新型ノアを徹底解説! 特徴や先代との違い、価格と中古車最新情報をお届け
2023/03/14
新型トヨタ ノアを徹底解説! どんなモデル?いくらで狙える?
3列シートを備えるミニバンの中でも、使い勝手の良さから多くの人に選ばれている2Lクラスのハイトミニバン。トヨタ、ホンダ、日産という大手3社が主力モデルを投入しており、熾烈な販売合戦が繰り広げられています。
トヨタはノアとヴォクシーという2モデルを用意。兄弟車ながらそれぞれに独自の個性を与えて多くのファンを獲得していますが、最新型は2022年1月にフルモデルチェンジした4代目。
この記事では、4代目・現行型トヨタ ノアがどのようなモデルなのかを深堀りしていきます。
【概要】トヨタ ノアってどんなモデル?
トヨタのミニバンにはスモールクラスのシエンタやラージクラスのアルファードなどがラインナップされていますが、ノアは兄弟車のヴォクシーとともにミドルクラスに位置付けられています。
ホンダ ステップワゴンや日産 セレナとは長年にわたってライバル関係にあり、いずれも2022年にフルモデルチェンジしてガチンコの販売合戦が繰り広げられています。
初代(2001年11月~2007年5月生産)
ここからは歴代のノアについて振り返ってみましょう。
まだミニバンが一般的ではなく、キャブオーバー型ワンボックスカーの派生モデル的な位置付けだった1990年代、トヨタはタウンエースノア/ライトエースノアというモデルを販売していました。1996年に登場した初代ステップワゴンが乗用車ライクなFFレイアウトで大ヒットしたことを受け、各社がFFのミニバンを開発します。
トヨタは2001年11月にノア/ヴォクシーを発売。ヴォクシーが押し出し感を強調してクールなイメージを打ち出したのに対し、ノアはすっきりとしたデザインで親しみやすさが表現されました。
全幅を1695mmに抑えた5ナンバーサイズであることが特徴で、両側スライドドアを採用。搭載エンジンは最高出力112kW(152ps)を発揮する2L 直4になります。デビュー時の新車価格帯は189.0万~254.0万円でした。
2004年8月のマイナーチェンジで、ベーシックなXと、バンパーと一体化したフロントグリルを採用したSの2タイプを設定。ここからノアにエアログレードが設定されるようになりました。
2代目(2007年6月~2013年12月生産)
2007年6月に初のフルモデルチェンジが行われ、2代目へと進化したノア。デザインは親しみやすさを強調したもので、標準モデルのXとG、エアロモデルのSとSiというラインナップで、5人乗りのYYも用意されました。
ワンタッチで折りたたみから跳ね上げまでできる『3列目ワンタッチスペースアップシート』を世界初搭載。2列目にはチャイルドシートに子供を乗せるときに便利な『ロングスライドマルチ回転シート』を搭載するとともに中央を折りたたみ式にして1列目-3列目のウォークスルーを実現。後席の利便性が高められました。
新開発の2L 直4エンジンにスーパーCVT-iを組み合わせ、14.2km/L(10・15モード)という当時クラストップの低燃費を実現しました。
2010年4月に行われたマイナーチェンジではGAZOO Racingが手がけたスポーツコンバージョンモデルであるG SPORTS(G’s)が追加されています。
3代目(2014年1月~2021年11月生産)
2014年1月、ノアは3代目へとフルモデルチェンジ。この世代から2Lのガソリンモデルに加えて、1.8Lハイブリッドが設定されています。燃費性能はガソリンモデルが16.0km/L、ハイブリッドが23.8km/Lでした(いずれもJC08モード)。
ボディサイズは全幅が1695mmになる5ナンバーサイズを基本としながら、エアログレードのSiは全幅が1730mmに拡大されて3ナンバーサイズになったのもこの世代の特徴です。乗車人数は2列目がベンチシートになる8人乗りと、キャプテンシートになる7人乗りが用意されました。
2016年1月には単眼カメラとレーザーレーダーを使った先進安全装備『トヨタセーフティセンス』を設定。2016年4月には新たにノア Si G’sが設定されました。
そして、2022年1月に4代目へとフルモデルチェンジ。
ファミリーカーのスタンダードモデルとして、常に人気を誇ってきた歴代モデルですが、ここからはいよいよ現行型ノアがどのような車か詳しく見ていきましょう。
【進化ポイント】新型ノアと旧型の違いはこれ!
