V60(初代)▲従来のボルボのワゴンといえばズドーンと走る大らかな乗り味だったが、クーペのようなリアエンドになったV60ではシャープなステアリングなど、スポーティ感が増している

各社の主力が集まるDセグメントのステーションワゴン

850シリーズまでの垂直にストンと落ちるリアゲートをやめ、現行型はどれもクーペのように傾斜するボルボのワゴンモデル。

そのようなデザインを最初に採用したワゴンが、今回紹介する旧型・初代V60だ。メルセデス・ベンツ CクラスワゴンやBMW 3シリーズツーリングなど、各社の主力がひしめくDセグメントに分けられる。

日本登場は2011年6月で、2018年9月に現行型へ切り替わるまでの約7年間販売されていた。

登場から10年以上が経過していることもあり値落ちが着実に進み、今では100万円以下で狙えるような物件も増えている。

そんな初代V60を今狙うなら、どんなグレードやイヤーモデルを狙うべきか。まずは相場から確認していこう。

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ボルボ V60(初代)×全国
 

経年相応の値落ちだが、ライバルたちよりおトク感は高い

約11年前に登場した初代V60。大きく値落ちすることはなかったが、着実に中古車の平均価格は下がり続けている。

2022年4月時点では124.3万円、さらに原稿執筆時点(2022年6月8日)では102.6万円にまで下がっている。前年同月比で30万円以上安くなっていることになる。

ボルボ V60の中古車平均価格推移▲ゆっくりだが確実に値落ちが進み、過去最安値を更新している

一方で、中古車の流通台数はこの2年間400台半ば~500台半ばで推移。急増もなければ急減もない、安定した中古車台数だ。

ボルボ V60の延べ掲載台数推移▲台数は安定して推移しており、選択肢はまだまだ豊富と言えそうだ

つまり、値落ちの理由は単純に経年によるものが大きいと考えられる。

また、すでに2代目・現行型の中古車もカーセンサーの掲載台数で200台近くになってきており、注目が分散していることも要因のひとつだろう。

一方、ライバルと比べてみると、V60より約1年後に登場した旧型BMW 3シリーズツーリングの平均価格は、原稿執筆時点で191.3万円とだいぶ高い。

逆にV60より約3年前に登場した旧々型メルセデス・ベンツ Cクラスワゴンは同86.9万円だから、どちらかといえばこちらに近い価格で狙える。

原稿執筆時点での平均の走行距離は約5万5000km。走行距離15万km超の中古車も出てきた一方で、5万km未満も100台以上とまだまだ豊富な状況だ。

今後さらに値落ちが進むことも予想されるが、良コンディションの物件を狙うなら、十分おいしく熟してきた今がチャンスではないだろうか。

 

先進安全運転支援機能の向上や、パワートレインの変更に注意

V60(初代)▲先に登場していたXC60やセダンのS60と同様、グリルとヘッドライトの間にポジションランプが備わる。日本専用のドアハンドルやドアミラーステーが採用され、全幅が1845mmに抑えられた

では、初代V60とはどんなモデルだったのか、改めて確認しておこう。

2011年6月から日本でも販売が開始された初代V60。それまでのラゲージを売りにしてきたボルボのワゴンではなく、北欧デザインのスタイリッシュさを前面に出したワゴンだ。

とはいっても、定評のあるワゴンを長年作り続けている同社だけに、いくらリアゲートが垂直からクーペのように傾斜したとはいえ、ラゲージ上部の空間が削られた程度で、後席を畳めばフラットなラゲージを広げられるなど、それ以外の使い勝手は相変わらず優れている。

V60(初代)▲リアゲート上部が傾斜しているだけでなく、フロントとリアのオーバーハングも絞り込まれている。ヘッドライトからテールランプに走るキャラクターラインを境にボディが盛り上がるのは当時のボルボ車と同じ

デビュー時に用意されたパワートレインは2種類。1つは1.6Lターボ(T4)に6速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)が、もう1つは3Lターボ(T6)に6速ATが組み合わされた。また、1.6Lターボは2WD、3Lターボは4WDのみとなる。

低速時(30km/h以下)の追突事故を防ぐ衝突被害軽減ブレーキ(シティセーフティ)は全車に標準装備。

さらに35km/h以下で歩行者との衝突を回避するなどより高度な衝突被害軽減ブレーキ(ヒューマンセーフティ)は最上級グレードのT6 AWD Rデザインには標準装備され、他グレードは全車速追従機能付きACCなどとともにセーフティパッケージとしてオプションで用意された。

V60(初代)▲インパネとセンターコンソールを結ぶ板状のセンタースタックは、北欧家具をイメージさせる。背後に物が置けるというメリットもある
V60(初代)▲後席を倒すと写真のように真っ平らな空間が作れる。後席は40:20:40の3分割可倒式で、荷物の大きさや形状に合わせてアレンジできる。助手席背もたれを写真のように倒せば長尺物も載せられる

