ポロ ▲走行安定性と各部の質感に優れるフォルクスワーゲン ポロだが、新車で買うとなると支払総額は軽く300万円以上。しかし、同じ現行型ポロでも「前期型の中古車」であれば、総額150万円ぐらいから買えること、ご存じでしょうか?

実用小型車の鑑だが、新車はちょっと高いのが玉にキズ?

コンパクトで扱いやすいサイズでありながら居住性は悪くなく、そして何よりも「クラスを超えた抜群の走行安定性」を堪能できるフォルクスワーゲン ポロは、実用小型車のかがみといえる1台。

そうなると当然ながら「欲しい!」と思うわけですが、新車のポロを買うとなると、正直けっこうなお金がかかってしまいます。具体的には、上級グレードの「TSI スタイル」は車両本体価格だけで324万5000円なので、パッケージオプションや諸費用を合わせた総額は軽く300万円台後半になるでしょう。

そしてそうなると、これまた当然(?)「……ちょっと無理かも!」という思いが頭をかすめるわけですが、それでも購入をあきらめる必要はまったくありません。

なぜならば、同じ現行型ポロであっても「前期型の中古車」であれば、走行距離2万km台までの物件でも総額150万円程度から普通に狙えるからです。

本稿ではそんな「現行型ポロの前期型中古車」について、そのモデル概要と「本当にお買い得なのか?」という点について、じっくり考えてみたいと思います。
 

ポロ▲「先代」ではなく「現行型」の、しかも低走行物件が新車よりも200万円ほどお安く狙えるなら、それってかなり「いい話」なのでは?」

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フォルクスワーゲン ポロ(現行・前期型) × 全国
 

モデル概要:新世代の車台に1Lのダウンサイジングターボを合わせる

通算6代目となる現行型フォルクスワーゲン ポロが日本で発売されたのは2018年3月。ボディはいわゆる3ナンバーサイズにはなりましたが、依然として全長4060mm × 全幅1750mm × 全高1450mmという「日本の道でも扱いやすいサイズ感」ではあります。

そして、このサイズ拡大によって従来型より居住性と積載性が向上したのと同時に、水平基調のグリルやシャープなヘッドライトなどと相まって「落ち着いた印象」が強まっているように思えます。
 

ポロ▲従来型より全長と全幅はそれぞれ65mm拡大されたが、全高は10mm低くなったため、従来型よりも「ワイド感」が強まっている現行型のポロ。だが、実際のサイズは今もなお比較的小ぶりだ
ポロ▲グレードによって細部は異なるが、現行型ポロ前期型の運転席まわりはおおむねこのようなデザイン

プラットフォームは「MQB」という最新世代のもので、パワートレインは最高出力95psの1L 直3ターボ+7速DSG(DCT)という組み合わせ。従来型は1.2Lの直4ターボでしたが、新型の1L 直3ターボの方がパワーもトルクも上回っています。

新プラットフォームであるMQBを採用したことでボディ剛性が向上し、衝突安全性評価「ユーロNCAP」では最高ランクの5つ星を獲得した現行型ポロには、歩行者も検知可能なシティエマージェンシーブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)をはじめ、アダプティブクルーズコントロールや後方死角検知機能、後退時警告・衝突軽減ブレーキ、駐車時の自動ステアリング操作などもグレードに応じて用意されました。

初期のグレード構成は、ベースグレードである「TSI トレンドライン」と、オートライトやリアビューカメラ、2ゾーンフルオートエアコンなどが装着された「TSI コンフォートライン」、そしてLEDヘッドライトやアダプティブクルーズコントロールなどが追加される最上級グレード「TSI ハイライン」の3種類。

発売から3ヵ月後の2018年6月には最高出力200psの強力な2L 直4ターボエンジンを搭載するスポーティグレード「GTI」が追加され、2019年1月には、気筒休止システム付きの1.5L 直4ターボ(最高出力150ps)にスポーティなエクステリアを組み合わせた「TSI Rライン」を追加設定。
 

ポロ▲こちらは最高出力200psの2L直4ターボエンジンを搭載する「GTI」

そしてその他にも細かな一部仕様変更を重ねたのち、2022年4月にはマイナーチェンジモデルの予約受注をスタート。同年6月に発売となったこのマイナーチェンジモデル以降が「後期型」ということになります。

