ES ▲程よくプレミアムな存在感と広大な室内空間で人気となっている「レクサス ES」の中古車平均価格が、この1年間で80万円以上ダウンしています。比較的手頃な予算でレクサス ESが狙えるようになってきた今、具体的にはどのグレードを選べばより高コスパな選択となるのか? 考えてみることにしましょう!

昨年3月からの1年間で平均価格は80万円以上ダウン

現行型レクサス ESは、日本では2018年10月に発売されたミッドサイズのプレミアムセダン。圧倒的なまでの乗り心地のよさと静粛性の高さ、そしてFFレイアウトゆえの広大室内空間により大人気となっているモデルです。

そんなレクサス ESの中古車価格が今、大きくダウンしています。
 

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2022年中はほぼ横ばいのペースで推移していたのですが、2023年に入ると緩やかなダウントレンドへと転換し、平均価格はそのままズルズルと下降。結果として2024年2月時点の中古車平均価格は444.1万円となり、前年3月比で実に80.9万円ものダウンを記録するに至りました。

比較的お買い得な価格となってきた現行型レクサス ESの中古車をこれから購入するのであれば、具体的にはどのグレードをいくらぐらいで狙うのが得策となるのでしょうか?

次章以降、検討してみることにしましょう。
 

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レクサス ES(現行型) × 全国
 

1. モデル概要:グローバル市場で愛され続けてきたFFプレミアムサルーン

レクサス ESは、そもそもは北米や中東、アジアなどで1989年から販売されてきたプレミアムクラスの中型FFサルーン。2~4代目は「トヨタ ウィンダム」として日本市場でも販売されましたが、5代目以降は輸出専用車に。2018年10月に日本市場へ導入された現行型は、レクサス ESとしては通算7代目にあたるモデルです。

高剛性かつ低重心な「GA-Kプラットフォーム」に載るボディはワイド&ローの流麗なプロポーションをもち、ボディサイズは全長4975mm×全幅1865mm×全高1445mm。後方に配置されたAピラーと傾斜したCピラーにより、かなり広い室内空間を確保しながらも、スポーティで引き締まったシルエットを実現しています。
 

ES▲こちらが現行型レクサス ESの前期型。写真のグレードは“バージョンL”
ES▲機能的にもデザイン的にもスポーティな“Fスポーツ”のリアビュー
ES▲グレードやオプションによって細部は微妙に異なるが、レクサス ESの運転席まわりはおおむねこのような造形。写真のグレードは“バージョンL”
ES▲たっぷりとしたサイズ感のフロントシート。“バージョンL”はセミアニリン本革シートを採用する
 

前輪を駆動するパワートレインは、最高出力178psの2.5L直4エンジンに同120psのモーターを掛け合わせたハイブリッドユニット。システム最高出力は218psで、トランスミッションは電気式無段変速機が採用されました。

世界トップレベルの先進安全技術をうたう予防安全パッケージ「レクサスセーフティシステム+」は全車標準装備で、量産車としては世界初採用となる「デジタルアウターミラー」も採用。このミラーは夜間や雨天時もクリアな視界を確保し、右左折時や後退時などには表示エリアを拡大して死角を低減。また従来型のドアミラーに代えて小型カメラを採用したことにより斜め前方の視界が拡大し、風切り音の低減にも寄与しています。

グレードバリエーションは標準モデルの「ES 300h」と、装備が充実した「ES 300h“バージョンL”」、スポーティな内外装を特徴とする「ES 300h“Fスポーツ”」の3種類。2021年8月にはマイナーチェンジを行い、内外装デザインを変更するとともに、乗り心地とドライブフィールに関わる部分を徹底的にブラッシュアップ。また「レクサスセーフティシステム+」の内容やデジタルアウターミラーのカメラ性能も進化を遂げています。
 

ES▲こちらが2021年8月以降の後期型。フロントグリルのデザインが前期型とは大きく異なっている
ES▲後期型はマルチメディアシステムをタッチディスプレイ化。その搭載位置も、ドライバーの手が届きやすいように10cmほど近づけられている
 

