ジープ ラングラー▲2018年11月に、11年ぶりとなるフルモデルチェンジを果たしたジープ ラングラー。3ドア・ショートと5ドア・ロングがある

ラングラー(現行型)の最新相場

ジープ ラングラーは、オフロード用本格四駆の原点であるウイリス MB/フォード GPWの正統な流れをくむモデルだ。

ジープ YJから始まったラングラーの歴史が始まり、現行モデルは4代目。

居住空間は大幅に広がり、利便性もアップ。オンロード性能も格段に向上したが、ジープの本懐である悪路走破性を第一に考える設計思想は現行モデルでも変わらない。

新車を検討している人でも納期の観点などから、中古車の情報もチェックすることをオススメしたい。

この記事では、2018年11月に登場した現行型ジープ ラングラーの最新中古価格や流通量を紹介する。

2022年5月時点では、中古車の平均価格と流通台数は下記のとおりとなっている。

■ラングラー(現行型)
・中古車平均価格:695.7万円
・中古車流通量:245台
 

ラングラー ▲ジープ ラングラー(現行型)の月間延べ流通台数と中古車平均価格の推移

頑丈なラダーフレーム構造のボディ、前後リジッド式コイルスプリングなど本格オフロード四駆としての伝統を守りながら、現代のSUVらしく快適性や安全性にも配慮した設計となった4代目ラングラー。

外観はジープ本来のデザインを踏襲したものだが、LEDライトの採用などによって洗練度をアップ。

車体サイズを拡大しながら、ボディパネルにアルミニウムやマグネシウムなどの素材を多用することで、軽量化も実現した。

インテリアについても後席シートバック形状やリクライニング角度を最適化し、快適性を大幅に向上させている。

ラングラー史上初めて、フルタイム4×4モードを備える「フルタイムオンデマンド4×4システム」が全車に搭載されたのもトピックだ。

ボディラインアップでは、3ドアの「ラングラー」と、5ドアの「ラングラーアンリミテッド」の2種類を用意。

「ラングラー」には3.6L V6ガソリンエンジンが、「ラングラーアンリミテッド」には同エンジンに加え、新たに2L 直4直噴ガソリンターボエンジンも用意されている。

3ドア・ショートボディの「ラングラー」はスポーツモデル、5ドア・ロングボディの「ラングラーアンリミテッド」は居住性や燃費など日常での快適性にも配慮したモデル……という位置付けと考えて良いだろう。

ラングラーの主なグレードは下記のとおりとなっている。

・「ラングラー スポーツ」:3ドア・ショートに唯一設定されるグレード。3.6L V6ガソリンエンジン搭載。プッシュボタン・エンジンスターター、キーレスエントリー、テレスコピック機能付き革巻きステアリング、布製バケットシートなどの快適装備に加え、リアバックアップカメラ衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブクルーズコントロールなどの安全機能を標準装備

・「ラングラーアンリミテッド スポーツ」:5ドア・ロングのベーシック・グレード。2L 直4直噴ガソリンターボエンジン搭載。プッシュボタン・エンジンスターター、キーレスエントリー、テレスコピック機能付き革巻きステアリング、布製バケットシート、60:40分割可倒式リアシートなどの快適装備に加え、リアバックアップカメラ衝突被害軽減ブレーキ、アダプティブクルーズコントロールなどの安全機能を標準装備

・「ラングラーアンリミテッド サハラ」:「スポーツ」の装備内容に加え、オートハイビームヘッドライト、革巻きシフトノブ、レザーシート、カーナビ、ボディ同色フリーダムトップ&オーバーフェンダーなどが装備される5ドア・ロングの上級グレード。エンジンには2L 直4直噴ガソリンターボエンジン、3.6L V6ガソリンエンジンの2種類

・「ラングラーアンリミテッド ルビコン」:通常モデルよりもギア比を落とした「ロックトラックフルタイム4×4システム」、前後ディファレンシャルロック、スタビライザー解除機能などオフロード性能に特化した装備が与えられた5ドア・ロング専用グレード。3.6L V6ガソリンエンジン搭載。快適装備については「サハラ」と同様

上記の常設グレード以外に、数多くの特別限定車が発売された。3ドア・ショート「ラングラー」における「ルビコン」もそのひとつだ。
 

ラングラー ▲従来型に比べてホイールベースが延長され、リアシートの作りも大幅に改良。現行型ラングラーはファミリーカーとしても使える利便性をも実現している

ドアタイプごとの流通状況(22年5月時点)

