三菱 デリカD:5(初代・現行型))▲「スライドドア搭載のSUVが欲しい」という人は少なくないだろう。しかし、実際そんな車は存在するのだろうか? 画像は三菱 デリカD:5(初代・現行型)

スライドドアのSUVが欲しい……そんな要望に応える!

老若男女から支持を集めているSUV。子育て世帯からも人気が高いが、SUVを検討しているうちに「スライドドアが付いたSUVってないの?」と思った人もいるだろう。

そこで当記事では「スライドドアのSUVが存在するのか?」という疑問に答え、ニーズに応える車種もオススメ。併せて車選びの対抗馬となるファミリーカー向けSUVも紹介するので、こちらも要チェックだ!
 

 
 

スライドドアのSUVは存在するの?

結論から言うと、スライドドアのSUVは「存在しない」が「あるとも言える」。こう言うと「結局どっちなんだ!」となりそうだが、順を追って説明させていただきたい。

SUVには、頑丈なラダーフレーム構造を採用する「クロスカントリー(以下クロカン)」と、乗用車と同じモノコック構造でオフローダー風に仕上げた「クロスオーバー」の2種類がある。この両タイプに「肝心のスライドドアを採用した車種があるか?」と聞かれたら「ない」というのが答えだ。
 

ホンダ ヴェゼル(2代目・現行型)▲クロスオーバーSUVはいずれもヒンジドアを採用している。画像は、ホンダ ヴェゼル(2代目・現行型)

しかし、そもそもSUVは本来、用途による分類だった。正式名称である「スポーツ・ユーティリティ・ビークル(スポーツ向け多用途車)」という名前どおり、「アウトドアをはじめ、多様なシーンで万能に使える車」全般が該当する。

だが、流行の立役者となったクロスオーバーSUVのボディがワゴン状であったため、それがSUVのイメージとして定着。そのためか、スライドドアを搭載できる箱型の車種をSUVライクに仕上げても、SUVと見なされることは少ない。実際メーカーも現在、「SUV風スライドア搭載車」をミニバンやトールワゴンなどとして扱っている。
 

三菱 デリカミニ(初代・現行型))▲箱型の車種はSUVのようなルックスでアウトドアユースが意識されていても、SUVとして扱われることは皆無。画像は三菱 デリカミニ(初代・現行型)

要約すると「クロスオーバーおよびクロカンSUVにはスライドドア搭載車は存在しない」が、「本来の用途による分類なら、SUVに該当するアウトドア・テイストなスライドドア搭載車は存在する」というのが現状だ。
 

 

SUV風スライドア搭載車のメリット・デメリット

さて、アウトトドア・テイストな「SUV風スライドア搭載車」とはどんな車なのか? もともとアウトドアないしハードユースを想定して開発されたミニバンも存在するが、最近は軽スーパートールワゴンかミニバンをベースに、SUV的なデザインや快適装備を加えた車種が主流。これらはベース車の1グレード扱いが多いが、単一モデルとしてラインナップされることもある。

出自こそ多様なSUV風スライドア搭載車だが、通常のSUVと比べた際のメリットとデメリットは次のとおりだ。

SUV風スライドア搭載車のメリット
最大のメリットは当然、スライドドアを搭載していること。隣の車や壁との距離が狭い駐車場でも、ドアをぶつける心配がない。一般的なヒンジドアよりも開口部が広く、人の乗り降りや荷物の積み降ろしがしやすいのも利点だ。

加えてボディが箱型であるため、通常のSUVよりも室内が広いのが魅力だ。ゆったりと座れて視界も開放的だし、荷物も大容量。アウトドアの道具もたっぷり積める。ミニバンがベースなら多人数での乗車が可能で、シートアレンジも多彩だ。
 

ホンダ フリード クロスター(3代目・現行型)▲電動スライドドアならドアの開閉が楽ちんだし、挟み込み防止機能や補助グリップも採用。ドアに多彩な装備が採用されているのもポイントだ。画像は、ホンダ フリード(3代目・現行型) クロスター

SUV風スライドア搭載車のデメリット
SUV風スライドア搭載車のデメリットは、通常のSUVよりも走行性能で不利なこと。箱型で背が高いし、スライドドアを搭載する分ボディも重い。そのため、コーナリングや加速性能はSUVに劣勢となる。

悪路走破性もSUVほどではない。最低地上高はSUVより低いし、搭載する4WDも燃費性能を優先したシステムが採用される傾向にある。また、ボディが箱型であるため、デザインの多様性もSUVにリードされている。ただ、SUV風スライドア搭載のデザインが好みなら、これはデメリットとは言えないだろう
 

シトロエン ベルランゴ(3代目・現行型)▲SUV風スライドア搭載車の走りは、基本的に乗り心地重視。SUVほどスポーティではないが、快適なドライブを楽しめる。画像はシトロエン ベルランゴ(3代目・現行型)
 

オススメのSUV風スライドア搭載車8選

今オススメのSUV風スライドア搭載車を紹介。ワイルドなスタイルながらファミリーユースもバッチリこなす車種を8つ選出した。
 

 

1.三菱 デリカミニ(初代・現行型)

三菱 デリカミニ(初代・現行型)▲2023年5月、eKクロススペースと入れ替わる形で登場したデリカミニ

たくましさの中にどこか可愛らしくもある軽SUVテイスト。小さいながらもスライドドアを搭載している。もともとが軽ハイトワゴンのekスペースをベースとしているだけに、車内空間の広さやスライドドアの機能については全く不満ない。

