マツダ CX-8(現行型)▲同社の「魂動デザイン」でまとめられたエクステリア。ロードノイズや風騒音の低減など、フラッグシップらしく静粛性は高められている。オプションのトレーラーヒッチを装着すれば、750kg以下のキャンピングトレーラーなどをけん引することもできる

数少ない国産3列シートSUVのため、値落ちしにくかったが……

マツダSUVのフラッグシップ、CX-8。空前のブームで百花繚乱状態のSUVだが、それでも3列目シートを用意したモデルは、このCX-8を含めて現行型の国産車では4車種と数少ない。

そのため、あまり値下がりしにくかったのだが、2017年のデビューから5年が経ち、ようやくCX-8の中古車平均価格が300万円前後まで落ちてきた。

また、中古車掲載台数も豊富で、まさに狙い目になってきたモデルと言って良いだろう。

では、今CX-8の中古車を狙うならどんなものがオススメなのか? 詳しい相場状況を見ていくとともに見てみよう。
 

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型)×全国
 

中古車相場状況
値落ち要因は「2回目の車検」と「2020年12月の一部改良」か

2020年は340万円前後でほぼ横ばいだったCX-8の中古車価格だが、2021年に入ると一転。ゆるやかながらも、はっきりと下落局面に入った。

そして、直近4月のデータを見ると、2年前に比べ約36万円、1年前と比べても約16万円も安い300.5万円となり、過去最安値を記録している。
 

マツダ CX-8の平均価格推移グラフ▲2021年初頭に大きく値を下げ、その後もジワジワと値落ち傾向が続いた

中古車の価格は需要と供給のバランスで決まることがほとんど。

人気が高い割に中古車台数が少なければ価格は高くなり、人気がなければ価格は下がる。また、人気が一定なのに対し、中古車台数が増えれば価格は下がり、中古車台数が減れば高くなる。

それを踏まえて2021年のCX-8の下落の理由を考えると、原因は中古車台数の増加だと言える。実際2021年7月の延べ中古車流通量は2169台と過去最高を記録し、今も1000台以上をキープし続けている。

マツダ CX-8の平均価格推移グラフ▲2021年以降一気に掲載台数が増加したことがわかる。最近は落ち着いてはいるものの、1000台以上と豊富な台数をキープしている

今年2022年はデビューから5年が経過し、新車で買ったオーナーは2回目の車検を迎えることが多いタイミング。それに伴い、別のモデルへの乗り替えが増加していることが考えられる。

また、2020年12月に一部改良が行われ、主力の2.2Lディーゼルエンジンのパワーアップや各種機能の向上などが図られたのだが、その新型への乗り替えによる下取り車両の増加や、ディーラーの試乗車・展示車両の切り替えが発生したことも台数が増えた要因だろう。

いずれにしろ2021年には中古車台数が増え、中古車価格を押し下げたようだ。

ではその膨大な中古車の中から、どのような物件を選ぶべきか。マツダは細かな改良がよく行われるだけに、まずはCX-8のモデル概要を見てみよう。
 

 

モデル概要
北米向け大型SUVのCX-9をベースに日本市場向けに開発されたSUV

マツダ CX-8(現行型)▲全長約5065mmのCX-9に対し、日本の道路事情に合わせ、ホイールベースはそのままに全長を4900mmに縮められたCX-8。全幅も約1960mmから1840mmに抑えられている

マツダがCX-8の予約を開始したのが2017年9月、販売を開始したのは同年12月。

同社は北米市場に向けた2代目CX-9を2016年からリリースしていたが、このCX-8はCX-9をベースに日本市場向けに開発された、3列シートを備えるSUVだ。

ライバルには、国産車ではレクサス RXやトヨタ ランドクルーザープラド、日産 エクストレイルが、輸入車ではメルセデス・ベンツ GLEやBMW X5などが挙げられる。

デビュー当初に用意されたエンジンは2.2Lディーゼルターボで、最高出力190ps、最大トルク450N・mを発揮し、これに6速ATが組み合わされた。

なお、2018年11月の初めての一部改良時に、2.5LターボおよびNAの2種類のガソリンエンジンモデルが追加されている。

2WD(前輪駆動)と4WDが用意され、全車にコーナリング時の車両姿勢を制御して曲がりやすくしてくれる「G-ベクタリングコントロール(のちにG-ベクタリングコントロール プラスに進化)」が標準装備されている。

先進安全技術「アイ・アクティブセンス」も用意されたが、例えば衝突被害軽減ブレーキ機能やAT誤発進抑制機能は全車標準だが、全車速追従機能付きACCや360度ビューモニター、アダプティブLEDヘッドライト(ハイ/ロービーム自動切替機能)、レーンキープアシストシステムなどはグレードによって標準またはオプション設定されているので、購入時には確認が必要だ。

