「ノア・ヴォクシー以上、アルファード・ヴェルファイア未満」なミドルサイズ高級ミニバン、トヨタ エスクァイアを知ってるか?
2022/10/17
ミドルサイズ高級ミニバンという独自のポジション
2014年に登場し、2021年いっぱいで生産が終了してしまったトヨタ エスクァイア。
いわゆる5ナンバークラス箱型ミニバンで、唯一「高級感」をウリにしていた、実は意外と貴重なモデルだった。
兄弟車である同社のヴォクシーやノアと構造や多くの部品を共有しているため、使い勝手は同じだ。
しかし、この2台と比べてエスクァイアは高級感ある仕様になっており、新車時価格もやや高めであった。
その影響もあってか2021年1月~12月の1年間の販売台数は、ヴォクシーが7万85台、ノアが4万4211台だったのに対し、エスクァイアは1万2016台とかなり少なく、これが生産終了の理由のひとつとなったようだ。
しかし別の見方をすれば、ベストセラーのヴォクシーやノアは街中で他人とカブる確率が非常に高いが、販売台数の少ないエスクァイアなら「お、何の車だろう!?」という状況にもなりやすい。
しかも中古車なら、新車時のヴォクシーやノアとの価格差はグッと縮まっている。それでいて、高級感はこっちが上となれば、中古車のエスクァイアががぜん輝いて見えやしないだろうか?
今や中古でしか手に入れられなくなったミドルサイズ高級ミニバン。ぜひチェックしてみてほしい。
以下、モデル概要とともに、今のオススメ物件を紹介していこう。
▼検索条件
トヨタ エスクァイア(初代)×全国【モデル概要】ノアヴォク以上アルヴェル未満の高級感
2014年1月にフルモデルチェンジしたノア/ヴォクシーに続き、同年10月に新車種として追加されたエスクァイア。
ノア/ヴォクシーとベースは同じで、高級感のある新しい上級ミニバンというポジショニングで登場した。
当時のクラストップとなる室内高(1400mm)や、スライドドアの乗り込み高さが360mmと低いなど、広々とした室内と乗降性のしやすさの他、7人乗り仕様の2列目シートは810mmもスライドできるなど、使い勝手の良さはノア/ヴォクシーと同様。
加えて、上級ミニバンを標榜するエスクァイアは、高級感ある内外装のデザインや高い質感が備わる。
ワイド感と堂々感が強調されたフロントグリルは、バンパー下まで伸びる縦基調のデザインが採用された。
また、助手席前の大型ポケットやドアの内張には合成皮革が貼り込まれるなど、インテリアは上質感が演出された。
最上級グレードの「Gi」にはステアリングやシフトノブのパネルに黒木目調加飾が施されたのも、エスクァイアだけの特別装備だ。
搭載されたパワートレインもノア/ヴォクシーと同じで、2L×CVTと1.8L+モーターのハイブリッドシステムの2種類。
グレード構成はシンプルで、ガソリン車とハイブリッド車それぞれにベーシックな「Xi」と上級グレードの「Gi」という2グレードが設定された。
なお、ガソリン車はどちらのグレードにも2WD/4WDや7人乗り/8人乗りがあるが、ハイブリッド車はいずれのグレードも7人乗りの2WDのみとなるので注意してほしい。
新車時の車両本体価格は259万2000~320万4000円。
この価格だけ見ると、ノア/ヴォクシーの218万~297万円より高く感じてしまうが、例えばエスクァイアで最廉価グレードとなるXiはノアのX(新車時237万~260万円)と比べて15インチアルミや本革巻きシフトノブ、4.2インチのマルチインフォメーションディスプレイなどが標準装備なっている。
つまり価格が高い分装備も充実しているため、それを考慮すれば決して高くないとも考えられるのだ。
そもそも5ナンバークラス箱型ミニバンからのステップアップといえば、「いつかはアルヴェル(アルファード/ヴェルファイア)」が定番だが、やはりアルヴェルは大きいから取り回しに気を使うし、いくらハイブリッド車があるといっても燃費は不利。
現行型のアルヴェルのハイブリッド車は4WDしかなく、JC08モード燃費は18.4km/Lだが、エスクァイアは2WDのみで、23.8km/L。ガソリンが高騰している昨今、この低燃費はありがたいのではないだろうか。
なお、7年近く販売されたため、モデルライフ途中で一部改良やマイナーチェンジが実施された。
中古車を選ぶ際には、下記3つを押さえておこう。
・2016年1月:「トヨタセーフティセンスC」を採用
