日産 エクストレイル(現行型)▲4代目となる新型エクストレイル。従来からの長所だった機能性やタフさに加え、走りや内装の質感が格段に進化した

新型エクストレイルを徹底解説! 人気のミドルサイズSUV

新型エクストレイルは日産のSUVの中でも、タフさや使い勝手の良さを強調する“オーセンティック(本物の、正真正銘の、といった意味)” なキャラクターが与えられた車種だ。2022年7月にフルモデルチェンジし、4代目となった。

外観はスマートな印象だった3代目から大きくイメージチェンジし、迫力と重厚感のあるルックスに。ガソリンエンジン搭載車がなくなり、全車ハイブリッドとなるなどラインナップも大きく変わっている。
 

エクストレイル ▲こちらは初代エクストレイル。2000年10月から2007年7月まで生産された。全長は4455mmとコンパクトなサイズが特徴
エクストレイル ▲こちらは2代目エクストレイル。2007年8月から2013年11月まで生産された。ディーゼルのラインナップもある
エクストレイル ▲こちらは3代目エクストレイル。2013年12月から2022年6月まで生産された。エクストレイルとして初めて3列シートを備え、デザインも大きく変更された

人気車種だけに新車販売は新型の受注開始当初から絶好調だったが、2022年末の時点で生産が追いつかなくなり、受注一時停止の状態が現在まで続いている(※2023年2月20日、公式サイトの情報による)。

しかし少数ではあるものの、中古車市場にも流通し始めた。新車の受注が再開されるまで待っていられない! という人は中古車を狙ってみるのも一案だろう。

この記事では新型エクストレイルの概要や中古車市場の現況について解説する。

エクストレイル(現行型) ▲最低地上高は185mm(フルタイム4WD車)-200mm(FF車)。雪道やサンドなど本格的なオフロード走行にも対応する

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【ボディサイズ】機動力と実用性を一番に考えた作り

ボディサイズは全長:4660mm × 全幅:1840mm × 全高:1720mmで、マツダ CX-5やスバル フォレスターに近い寸法だ。全グレード3列シート・7人乗り仕様もラインナップされる。

先代に比べてかなり大きくなったように見えるが、ホイールベースは同寸法。全幅こそ20mm広がったが、全長はむしろ少し短くなった。

新型エクストレイルでは、ルノー・日産・三菱自動車アライアンス共通のプラットフォームが採用されており、三菱 アウトランダーPHEVと共通の車体となっている。ボディサイズは新型 エクストレイルの方がややコンパクト(全長−50mm、全幅、全高は−20mm)に作られている。
 

エクストレイル(現行型) ▲先代より全幅は20mm拡大し、ややワイドなフォルムに
“エクストレイル(現行型)” ▲ホイールベースは先代と同寸だが、全長はやや短い

広く使いやすい車内がエクストレイルの大きな特徴だ。特に後席は膝前、頭上のスペースが広く、リクライニング&スライドも可能。
 

エクストレイル(現行型) ▲新型エクストレイルの前席。厚みがあり長時間のドライブも疲労が少ない
エクストレイル(現行型) ▲新型エクストレイルの後席。前後スライドが可能で居住性の確保がしやすい

さらに乗降時、ボディに付いた泥が乗員に触れないよう、リアドアでサイドシルなどをカバーするという細かい配慮もされている。

ファミリーカーとしてだけではなく、スポーツやキャンプの足として使い勝手を煮詰めた作りは初代から続くエクストレイルの伝統だ。
 

 

【デザイン】機能性を重視しつつ質感も大幅アップ

“エクストレイル(現行型)” ▲ヘッドライトは上段がポジション&ターンランプ、下段がメインランプとなる

“見た目が大きく感じられるようになった”と書いたが、その理由は先代から大きくイメージチェンジしたフロントマスクの影響が大きいだろう。ヘッドライトは上下2段の構成。フロントグリルも大型化され、全体的に厚みが増した印象だ。

同カテゴリーSUVの中ではボクシーで腰位置が高めのフォルム、広いグラスエリアもエクストレイルの特徴。デザインはもちろん、車内空間や視界の確保を重視した結果と言える。
 

エクストレイル

インテリアは先代から大幅に質感がアップ。スイッチ類の操作性、見晴らしの良さといった美点は保ちつつ、デザインや高級感でもドライバーを楽しませてくれるインテリアとなった。

オプションでナッパレザーのシート表皮まで用意されるところなどは、欧州の高級SUV顔負けだ。

エクストレイル(現行型) ▲洗練されたデザインと上質感が演出されたインテリア。上級グレードではダッシュボード中央に大型ディスプレイが据えられる
エクストレイル(現行型) ▲セカンドシートは4:2:4の分割可動式
 