マツダ CX-8(現行型)▲スイッチひとつでリフトゲートを自動開閉できるパワーリフトゲートはXD Lパッケージに標準、XD プロアクティブにオプションで用意された(デビュー時)。3列使用時でラゲージ容量はゴルフバッグを2つ積める程度の239L、3列目を倒すとスーツケース3つほど積める572L、2・3列を倒すと自転車を2台積載できるほどのスペースに拡大できる
マツダ CX-8(現行型)▲タッチパネル式のセンターディスプレイを装備。SDカードを用いたナビゲーション機能を利用することができる。前後席にフルオートエアコンを標準装備。フロントディスプレイ機能やステアリングヒーターをXD LパッケージとXD プロアクティブに標準装備
マツダ CX-8(現行型)▲グレードや年式によって設定状況は異なるが、2列目がキャプテンシートの6人仕様と、ベンチシート(写真)の7人乗り仕様がある。後ろにいくほど着座位置が高くなるスタジアム式レイアウトで、全員の開放感が確保された。3列目は、つま先を2列目シート下に入れられ、身長170cmの乗員が十分過ごせる広さがある

2度目の一部改良は2019年10月。この時に設定された特別仕様車のエクスクルーシブモードは、その後もカタログ上にラインナップされている。同モデルは2.2 XDと2.5Tをベースとした6人乗り仕様で、2列目にアームレスト付きコンソールや電動スライド&リクライニング機能、ベンチレーション機能を備えたキャプテンシートが備わる。

さらに、4WD車にはスタックから脱出しやすくなる機能(オフロードトラクションアシスト)が追加されるとともに、2.5Tと2.5Sとも2WDと4WDが設定された。

3度目となる2020年12月に行われた一部改良では、2.2Lディーゼルターボエンジンの最高出力が190psから200psへ、6速ATは2.5Tを除いて応答性が高められた。

機能面においては、リアバンパー下で足を出し入れすると自動で開閉するハンズフリーリアゲート機能が設定された他、センターディスプレイが8インチから10.5インチへと拡大され、置くだけでスマートフォンを充電できる機能も用意された。

以上を踏まえ、今のオススメを紹介しよう。

 

とにかく安く買いたいなら
デビュー直後の「2.2 XDプロアクティブ 2WD」狙いで!

マツダ CX-8(現行型)▲2.2 XDプロアクティブの7人乗りの2列目シート。シートはブラックのクロス地となる

とにかく安くCX-8を買いたいなら、「2.2 XDプロアクティブ」の2WDがオススメだ。

デビュー当初はベースのXD、次いでXDプロアクティブ、そして最上級のXD Lパッケージというグレード構成だったが、原稿執筆時点で見ると、XD プロアクティブとXD Lパッケージがほぼ同数で、全体の約7割を占める。

それもあり、CX-8全体を価格の安い順で見ると、ベースのXDではなく、XDプロアクティブがずらりと並ぶ。

特にデビュー直後の「2017~2018年式」で絞ると、車両本体価格で200万円を切り、支払総額でも約220万円で手に入れることができる。

安全機能面では最上級グレードのXD Lパッケージと同等で、XDに対し全車速追従機能付きACC(マツダレーダークルーズコントロール)、レーンキープアシストなどが備わり、安全・快適装備面で大きく劣るといったこともない。

なお、2WDと4WDの割合は約7:3で2WDが多く、7人乗りと6人乗りも約7:3で7人乗りの方が台数は豊富で選びやすい。

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型)×2017~2018年式×2.2 XDプロアクティブ×全国 ※価格昇順
 

コスパの高さを求めるなら
デビュー直後の「2.2 XD Lパッケージ」系がオススメ!

マツダ CX-8(現行型)▲2.2 XD Lパッケージの2列目シート。上質な本革で知られるナッパレザーが採用されている。色は写真の赤味の強いブラウンと、ホワイトがある。また、2列目専用のセンターコンソールが備わる

コストパフォーマンスの高さを気にするなら、「2.2 XD Lパッケージ」がオススメだ。

最上級グレードでデビュー時は6人乗りしかなく、本革シートを標準装備するなど、企業のエグゼクティブクラスの利用にも十分応えられるようなインテリアの仕様だ。

また、唯一ルーフレールが標準で備わり、パワーリフトゲートも備わる。

原稿執筆時点で見ると、2017~2018年式の走行距離7万km前後で車両本体価格は210万円前後、支払総額で230万円前後と、上記XD プロアクティブよりは若干高い。

それでも、デビュー時の車両本体価格395万8200円(2WD)/419万400円(4WD)から、5年ほどで約40%ダウンだし、XD プロアクティブとの価格差も新車時の約40万円から約10万円まで縮まっている。ゆえにコスパは高いと言えるのではないだろうか。

なお、2WDと4WDの割合は約6:4で2WDが多い。また、2018年6月から7人乗りも選べるようになったが、7人乗りと6人乗りの割合は約3:7で6人乗りの方が台数は豊富で選びやすい。
 

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型)×2017~2018年式×「2.2 XD Lパッケージ(2WD/4WD)」×全国

▼検索条件

マツダ CX-8(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/マツダ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。