タイプRなのに平均中古車価格200万円以下のモデル3選。手が届くうちに至極のVTECエンジンを手に入れよう!
2022/06/14
至極のエンジンを搭載した「タイプR」を200万円以下で狙う!
昨年、脱エンジン宣言をしたホンダ。
言わずと知れた、胸のすくようなエンジンを作り続けてきた同社だけに、この宣言に衝撃を受けた人も多いはず。
となると手に入れられるウチに、ホンダの名機を搭載したモデルに乗っておきたいと思うのが車好きの性だろう。
そんな中でも、レーシングマシンのように高回転まで淀みなく回るエンジンを搭載した「タイプR」シリーズは、いつも垂涎の的ではなかったろうか。
しかし、タイムリミットが迫ってきた今、もはやヨダレを垂らしているばかりじゃいられない。
例えば、依然人気の高い初代・EK型シビックタイプRの中古車平均価格は、原稿執筆時点(2022年6月9日)で268.4万円。同じく初代・DC2型インテグラタイプRは299.7万円と、すでに新車時を大きく上回る価格となっている。
現在も上昇を続け、なかなか手に入れることが難しい存在になってしまった。
しかし、そのような中で比較的手に入れやすい、具体的には平均価格が200万円以下で、ここ1年ほど価格がほぼ横ばいのをタイプRが存在するのをご存じだろうか?
今回はそんなモデルを3台紹介しよう。
史上最速のFFとうたわれたインテグラタイプR(2代目・DC5型)
2001年7月~2006年6月まで生産された2代目・DC5型インテグラタイプR。
少し丸みを帯びたことで、デビュー時はシュッとした初代インテグラタイプRほどの人気を得ることはできなかったのが正直なところ。
しかし、今になって振り返ってみると、搭載された「K20A」2L DOHC i-VTECエンジンは、初代の1.8Lエンジンに対し最高出力+20psの220ps/8000rpm、最大トルク+2kg-mの21.0kg-m(206N・m)/7000rpmを発揮。許容回転数はなんと8400rpmだ。
当時の史上最強FFマシンの称号にふさわしい内容だった。
同じ2L VTECエンジンの別グレード「iS」が160ps/6500rpm、19.5kg-m /4000rpmだから、タイプRがいかに高回転まで回るエンジンかよくわかる。
出力向上に関わるパーツはすべて新開発され、特にシリンダーヘッド内のポート部分は、通常より細かい粒の砂で鋳型を作ることで滑らかな金属面を追求したのだという。
もちろん吸排気系パーツも専用品を装備。それでいて、初代の1.8Lエンジンより約10kgも軽量化されている。
高回転・高トルクゾーンを生かすために、クロスレシオの6速MTが開発された。45mmのショートストロークとし小気味よくシフトチェンジできる。
サーキットとテストコースを徹底的に走り込むことで、高剛性化も図られた。
さらに、ダイレクトかつリニアなハンドリング特性を獲得するため、足回りは専用セッティングが施されている。ブレーキは同社として初めてブレンボ社との共同開発した専用品が備えられているのも特徴。
その他、専用フロントスポイラーやリアスカート、リアスポイラー、レカロ社製バケットシートが与えられ、見た目の点でもベースモデルと大きな差別化が図られている。
■安定した中古車台数に比例して、中古車平均価格は横ばいが続く
中古車平均価格は2020年こそ約130万円から約180万円まで一気に上がったが、2021年は170万~190万円台で推移。
2022年4月時点の平均価格は191.4万円、原稿執筆時点でも178万円と安定している。
価格安定の背景には、中古車流通台数の安定がある。平均価格が上昇した2020年は、一時期約100台から70台までに減ったが、2022年に入ると100台以上をキープするようになっている。
原稿執筆時点で見ると、支払総額約120万円から狙うことができる。
20年以上も前に登場したモデルだけに、平均走行距離は11万kmを超えるが、台数が豊富で価格が安定している今こそ、欲しい1台を探すチャンスだ。
▼検索条件
ホンダ インテグラタイプR(2代目・DC5型)×全国イギリスで作られ輸入されたシビックタイプR(2代目・EP3型)
2001年12月~2005年8月に販売された、2代目・EP3型シビックタイプR。
イギリスの工場で生産され、日本へ輸出された逆輸入車だ。同時に「ヨーロッパを制する者がコンパクトカーを制す」とし、車先進国であるヨーロッパに挑戦したモデルでもある。
国内生産車にはない3ドアのハッチバックに搭載された「K20A」2L DOHC i-VTECエンジンは、最高出力215ps/8000rpm、最大トルク20.6kg-m(202N・m)/7000rpmを発揮。
先に登場していた2代目インテグラタイプR(上記)と同じエンジンながら、若干数値は抑えられている。