15インチタイヤを履き、サスペンションもeKスペースから20~30mmほど車高アップされている。ただ乗降性にはほとんど影響なく、小さな子供やシニアのいる家庭でも問題ないだろう。ちょっと高めのアイポイントで、運転しやすいのもメリットだ。

パワーユニットは、0.66Lのガソリン自然吸気エンジンと同ターボのマイルドハイブリッド仕様。加速時にモーターがエンジンをアシストし、軽やかに走ることができる。4WD車にはグリップコントロールやヒルディセントコントロールを搭載。本格的なオフロード走行はさすがに無理だが、キャンプ場や雪道なら安心だ。
 

三菱 デリカミニ(初代・現行型)▲電動スライドドアは助手席側のみ全車標準、運転席側は「プレミアム」系グレードに装備

カーセンサー掲載台数は約1430台で、そのうち約580台がターボのマイルドハイブリッド車(2025年2月15日現在)。登場から2年経っていないだけに、走行距離わずか数kmの2024年式がほとんど。全物件のおよそ4割が4WD車なのも特徴だろう。

車両平均価格は約207万円。ガソリンエンジンのマイルドハイブリッド車が総額170万円前後、ターボが総額190万円前後から狙える。
 

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三菱 デリカミニ(初代・現行型) × 全国

【初代デリカミニの注目データ】
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1800~1830mm
室内寸法:室内長2200mm×室内幅1335mm×室内高1390~1400mm
燃費(WLTCモード):17.5~20.9km/L
乗車定員:4名
パワーユニット:マイルドイブリッド(ガソリンエンジン/同ターボ)
排気量:659cc
エンジン最高出力:52~64ps
エンジン最大トルク:60~100N・m
モーター最高出力:2.7ps
モーター最大トルク:40N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:180.4万~227.2万円
中古車の車両価格帯:159万~369万円
 

 

2.スズキ スペーシアギア(3代目・現行型)

スズキ スペーシアギア(3代目・現行型)▲2024年9月に3代目スペーシアに追加設定されたスペーシアギア。ちなみに、同モデルは2代目スペーシアから設定された

多彩な外観バリエーションをもつ3代目スペーシアの中でも、SUV風のルックスをもつグレードがスペーシアギアだ。丸い瞳の愛らしいフロントマスク、たくましい加飾パーツは、他グレードと明らかに雰囲気が異なる。

ただ、基本設計と車高は通常グレードと変わらない。よって室内は広く、乗降性もスペーシアと同様に良好。予約ロック機能付きの両側パワースライドドアを装備するなど、スライドドアの機能も優れている。助手席側をフルフラットにできるから、長尺物も楽に積める。後席はオットマンや荷物ストッパーとして使える「マルチユースフラップ」など、便利な機能が満載。毎日の買い物からアウトドアまでマルチにこなしてくれる。

ラインナップは「ハイブリッド XZ」の1グレード。パワーユニットは0.66Lのガソリンエンジンと同ターボのマイルドハイブリッドの2種類。駆動方式はFFと4WDが設定される。
 

スズキ スペーシアギア(3代目・現行型)▲防汚タイプのシート、荷室フロアを採用するなどアウトドアでも便利

カーセンサー掲載台数は約170台で、そのうち約50台がターボ車だ。まだ登場したてなので、多くは届出済未使用車。最も走行距離が多い物件でも5000kmなので、走行距離を気にする人にはうれしいだろう。

車両価格のボリュームゾーンは180万~230万円。ガソリンエンジンのマイルドハイブリッド車が総額170万円前後、ターボが総額200万円前後から狙える。
 

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スズキ スペーシアギア(3代目・現行型) × 全国

【3代目スペーシアギアの注目データ】
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1800mm
室内寸法:室内長2170mm×室内幅1345mm×室内高1415mm
燃費(WLTCモード):19.8~23.9km/L
乗車定員:4名
パワーユニット:マイルドイブリッド(ガソリンエンジン/同ターボ)
排気量:657~658cc
エンジン最高出力:52~64ps
エンジン最大トルク:60~100N・m
モーター最高出力:2.6~3.1ps
モーター最大トルク:40~50N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:195.3万~215.7万円
中古車の車両価格帯:162.4万~281万円
 

 

3.ダイハツ タントファンクロス(4代目・現行型)

ダイハツ タントファンクロス(4代目・現行型)▲4代目タントのデビューから3年、2022年10月に初登場したファンクロス

初代タントファンクロスは、軽スーパートールワゴンの4代目タントをSUV風に仕上げたグレードだ。バンパーやヘッドライト、ボンネットやフェンダーは専用品で、ルーフレールも装備。アクティブな雰囲気が演出されている。

特筆すべきは「ミラクルオープンドア」。助手席側がミラーレスだから前から後までガバッと大きく開き、乗り降りや荷物の積み降ろしがしやすい。シートバックテーブルを使ってドアを開け放ち、ピクニック気分で食事したりするのも良いだろう。

スライドドアは左右両側とも電動。運転席・助手席のシートヒーターなど、ファンクロスは装備も充実している。パワートレインは0.66Lのガソリンエンジンと同ターボ。駆動方式はFFと4WDが設定される。
 

ダイハツ タントファンクロス(4代目・現行型)▲スライドドア内に高張力広範を内蔵することで安全性や強度も確保

ファンクロスのカーセンサー掲載台数も約850台。4代目タントの物件数が豊富なだけに、1グレードとしては多くなっている。パワートレイン別でみると、やはりガソリン車が主流だが、ターボ車も約290台も掲載されている。年式別では比較的満遍なく分布しており、予算に応じて選びやすい状況だ。

