メルセデス・ベンツ Bクラスの中古車価格が、半年で70万円ダウンし過去最安に! 注目の輸入コンパクトカー、今オススメな選び方は?
2023/08/05
現行型Bクラスが安くなったのはいいが、買っても大丈夫なのか?
メルセデス・ベンツ Bクラスは、車内空間の広さや利便性を重視したトールワゴンタイプの輸入コンパクトカー。通算3代目となる現行型は2019年6月に発売され、初代および2代目同様にまずまずの人気を獲得しています。
しかしそんな現行型メルセデス・ベンツ Bクラスの中古車価格が、この1年間で大幅に下落しています。
下のグラフをご覧ください。
2021年から2022年途中まではおおむね横ばいといえる値動きでしたが、2022年11月頃からダウントレンドに入り、2023年からはそのトレンドが本格化。その結果、2023年6月の中古車平均価格は325.6万円となり、前年同月と比べて約71万円も安くなってしまった――というのが概況です。
中古車価格が安くなった、つまり手頃になったというのはありがたいことです。しかし、もしも大幅値落ちの原因が何らかのネガティブなものであったなら、いくら安くなったとしても、手を出さない方がいいのかもしれません。
そのあたりの事情はどうなっているのか? そして、もしも「買ってもOK!」ということであったなら、具体的には何年式のどんなグレードを、いくらぐらいの予算で狙うべきなのか?
現行型Bクラスに関するもろもろを集中的に研究してみることにしましょう。
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メルセデス・ベンツ Bクラス(3代目・現行型) × 全国モデル概要:さらに居住性が向上したコンパクトトールワゴン
まずは現行型メルセデス・ベンツ Bクラスの概要をざっとおさらいしておきます。
現行型メルセデス・ベンツ Bクラスは、メルセデス製トールワゴンである「Bクラス」としては3代目のモデルとして、2019年6月に上陸しました。
ボディサイズは全長4430mm×全幅1795mm×全高1550mmで、先代モデルより全長が約60mm、ホイールベースが30mm延長されたことで、室内空間はより拡大されています。
エクステリアは、ひと足先に発売されたAクラスなどと同じ「Sensual Purity(官能的純粋)」という考えに基づいたシンプルなデザイン。トールワゴンではありますが、厚みを抑えた形状のヘッドランプや低く構えたフロントエンドなどにより、スポーティな雰囲気が強調されています。
インテリアの基本デザインは現行型Aクラスを踏襲したもので、ボディサイズの拡大に伴い、前席の室内幅とヘッドルームの余裕は従来型以上。そして「ハイ、メルセデス」で起動する対話型インフォテインメントシステム「MBUX」の他、スマホのワイヤレスチャージング機能も全車標準装備になりました。
基本となるパワーユニットは最高出力136ps/最大トルク200N・mの1.3L直4ガソリンターボと、同150ps/同320N・mとなる2Lディーゼルターボの2種類。トランスミッションはいずれもデュアルクラッチ式ATで、ガソリンターボには7速タイプが、ディーゼルターボには8速タイプが組み合わされています。
先進安全装備は、いわゆる自動ブレーキである「アクティブブレーキアシスト」は全車標準装備。自動再発進機能付きのアダプティブクルーズコントロールや車線維持支援システムなどを含む「レーダーセーフティパッケージ」は、当初はオプションとして用意されていました。
そして2020年9月にはそのレーダーセーフティパッケージが標準装備に変わり、2023年2月に、内外装デザインと先進安全装備の変更を中心とするマイナーチェンジを行った――というのが、現行型メルセデス・ベンツ Bクラスの大まかなヒストリーです。
考察:平均価格の大幅下落は何らかのネガティブ要因ゆえか?
1年間で中古車の平均価格が70万円以上も下がると、「……何かヤバいことでもあったのか?」と不安になるものですが、結論から申し上げると、特にヤバいことは何も起きていません。
もちろん機械製品ですから「絶対に故障しない!」なんてことはないのですが、現行型メルセデス・ベンツ Bクラスは「◯◯が必ず壊れる」「××の故障でみんな困ってる」みたいな類の車では決してありません。そのあたりについては、おおむね安心していいでしょう。
ならばなぜ、現行型メルセデス・ベンツ Bクラスの中古車平均価格はこの1年間で70万円以上も下落したのでしょうか?
