型 × スポーツ × 全国※記事内の情報は2025年2月19日時点のものです。

自動車ライター
田端邦彦
自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。