車両価格のボリュームゾーンは150~180万円。ただ、総額140万円前後からガソリン車もターボ車も狙うことができる。
 

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ダイハツ タントファンクロス(4代目・現行型) × 全国

【4代目タントファンクロスの注目データ】
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1785~1805mm
室内寸法:室内長2125mm×室内幅1350mm×室内高1370mm
燃費(WLTCモード):18.2~21.9km/L
乗車定員:4名
パワーユニット:ガソリンエンジン/同ターボ
排気量:658cc
エンジン最高出力:52~64ps
エンジン最大トルク:60~100N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:168.9万~202.4万円
中古車の車両価格帯:120万~255万円
 

 

4.ホンダ フリード クロスター(3代目・現行型)

ホンダ フリード クロスター(3代目・現行型)▲2024年6月にフルモデルチェンジした3代目フリードのクロスター。同グレードは2代目フリードから設定された

国産ミニバンをベースにしたSUV風に仕立てたモデルは珍しい。フリードの標準モデルである「エアー」はすっきりした万人受けする外観なのに対して、「クロスター」はインパクト強めのスタイルとなっている。

クロスターは2列目がキャプテンシートとなる6人乗りと、3列目を省略して2列目をベンチシートとした5人乗り仕様を設定。大人数で出かけたい人、遊びのギアを載せてアクティブに使いたい人、どちらにも対応できるラインナップとなっている。なお、エアーに設定される7人乗りは用意されていない。

パワーユニットでは1.5Lガソリンエンジンと、1.5Lガソリンエンジン+2モーターのハイブリッド「e:HEV」を用意。ハイブリッドは基本的にモーターで駆動し、必要に応じてエンジンで発電。高速巡航時などはエンジンで走行するもので、WLTCモードで25.5km/Lという低燃費となっている。
 

ホンダ フリード クロスター(3代目・現行型)▲5人乗り仕様は積載性を重視し、荷室床を低く設計。テールゲートも大型となる専用設計

クロスターのカーセンサー掲載台数は約160台で、そのうち約60台がe:HEV車。乗車定員別では5人乗りが約90台と多めとなっている。デビューからまだ1年経っていないだけあり、いずれも走行距離が1万km以内なのも見逃せない。

車両価格のボリュームゾーンは270万~320万円。ただ、ガソリン車なら総額270万円前後、e:HEV車なら総額320万円前後から探すことができる。
 

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ホンダ フリード クロスター(3代目・現行型) × 全国

【3代目フリード クロスターの注目データ】
ボディサイズ:全長4310mm×全幅1720mm×全高1755~1780mm
室内寸法:室内長1935~2645mm×室内幅1470mm×室内高1190~1270mm
燃費(WLTCモード):14.4~25.5km/L
乗車定員:5~6名
パワーユニット:ガソリンエンジン/ハイブリッド
排気量:1496cc
エンジン最高出力:106~118ps
エンジン最大トルク:127~142N・m
モーター最高出力:123ps
モーター最大トルク:253N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:281.3万~360.3万円
中古車の車両価格帯:249万~403.2万円
 

 

5.三菱 デリカD:5(初代・現行型)

三菱 デリカD:5(初代・現行型)▲2007年1月に登場した初代デリカD:5。2019年2月からヘッドライトとフロントグリル、バンパーがX字型に広がる「ダイナミックシールド」顔に

初代デリカD:5は「SUVテイスト」ではない。国産唯一の本格的なオフロード性能を備えるミニバンだ。そもそも同車は初代アウトランダーと共通のプラットフォームを採用。「2WD」「4WDオート」「4WDロック」と3つのモードを備えた4WDシステムを搭載し、十分な路面クリアランスで、雪道や林道などの悪路もグイグイ走行できる。

そのうえで、競合ミニバンにも負けない広々とした車内空間を確保。2008年5月からは2列目キャプテンシートの7人乗りも設定されている。内装は高級路線のミニバンと比べると質素に見えるが、利便性は負けていない。両側パワースライドドアや電動開閉式テールゲートなどもきちんと採用されている。

エンジンは2019年10月までは2Lガソリン(FF車)、2.4Lガソリン(4WD車)も設定されていたが、以降は2.2Lディーゼルターボのみに変更。特性はそれぞれ異なるが、いずれでもオンロードからオフロードまで逞しい動力性能を発揮してくれる。
 

三菱 デリカD:5(初代・現行型)▲箱型のボディを生かして室内は広々。全車3列シートで7人乗りの他、ベンチシートの8人乗りも用意されている

カーセンサー掲載台数は約2300台で、そのうち半数程度が2019年2月以降の後期モデルだ。パワートレイン別ではディーゼル車が約1540台と全体の2/3ほどを占める。

車両平均価格は約327万円だが、走行距離を問わなければ総額100万円以下でも十分に購入可能。走行距離5万km以内の物件が前期型なら総額200万円前後、後期型なら総額340万円前後から狙うことが可能だ。
 

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三菱 デリカD:5(初代・現行型) × 全国

【初代デリカD:5の注目データ】
ボディサイズ:全長4730~4800mm×全幅1795mm×全高1825~1875mm
室内寸法:室内長2980mm×室内幅1505mm×室内高1310mm
燃費(WLTCモード):12.6km/L
乗車定員:7~8名
パワーユニット:ガソリンエンジン/ディーゼルターボ
排気量:1998~2359cc
エンジン最高出力:145~170ps
エンジン最大トルク:191~380N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:221.3万~473.3万円
中古車の車両価格帯:23万~699.9万円
 