【パワートレイン/グレード】ハイブリッドだけど走りはEVそのもの

“エクストレイル(現行型)” ▲エンジンは発電のみを担当。モーターの最高出力はフロントが204ps、リアが136ps(フルタイム4WD車のみ)

新型エクストレイルは全車、ハイブリッドである「e-POWER」を採用。可変圧縮比を実現した1.5L 直3ガソリンターボエンジンを発電用に搭載し、駆動はすべてモーターが担うシリーズハイブリッド方式だ。

シーンによってエンジンを駆動用にも使うアウトランダーPHEVとは異なり、「e-POWER」は100%電気駆動。常時スムーズでストレスのない加速感、低振動&低騒音を実現している。

日常使用ではアクセルペダルだけで加減速できる「e-Pedal」も採用。電気駆動の滑らかなパワーフィール、ワンペダルドライブ、PCで使うマウスのような形状のシフトノブなど、新型エクストレイルは外観だけでなく走りでも未来を感じさせる仕立てとなった。

基本的なグレード構成は下記の4種類。

・「S」:ベーシックな装備内容。新車時価格は319.9万円~
・「X」:先進的なオートクルーズである「プロパイロット」など機能装備が充実。新車時価格は347.9万円~
・「G」:テーラーフィット表皮のシート、リアシートヒーターなど機能装備から高級装備まで満載の最上級グレード。新車時価格は429.9万円~
・「オーテック」:独自のスポーティな外観。新車時価格は446.7万~

全車に本革ステアリングが採用されるなど、ベーシックなグレードでも装備内容は充実している。

それぞれのグレードにFFとフルタイム4WDを用意。FFは前輪モーターのみでの駆動、フルタイム4WDは日産独自の電動四輪制御技術「e-4ORCE」を採用し、前後2つのモーターとブレーキを統合制御することで車両姿勢を安定させる、オフロード走破性能を高めるといった綿密なコントロールを実現。燃費はWLTCモードで18.3km/L~となっている。

モーターが2つある分、市街地走行でもFF車よりフルタイム4WD車の方がパワフルだ。

 

【安全装備】必要十分以上の先進安全装備とサポート機能

“エクストレイル(現行型)” ▲カーナビと連動して運転をサポート、高速道路同一車線でのハンズフリーを実現した「プロパイロット」

先進安全装備の充実ぶりは、さすが満を持してリリースされた日産の主力モデルというところ。夜間の歩行者検知可能な衝突被害軽減ブレーキや踏み間違い衝突防止機能などの装備はもちろん、標識検知機能、車線逸脱防止システムなども全車に標準装備となっている。

「X」以上のグレードではさらに後側方衝突防止支援システムなどの追加機能も装備。最上級グレードとなる「G」には、事故発生時にオペレータに自動連絡し、警察、消防との連携をアシストするSOSコールまで備わる。他メーカーの高級SUVと比較しても遜色のない、万全の先進安全装備と言えるだろう。

一定の条件下でハンズフリードライブを実現してくれる日産自慢の「プロパイロット」は、「X」以上のグレードに装備。「G」には縦列・並列駐車を自動で行う「プロパイロット パーキング」も装備されている。
 

 

【中古車で買えるモデル】「X e-4ORCE」が8割を占める

“エクストレイル(現行型)” ▲「e-4ORCE」は単なる四輪駆動ではなく、前後モーターの出力や回生ブレーキを制御して挙動を安定させたり、走破性を高める機能を受け持つ

現在の中古車市場に流通している新型エクストレイルは 60台前後。新車の納期が遅れ、受注停止となっている影響で流通台数はまだ少ない。だが受注再開次第、徐々に増えていくと予想できる。

中古車平均価格は約468万円。グレード別の流通量で見ると、「X」が最多で実に全体の8割強となっており、中でもフルタイム4WD車である「X e-4ORCE」が大半を占めている。

価格の一例を挙げると、「X e-4ORCE」走行距離50km未満というほぼ新車に近いコンディションの物件で総額425万円前後~。ちなみに、同グレードの新車価格は約380万円だ。

中間グレードとなる「G」は全体の1割強で、こちらもフルタイム4WD車がほとんどだ。今のところ、「S」や「オーテック」の流通量は極端に少ない。狙うのであればこまめな相場チェックが欠かせない。

いずれにしても新車は受注停止状態なので、新型エクストレイルをすぐに入手できる中古車のメリットは大きいだろう。
 

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※記事内の情報は2023年2月10日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/尾形和美、篠原晃一、日産
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。