以降、先進安全運転支援機能の向上と、パワートレインの追加や変更を中心に進化していく。

モデルライフがやや長めだったたため、一部改良やマイナーチェンジなどが繰り返された初代V60だが、以下中古車を選ぶ際にポイントになる部分をまとめたのでチェックしてほしい。

■2013年8月:マイナーチェンジ
ヘッドライト形状がシャープになり、ワイド感が強調されたフロントマスクに変更された。先進安全運転支援機能では全車に標準装備されているシティセーフティの作動域が、30km/h以下から50km/h以下に引き上げられた。また、アクティブハイビームから、ハイビーム時に対向車や先行車部分のみ光を遮るアクティブペンディングデュアルキセノンヘッドライトに変わった。

ボルボ V60(初代)▲このマイナーチェンジではグリル脇のポジションランプがなくなり、スッキリとしたフロントまわりのデザイン。ボンネットはV字型が強調された

■2014年2月: 新パワートレインの追加
2Lターボ×8速ATの「T5」が追加された。駆動方式は2WDのみ。

■2015年7月:パワートレインの名称変更と整理
パワートレインのラインナップが見直され、下記のようになった。
T4/1.6Lターボ×6速DCT→最高出力190psの2Lターボ×6速AT
T5/最高出力245psの2Lターボ×8速AT(※従来ママ)
D4/2Lディーゼルターボ×8速AT(※新規)
合わせてT6(3Lターボ)が廃止され、上記3パワートレインにRデザインが設定された。

■2016年2月:パワートレインの追加
以下の2種類のパワートレインが追加された。
T3/1.5Lターボ×6速AT
T6/2Lスーパーチャージャー&ターボ×8速AT。ちなみに最高出力は306ps、4WDのみ。
合わせてT4(2Lターボ)がラインナップから外れた。

以上を踏まえて、オススメのV60を見ていこう。

 

総額100万円未満で狙うなら「T4」系の初期モデル

平均価格を下回る総額100万円未満で最も多く見つかる物件は、1.6Lターボ(T4)を搭載した初期モデル。

同じく初期モデルの3Lターボ(T6)も見つかるが、この価格帯では走行距離5万km以上の中古車となる。T4ならこの価格帯の約3割が走行距離5万km未満と、台数が豊富なうえに、低走行距離車も選びやすい。

例えば、2011年式・走行距離4万km台で支払総額は約60万円からと、とてもリーズナブルに見つけることができる。

T4にはベースグレードの他にDRIVe、SE、Rデザインや、オーシャンレースエディションといった特別仕様車があり、それぞれ仕様が多少異なる。

高級感あふれる本革シートの装着率も高く、この価格で買っても見た目はそれ以上に見えそうだ。

また、衝突被害軽減ブレーキはセットプションで用意されていて、標準装備されたのは2012年8月。気になる中古車を見つけたら、どんな装備を装着しているのか、必ずチェックしておこう。

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ボルボ V60(初代)×総額100万円以内×初期型(2011年6月~2013年7月生産)×「T4」系グレード×全国
 

コンディション重視なら走行距離の短い「D4」

約11年前から販売されているV60だけに、コンディションを気にする人もいるはず。それならば、約7年前に追加された、2LディーゼルターボのD4を狙ってみてはいかがだろう。

D4はT4に次いで台数が多く、しかも約8割以上が走行距離7万km未満という状況。

平均価格よりはやや高くなるものの、原稿執筆時点で最も安い中古車は2015年式・走行距離が約7万kmで支払総額約140万円というものが見つかった。

なお、2015年7月から追加されたグレードのため、先進安全運転支援技術「インテリセーフ・テン」が標準装備されているのもポイント。今後も十分長く乗れる1台になるはずだ。

▼検索条件

V60(初代)×「D4」系グレード×2015年7月~2018年8月生産モデル×全国
 

人と違う車なら、ボルボ最後の直列6気筒モデル「T6」

人とはちょっと違うV60が欲しいなら、ボルボ最後の直列6気筒モデル「T6」を狙ってみよう。

BMWの“シルキーシックス”をはじめ、振動が抑えられ、かつ十分なパワーを得られる「ベストバランスなエンジン」と評された直列6気筒。

電動化に突き進んでいる同社だが、実は同社が直列6気筒を開発したのは今から約100年も前のこと。それだけ歴史のあるエンジンなのだ。

直列4気筒の240シリーズに追加された直列6気筒の260シリーズや、V60と同時期で言えば初代XC60や初代XC90など、歴代のフラッグシップに搭載されていた。

V60には2011年のデビュー時から用意され、2016年2月には同じ「T6」という名称ながら2Lスーパーチャージャー&ターボに切り替わっている。

原稿執筆時点で見ると、走行距離5万km未満で絞っても2011年式の物件が支払総額約120万円から狙うことができる。

今後ますますレアになってくる直6エンジン搭載モデルゆえ、この価格で狙えるうちに手に入れておきたい1台だ。

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ボルボ V60(初代)×「T6」系グレード×2011年6月~2016年1月生産モデル×全国

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ボルボ V60(初代)×全国
文/ぴえいる、写真/ボルボ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。