 

6.ルノー カングー(3代目・現行型)

ルノー カングー(3代目・現行型)▲2023年3月に日本デビューした3代目カングー

オシャレな商用車(日本では乗用車登録)として大人気のカングー。荷物を載せるのに便利なのはもちろん、家族で便利に乗れるユーティリティ性能も備えている。

現行型となる3代目の荷室容量は5名乗車時でも775L。2列目シートを倒すと、なんと2800Lもの空間が生まれる。バックドアは観音開き式で、MTBやサーフボードなど大きめのギアを載せるのも楽チンだ。両側スライドドアは手動であるものの、各ドアとも開口部が大きくて乗り降りしやすい。

エンジンは1.3Lガソリンターボと、1.5Lディーゼルターボの2種類。いずれも7速デュアルクラッチ式トランスミッションが組み合わされ、元気の良い走りを披露してくれる。ただし、駆動方式は全車FF。4WDは日本に導入されていない。
 

ルノー カングー(3代目・現行型)▲電動スライドドアは助手席側のみ全車標準、運転席側は「プレミアム」系グレードに装備

カーセンサー掲載台数は約20台と少なめ。パワートレイン別ではガソリン車の方が多く、ディーゼル車は5台前後と希少だ。物件のほとんどは2023年式で、走行距離も1万km未満がほとんどとなっている。

車両平均価格は360万円。総額340万円前後から狙うことができる。
 

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ルノー カングー(3代目・現行型) × 全国

【3代目カングーの注目データ】
ボディサイズ:全長4490mm×全幅1860mm×全高1810~1860mm
室内寸法:メーカー非公表
燃費(WLTCモード):15.3~19.5km/L
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンターボ/ディーゼルターボ
排気量:1333~1460cc
エンジン最高出力:116~131ps
エンジン最大トルク:240~270N・m
駆動方式:FF
新車の車両価格帯:384万~427万円
中古車の車両価格帯:299.2万~429.9万円
 

 

7.シトロエン ベルランゴ(3代目・現行型)

シトロエン ベルランゴ(3代目・現行型)▲2019年10月に登場した3代目ベルランゴ。7人乗りのベルランゴロングも別途用意されている

ベルランゴはフランスでカングーと人気を二分するフルゴネット(ライトバン)だ。現行型となる3代目は、シトロエンらしい洗練された外観とオシャレな内装、しなやかな走りが魅力だ。

エンジンは1.5Lディーゼルターボで、8速ATが組み合わされる。トルクフルで重い荷物を載せたときも力不足を感じさせない。全長4405mmと短いが、どの席も広さは十分以上。後席は脚が鉄骨丸出しだが、その無骨な見た目に反して座り心地はよい。

荷室の使い勝手も自慢だ。荷室容量は通常時は597L、後席格納時なら最大2126Lと、たっぷり荷物を積める。後席頭上後方に配された容量約60Lのリアシーリングボックスなど、多数の収納スペースを備えるのも利点だ。
 

シトロエン ベルランゴ(3代目・現行型)▲上位グレードには天井のほとんどがガラスとなる、パノラミックガラスルーフを装備。明るく開放的な車内空間だ

カーセンサー掲載台数は約120台で、かつての上級グレード「シャイン」が2/3を占める。以降の「マックス」グレードも掲載されているが、フロントマスクが刷新された2024年10月以降のモデルはごくわずかだ。

車両平均価格は約332万円だが、総額270万円前後から狙うことが可能。走行距離1万km以内の低走行車の場合は、総額350万円前後から探すことができる。
 

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シトロエン ベルランゴ(3代目・現行型) × 全国

【3代目ベルランゴの注目データ】
ボディサイズ:全長4403~4405mm×全幅1848~1850mm×全高1830~1850mm
室内寸法:メーカー非公表
燃費(WLTCモード):18.0~18.1km/L
乗車定員:5名
パワーユニット:ディーゼルターボ
排気量:1498cc
エンジン最高出力:130ps
エンジン最大トルク:300N・m
駆動方式:FF
新車の車両価格帯:312万~457.3万円
中古車の車両価格帯:249.8万~427.9万円
 

 

8.三菱 eKクロススペース(初代)

三菱 eKクロススペース(初代・現行型)▲2020年3月~2023年4月まで生産されていた初代eKクロススペース

コスパが高いSUV風スライドドア搭載車を探すなら、初代eKクロススペースに注目したい。eKスペースに軽SUVテイストを加えたモデルで、デリカミニの先代に該当する。フロントマスクはデリカミニよりデリカD:5のイメージに近く、そういう意味で絶版車でありながら古さを感じさせない。

室内は一般的な軽ハイトワゴンと同等に広くて快適。パワースライドドアはもちろん、リアシートにはスライド機構も備わる。上級グレードには三菱の先進運転支援機能「マイパイロット」が装備されるなど、安全性についても現行モデルとほぼ遜色ない。

パワーユニットは、0.66Lのガソリンエンジンと同ターボによるマイルドハイブリッドシステムの2種類が用意されている。なお、2022年9月以降は上級グレードとして「プレミアム」系が追加設定されているのもポイント。マイパイロットや、移動物検知機能付きマルチアラウンドモニター機能を搭載する「デジタルルームミラー」が標準装備されている。
 