後期型はフロントとリアまわりのデザインを刷新するとともに、9.2インチモニターの純正インフォテインメントシステム「Discover Pro」やデジタルメータークラスター、タッチコントロール式エアコンディショナーパネルなどを採用しています。

しかし、後期型でもエンジンは前期型と同じ95psの1L 直3ターボで、マイナーチェンジ以降は、1.5L 直4ターボだった「TSI Rライン」も、他と同じ1L 直3ターボエンジンを搭載することになりました。
 

ポロ▲2022年6月以降はこのようなビジュアル。左右のヘッドライトがLEDライトストリップで結ばれ、バンパーの形状も変更されている
 

走行性能:ボディ剛性の高さと乗り心地のよさはクラスを超えている!

前期型のポロは、いわゆる走りも非常に優秀です。

最高出力95psの1L 直3ターボエンジンは、もちろん「超パワフル!」ということはないのですが、1160kgの車重に対しては十分以上に力強く(ただし発進時だけはややモヤッとしています)、また3気筒エンジンのビート感も非常に好ましいものです。

しかし、それ以上に好ましいと感じるのは、新しい車台になってより際立つようになった「ボディの剛性感」と「乗り心地のよさ」かもしれません。小さめな車ではあるのですが、この剛性感と乗り心地のよさがあれば、数百kmレベルのロングドライブであってもまったく苦になりません。

まぁ、このあたりが素晴らしいのは先代のポロでも同様だったのですが、第6世代(現行型)になってからは、それがさらに1段階か1.5段階ほどは向上したように感じられるのです。

2022年6月以降の後期型は燃費がわずかに向上し、最大トルクの発生回転数も400rpm低くなったのですが、全体の印象としては、前期型とそれほど大きな差異は感じられません。
 

ポロ▲最高出力95psの1L直3ターボエンジンゆえ、出足は若干もっさりしているが、ひとたび速度に乗った後は、十分以上に「速い!」と感じられるはず
 

中古車市場の状況:探しやすいのは中間および上級グレード

2022年9月現在、ポロ前期型の中古車流通台数は約450台で、価格レンジは総額120万~400万円といったところです……と書いてもちょっと幅が広すぎてイメージしづらいかと思いますので、もう少し細かく見てみることにしましょう。

年式別の流通台数は、おおむね下記のとおりです。

・2018年式:約120台
・2019年式:約180台
・2020年式:約60台
・2021年式:約80台
・2022年式:約10台

セーフティパッケージにレーンキープアシストシステムが追加された2020年式や、新世代のインフォテインメントシステムが装着された2021年式あたりを選びたい気もしますが、それらの年式は流通量が少なめで、中古車価格もまだちょっとお高めです。

そのため、実質的には2018~2019年式で探すのが得策となるでしょう。

主要グレード別の流通台数は下記のとおりです。

・TSI トレンドライン(エントリーグレード):約15台
・TSI コンフォートライン(中間グレード):約180台
・TSI ハイライン(上級グレード):約140台
・TSI Rライン(スポーティグレード):約30台
・GTI(スポーツグレード):約50台

エントリーグレードのTSI トレンドラインは、廉価なこと(安いこと)が魅力なわけですが、どうやら新車はあまり売れなかったようで、中古車は激レアです。

また、前期型では1.5Lの直4ターボを搭載していた「TSI Rライン」と、200psの強力な2L直4ターボを搭載した「GTI」の流通量も少なめであるため、結局は「中間のTSIコンフォートライン、または上級のTSI ハイラインのどちらか」という2択で考えるのが現実的です。
 

ポロ▲結局はTSI コンフォートラインとTSI ハイラインの二択か? 写真はTSI コンフォートラインがベースの特別仕様車「TSIコンフォートライン リミテッド」

そして、そのTSI コンフォートラインおよびTSI ハイラインの年式別の流通台数と中古車価格は、おおむね下記のとおりとなっています。

【2018年式】
・TSI コンフォートライン:約40台|総額120万~200万円
・TSI ハイライン:約50台|総額150万~220万円

【2019年式】
・TSI コンフォートライン:約80台|総額150万~220万円
・TSI ハイライン:約50台|総額170万~260万円

【2020年式】
・TSI コンフォートライン:約5台|総額180万~220万円
・TSI コンフォートライン リミテッド:約30台|総額180万~240万円
・TSI ハイライン:約10台|総額230万~250万円