初めに新型となる現行型ノアは、旧型からどこが進化したかを見ていきましょう。大きく変わったのは以下の3つになります。
■プラットフォームを刷新
■高効率のパワートレインを採用
■先進安全装備の進化
新型ノアでは、新世代のトヨタ車づくりの指針であるTNGAに基づいたプラットフォーム(GA-C)が使われています。
これによりボディ骨格が最適化され、左右のCピラー間の距離が旧型より75mmも拡大。室内高は1405mmあり、開放感のある室内空間に生まれ変わりました。
また、ボディは旧型よりも軽量化され、それでいて剛性も高められたことで、しっとりした高級感のある走りを味わえるようになっています。
フルモデルチェンジして登場した4代目ノアには、従来同様にハイブリッドとガソリンモデルがラインナップされていますが、どちらも効率の良い進化したパワートレインが採用されています。
■ハイブリッドモデルのパワートレイン
ハイブリッドシステムが第5世代のものに進化。すべての電動モジュールが刷新され、モーターとバッテリーは高出力化、システムの効率も高められています。
これにより、ミニバンでも心地よい加速とクラストップレベルとなるWLTCモード23.4km/L(2WD・ハイブリッドX)の低燃費を実現。
また、4WDモデルには後輪をモーターで駆動させるシステム『E-Four』を採用。リアモーターの出力が高められて、安定感が向上したため、降雪時や雨天時などでも活躍してくれくれます。
■ガソリンモデルのパワートレイン
搭載されるのは旧型モデル同様に2.0L NAエンジンですが、レクサス UXやトヨタ ハリアーなどの高級モデルにも採用されているダイナミックフォースエンジンとなりました。
これにマニュアル感覚のシフトチェンジが楽しめる10速シーケンシャルシフトマチックが組み合わされ、ガソリン車としてもクラストップレベルとなるWLTCモード燃費15.1km/L(2WD・X、2WD・G)を実現しています。
先進機能を付与し、機能向上した最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を採用。
「プリクラッシュセーフティ」は、これまでの車両、歩行者、自転車運転者に加えて自動二輪車(昼)も検知できるように。
交差点を右折する際に対向車線から直進してくる車両、右左折時に前方から横断してくる歩行者と自転車運転者に加え、交差点で交差する車両と自動二輪車との事故も回避できるようになりました。
また、「歩行者の横断」「飛び出してくるかもしれない」など、運転の状況に応じたリスクの先読みを行う「プロアクティブドライビングアシスト」が、トヨタ車で初搭載されています。
【ラインナップ】新型ノアは大きく2つのタイプに分けられる
新型ノアは大きく標準ボディとエアロボディの2つのタイプに分けることができます。
それぞれ、ガソリンモデルとハイブリッド、FFと4WD(ハイブリッドはE-Four)が用意されており、装備内容に応じて複数のグレードが設定されているため、好みやニーズに応じて選ぶことができます。
■標準ボディ
・X系
ハンドルがウレタン製だったりホイールがスチールのものになり、スマートキーがオプション扱いになるなど、シンプルな装備のエントリーグレード。
ガソリン車の価格:267万~286万8000円
ハイブリッド車の価格:305万~327万円
・G系
16インチアルミホイールが採用され、ステアリングも本皮巻のものになるなど、装備が充実したグレード。ただし、パワースライドドアはオプション設定となる。
ガソリン車の価格:297万~316万8000円
ハイブリッド車の価格:332万~354万円
・Z系
G系グレードの装備に加え、バックガイドモニターやパワースライドドア、合成皮革+ファブリックシートが標準装備となる贅沢グレード。キャプテンシートを採用した7人乗りモデルのみとなる。
ガソリン車の価格:324万~343万8000円
ハイブリッド車の価格:359万~381万円
■エアロボディ
・S-G系
エアロボディ専用の16インチアルミホイールや助手席側パワースライドドアが標準装備。車内は上級ファブリックシートが採用され、2WDは8人乗りと7人乗りを選ぶことができる。
ガソリン車の価格:304万~323万8000円
ハイブリッド車の価格:339万~361万円
・S-Z系
2WDには専用17インチアルミホイールが採用され、両側パワースライドドアやバックガイドモニターが標準装備。車内は合成皮革+ファブリックシートが採用され、ハイブリッド車にはAC100V・1500Wコンセントが標準装備となる。現行型ノアの最上位グレード。
ガソリン車の価格:332万~351万8000円
ハイブリッド車の価格:367万~389万円
【サイズ・外装】新型ノアは全幅が拡大され全グレード3ナンバーに
繰り返しにはなりますが、4代目・現行型ノアには、標準グレード(X、G、Z)とエアログレード(S-G、S-Z)が用意されます。