三菱 eKクロススペース(初代・現行型)▲インテリアは大人なムードで、軽自動車のイメージを覆すほどだ

カーセンサー掲載台数は約340台で、そのうち120台がターボ車となっている。装備が充実した2022年9月以降のモデルは60台ほど。プレミアム系はさらに少なく、20台以下だ。

車両平均価格は約147万円。ガソリンエンジンのマイルドハイブリッド車が総額100万円前後、ターボでも総額110万円前後から狙える。
 

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三菱 eKクロススペース(初代) × 全国

【初代eKクロススペースの注目データ】
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1780~1800mm
室内寸法:室内長2200mm×室内幅1335mm×室内高1400mm
燃費(WLTCモード):16.4~20.8km/L
乗車定員:4名
パワーユニット:マイルドハイブリッド(ガソリンエンジン/同ターボ)
排気量:659cc
エンジン最高出力:52~64ps
エンジン最大トルク:60~100N・m
モーター最高出力:2.7ps
モーター最大トルク:40N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:165.6万~220万円
中古車の車両価格帯:85万~213万円
 

 

ファミリーカー向けSUVを検討するのもアリ

ここまでSUV風スライドア搭載車をオススメしてきたが、中には「もっとスポーティな車が欲しい」「アウトドアなどでガシガシ使いたい」といった人もいるだろう。その場合はクロスオーバーSUVを検討するのも一案だ。

スライドドアは確かに便利だが、ファミリーユースであっても「スライドドアがないと絶対に無理」という人は少ないだろう。走行性能やアウトドアでの使い勝手などの優先度が高く、スライドドアにこだわりがないなら、ファミリーカー向けSUVの方がニーズにマッチするかもしれない。

SUV風スライドア搭載車と比べたファミリーカー向けSUVのメリットとデメリットは次のとおり。この特徴を把握したうえで、どちらが自分に向いているか見極めてほしい。

ファミリーカー向けSUVのメリット
ファミリーカー向けSUVのメリットは、走行性能の高さ。SUV風スライドア搭載車と比べてコーナリングに優れ、スポーティな走りを楽しめる。

悪路走破性の高さもポイントだ。街乗りメインとはいえ最低地上高が高められ、車種によっては本格的な4WDシステムも搭載している。荷室の使い勝手もSUV風スライドア搭載車に勝るとも劣らない。また、選択肢が比較的多く、自分好みの車種を見つけやすいことも魅力だろう。
 

トヨタ ライズ(初代・現行型)▲ファミリーカー向けSUVの中には燃費性能に優れた車種も。画像はトヨタ ライズ(初代・現行型)

ファミリーカー向けSUVのデメリット
ファミリーカー向けSUVは、SUV風スライドア搭載車と比べると室内が狭い傾向にある。多人数乗車が可能な車種もラインナップされているが、居住性では劣勢。荷室容量も不利だ。

ヒンジドアなので、乗降性は良くもないが、悪くもないといったところ。フロアが高くて乗り降りするのも一苦労ということはないが、やはりSUV風スライドア搭載車ほど楽ではない。
 

マツダ CX-80(初代・現行型)▲2列目にキャプテンシートを採用してミニバンのようにくつろげる車種もある。画像はマツダ CX-80(初代・現行型)
 

オススメのファミリーカー向けSUV7選

というわけで、ここからはファミリーカー向けSUVをオススメ。日常使いから家族旅行まで、多様なニーズに応えるべく個性豊かな7車種を厳選した。
 

 

1.トヨタ ライズ(初代・現行型)

トヨタ ライズ(初代・現行型)▲2019年11月に登場した初代ライズ。ダイハツ ロッキーとは兄弟車の関係だ

5ナンバー枠という限られたボディサイズの中で、車内空間を目いっぱい大きく。ライズはコンパクトカーの利便性とSUVの頼もしさが融合されたクロスオーバーで、日常使い中心のファミリーにもってこいだ。

余裕あるヘッドクリアランスのおかげで、後席の居住空間も快適。荷室を上下2段に分けるデッキボードを設置するなど、利便性を高める工夫が多く見られる。街乗りから週末のドライブまで幅広く活躍してくれるだろう。

パワーユニットは当初1Lガソリンターボのみだったが、2021年11月にラインナップが変更。4WD車は従来の1Lターボ車だが、2WD車に1.2Lガソリン車と、エンジンで発電してモーターで駆動する「シリーズ式」のハイブリッド車が追加されている。燃費性能も良好で、ハイブリッド車ならWLTCモードで28.0km/Lというのも長所だ。
 

トヨタ ライズ(初代・現行型)▲シートヒーターやコンセントなど、車内にはアウトドアで便利な装備も

カーセンサー掲載台数は約4600台。年式別で見ると、デビュー翌年の2020年式に全体の約3割が集中している。パワーユニット別では1.0Lガソリンターボ車が多数派。2WD車が圧倒的に多く、4WD車は全体の2割ほどだ。一方、ハイブリッド車は全体の2割程度だ。

車両平均価格は約199万円前後で、総額140万円前後から狙うことが可能。走行距離3万km未満の物件でも総額150万円前後から見つけることができる。
 

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トヨタ ライズ(初代・現行型) × 全国

【初代ライズの注目データ】
ボディサイズ:全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mm
室内寸法:室内長1955mm×室内幅1420mm×室内高1250mm
燃費(WLTCモード):17.4~28.0km/L
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンエンジン/ハイブリッド
排気量:996~1196cc
エンジン最高出力:82~98ps
エンジン最大トルク:105~140N・m
モーター最高出力:106ps
モーター最大トルク:170N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:167.9万~244.2万円
中古車の車両価格帯:110.1万~339万円
 