また、インテグラのパワーステアリングが油圧式だったのに対しシビックは電動式だったり、ブレンボ社製キャリパーが備わらなかったり、シフトノブがフロアではなくインパネに備わるなどの違いがあった。
これらには賛否両論あり、上記インテグラよりも人気薄だったのも事実。
しかし、油圧式より電動式の方がパワーロスは少ないし、ステアリングにより近いインパネシフトは理にかなっている。
ヨーロッパ発のモデルゆえ、ニュルブルクリンクでのテストも行われ、ボディ剛性の強化や足回りのセッティングが施された。れっきとしたタイプRの名にふさわしいマシンだ。
当然、他のタイプR同様、専用フロントバンパーや大型テールゲートスポイラー、レカロ社製バケットシートなどを装備。さらに、リアには出自を示すかのようにUKエンブレムが備えられた。
■平均価格はじわじわと上昇中だが、中古車台数もじわっと増えている
上記のとおり、これまで同時期の2代目インテグラタイプRの陰に隠れがちだったため、約2年前の中古車平均価格は100万円を切るほどだった。
しかし、昨今のネオクラシックブームをはじめ、少し古い車を見直そうという機運からじわじわと価格は上昇。
2020年12月時点で134.2万円、1年後の2021年12月時点で153.3万円に。2022年4月には、ついに160万円台を記録した。原稿執筆時点では154.8万円となっている。
一方で、中古車流通台数はというと、2020年初頭は50台ほどあったが、同年9月には20台にまで落ち込んだ。その後回復し、2022年4月には61台まで増えている。特に2021年後半から少しずつだが右肩上がりで台数を増やしている。
原稿執筆時点で見ると、支払総額約100万円から狙うことができる。
こちらも20年以上前の車となるため、平均走行距離は上記の2代目インテグラタイプRよりは少ないものの、12万km超。
中古車の平均価格は高止まりしているが、中古車台数が増えて探しやすい今こそ狙い目ではないだろうか。
▼検索条件
ホンダ シビックタイプR(2代目・EP3型)×全国数値より足回りがウリのシビックタイプRユーロ(初代・FN2型)
2005年9月にシビックがセダンのみになったのに伴い、2007年3月に登場した3代目タイプRもセダンに。
エンジン形式こそ2代目と同じものの、最高出力225ps/8000rpm、最大トルク21.9kg-m(215N・m)/6100rpmにブラッシュアップされた。
もちろん2代目シビックタイプRの3ドアハッチバックより、4ドアセダンの方が何かと使い勝手はいい。
けれど日本でセダンのタイプRが登場する前に、ヨーロッパでは3ドアのシビックや、そのタイプRが販売されていたこともあって、待望論が高まっていた。
こうした状況下でついに2009年11月、日本に逆輸入されたのがシビックタイプRユーロだ。
エンジン形式は2代目シビックタイプRや3代目となるセダンのタイプRと同じ「K20A」だが、最高出力201ps/8000rpm、最大トルク19.7kg-m(193N・m)/6100rpmとやや控えめ。
ただし、このタイプRユーロの神髄は足回りにある。
ショックアブソーバーにザックス社製ダンパーを備えたことで、ノーマルに比べたら硬いのだが、セダンのタイプRより乗り心地はグッと快適に。
サーキット走行だけでなく、通勤や買い物にも使えるタイプRだった。
大きなリアウイングなどエアロパーツを備える他、シートはアルカンターラが用いられたホンダRスペックシートが与えられた。
2009年11月に2010台限定で販売されたが、あっという間に完売。翌2010年にも、1500台が限定販売された。
■中古車平均価格は今年に入って横ばいで推移、台数も安定している
中古車平均価格は2020年7月まで130万円台だったが、その後じわりと上昇。2020年11月に180万円台を記録したものの、値上りはいったん落ち着き2021年2月以降は170万円台の横ばいで推移している。
一方の中古車流通台数は、2020年こそ40~60台程度だったが、同年12月に80台となり、以降は90~100台をキープし続けている。
つまり、中古車の台数が安定していることで、価格も安定しているという状況だ。
平均走行距離は今回取り上げた中で最も少ない約8万5000km。原稿執筆時点で見ると10万km超で支払総額約120万円から狙える。
価格と台数が安定している今のうちに狙っておきたいモデルだ。
▼検索条件
ホンダ シビックタイプRユーロ(初代・FN2型)×全国▼検索条件
ホンダ インテグラタイプR(2代目・DC5型)/シビックタイプR(2代目・EP3型)/シビックタイプRユーロ(初代・FN2型)×全国ライター
ぴえいる
『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。