トヨタ ランドクルーザー▲今回注目するのは、ランドクルーザー100でもなくプラドでもなくこのランドクルーザーシグナスです!

海外では「レクサス LX」としても販売されていたランドクルーザーシグナス

ランドクルーザーといえば圧倒的な走破性に加え、フラッグシップセダンにも匹敵する豪華な内装が特徴のトヨタを代表するオフローダーであることはもはや説明不要でしょう。

60年以上の歴史をもつランドクルーザーのモデルは、ヘビーなSUVである70や、ライトなSUVのプラド、ステーションワゴン的な位置づけの100系や200系など多岐にわたります。

そんなランドクルーザーの中でも、より高級なプレミアムモデルとしての一歩を踏み出したのが1998年に登場した100系であり、その高い走破性と高級車顔負けのプレミアムさで「砂漠のセルシオ」という異名をもつほどだったのです。
 

トヨタ ランドクルーザー▲こちらが100系。ランクルといえばコレと思う人も多いはずです

100系のランドクルーザーはいまだにファンも多く、登場から20年以上が経過した現在でも高い人気を誇っているのですが、ランドクルーザー100にはさらに上級なモデルが設定されていたことはご存じでしょうか? それこそが今回ご紹介する「ランドクルーザーシグナス(以下シグナス)」です。
 

トヨタ ランドクルーザー▲こちらが今回の主役ランドクルーザーシグナスです

ランドクルーザー100が登場してからまもなく1年が経過するというタイミングの1998年12月に登場したシグナスは、端的に言ってしまえば海外で「レクサス LX」として販売されていたモデルの日本版となります。

そのため、4.7LのV8エンジンやフルタイム4WD、アクティブ・ハイト・コントロール・サスペンション&スカイフックTEMSといったメカニズムは、ランドクルーザー100の上級グレードと同様のものが備わっていました。

ただし、通常のランドクルーザー100ではオプション設定となっているシートヒーター付き本革パワーシートやサンルーフ、電動チルト&テレスコピックステアリングといった装備が標準となる他、電動リアクオーターウインドウやカラードルーフレール、同時期のアリストをほうふつとさせる4灯ヘッドライトを含む専用エクステリアなど、その他の装備の充実ぶりは目を見張るものがありました。
 

トヨタ ランドクルーザー
トヨタ ランドクルーザー▲写真上がランドクルーザー100のテールで下がシグナスの物。ディティールが異なり高級感が増している

また、上位車種ということもあってインテリアランプ類の充実や、遮音材の追加など、きめ細やかな差別化が図られているモデルだったのです。
 

トヨタ ランドクルーザー▲まるで高級セダンのようなインテリア

中古車となり新車の価格差は皆無! 狙うなら中期モデル以降がオススメ

高級な上位モデルが故に、新車当時の価格はランドクルーザー100の最上級グレードよりもシグナスの方が70万円以上高額で、カタログもランドクルーザー100とは別に用意されるという特別ぶりでした。

そんな最上級車種にふさわしい装備をもったシグナスですが、現在の中古車価格をチェックしてみると、なんと通常のランドクルーザー100とほぼ変わらない価格で狙うことができるようになっているのです。

掲載台数は30台弱(執筆時点)と通常のランドクルーザー100に比べると圧倒的に少ないシグナスではありますが、走行距離5万km台の後期型、ディーラー系中古車店の物件であっても総額300万円をわずかに下回るものとなっており、高額な部類に入る物件でも車両本体価格は300万円以下のものが中心となっています。

ガンガン使われることの多いランドクルーザーは、走行距離がかさんでいる物件も多く、通常の100系では20万kmオーバーの物件が掲載されることも珍しくありませんが、シグナスにおいては15万km超の物件ですらわずか2台、20万km超の物件はゼロと、比較的走行距離が少ないのもポイント。

もちろんメカニズムは通常のランドクルーザー100と共通ですから、しっかりメンテナンスをしていけば20万kmオーバーでも問題なく走ることができるという裏返しとも言えるでしょう。

ちなみに、シグナスは通常のランドクルーザー100と同じく、2002年8月と2005年4月にマイナーチェンジを受けていますが、今から中古車を狙うのであれば2002年8月以降のモデルがオススメ。

このマイナーチェンジでは操縦性と走行安定性を向上させるVGRS(可変ギア比ステアリングシステム)の採用や、ATが4速から5速へと多段化がなされ、それに伴ってシフトゲートもストレート式から高級感溢れるゲート式へと改められているのです。

また、インストルメントパネルの形状も一新され、使い勝手の向上とともにより近代的なデザインとなったことでより古さを感じさせないものとなっている点もポイント。
 

トヨタ ランドクルーザー▲こちらは2005年マイナーチェンジ時のインテリア

中古車で狙う際は前期型よりはやや高めとなりますが、そもそも前期型の物件がかなり少なめとなってきているため必然的に中期以降の物件が中心となるので、そこまで意識しなくてもいいかもしれません。

なお、カスタマイズがされることも多いランドクルーザーですが、オフロード系カスタムが多い通常のランドクルーザー100に対し、上級仕様のシグナスはいわゆる「ラグジー系」のカスタマイズがなされたものが多く、大径のメッキホイールやローダウンがなされた物件が多い印象。

こういったカスタムが好きであればアリですが、長く乗りたいと考えるのであれば、できるだけノーマル状態を維持している物件を狙うのが良さそうです。
 

▼検索条件

トヨタ ランドクルーザーシグナス(初代)×全国

※記事内の情報は2022年6月22日時点のものです。

文/小鮒康一、写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。