 

2.ホンダ ヴェゼル(2代目・現行型)

ホンダ ヴェゼル(2代目・現行型)▲2021年4月に登場した2代目ヴェゼル。初代から大きくイメージチェンジした

2代目ヴェゼルはコンパクトSUVの王道的モデルで、ファミリーユースにも対応する懐の深さが魅力だ。ボディはコンパクトクラスとしてはやや大きめで、クーペの流麗さとSUVをクロスオーバーさせたスタイル。リアドアのドアハンドルをピラー部に埋め込み、すっきりと見せるデザインも秀逸だ。

クーペライクなスタイルだけに室内の広さが気になるところだが、ヘッドクリアランスなどには思いのほか余裕がある。後席座面を前席より高めにすることで、見晴らしも良好。こうしたパッケージの巧みさは、ホンダの得意とするところだ。

パワーユニットは1.5Lガソリンエンジンと、同排気量のハイブリッド「e:HEV」の2種類。ハイブリッド車は低燃費なだけでなく、モーター走行中心で静粛性も高い。家族でのドライブも盛り上げてくれるだろう。
 

ホンダ ヴェゼル(2代目・現行型)▲水平基調のすっきりとしたインテリア。上質感もある

カーセンサー掲載台数は約2480台で、その9割近くがe:HEV車。グレード別では「Z」が6割強を占める。フロントグリルなどのデザインが変更された2024年4月以降のモデルも比較的多いのもうれしいところだ。

車両平均価格は約289万円だが、総額220万円前後から検討可能。ただ。走行距離1万km以内の物件でも総額240万円前後から見つけることができる。
 

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ホンダ ヴェゼル(2代目・現行型) × 全国

【2代目ヴェゼルの注目データ】
ボディサイズ:全長4330~4340mm×全幅1790mm×全高1580~1590mm
室内寸法:室内長2010~2020mm×室内幅1445mm×室内高1225~1240mm
燃費(WLTCモード):15.0~26.0km/L
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンエンジン/ハイブリッド
排気量:1496cc
エンジン最高出力:106~118ps
エンジン最大トルク:127~142N・m
モーター最高出力:131ps
モーター最大トルク:253N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:227.9万~377.6万円
中古車の車両価格帯:209.8万~495万円
 

 

3.トヨタ RAV4(4代目・現行型)

トヨタ RAV4(4代目・現行型)▲2019年4月にデビューした4代目 RAV4。先代の生産終了から2年半後の復活となった

かつてシティ派のSUVとして名をはせたRAV4。現行型の4代目ではアウトドア志向のルックスとなり、ボデイもミドルサイズに成長している。「休日は家族でアウトドアを楽しみたい!」という人にはピッタリだろう。

室内は十分な広さを確保。後席は足元空間やヘッドクリアランスに余裕があるうえ、後席ドアの後部にあるクオーターウインドウによって室内も明るい。オプションの大型パノラマムーンルーフを装備すれば、さらに開放的な雰囲気となる。

本格的な4WDシステムも美点のひとつだ。搭載する「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は前後トルク配分および後輪の左右トルク配分も独立して制御。コーナリング性能やオフロード性能の両面を高めている。もちろんFFも用意されるが、ドライブ好きな人には断然4WDがオススメだ。
 

トヨタ RAV4(4代目・現行型)▲2列シートに割り切った分、後席居住空間の快適さは特筆もの

カーセンサー掲載台数は約2610台。駆動方式別では全体の9割が4WD車を占める。パワーユニット別ではガソリン車が最多。ハイブリッド車は約740台で、2022年10月からグレード扱いとなったプラグインハイブリッド車(2022年10月まではRAV4 PHVとして別車種扱い)は約10台ほどだ。

平均車両価格は約310万円で、走行距離にこだわらないなら総額200万円前後から狙うことが可能。5万km以内なら総額230万円前後から探すことができる。
 

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トヨタ RAV4(4代目・現行型) × 全国

【4代目RAV4の注目データ】
ボディサイズ:全長4600~4610mm×全幅1855~1865mm×全高1685~1735mm
室内寸法:室内長1890mm×室内幅1515mm×室内高1230mm
燃費(WLTCモード):15.2~22.2km/L
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンエンジン/ハイブリッド/プラグインハイブリッド
排気量:1986~2487cc
エンジン最高出力:171~178ps
エンジン最大トルク:207~221N・m
モーター最高出力:前120~182ps/後54ps
モーター最大トルク:前202~270N・m/後121N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:260.8万~566.2万円
中古車の車両価格帯:158万~556.3万円
 

 

4.日産 エクストレイル(4代目・現行型)

日産 エクストレイル(4代目)▲2022年7月に登場した4代目エクストレイル。3代目アウトランダーとプラットフォームを共有している

ミドルクラスSUVにして、3列シート実現しているエクストレイル。現行型となる4代目は全車ハイブリッドとなり、走行性能もユーティリティも抜群。ファミリーカーとしても上々の1台に仕上がっている。

室内がただ広いだけでなく、仕立ても上質。後席はシートスライド機構を備えつつ、中央部のみを前倒して長尺物を置ける優れた作りだ。3列目シートも十分な座面面積を確保。折りたたむとダイブダウンして荷室の邪魔にならない。荷室容量は5名乗車時でも最大575L(2列シート車)とクラストップレベルだ。

気になるハイブリッドシステムは、全速度域をモーターで駆動する「e-POWER」。組み合わされるエンジンは1.5Lガソリンとなっている。また、4WDにはトラクションを細かく制御する「e-4ORCE(イー・フォース)」も採用。オンロードでの姿勢制御に貢献するのはもちろん、オフロードもパワフルに走破してくれる。
 

