スバル フォレスター▲スバル車らしいコダワリが詰まった現行型フォレスター。2021年8月以前の前期型が今、中古車市場でお買い得に
 

中古車市場では前期型が狙い時!

2018年7月に発売された5代目となる現行型フォレスター。新たに「スバル・グローバル・プラットフォーム」を採用し、走りにも快適性にも磨きがかかった。

SUVとしてのタフネスと快適な居住空間、アイサイトなど先進的な装備が魅力のモデルだ。

2021年8月にマイナーチェンジが行われ、新たなデザインコンセプトのもとフロントまわりのデザインが一新された。アイサイトの機能を進化、サスペンション設定を見直すなど細かな改良もなされている。

おそらく、このマイナーチェンジを境に前期型、後期型と呼ばれることになるだろうが、基本性能に関わる部分には大きな変更なし。

今、中古車市場での価格帯は、後期型が310万~420万円なのに対して、前期型は215万~385万円と前期型の方がリーズナブルで流通量も圧倒的に多くなっている。

お得で、選択肢も豊富。そんなスバル フォレスター前期型の特徴と、物件選びの際のオススメ条件を紹介する。
 

フォレスター ▲フォレスターはスバル車全体の中でも生産台数において1、2位を争う車種だけに、開発には妥協がない

▼検索条件

スバル フォレスター(現行型) × 前期型(2021年8月以前) × 全国
 

【ボディサイズ・デザイン】走ってヨシ、積んでヨシの実用的なボディサイズ

フォレスター ▲マイナーチェンジ前の前期型デザイン
フォレスター ▲ちなみにこちらがマイナーチェンジ後の後期型デザイン

フォレスターのボディサイズは全長4625mm × 全幅1815mm × 全高1715 mm。

全長は日産 エクストレイルよりもやや短いが、全幅、全高はほぼ一緒、トヨタ ハリアーよりも全体的にやや小振り、というサイズ感となっている。

キャンプ道具などを積載して家族で出かけるにも十分なサイズの居住空間を確保しながら、狭い日本の道路でも取り回しにも苦労しない絶妙な大きさだ。
 

フォレスター ▲競合車の中では全長がやや短めで、取り回しに優れているのもフォレスターの利点。最小回転半径は5.4m

デザインはスバル共通のデザインコンセプト「DYNAMIC × SOLID」のもと、SUVらしいたくましさや使い勝手の良さを表現したもの。

トヨタ C-HRやホンダ ヴェゼルなど新世代が登場した今となっては、そのデザインはコンサバティブにも思えるが、それがSUV然とした力強い印象を与えている。

ちなみに、マイナーチェンジ後の後期型はフロントグリルを取り囲む部分を太く、ヘッドライトを変形させたデザインとなっている。並べて比較をするとフロントマスクの印象が異なるが、シルエットに関しては大きな差はない。
 

 

【動力性能・走行性能】甲乙付けがたい3種類のパワーユニットをラインナップ

前期型フォレスターに用意されるパワーユニットは、下記の3種類だ(「」内はグレード名)。

・2.5L 水平対向4気筒 ガソリン:「ツーリング」「X-ブレイク」「プレミアム」(~2020年9月)
・e-BOXER(2L 水平対向4気筒 ガソリン+モーター):「アドバンス」「ツーリング「X-ブレイク」(2018年9月~)
・1.8L 水平対向4気筒 ガソリンターボ:「スポーツ」(2020年10月~)

2.5L 水平対向4気筒ガソリンはスバル車が長く採用してきたエンジンで、排気量の余裕から来る力強さが魅力。自然吸気ゆえの滑らかな吹け上がりも長所だ。

現行型フォレスターのデビューからラインナップされていたが、2020年10月のマイナーチェンジで廃止され、代わりに1.8L 水平対向4気筒 ガソリンターボが追加された。

2.5L 水平対向4気筒ガソリンが上質感、余裕を重視したエンジンであるのに対して、1.8L 水平対向4気筒 ガソリンターボは俊敏さ、軽快さが魅力のエンジン。搭載されるグレード、サスペンションのセッティングなども異なり、単純にどちらが上、と言うことはできない。

デビューから約2ヵ月後に追加されたマイルドハイブリッド「e-BOXER」は、燃費性能よりも発進加速時におけるプラスアルファの余裕に重きを置いたもの。

シームレスな加速感が魅力だが、前期型の中でも2020年10月までのモデルでは「アドバンス」にしか搭載されておらず、中古車市場での割合は多くない。
 

フォレスター ▲シンメトリカルAWDはパワーユニットを左右対称に配置する、重量バランスに優れた駆動レイアウトだ

フォレスター最大の魅力は、何と言っても優れたシャシー性能だ。

現行型は新世代となる「スバル・グローバル・プラットフォーム」の採用によってボディ剛性が格段に高まり、ハンドリングや乗り味が明らかに洗練された。最近のSUVはどれもハイレベルな走行性能をもつが、フォレスターは水平対向エンジン採用による低重心という点で今もアドバンテージがある。