ここでいきなり登場した「TSI コンフォートライン リミテッド」は、2019年10月に発売された特別仕様車。TSI コンフォートラインをベースに、LEDヘッドライトや純正インフォテインメントシステムの「Discover Pro」などを追加したお買い得モデルです。

【2021年式】
・TSI コンフォートライン:約40台|総額200万~280万円
・TSI ハイライン:約20台|総額240万~280万円

以上の相場概況をもとに、「具体的に“どれ”を選べばいいのか?」ということを次章、考えてみましょう。
 

 

中古車のオススメ:2018~2019年式のTSI コンフォートラインまたはTSI ハイライン

装備レベルが多少劣っていても気にしないので、とにかく「いいモノをなるべく手頃な予算で手に入れたい」と考えるならば、狙い目は2018~2019年式のTSI コンフォートラインまたはTSI コンフォートライン リミテッドでしょう。

これらの走行距離2万km台までの物件を、総額150万~180万円ぐらいのレンジで探したいところです。
 

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フォルクスワーゲン ポロ(現行・前期型) × 「TSI コンフォートライン」 &「TSI コンフォートライン リミテッド」
ポロ▲中間グレードのTSIコンフォートラインであれば、総額100万円台半ばからでもかなり好条件な1台が狙える。写真はTSI コンフォートライン リミテッド

TSI コンフォートラインはいわゆる中間グレードですので、前期型の最廉価グレードだったTSI トレンドラインと比べれば「装備は普通に充実している」と言える内容です。

2ゾーンフルオートエアコンやスマートエントリー&スタートシステム、リアビューカメラなどは標準装備ですし、ステアリングもウレタンではなくレザー巻きです。

しかし、上級グレードであるTSI ハイラインと比べてしまうと、下記のような欠点(?)はあります。

●ヘッドライトがLEDではなくハロゲン
●アダプティブクルーズコントロールが付くのは「セーフティパッケージ」だけ
●ホイール径が16インチではなく15インチ
●ステアリングにパドルシフトは付かない

これらの点がどうしても気になる場合は、多少の予算をプラスしてでも「TSI ハイライン」を選ぶのがオススメです。

しかし、「おおむねどっちでもいいし、高速道路はあまり使わないのでアダプティブクルーズコントロールもいらない」というのであれば、総額150万~180万円のTSIコンフォートラインはなかなかお値打ち。

特に「セーフティパッケージ」が付いたものか、特別仕様車である「TSI コンフォートライン リミテッド」の良質車を手頃な価格で見つけられたなら、お買い得度は爆上がりします。

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フォルクスワーゲン ポロ(現行・前期型) × 「TSI コンフォートライン リミテッド」

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フォルクスワーゲン ポロ(現行・前期型) × 「TSI コンフォートライン」 × ACC付き

とはいえ、より装備レベルが高く、そして「アダプティブクルーズコントロールは絶対あった方がいい」と考えるのであれば、狙い目は2018~2019年式のTSI ハイライン。

これの走行距離2万km台までの物件を、総額170万~200万円のゾーンで探してみるのがオススメとなります。
 

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フォルクスワーゲン ポロ(現行・前期型) × 「TSI ハイライン」
ポロ▲高速道路での移動が多い人は重宝する「アダプティブクルーズコントロール」が標準装備されるTSI ハイライン

先ほどの話と若干重複しますが、上級グレードのTSI ハイラインであれば下記の装備がそもそも標準で装着されています。

●アダプティブクルーズコントロール
●LEDヘッドライト
●スタティックコーナリングライト(ステアリング操作に連動してヘッドライト照射角を進行方向へ向けてくれる装置)
●スポーツコンフォートシート
●16インチアルミホイール

こういった装備類を備えているTSI ハイラインの「良質な個体」を、総額100万円台後半という手頃な予算で購入するのは、まさに中古車の醍醐味。自分のセンスに合う「いい感じの物件」が市場にあるかどうか、ぜひカーセンサーnetでサーチしてみてください。
 

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フォルクスワーゲン ポロ(現行・前期型) × 全国
文/伊達軍曹 写真/フォルクスワーゲン
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。