アウディ Q2(現行型)▲ステーションワゴン的なフォルムでありながら、SUVらしい力強さもあるアウディ Q2のデザイン

前期型がオトクになっているアウディ Q2

各メーカーが拡充を図っているSUVのカテゴリー。ドイツのプレミアムブランドであるアウディも、スモールからラージまで多様なモデルラインナップを揃えている。

その中でもQ2は最もコンパクトなモデルだ。同じドイツメーカーだと、メルセデス・ベンツ GLAやBMW X1と同等のボディサイズとなる。

都市部でもほとんどの機械式駐車場に入るボディサイズということで、日本においても人気モデルとなっている。

2017年6月に登場したQ2だが、2021年5月に早くも外観やエンジンの変更を伴う大きなマイナーチェンジがあり、それを期に前期型、後期型と呼ばれている。

今、前期型は中古車市場での流通量が充実しており、価格帯も総額170万円台~とかなりオトクなゾーンに。しかも性能、デザイン的にも後期型と大きな差はない。

この記事ではQ2のボディサイズやエンジン、装備内容を改めて確認しながら、前期型は本当にお買い得なのかを考察。そのうえで価格帯別オススメモデルを選んでみたい。

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【ボディサイズ・見た目】前期と後期での差はごくわずか

前期型Q2のボディサイズは全長:4190mm × 全幅:1795mm × 全高:1510mm。後期型ではわずかに全長と全高が伸びているが、サイズ感はほとんど変わらない。

国産SUVと比較するなら、全長はトヨタ ヤリスクロス並み、全幅はトヨタ C-HRと同じと聞けば、Q2がどれほどコンパクトか分かるだろう。

2代目になって大きくなったメルセデス・ベンツ GLAやBMW X1よりも若干小さめのサイズであり、日本市場で人気になっている理由がよく分かる。ちなみにフォルクスワーゲン T-Crossとプラットフォームは共通だ。

Q2 ▲2017年6月~2021年4月まで販売された前期型のデザイン
Q2 ▲ちなみに、こちらが2021年5月以降販売されている後期型のデザイン

デザインはアウディらしく、スポーティさと質実剛健さを表現したもの。

全高を低くしつつ、フロントグリルを高い位置に配置することでSUVらしく見せているあたりは巧み。上位グレードではCピラーがボディ色と異なる色(アイスシルバー or マットチタングレー)に塗られ、外観上の良いアクセントになっている。

なお、後期型ではLEDヘッドライトやバンパー内にあるエアインテーク風モチーフのデザインなどが変更されているが、全体的なフォルムは前期型と変わっていない。

Q2 ▲スイッチ類が運転席側に向けられたインパネはスポーティ志向の表れ。ナビ画面がメーター内に表示されるバーチャルコックピットもオプションで用意された

Q2はサイズこそコンパクトだが、車内空間は十分に広い。前席はドライビングを優先し、あえてタイトな作りになっているが、後席は頭上空間がたっぷり確保されていて座り心地も快適だ。

荷室空間はキャパシティこそ大きくはないものの、床面がスクエアな形状で使いやすい。スタイリッシュさに加え、実用性の高さもQ2の魅力だろう。

 

【エンジンタイプ・走行性能】中古車の選択肢は2種類のガソリンモデル

Q2 ▲アウディの中でも比較的“ソフトめ”と評されるQ2の乗り味。だが、ワンディングではキビキビとした運動性能を披露してくれる

Q2前期型に搭載されていたエンジンは下記の3種類(「」内はグレード名)。

・1.0L 直列3気筒ガソリン・インタークーラーターボ:「1.0 TFSI」「1.0 TFSI スポーツ」「30 TFSI」「30 TFSI スポーツ」
・1.4L 直列4気筒ガソリン・インタークーラーターボ:「1.4 TFSI シリンダーオンデマンドスポーツ」「35 TFSI シリンダーオンデマンドスポーツ」
・2.0L 直列4気筒ディーゼル・インタークーラーターボ:「35 TDI スポーツ」

1.0L版は近年、欧州車でもメジャーになってきた直列3気筒のダウンサイジングターボエンジン。街中で扱いやすいフラットなトルク特性と17.8km/L(WLTCモード)という良好な燃費が魅力だ。

