フィアット 500X(現行型)▲500(チンクエチェント)のイメージを踏襲しながらも500Xはややマッチョなプロポーションとなっている

今、前期型がオトクになっている

2015年、フィアット初のクロスオーバーSUVとして登場したのが500Xだ。500X登場時には、あのフィアット 500がこんなにたくましい姿になるなんて! と誰もが驚いた。

デザインコンシャスな車に見えるが、6速デュアルクラッチ・トランスミッションを採用するなど、走りは本格的。

デビュー8年目となった500Xだが、2019年5月にエンジンを一新する比較的大きなマイナーチェンジがあり、それを境に前期型、後期型と呼ばれている。

その前期型は今、中古車市場でオトクになっており、デビュー直後のFFモデルなら150万円台から狙える状況だ。

ちなみに、フルタイム4WDが選べるのは前期型のみで、そういった点からも検討者はチェックしておいて損はない。

この記事では500X前期型のボディサイズやエンジン、装備内容を改めて確認しながら、価格帯別にオススメのモデルを選んでみたい。

500X ▲ボディサイドやリアの造形はすっきり。SUVであることを過度に主張しないデザインだ

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フィアット 500X(現行・前期型) × 全国
 

【ボディサイズ・見た目】車内空間は見た目より広い

全長:4250mm × 全幅:1800mm × 全高:1600~1620mmと、国産クロスオーバーに比べてもコンパクトな500X。

全長はトヨタ ヤリスクロスや初代のホンダ ヴェゼルに近く、全幅はトヨタ C-HRとほぼ同じ、全高はそれら国産コンパクトより少し高め、というサイズ感となる。

おわんを伏せたような丸味を帯びたフォルム、小動物を思わせる顔つきなどはフィアット 500を意識しているが、メカニズムはもちろん、ボディパネルもほぼすべてがオリジナル。ちなみにプラットフォームは同じFCAグループであるジープ レネゲードと共有された。

500X ▲2015年10月~2019年4月まで販売された前期型のデザイン
500X ▲ちなみにこちらが2019年5月以降販売されている後期型のデザイン

FFモデルの車両重量は1380kg、フルタイム4WDモデルでも1460kgという軽量さも特徴だ。このサイズ、このフォルムにして、前席だけでなく後席の居住空間も十分に確保されているのは恐れ入る。

ただし、傾斜したリアウインドウ形状のために荷室スペースは広くなく、マツダ CX-3などと同等。後席を倒せば1000Lほどの荷室スペースとなるが、SUVとしての使い勝手を期待している人には少々もの足りないかもしれない。

なお、後期型では新デザインのLEDヘッドライトやデイタイムランニングライトが採用され、バンパー形状も変更。全長も30mm延長された。

 

【エンジンタイプ】FFとフルタイム4WDで性格が異なる

500X ▲バルブ開閉を油圧で行うフィアット独自の機構、マルチエアが採用されたエンジン

500X前期型に搭載されていたエンジンは1.4L 直4ガソリンターボのみ。ただし、FFモデル(「ポップスター」「ポップスター プラス」)が最高出力140ps(103kW)、最大トルク23.5kg・m(230N・m)というスペックなのに対して、フルタイム4WDモデル(「クロス プラス」)は最高出力170ps(125kW)、最大トルク25.5kg・m(250N・m)と大幅にパワーアップされていた。

ボディが軽いため、動力性能についてはFF、フルタイム4WDとも不満なし。FFは一見、平凡なスペックに見えるが、最大トルクを1750rpmという低回転で発生するのがポイントだ。

トランスミッションについては、FFモデルは6速デュアルクラッチ式を採用するのに対して、フルタイム4WDモデルは9速AT。デュアルクラッチはMTのクラッチ操作を自動化したものだが、変速動作は人間が操作する以上になめらか。

一般的なATに比べると変速ショックはやや大きめだが、トルクコンバーターのないダイレクトなパワーフィールは慣れてくるとクセになる独特の心地よさがある。

デビュー当時はもちろん、現在でもコンパクトSUVでは珍しい9速ATはパワーアップされたエンジンのスペックを十分に生かし、燃費向上にも貢献するもの。ロングドライブの機会が多い人にとっては特にありがたい機構だ。

なお、後期型ではエンジンが1.3Lへと排気量がダウンサイジングされるとともに、駆動方式がFFに一本化された。スペックは前期型のFFとフルタイム4WDの中間というところで、燃費にも大きな違いはない。
 

 

【機能・安全性能】先進装備は2017年7月から

500X ▲「ポップスター プラス」はインパネがボディ同色となるオシャレな仕様

前期型500XにはFFの「ポップスター」「ポップスター プラス」、フルタイム4WDの「クロス プラス」という3つのグレードが存在した。「ポップスター プラス」「クロス プラス」はシート表皮がレザーとなり、電動調整式シートが備わる上位グレードだ。

衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備が備わったのは、特別仕様車を除いて2017年7月以降に販売されたモデルから。このタイミングで「ポップスター プラス」「クロス プラス」には追従機能付きクルーズコントロールも装備された。

 

【オススメの中古車】新車価格より130万円以上安い「ポップスター プラス」

500X ▲4WDよりもFFの人気が圧倒的に高いのも500Xの特徴だ

できるだけ安く500Xを手に入れたいなら、2015~2016年の「ポップスター プラス」が狙い目。

総額150万円台から射程圏内に入り、走行距離5万km以下の物件でも総額170万円台から見つけることができる。新車価格が約308万円だったことを考えると、かなりオトクだ。

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フィアット 500X(現行・前期型) × 「ポップスター プラス」

「ポップスター プラス」はレザーシート、ボディ同色内装のかわいらしい仕様で、赤や青といったビビッドなボディカラーの物件も多い。イタリア車の楽しさを存分に堪能できるだろう。

先進的な安全装備や運転支援機能を求めるなら、2017年7月以降のモデルとなる。

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フィアット 500X(現行・前期型) × 2017年7月以降

これも狙い目のグレードは「ポップスター プラス」で、予算の目安は総額200万円~。

フルタイム4WDである「クロス プラス」の流通量は20台弱とかなり少ないが、中古車価格は総額210万円台~とFFとの価格差は意外に少ない。2017年7月以降のモデルでも総額220万円台~だ。

500X全体の中古車流通台数は130台前後と決して多くはないが、前期型・後期型を含めた中古車平均価格は249万円と新車価格に対してかなりオトクになっている。中古車市場をマメにチェックしていれば、前期型で良コンディションの物件も見つけられるだろう。

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フィアット 500X(現行・前期型) × 全国

※記事内の情報は2022年9月22日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/フィアット
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。