旧型は標準ボディが全幅1700mm以下に抑えられ5ナンバーサイズとなり、エアログレードが全幅を拡大して3ナンバーサイズになりましたが、現行型では標準モデルの全幅が1730mmになり全グレード3ナンバー化されたのがトピックでしょう。
ボディサイズは全長4695×全幅1730×全高1895mmという堂々としたものに。よりどっしりとした雰囲気が高まっているのが印象的です。
現行型ノアは、「堂々・モダン・上質」と「王道・アグレッシブ」の2つのキーワードにデザインされました。
兄弟車のヴォクシーが「先鋭・独創」をキーワードとし、上下2段に分かれたヘッドライトでアクの強いデザインになっているのに対し、ノアは切れ長のヘッドライトでクールなイメージを感じさせるデザインに。
いずれも、歴代モデルで追求してきた、室内空間の最大化と力強いハコらしさは継承されています。
【内装・荷室・装備】新型ノアは新プラットフォームで広い室内空間を実現
ノアのインパネは水平基調のシンプルなデザインで、視認性にすぐれた開放的なデザインになっています。左右のエアコン吹出口やシフトノブまわり、ドアトリム周辺に金属調フレームを使って高級感が演出されました。
2列目シートにはキャプテンシートで745mm、ベンチシートで705mmのロングスライド機構を搭載。乗車人数に合わせてゆとりを持って座れるようにしています。
キャプテンシートはオプションでオットマンとシートヒーターをチョイスして、これまでにない快適な移動を楽しめるようにしているのも特徴。また、パッケージオプションで手すりが付いた2人がけベンチシートを選ぶこともできます。
スライドドアは、足をかざしてスライドドアの開閉ができる「ハンズフリーデュアルパワースライドドア」をオプション設定しています。
荷室の下には104Lの容量があるスーパーラゲージボックスを設定。大型のスーツケースなど高さのあるものを積みたいときに役立ちます。
このサイズのミニバンだとどうしてもバックドアが大きくなってしまうため、荷物の出し入れをする際に後ろ側に十分なスペースが必要だったり、ドアを閉めるときに手を上まで伸ばしたりかなりの力が必要だったりするのが弱点でした。
ノアはS-ZとZに車体横に付いたスイッチでドアの開閉ができるパワーバックドアを装備。ドアは任意の位置で保持することができます。また、他のグレードでも手動で途中の位置でドアを保持できるフリーストップバックドアが装備されます。
先進安全装備は、前述した最新のプリクラッシュセーフティの他、歩行者などとの衝突の危険が高まりドライバーが回避のためにハンドル操作を行った際に操舵支援と車線逸脱抑制をする「緊急時操舵支援機能」、低速時に自車のすぐ前にいる歩行者や自転車運転者を検知してアクセルペダルを強く踏んでも出力を抑制する「低速時加速抑制機能」などが備わります。
そして、ハイブリッド車はスマートフォンからの操作で駐車や出庫ができる「アドバンストパーク」のリモート操作もオプションで選べます。
【中古車状況】新型ノアの中古車は一部のモデルで価格高騰中
現行型ノアの中古車は現時点で310台ほど流通していて、価格帯は総額260万~540万円でした。最高値圏にあるのはショップがカスタムしたコンプリートカーになりますが、ノーマル車でも最高値は総額510万円と高額な状況です。
▼検索条件
トヨタ ノア(4代目・現行型)×全国この価格帯からもわかるように、現在ハイブリッドモデルがプレミア相場になっていて、中でもエアログレードの最上級であるハイブリッドS-Zは新車より100万円近い高値で流通しているものもあります。
ハイブリッドにこだわる場合、ハイブリッドGは流通量が2台と少なく価格帯は総額370万~400万円、ハイブリッドZは1台のみ流通していて価格は総額423.5万円でした。流通しているのはエアログレードが多く、ハイブリッドS-G(13台)が総額380万~410万円、ハイブリッドS-Z(42台)が総額420万~510万円でした。
今、ハイブリッドの中古車を買うメリットとしては納車を待つ時間をお金(プレミア相場分)で短縮するということでしょう。安値圏だと新車より40万円程度高いという感じなので、納得できる人なら買いだと思います。
一方でガソリンモデルはオプションのナビ付き物件が、S-Zでも新車価格と同程度かやや高い程度で見つかります。ノアは新車が半年以上の納車待ちになっていることを考えると、十分狙い目と言えそうです。
ノアはデビューからまだ1年ちょっとしか経っていないため、流通している中古車はほとんどが登録済未使用車。そのため品質はまず心配しなくて大丈夫です。
▼検索条件
トヨタ ノア(4代目・現行型)×全国※記事内の情報は2023年3月7日時点のものです。
自動車ライター
高橋満(BRIDGE MAN)
求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL