MAZDA6(初代)▲前身となるアテンザの登場から約22年が経ち、ついに日本での販売が終了するMAZDA6(写真右)

MAZDA6の日本国内での販売終了を発表

マツダのフラッグシップモデルであるMAZDA6セダン&ワゴンが、今年4月に販売を終えることがアナウンスされた。

同車の前身であるアテンザの初代が登場した2002年は、フォード傘下でようやく黒字に転じた頃。だからマツダ復活ののろしとも言えるモデルだった。

それから約22年、フラッグシップとしてブラッシュアップを繰り返し、2019年7月に車名をMAZDA6に切り替えてまで登場したのだが……。登場から5年足らずで日本国内から姿を消すことになってしまった。

この記事では、MAZDA6の魅力を再確認するとともに、現在の中古車価格や流通台数をチェックしていこう。
 

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【モデル概要】アテンザが前身の上質なスポーティセダン&ワゴン

先述のとおり、MAZDA6の前身はアテンザだ。2012年11月に登場した3代目アテンザが、2019年7月のマイナーチェンジのタイミングで、車名をグローバルで共通となるMAZDA6に変更。ボディタイプはセダンとステーションワゴンがあり、この時点での内外装の変更はない。

そこで、MAZDA6を説明する前に、アテンザの最終型について簡単に触れておこう。

同社のデザイン哲学「魂動デザイン」による流麗なセダンスタイルを備え、フラッグシップにふさわしい新機能や快適機能、しつらえが注ぎ込まれたアテンザ。

先進運転支援機能「i-アクティブセンス」や、コーナリング時の姿勢をスムーズな加速と安定感を生む「G-ベクタリングコントロール」は全車標準装備され、高い走行性能を誇っていた。

マツダ アテンザセダン▲こちらは最終型アテンザセダン。マツダのデザイン思想である魂動デザインを惜しげもなく取り入れた流麗なスタイルが特徴

搭載されたエンジンは、豊かなトルクと低燃費が魅力の2.2Lディーゼルターボと、トルクと低燃費を両立させた2Lおよび2.5Lエンジンの3種類。

いずれもマツダらしく車との一体感ある走りを味わえ、スポーティな走りが楽しめるセダン&ワゴンだ。同社にはロードスターというスポーツカーがラインナップされているが、ロードスターが「ひらりひらり」とした軽快な走りを楽しめるのに対し、アテンザはフラッグシップにふさわしい大人の落ち着いたスポーティさをもつのが特徴だ。
 

マツダ アテンザワゴン▲一方の最終型アテンザワゴン。近年では希少となった国産のラージサイズステーションワゴンだった

そして2019年7月にMAZDA6へと車名を変更。ただし、実質的には最終型のアテンザのマイナーチェンジモデルという立ち位置となる。

先述の通り、内外装のデザインこそ大きな変更はなかったが、新たに2.5Lターボエンジンが追加されている。このエンジンは420N・mという4L V8自然吸気エンジン並みのトルクを発揮。アクセルレスポンスも高く、より一層フラッグシップにふさわしい力強い加速フィールとゆとりある走りを手に入れたが、残念ながら2022年12月の一部改良時にラインナップから外れている。

また、「G-ベクタリングコントロール」の進化版である「G-ベクタリングコントロールプラス」が全車に標準装備されたのも大きなトピックスだ。ドライバーの技量によらず、低速から高速の様々なシーンで車を操る気持ち良さを味わえるようになっている。

マツダ アテンザ▲内外装デザインこそ最終型アテンザから大きな変更はないが、細かく年次改良を加えるマツダらしくしっかりと進化している
マツダ アテンザワゴン▲セダン・ワゴンともに各種特別仕様車もラインナップされた。写真はスポーツ アピアランス

その他、細かい部分にも変更が加えられている。

例えば、マツダコネクトがApple CarPlayやAndroid Autoに対応したのもMAZDA6になったときだ。

また、2022年12月の一部改良で、高速道路を走行する際に、車速だけでなく、ステアリング操作のアシストも加わるようになった。
 

MAZDA6(初代)▲フラッグシップモデルらしく、マツダ車として最上級の素材が奢られるなど、質感の向上が図られた。写真は特別仕様車の20thアニバーサリーエディション
MAZDA6(初代)▲写真は最終型アテンザの車内だが、MAZDA6もおおむねこのような感じ。ワイド感とスピード感、エレガンスの質感が高められている
MAZDA6(初代)▲ワゴンのラゲージ容量は通常で506L、リアシートを倒すと1648L。また、同社のSUVにも採用されているカラクリトノカバーが備わる。トノカバーとリアゲートが一緒に開閉するので、荷物の出し入れがラク(写真はアテンザの2018年5月改良モデル)
 

【中古車状況】セダン、ワゴンともに流通台数はかなり少なめ

では、現在のMAZDA6の中古車状況をセダン、ワゴンに分けて見てみよう。

MAZDA6セダンの中古車状況

執筆時点のカーセンサーの掲載台数は約70台とかなり少ない。そして、中古車平均価格は約270万円と、新車時にはほとんどのグレードで300万円超え、上級グレードにおいては400万円超えだったことを考えるとかなりお得感が出てきている。

そして、登場から5年ほどしか経っていないため、平均走行距離は約2.3万kmと少ないのもうれしい。

グレード別に見ると、ディーゼルターボエンジンを搭載した「2.2XD」系が約75%を占め圧倒的に多い。また、本革シートなどが装備される上級グレード「Lパッケージ」が多いのも、フラッグシップモデルらしい。

なお、MAZDA6となったタイミングで追加された2.5L ガソリンターボエンジン搭載の「25T」系グレードは10台未満。そもそも販売期間が短かったグレードゆえ、今後増えることは考えにくい。そのため、気になる人は早めにアクションした方が良さそうだ。

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MAZDA6ワゴンの中古車状況

セダン同様、ワゴンの掲載台数もかなり少なく、執筆時点でわずか60台ほど。

しかし、中古車平均価格を見てみるとセダンよりも20万円近く安い約250万円だ。新車時価格はセダンとあまり変わらないため、掲載されている物件に違いがありそうだ。

実際、平均走行距離は約2.8万kmとやや多く、比較的価格の安い2L ガソリンエンジンの「20S」系グレードの割合も若干高い。

それでも、半数以上は「2.2XD」系が占めており、やはりディーゼルターボエンジンモデルの人気が高かったことがわかる。

ちなみに「25T」系グレードは3台と、セダン以上に少ないため。ワゴンも早めのアクションが必要と言えそうだ。

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国産各メーカーのフラッグシップモデルはセダンではなくなり、ステーションワゴンにおいては絶滅寸前という状況で、MAZDA6は貴重な存在であった。

販売が終了することで、中古車価格がこの先変化する可能性があるかどうかはわからないが、将来的な資産価値を気にして購入するよりも、マツダのフラッグシップセダン&ワゴンを存分に堪能するつもりで、乗るのが正解ではないだろうか。
 

文/ぴえいる、写真/篠原晃一、マツダ

※記事内の情報は2024年1月31日時点のものです。

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。