日産 エクストレイル(4代目)▲インテリアには、本革などの豪華なマテリアルを贅沢に採用

カーセンサーでの掲載台数は約500台で、そのほとんどが4WD車となっている。乗車定員別では5人乗りが9割以上で、7人乗りは10台前後と希少だ。グレード別では、最上級グレードの「G」が半数以上を占める。

車両平均価格は約406万円で、総額330万円前後からでも狙うことが可能。7人乗りの場合は総額380万円前後から検討できる。
 

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日産 エクストレイル(4代目・現行型) × 全国

【4代目エクストレイルの注目データ】
ボディサイズ:全長4660~4675mm×全幅1840mm×全高1715~1720mm
室内寸法:室内長1980~2530mm×室内幅1540mm×室内高1255mm
燃費(WLTCモード):18.3~19.7km/L
乗車定員:5~7名
パワーユニット:ハイブリッド
排気量:1497cc
エンジン最高出力:144ps
エンジン最大トルク:250N・m
モーター最高出力:前204ps/後136ps
モーター最大トルク:前330N・m/後195N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:319.9万~533.3万円
中古車の車両価格帯:278万~549.8万円
 

 

5.スバル フォレスター(5代目・現行型)

スバル フォレスター(5代目・現行型)▲5代目となる現行型は2018年7月に登場。デビューから6年半経っても古さを感じさせない

アウトドアユースを意識しながらも走りにスポーティさを求めるなら、5代目フォレスターが有力だ。クロスオーバーSUVの先駆車だが、同カテゴリーの車種が増えた現在では“ホンモノ感”すら感じさせる。

パワーユニットは当初、2L水平対向ガソリンエンジンにモーターを組み合わせた「e-BOXER」と、2.5L水平対向ガソリンエンジンを用意。2020年10月からは2.5Lに代わり、1.8L水平対向ガソリンターボエンジンに変更されている。トランスミッションは7速マニュアルモード付きCVT「リニアトロニック」が組み合わせれらる。

特筆すべきはシャシーの出来。SUVらしく背が高いのに、重心の低いスポーツカーライクな走りを披露する。全グレード4WDとしているのも大きな特徴だ。もちろん走りだけでなく、荷室の使い勝手も優秀。後席の格納を荷室壁面のレバーで行え、ワンタッチで長さ155cm×幅160cm程度のフロアが顔を出す。
 

スバル フォレスター(5代目・現行型)▲インテリアのデザインはSUVらしく、ギア感が漂う

カーセンサー掲載台数は約1030台前後で、そのおよそ半数がe-BOXER車。グレード別ではオフロードテイストな外観をもつ「エックスブレイク」よりも、高級装備となる「アドバンス」の割合が意外に多い。年式別では2018~2023年式までが比較的満遍なく分布している。

車両平均価格は約267万円で、走行距離にこだわらなければ総額170万円前後から検討が可能。一方で、5万km以内ならガソリン車が総額180万円前後、e-BOXER車が総額190万円前後から狙える。
 

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スバル フォレスター(5代目・現行型) × 全国

【5代目フォレスターの注目データ】
ボディサイズ:全長4625~4640mm×全幅1815mm×全高1715~1730mm
室内寸法:室内長2110~2130mm×室内幅1545mm×室内高1270~1275mm
燃費(WLTCモード):13.2~14.0km/L
乗車定員:5名
パワーユニット:ガソリンエンジン/同ターボ/マイルドハイブリッド
排気量:1795~2498cc
エンジン最高出力:145~184ps
エンジン最大トルク:188~300N・m
モーター最高出力:13.6ps
モーター最大トルク:65N・m
駆動方式:4WD
新車の車両価格帯:280.8万~385万円
中古車の車両価格帯:151万~428万円
 

 

6.マツダ CX-80(初代・現行型)

マツダ CX-80(初代・現行型)▲2024年10月に登場した初代CX-80。その名のとおり、CX-8の後継機に該当する

ファミリーカー向けSUVといえば、初代CX-80を忘れてはならない。その特徴を簡単に説明するなら「ミドルサイズSUVであるCX-60のボディを延長した3列シート車」という感じ。ただし、室内の広さも乗り味も、CX-60とは別モノと言っていいだろう。

内外装のデザインなどはCX-60とほぼ共通。3列目シートはエマージェンシー的な作りではなく、大人がきちんと座れるサイズ。運転席はパワーシートが標準で、セカンドシートにも独立して温度、風量を調整できるエアコンが備わる。マツダのフラッグシップSUVにふさわしい、豪華な装備となっている。

また、乗り心地も上質さが追求。ロングホイールベース化と重量増の好影響によって、高速走行時の走行安定性が高められている。パワーユニットは3種類。3.3Lディーゼルターボエンジンとそのハイブリッド、さらに2.5Lガソリンエンジンのプラグインハイブリッドだ。
 

マツダ CX-80(初代・現行型)▲SUVながら、3列目まで開放感を感じる広々とした居住空間が特徴

2024年10月の登場なので、カーセンサー掲載台数は10台前後と少なめ。当然すべて低走行車で、走行距離が延びていても2000kmほどだ。パワートレイン別に見るとディーゼル車がほとんどで、グレードは中間の「XD Lパッケージ」が多い。

車両平均価格は約487万円。総額490万円前後から見つけることができる。中古車価格はいまだ高めだが、条件に合う物件があれば、中古車での購入を検討するのもひとつの手だ。
 