デビュー時には衝突被害軽減ブレーキが用意されていなかったノア/ヴォクシー/エスクァイア3兄弟だが、2016年1月に揃って衝突被害軽減ブレーキ+車線逸脱警告機能+ハイ・ロービーム自動切替機能がセットになった「トヨタセーフティセンスC」が採用された。この時ノア/ヴォクシーは一部グレードのみ標準だったが、エスクァイアは全車に標準装備された。
・2017年7月:マイナーチェンジ
エクステリアとインテリアの高級感や堂々感が向上。同時に最上級グレードパッケージとしてGi プレミアムパッケージが新たに設定された。
・2019年1月:「トヨタセーフティセンスC」が進化
「トヨタセーフティセンスC」が単眼カメラを備えた「トヨタセーフティセンス」に進化して全車に搭載された。さらに、2020年9月からは衝突被害軽減ブレーキに昼間の歩行者検知機能を追加するソフトウェアのアップグレードサービスが始まった。対象年式は2016年1月~2019年1月で、中古車も対象。
原稿執筆時点でエスクァイアの掲載台数は約1100台。価格帯は約120万~440万円と幅広く、平均走行距離は約4万8000kmだ。
生産終了から1年が経ち、低走行物件は減少し、逆に10万km超の多走行車が増えてきている。
選択肢も豊富で、まだまだコンディション的にも期待できそうな今こそ狙い目ではないだろうか。
では、ノア/ヴォクシーより上級なエスクァイアの中古車から、どんな物件が狙い目なのか、さらに詳しく見てみよう。
安さ重視なら「ガソリン車のGi系」がオススメ
とにかく安いエスクァイアを求めたいなら、ガソリン車がターゲットになってくる。新車時価格でハイブリッド車より約38万円(Gi)~42万円(Xi)あった価格差は、かなり解消されているとはいえ、やはりガソリン車の方が安い。
原稿執筆時点で10万km以下・修復歴なしに絞って探すと、最廉価となる支払総額150万円前後で多いのはガソリン車のXi系だ。
一方で、ガソリン車とハイブリッド車ともに、上級グレードのGi系の台数の方が圧倒的に多いというのが、エスクァイアの中古車の特徴。
ハイブリッド車はGi系が約510台に対し、Xi系は約40台。ガソリン車はGi系が約470台なのに対し、Xi系は約90台。選びやすさでいえば、どちらもGi系だ。
やはり「上級ミニバン」というポジショニングゆえ、この車を求める人は高級感のある仕様のグレードを選びがちなのに加え、それを見てメーカーもGiベースの特別仕様車をいくつか投入したことも影響しているようだ。
そして、新車時のGiとXiとの価格差は約20万円あったが、中古車ではかなり縮まっている。GiはXiに対し、両側電動スライドドアとなり、シート地には高級感のある合成皮革シートを採用、スマートエントリーキーや前席快適温熱シートなども備わる。
そのため、価格重視でのオススメはガソリン車のGi系グレードとしたい。
なお、ガソリン車には7人乗りと8人乗りがあるが、7人乗りが約430台、8人乗りが約100台と圧倒的に7人乗りが多い。
▼検索条件
トヨタ エスクァイア(初代)×ガソリン車×Gi系グレード×全国 ※価格昇順装備重視なら「2016年1月以降生産のハイブリッド Gi系」がオススメ
コストパフォーマンスの良いエスクァイアを狙うなら、衝突被害軽減ブレーキを含む「トヨタセーフティセンスC」が備わった2016年1月の一部改良以降の、ハイブリッド車のGi系がオススメだ。
JC08モード燃費は、ガソリン車の2WDが16.0km/Lなのに対しハイブリッド車なら23.8km/Lと良好で、Gi系は上記でも述べたようにXiと比べて装備が充実しているため満足度は高いはず。
さらに、コスパを重視するなら、やはり今となっては当たり前に装備される「衝突被害軽減ブレーキ」も外せないのではないだろうか。
ということで、「トヨタセーフティセンスC」が装備された2016年式以降・走行距離10万km以下・修復歴なしで探してみると、支払総額約200万円から見つけることができる。
そして、新車時のガソリン車との価格差約38万円も縮まっているため、かなりコスパが良いと言えそうだ。
原稿執筆時点で2014~2015年式の走行距離10万km以下・修復歴なしなら、支払総額約170万円から探すことができ、台数も多くて選びやすいのもオススメの理由だ。
他にも、Gi系には内外装にこだわった特別仕様車もあるなど、ハイブリッドGi系には選択肢が多い。予算に合わせて、あなたなりのコスパの高いエスクァイアを探してみよう。
▼検索条件
トヨタ エスクァイア(初代)×2016年1月以降生産モデル×ハイブリッド Gi系グレード×全国▼検索条件
トヨタ エスクァイア(初代)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。