2. 価格状況&考察:2回目車検を前にして増加した流通量が平均価格ダウンの要因か

2022年中は中古車の流通量がさほど増えていなかった現行型レクサス ESでしたが、2023年の春頃から増加傾向がスタートし、同年秋には比較的大きくジャンプアップ。そして2024年1月には、中古車流通台数は500台を突破しました。で、この流れに連動する形で中古車平均価格はじりじりとダウンし、結果として2024年2月の時点で444.1万円までダウンしています。

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現行型レクサス ESの中古車平均価格が今回比較的大きくダウンしたのは、この「流通量増加」が主たる原因であると見ていいでしょう。

2023年というのは、初期に数多く納車されたレクサス ESにとっては「2回目の車検を受ける年」にあたっていました。で、最近のユーザーは「5年払いの残価設定ローン」を使ってプレミアムな新車を購入するケースがけっこう多いものです。

そのため2023年の秋頃には、「2回目の車検は受けずに手放す(乗り替える)」と決めたユーザーのES初期モデルが中古車市場に数多く流れてきました。また、もう少し早いタイミングで乗り替えを決意した人は、同年の春から夏にかけてのタイミングでESを手放したはずです。

こういった「よくある理由で中古車の流通量が増えた→それを受けて市場の平均価格はほぼ自動的に、必然的に下がった」というのが、おそらくは今回の大幅ダウンの真相です。機構面における何らかのネガティブ要因によって下がったわけではないため、中古車を探す際に心配すべきポイントは「特にない」と言ってしまっても構わないでしょう。

それでは次章、「具体的なオススメグレード」について考えてまいります。
 

 

3. 中古車のオススメ:安さ重視なら総額300万円台の「ES 300h」

「とにかくなるべくお安い予算で現行型レクサス ESが買いたい!」というのであれば、狙い目は総額340万~380万円付近のベースグレード、すなわち「ES 300h」になります。

前述したとおり直近のレクサス ESの中古車平均価格は車両440.1万円ですが、それよりも断然お安い「総額340万~380万円」で走行3万km台から6万km台のESが買えるというのは、なかなか悪くない話です。
 

ES▲ベースグレードのES 300hであっても、そこはレクサス。走りや装備内容に不満を覚えることはほとんどないはず(※写真はバージョンL)
 

そして最廉価グレードであるES 300hではありますが、とはいえ「レクサスのベースグレード」ですので、いわゆる豪華装備の類は普通に豪華です。例えば「ES 300h“バージョンL”」とは主に下記の点が異なりますが、このあたりがさほど気にならないのであれば、総額300万円台のES300hはけっこうお買い得だと言えるでしょう。

【バージョンLとの違い】
・シート表皮がセミアニリン本革ではなくL-tex(合成皮革)
・ヘッドランプは三眼フルLEDヘッドランプ&LEDシーケンシャルターンシグナルランプではなく、普通のLEDが標準
・18インチノイズリダクションアルミホイールではなく17インチアルミホイール
・バージョンLはパフォーマンスダンパー、ベースグレードは普通のダンパー
・その他

前述したとおりES 300hでも基本的な装備レベルは十分以上ですので、明らかに不満を覚えてしまう箇所はほぼないはずです。
 

ES▲ES 300hでは「ハンズフリーパワートランクリッド」は標準装備ではなくオプション扱い。ただしこういった類の装備は、なければないで特段の不自由や不満を感じずにいられる場合が多いものだ
 

ただ、唯一の問題は「ES 300hは中古車の流通量が少ない」ということです。

レクサス ESのようなプレミアムセダンは「多くの人が上級グレードを選択する」という傾向があるため、ベースグレードであるES 300hは全体の1割にも満たない26台しか流通していません。そしてその中でも、総額380万円以下の物件は11台しかありません(※2024年3月下旬現在)。

そのため「なるべくお安い予算で現行型レクサス ESが買いたい!」と考えるのであれば、「そもそも希少な物件を素早く、根気強く探し続ける」という努力はどうしても必要になります。
 

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4. 中古車のオススメ:コスパ重視なら総額400万円前後のバージョンLまたはFスポーツ