トランスミッションは2ペダルながらMTに近い感覚の7速Sトロニックが組み合わされており、その気になればスポーティに走ることも可能。

1.4L版については気筒休止システムを採り入れたエンジンで、ストレスフリーな加速感と燃費を両立しているのが特徴だ。1340kgの車重にして最高出力150ps(110kW)、最大トルク25.5kg・m(250N・m)という頼もしいスペックを有していた。

2018年9月のマイナーチェンジでグレード名が「1.0 TFSI」「1.0 TFSI スポーツ」から「30 TFSI」「30 TFSI スポーツ」に、「1.4 TFSI シリンダーオンデマンドスポーツ」から「35 TFSI シリンダーオンデマンドスポーツ」に変わったが、エンジンのスペックは一緒だ。

ちなみに、日本に導入されたQ2は全車FF。同じプラットフォームで全車フルタイム4WDとしたモデルについてはSQ2として別車種扱いになっている。

なお、2020年12月に待望のディーゼルが追加されたが、その半年後には後期型となり、1.5L ガソリンエンジンに一本化されてしまったため、中古車市場にはごくわずかな台数しか流通していない。

そのため「絶対にディーゼルモデルが欲しい」なら、後期型の中古車か新車を購入するしかないが、「ガソリンでもOK」ということなら、選択肢は豊富だ。

 

【機能・安全性能】中古車の8割を占める「スポーツ」系は装備も安全性も充実

Q2 ▲レザーシートが採用されているスポーツ系グレードの車内は高級感も十分

Q2前期型にはベーシックグレードとスポーツ系グレードの2種類がある。

「スポーツ」系グレードにはデビュー時からスポーツシート、衝突被害軽減ブレーキなどが標準装備され、追加の先進安全機能もオプション設定されていたが、ベーシックグレードでは設定ない(衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全装備が全車標準になったのは2018年9月以降のモデル)。

もっとも現在の中古車市場では全体の8割近くが「スポーツ系」グレード。1.4L版は少なく、1L版が大半となっている。装備充実の物件が非常に選びやすい状況なのだ。

ちなみに、マイナーチェンジ以降の後期型では、サイドアシスト、プレセンスベーシック、ハイビームアシストをセーフティパッケージとして設定されているが、そもそもQ2は前期型から装備が非常に充実しているため、差はそれほどないと言えるだろう。

 

【オススメの中古車】1L版スポーツのコスパ高し!

Q2 ▲現在の中古車市場におけるQ2の流通台数は300台前後。その多くが前期型だ

新車価格が364万円した「1.0 TFSI スポーツ」も、デビュー年に近いモデルなら中古車市場で総額170万円台から狙える。走行距離5万km以内の物件でも総額220万円~となっており、かなりお買い得感が高い。

ということで、Q2をリーズナブルな価格で手に入れたい人には、流通量が多く、コスパの高い「1.0 TFSI スポーツ」が断然オススメ。上位グレードゆえに高級装備が充実しており、基本的な安全性能も備わっている。

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アウディ Q2(現行・前期型) × 「1.0 TFSI スポーツ」

流通台数は全体の10分の1、物件数にして30台ほどと少ないが、アウディらしい俊敏な走りを求めるなら、「1.4 TFSI シリンダーオンデマンドスポーツ」が狙い目だ。

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アウディ Q2(現行・前期型) × 「1.4 TFSI シリンダーオンデマンドスポーツ」

新車価格は1L版と1.4版で100万円以上も違っていたが、中古車市場においてはそこまでの価格差がない。総額230万~300万円が予算の目安だ。

同じ1.4Lエンジンを搭載し、「バーチャルコックピット」や「セーフティアシスタンス」などの先進機能、電動テールゲートなどをフル装備したデビュー記念車「1st エディション」もオイシイところ。

こちらは走行距離5万km以内の物件で総額270万円台から狙える。

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アウディ Q2(現行・前期型) × 「1st エディション」

このように価格面でかなりのお得感を味わえる現行・前期型のアウディ Q2。実質、ディーゼルモデルの選択肢がないという欠点があるものの、ガソリンモデルであれば後期型と大きな差異は見られない。

新車、中古車で後期型のQ2の購入を検討している人は、ぜひ一度チェックしてみてほしい。

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アウディ Q2(現行・前期型) × 全国

※記事内の情報は2022年9月22日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/アウディ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。