G50プレジデントが絶滅寸前! 3代目日産 プレジデントの中古車流通量が40台に
2023/03/26
センチュリーに先駆けて登場した国産ショーファードリブンの元祖
VIPや要人を後席に乗せ、専属運転手が運転する車である“ショーファードリブン”。現在はトヨタのセンチュリーが知られるところですが、初代センチュリーが登場する2年も前に登場していたのが日産 プレジデントでした。
1965年に初代モデルが登場したプレジデントは、1973年に2代目へとバトンタッチ。そして、そこから17年ぶりにフルモデルチェンジを果たして登場したのが、G50系と呼ばれる3代目プレジデントです。
フラッグシップモデルらしい堂々としたスタイルと、V8 4.5Lの排気量による余裕のある走りは人気となっており、中古車として流通するようになってからは法人ユーザーだけでなく、カスタマイズを楽しみたいユーザーにも人気となっていた1台です。
3代目プレジデントは1990年から2003年まで、およそ13年と長めのモデルライフを誇っていたため比較的中古車としても台数が存在しているイメージでしたが、終売から気づけば20年。カーセンサーへの掲載台数も40台を切るほどに減少してきてしまっているのです。
そこで今回は、気づけば希少車になりつつある3代目プレジデントの概要と現在の中古車の状況をチェックしてみたいと思います。
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日産 プレジデント(3代目)×全国モデル概要:日本の法人ユーザー向けにフォーマルな雰囲気がプラスされた3代目プレジデント
3代目プレジデントは、前年に北米市場向けの高級車ブランドとして立ち上げられた「インフィニティ」のフラッグシップモデルである「Q45」をベースに、プラス150mmのロングホイールベース化と威風堂々とした大型フロントグリル、七宝焼きのオーナメントなどを備えた車両となっていました(Q45は日本でも「日産 インフィニティQ45」として販売)。
搭載されるエンジンもQ45と同じくV型8気筒4.5LのVH45DE型と同一ですが、法人ユースが中心ということで特性が変えられており、ややマイルドな性格となっていましたが、4.5Lという排気量によって走りの余裕さは言うまでもありません。
インテリアでは上質なウール表皮シートの他、定番の本革シートだけなく、上質なコノリーレザー仕様も設定されており、フラッグシップモデルにふさわしい室内空間となっていた点も特徴と言えるでしょう。
デビュー当初は、油圧アクティブサスペンションを採用する仕様のみのモノグレード展開となっていましたが、1992年2月には通常のバネ式のマルチリンクサスペンション仕様が追加された他、ベースとなったQ45と同じホイールベースをもったオーナードライバー向けの「プレジデントJS」を新設定しています。
さらに、1993年4月には世界初の後席SRSエアバッグ採用車も発売。翌月にはマイナーチェンジを実施し、グリルの大型化やモール類の追加で高級車らしさをプラスし、最上級グレードとして「ソブリン」を設定。その一方で、標準で備わっていたウール表皮のシートがジャガード織のモケットシートになるなど、コストダウンも見られました。
そして、1998年12月に再度マイナーチェンジを実施して内外装の小変更をした他、リアドアとトランクリッドに電動オートクロージャ―の設定やキセノンヘッドランプの全車標準装備化など、利便性が向上。
その後2003年9月まで販売が続けられ、翌10月に登場した4代目へとバトンタッチをして終売となりました。
中古車状況:掲載の多くはショートホイールベースの「JS」新車価格を鑑みると割安か?
13年間でおよそ2万台が販売されたプレジデントですが、20年が経過した現在、カーセンサーに掲載されているのは40台を切る34台となっています。
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日産 プレジデント(3代目)×全国その中で最も掲載台数が多いのはショートホイールベース版の「JS」系で24台が掲載。つまり、掲載台数の7割がJS系ということになります。
一方のロングホイールベース版はほぼすべてが最上級グレードの「ソブリン」となっており、法人ユースでしっかりメンテナンスを実施して大切に乗られてきた車両が中心となっていると言えそうです。
走行距離も年式を考えても10万km超の物件が多くを占めていますが、5万km以下のものも7台と1/5ほどの台数が存在しており、稼働率の低かった法人オーナー車がまだ存在しているのかもしれません。
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日産 プレジデント(3代目)×走行距離5万km以下×全国気になる価格帯は46.2万~292万円と幅広く、前期型(低年式)のものや過走行気味の物件はまだ手頃な価格となっている一方で、200万円超の物件はいわゆる“VIP系”のカスタムがなされたドレスアップカーだけでなく、高年式かつフルノーマル、低走行車の物件も高値のものがみられるようになってきているようです。
新車時は最上級グレードのソブリン系で900万円クラスだったことを考えると、まだまだ買いやすい価格とも言えますが、今後もジワジワと価格は上昇し、掲載台数は減っていくことが予想されますので、一度乗ってみたいと考えている人は今のうちに気になる個体を見つけておいた方がいいかもしれません。
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日産 プレジデント(3代目)×全国※記事内の情報は2023年3月23日時点のものです
自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。