「できるだけ安い物件を!」ではなく「できるだけ高コスパなレクサス ESが買いたい!」と考えるのであれば、狙うべきはマイナーチェンジ前の「ES300h バージョンL」または「ES300h Fスポーツ」です。この2つのうちいずれかお好みの方を、総額390万~430万円ぐらいで探してみることをオススメします。
 

ES▲快適性を追求しているバージョンL
ES▲こちらは“スポーティであること”を重視しているFスポーツ
 

ご承知のとおりバージョンLは最上級の快適性と安全性を求めたグレードで、Fスポーツはスポーティな意匠と機能を追求したグレード。それぞれの主な特徴は下記のとおりです。

【ES 300h バージョンL】
・シート表皮はセミアニリン本革
・ヘッドランプは三眼フルLEDヘッドランプ&LEDシーケンシャルターンシグナルランプ
・18インチノイズリダクションアルミホイール装着
・切れ味と乗り心地のよさが両立するパフォーマンスダンパー採用
・後席電動リクライニング機能
・運転席10Way&助手席8Way調整式パワーシート
・カラーヘッドアップディスプレイ
・ハンズフリーパワートランクリッド (挟み込み防止機能付)
・パーキングサポートブレーキ (後方接近車両)& (後方歩行者)
・ブラインドスポットモニター
・その他
 

ES▲“バージョンL”のインテリア。写真のインテリアカラーは「リッチクリーム」
 

【ES 300h Fスポーツ】
・ショックアブソーバーの減衰力を車両状態の変化に応じて最適に電子制御するNAVI・AI-AVS搭載
・ドライブモードセレクトは「Eco」「Normal」に加えて「Sport S」「Sport S+」「Custom」も
・Fスポーツ専用スピンドルグリル
・Fスポーツ専用フロントシート
・その他
 

ES▲Fスポーツは重厚感のある専用スピンドルグリルを採用
ES▲Fスポーツの運転席まわり。写真のインテリアカラーはFスポーツ専用色の「フレアレッド」
 

バージョンLとFスポーツの差は「優劣」ではなく「個性の違い」です。当たり前の話で恐縮ですが「ラグジュアリーな車が好き」というのであれば選ぶべきはバージョンLですし、「スポーティなセダンが好みだ」という人にはFスポーツがオススメとなります。

どちらも中古車価格はピンからキリまで様々ですが、両グレードとも総額390万~430万円付近で高コスパな1台が見つかることでしょう。
 

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レクサス ES(現行型) × ES 300h Fスポーツ × 全国
 

5. 中古車のオススメ:後期型狙いなら総額500万円台のバージョンLまたはFスポーツ

レクサス ESは2021年8月にマイナーチェンジを行い、フロントグリルやフロントバンパー、アルミホイールなどのデザインを変更。また、FスポーツにはLEXUSロゴ入りオレンジブレーキキャリパーなどが採用されました。さらに、サスペンションやシャシーの改良によって静粛性や乗り心地、運動性能が改善され、予防安全装備のアップデートも行われています。
 

ES▲後期型のフロントグリルは「L」の字をモチーフとしたメッシュパターンに変更された
ES▲後期型Fスポーツのフロントブレーキキャリパーは「LEXUS」のロゴが入ったオレンジ塗装に。電子制御サスペンションに新型アクチュエーターを用いた「リニアソレノイド式AVS」も採用
 

そんな後期型の中古車価格は総額470万~710万円といったところ。もしも金に糸目をつけずに選ぶのであれば、「走行数千kmのバージョンLまたはFスポーツを総額600万円台で探す」というのがモデルケースとなるでしょう。

しかし、もうちょっと予算面のことも考慮しながら探すのであれば、総額540万~590万円付近のバージョンLまたはFスポーツがちょうどいい狙い目かもしれません。このあたりの価格帯でも走行距離は1万km台からせいぜい2万km台であり、オプション装備も普通に充実しています。最高値圏の物件と比べてしまうと若干劣る部分もあるでしょうが、コスパの面では大いに秀でています。
 

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レクサス ES(現行型) × ES 300h バージョンL × 2021年8月以降 × 全国

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レクサス ES(現行型) × ES 300h Fスポーツ × 2021年8月以降 × 全国

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文/伊達軍曹 写真/レクサス、尾形和美
※記事内の情報は2024年3月15日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、さまざまな自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。