考えられる理由は2つあります。ひとつは「単純に初回車検の時期を迎え、多くのユーザーが乗り替えのため手放したため流通量が増え、その結果としてほぼ自動的に平均価格が下がってしまった」ということです。
上のグラフをご覧ください。現行型Bクラスは日本では2019年6月に発表されましたが、実際の納車がスタートしたのはガソリン車が同年7月頃からで、人気の高いディーゼル車は同年の10月ぐらいからでした。そしてちょうどその3年後である2022年10月頃から流通量が増え始め、2023年春にはそのペースが加速していますので、「初回車検を前に手放した初期型のオーナーはけっこう多かった」と見て、まず間違いありません。
そして第2の理由は、「人気薄というほどではないが、決して大人気のモデルではないから」ということになります。
大人気のモデルであれば、仮に初回車検を前に手放された個体が多かったとしても、その中古車は“取り合い”にも近い状況となるため、平均価格はあまり下がりません。
しかしメルセデス・ベンツ Bクラスは「シュッとしたコンパクトカー」であるAクラスと、「人気のコンパクトSUV」であるGLAに挟まれている存在です。
そんなBクラスは、良くいえば「実用的で使いやすい車」なのですが、あえて悪くいうなら「あまりシュッとしたカタチとイメージではない車。もっとハッキリ言ってしまえば野暮ったいフォルムの車」なのです。
もちろん人それぞれではありますが、多くの人は「せっかく輸入車を買うならシュッとしてるやつ(カッコいい感じのもの)を選びたい」と思うものです。そのため、シュッとしているAクラスやGLAは人気となるのですが、決して流麗なフォルムとイメージではないBクラスは、いまひとつ人気が出ないのです。
とはいえ、だからこそお安く買えるわけであり、シュッとしたフォルムではないからこそ、きわめて実用的に使える車に仕上がっているわけです。
そのため現行型メルセデス・ベンツ Bクラスという車は「カッコとイメージ優先」の人にはあまり向かないのですが、そうではない「実益重視」の人にはかなり向いています。そして、その中古車は「特にコスパが高い!」と言っていいでしょう。
以上を踏まえ、今狙い目となる現行型Bクラスの中古車物件はどんなものか、次章より検討してみることにしましょう。
「あくまで安く!」というなら初期型のB180系
→想定予算|総額250万~280万円
現行型メルセデス・ベンツ Bクラスの中古車は2023年8月上旬現在、約150台が流通しており、モデル全体の中古車価格は、支払総額210万~540万円といったところ。
ガソリンターボ車とディーゼルターボ車の割合はおおむね半々で、どちらもそれなりに豊富に流通していますが、2023年2月のマイナーチェンジを受けた後期型の中古車は、エンジン種別を問わず、まだかなり希少です。
そんな状況下で「とにかくお安く現行型Bクラスを買いたい!」と思うのであれば、狙うべきは登場初期の2019~2020年式のガソリンターボ車、つまり「B180」です。こちらであれば走行1万km台から3万km台ぐらいの物件を、総額250万~280万円ぐらいのレンジで見つけることができるでしょう。激安価格ではありませんが、車としてのクオリティやブランド性を考えれば「安い!」と言えます。
AMGスタイリングパッケージや18インチAMG5ツインスポークアルミホイール等々が付いている「AMGライン」を選ぶかどうかは、人それぞれのお好み次第でよろしいかと思います。
ただし、この世代は先進安全装備のセットである「レーダーセーフティパッケージ」が、標準装備ではなくオプション扱いでした。そのため総額250万~280万円ほどのレンジでB180を探す場合は、できれば「レーダーセーフティパッケージ」または「レーダーS」「RSP」などと表記されている中古車をチェックしてほしいところです。
ちなみに「アドバンスドパッケージ」または「アドバンスドP」などと表記されている中古車には、360°カメラシステムとヘッドアップディスプレイ、アドバンスドサウンドシステムが装備されていますので、こちらも、付いていたらラッキーです。
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メルセデス・ベンツ Bクラス(3代目・現行型) ×2019~2020年式× B180系グレード×全国「高コスパ!」を狙うなら初期型B200d
→想定予算|総額270万~300万円
「なるべく安くというよりは、“なるべくコスパのいいBクラス”を狙いたい!」という場合には、トルクフルなディーゼルターボエンジンを搭載しているB200dがいいでしょう。
これの初期型、2019~2020年式であれば総額270万~300万円ほどのレンジにて、走行1万kmから3万km台ぐらいの物件が見つかるはずです。
1.3Lの直4ガソリンターボエンジンを積むB180も決して悪くはないのですが、高速道路上り坂などで若干の力不足を感じてしまう局面はあるはずです。せっかくの“ベンツ”が力不足では、やや興ざめしてしまう部分もあるかもしれません。
しかし2L直4ディーゼルターボエンジンを搭載するB200dであれば、前述したような局面でもモリモリのトルクでもって力強く走ってくれます。そしてWLTCモード燃費はガソリンターボ車よりも3.4km分良好な18.4km/Lで、なおかつ比較的安価な「軽油」であるというのもポイントになります。
そんな素敵なディーゼルターボエンジンを搭載するB200dのネックは「とはいえ新車価格が高い」ということでした。新車価格は最初期モデルでも422万円で、2020年9月以降のレーダーセーフティパッケージが標準化された世代は452万円でした。
しかし中古車であれば、走行1万kmから3万km台ぐらいのレーダーセーフティパッケージ付き物件を、総額270万~300万円ほどで入手できるわけです。これはもう「高コスパ!」と言ってよろしいかと思います。前述したとおりフォルム的にはあまりシュッとしていませんが、そこが気にならないのであれば、かなりの狙い目となるでしょう。
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メルセデス・ベンツ Bクラス(3代目・現行型) ×2019~2020年式× B200dグレード×全国この他に「総額400万円ぐらいで、走行数千kmレベルの2022年式B200dを狙う」という選択肢もあるのですが、総額200万円台後半の低走行B200d(のレーダーセーフティパッケージ付き)のコスパの良さには敵わないような気もいたします。
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メルセデス・ベンツ Bクラス(3代目・現行型) × 2022年式×走行距離5000km以下×200d×全国まぁそのあたりの価値観は人それぞれでしょうが、いずれにせよこの1年間で大きく値を下げた現行型メルセデス・ベンツ Bクラスの中古車は、「実用的に使える輸入車」を探している人には大いにオススメしたい選択肢であることは間違いありません。
ぜひ、ご注目ください。
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メルセデス・ベンツ Bクラス(3代目・現行型) × 全国※記事内の情報は2023年8月2日時点のものです
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。