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マツダ CX-80(初代・現行型) × 全国

【初代CX-80の注目データ】
ボディサイズ:全長4990mm×全幅1890mm×全高1705~1710mm
室内寸法:室内長2650mm×室内幅1550mm×室内高1211~1233mm
燃費(WLTCモード):12.9~19.2km/L
乗車定員:6~7名
パワーユニット:ディーゼルターボ/マイルドハイブリッド/プラグインハイブリッド
排気量:2488~3283cc
エンジン最高出力:188~254ps
エンジン最大トルク:250~550N・m
モーター最高出力:16.3~175ps
モーター最大トルク:153~270N・m
駆動方式:FR/4WD
新車の車両価格帯:394.4万~712.3万円
中古車の車両価格帯:458万~635万円
 

 

7.メルセデス・ベンツ GLB(初代・現行型)

メルセデス・ベンツ GLB(初代・現行型)▲2020年6月に登場した初代GLB・クロスオーバーから本格オフローダーまで幅広いSUVラインナップをもつメルセデス・ベンツの中でも新しい世代となる

輸入車のファミリーカー向けSUVを検討している初代GLBがオススメだ。メルセデス・ベンツらしいデザイン性と走りの良さが特徴だが、それだけでなく広い室内と3列シートで、子育て世代の要望に応えてくれる。

エクステリアは本格四駆であるGクラスからインスピレーションを受けたスクエアなデザインを採用。プラットフォームは2代目GLAと共通だが、ボディサイズは一回り大きくなっている。日本では全車7人乗り仕様で、室内には余裕がある。3列目は本国では「身長168cm以下の乗員のみ使用可能」と安全面から注意を促されているが、決して窮屈でなく、小さな子供が乗るなら問題なしだ。

パワーユニットは当初2Lディーゼルターボと2Lガソリンターボをラインナップ。その後、ガソリンターボ車は1.3Lに変更され、現在は1.3Lガソリンターボのマイルドハイブリッド車と2Lディーゼルターボの二本立てとなっている。トランスミッションはツインクラッチ式の「8G-DCT」が組み合わされ、小気味よい走りを堪能できる。
 

メルセデス・ベンツ GLB(初代・現行型)▲真円のエアコン吹き出し口が並ぶ、スポーティなデザインのインパネまわり

カーセンサー掲載台数は310台。パワートレイン別ではディーゼル車が約250台と最多で、次に1.3Lガソリンターボ車が続く。2Lガソリンターボ車は約10台と希少だ。年式別で見ると、「デビュー直後の2020年式から直近まで、比較的満遍なく分布している。

車両平均価格は約550万円。走行距離を気にしなければ総額300万円台後半、5万km以内なら総額400万円前後から見つけることができる。
 

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メルセデス・ベンツ GLB(初代・現行型) × 全国

【初代GLBの注目データ】
ボディサイズ:全長4634~4660mm×全幅1834~1845mm×全高1700~1706mm
室内寸法:メーカー非公表
燃費(WLTCモード):12.0~17.5 km/L
乗車定員:7名
パワーユニット:ガソリンターボ/ディーゼルターボ/マイルドハイブリッド
排気量:1331~1991cc
エンジン最高出力:136~224ps
エンジン最大トルク:230~350N・m
モーター最高出力:10kW(13.6ps)
モーター最大トルク:58N・m
駆動方式:FF/4WD
新車の車両価格帯:512万~815万円
中古車の車両価格帯:345.8万~810万円
 

 

【Q&A】スライドドアのSUVに関するよくある質問

Q.スライドドアSUVは今後登場する?
A.トヨタは2017年の第45回「東京モーターショー」で「Tjクルーザー」というスライドドア搭載SUVのコンセプトカーを公開。SUVとスライドドアはニーズが高い組み合わせだけに、発売を期待する声も多いが、現状では登場の予定はなし。そのため、SUV風スライドア搭載車やファミリーカー向けSUVの中から選ぶのが現実的だろう。

Q.スライドドア搭載車にデメリットはある?
A.スライドドアを搭載するデメリットは、車重が増すこと。ボディが重くなると走行性能や燃費性能で不利となる。さらに、自動車重量税なども高くなるし、タイヤの消耗が早くなるなどメンテナンス費用もかさみやすい。これらの短所を把握したうえで、乗り降りのしやすさなどの長所とてんびんにかけて、本当にスライドドアが必要か判断しよう。

Q.SUV風ミニバンを中古車で選ぶ際の注意点は?
A.基本的には普通の車と変わらないが、あえて注意点を挙げるとすればスライドドアの動作。ヒンジドアよりも構造が複雑な分、不具合を起こしやすい。特に電動スライドドアは故障すると修理費が高くつくので、要チェックだ。また、アウトドアユースが想定されるので、ボディ下面にキズや凹みなどがないかも念入りに確認したい。
 

※記事内の情報は2025年2月15日時点のものです。
 

文/綱島剛(DOCUMENT) 写真/尾形和美、三菱、スズキ、ダイハツ、トヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、ルノー、シトロエン、メルセデス・ベンツ
綱島 剛

自動車ライター・編集

綱島 剛

編集プロダクションを経てカーセンサー編集部に所属。「日刊カーセンサー」のデスクを経て、2016年に独立した。現在は某住宅情報誌の副編集を務めながら、ライター・編集として車や住宅、防災など生活に関わる記事を制作。最近ではキャンピングカーに注目し、情報収集にいそしんでいる。

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