なお、フォレスターは全車「シンメトリカルAWD」と呼ばれるフルタイム4WD仕様。これは車種によってタイプが異なるが、フォレスターには前後輪の駆動力配分を電磁クラッチによって変化させるアクティブトルクスプリット式が採用されている。

また、ドライバーが走行モードを切り替えることで、エンジン出力やトランスミッション、ブレーキを路面に合わせて統合制御する「X-MODE」も備えている。あえて2WD仕様を用意しないあたりは、スバルらしいこだわりの詰まったモデルと言える。
 

 

【安全性能・装備】先進安全装備はクラストップレベル

先進安全装備、運転支援機能については数あるコンパクトSUVの中でも、最も充実している1台と言っていいだろう。

先進安全装備であるアイサイトだけでなく、アイサイト・ツーリングアシストも全車に標準装備。これは全車速追従機能付きクルーズコントロール、レーンキープ機能と先行車追従操舵機能をパッケージしたものだ。

また、2020年10月以降のモデルでは、ドライバーモニタリングシステムが「アドバンス」と「スポーツ」に標準装備、「ツーリング」と「X-ブレイク」にメーカーオプション設定されている。

こちらはカメラがドライバーの顔を認識し、シートポジションやドアミラー角度、空調などを自動的に再現する便利な機能。機能面を重視する人は、中古車探しのときにドライバーモニタリングシステム搭載車を狙ってみるのもいいだろう。
 

フォレスター ▲歩行者保護エアバッグも全車への標準装備
 

【中古車相場でのオススメ】前期型限定の2.5Lエンジン搭載モデルも魅力的

ここでは前期型で特に狙い目のモデルを紹介する。前期型で流通している全物件の7割近くが、支払総額290万円以下。

その中で特にオススメのグレードは2.5Lエンジンを搭載する「プレミアム」だ。

2020年10月以降は廃止されてしまったが、上位グレードとして装備が充実しているのはもちろん、走りにも余裕がある。乗り味もコンフォート寄りで、ファミリーカーとして使うにもピッタリだろう。

支払総額は210万円~。走行距離5万km以下に絞っても240万円ほどから狙える。
 

▼検索条件

スバル フォレスター(現行型) × 前期型(2021年8月以前) × 「プレミアム」 × 全国
フォレスター ▲「プレミアム」は新車価格300万円以上となる、装備が充実したグレードだ

維持費を重視するなら、自動車税額が安く、燃費性能も上々、それでいて動力性能に過不足ないe-BOXER搭載車も狙い目だ。

前期型からe-BOXER搭載車を選ぶとなると、現状ではほぼ「アドバンス」一択。2020年10月まで、このグレードにしかe-BOXERが採用されていなかったためである。

中古車市場での流通量は170台前後と2.5Lエンジン搭載車より少ないものの、250万~380万円と幅広い価格帯から希望の物件を選べるのは利点。

前期型「アドバンス」の半数近くが走行距離2万km以内で、良コンディションの物件も多く見られる。

350万円以上を予算とするなら、サンルーフや本革シートなどメーカーオプションが装着されている物件から選ぶのもいいだろう。

ちなみに、1.8Lターボエンジンを搭載する「スポーツ」は登場時期が遅かったために、現在の中古車市場で流通している台数は1桁台と選択肢が少ない。

フォレスター ▲「スポーツ」が登場するまで最上級グレードだった「アドバンス」

▼検索条件

スバル フォレスター(現行型) × 前期型(2021年8月以前) × 「アドバンス」 × 全国
 

【結論】流通量が多く、リーズナブルな前期型は今が買い!

このようにお得な価格で、選択肢が豊富にある現行型・前期のフォレスター。登場から4年程度しかたっていないため、多走行の物件が少ないのも魅力だ。

マイナーチェンジをしているものの、前期型と後期型で大きく異なるのはエクステリアとアイサイトの機能のみ。デザインが絶対に譲れないという人以外、後期型にこだわる理由は少ないだろう。

スバル車らしい走り、充実した安全性能、優れたパッケージといったフォレスターの魅力は、前期型も共通している。

現在は廃止されてしまった2.5Lエンジン搭載車も選択肢に入り、計3種類のパワーユニットから選べるのも前期型のメリットだ。
 

▼検索条件

スバル フォレスター(現行型) × 前期型(2021年8月以前) × 全国

※記事内の情報は2022年5月25日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/スバル
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。