ラングラー ▲簡単な作業でオープンとなるフリーダムトップは現行型で軽量化&機構が見直され、取り外しの作業性が改良されている

唯一無二のオフロード性能に加え、5ドア・ロングボディの「アンリミテッド」ではファミリーユースに応える快適性も兼ね備えるラングラー。

「アンリミテッド」には低燃費を実現するエンジンを用意するなど、ラインナップにおいても5ドア・ロングを重視した設定となっている。

ラングラー全体の中古車流通量は245台。そのうち3ドアの「ラングラー」が18台、5ドアの「ラングラーアンリミテッド」が227台となっている。

これはおそらく、新車の販売比率を反映したものだろう。

ちなみに新車販売価格(デビュー時)は「ラングラー スポーツ」が459万円だったのに対して、「ラングラーアンリミテッド スポーツ」は494万円と35万円高。

3.6L V6ガソリンよりも2L 直4直噴ガソリンターボの方が30万円弱ほど高く設定されていることを考慮すると、3ドアと5ドアの実質的な価格差は5万円ほどにすぎないことになり、5ドアモデルのお買い得感が高く感じられる。
 

価格別の流通状況(22年5月時点)

ラングラー ▲真円をキーデザインとしたインテリアは、CJなどかつてのジープをほうふつさせるものだ

ここではラングラーの流通状況を価格別に見てみよう。まずは最安値物件。そして600万円以下と600万円以上のゾーンに分けて紹介する。

■ラングラー(現行型)の最安値
車両本体価格で最安値となるのは、2019年式「ラングラーアンリミテッド スポーツ」・走行距離1.1万kmの物件で、車両本体価格は428.9万円となっている。

ただし、こちらは修復歴ありの物件であり、修復歴なしに絞ると最安値は2019年式「スポーツ」・走行距離2.4万kmの物件で車両本体価格439.7万円となる。

デビューイヤーに近い2018~2019年式の物件では400万円台後半~500万円台前半が中心価格帯となっている。
 

▼検索条件

ジープ ラングラー(現行型) × 車両本体価格の昇順

■ラングラー(現行型)|車両本体価格600万円以下
ラングラーで車両本体価格600万円以下の物件の流通量は30台。うち3ドアは8台、5ドアは22台となっている。

グレードでは「アンリミテッド サハラ」の3.6L V6ガソリン車が最も多く、「アンリミテッド スポーツ」が次点。

「アンリミテッド サハラ」の2L直4直噴ガソリン車は新車時の価格が高いこともあり、少数派だ。

走行距離のゾーンは40~7.9万kmとなっており、2018~2019年式の物件では走行距離1万~3万kmが平均的な数値となっている。

■ラングラー(現行型)|車両本体価格600万円以上
車両本体価格600万円以上の物件の流通量は226台。うち3ドアは12台、5ドアは214台となっている。

グレードでは「アンリミテッド サハラ」の3.6L V6ガソリン車が最も多く、続いて「アンリミテッド スポーツ」、「アンリミテッド サハラ」の2L直4直噴ガソリン車の順となっており、傾向は車両本体価格600万円未満の以下と大きく変わらない。

走行距離のゾーンは20~4.9万km。なお、600万円以下の物件も含めて、オフロードモデルである「ルビコン」はごくわずかな台数しか流通していない。
 

22年5月時点|コンディション別の流通状況

ラングラー ▲現行型では、フルタイムモードとパートタイムモードを任意に切り替えられる新たな4×4システムが採用された

続いてコンディション別の流通状況を紹介する。走行距離1万km以上か、それ以下で分けた。

■ラングラー(現行型)|走行距離1万km以上
ラングラーの走行距離1万km以上の物件の流通量は129台。そのうち3ドアは6台、5ドアは123台となっている。

デビューから約3年が経過していることもあり、走行距離の多い物件では5万km近いものも存在する。

価格帯(車両本体価格)は428.9万~845.3万円までと幅広い。グレードでは「アンリミテッド サハラ」の3.6L V6ガソリン車、「アンリミテッド スポーツ」が比較的多くなっている。

■ラングラー(現行型)|走行距離1万km以下
ラングラーの走行距離1万km以下の物件の流通量は121台。そのうち3ドアは12台、5ドアは109台となっている。

現在の中古車市場に流通している半数以上が走行距離1万km以下であり、比較的良好なコンディションに保たれている物件が多いようだ。

価格帯は519.8~1398万円までと幅広い。グレードでは走行距離1万km以上の物件同様に「アンリミテッド サハラ」の3.6L V6ガソリン車、「アンリミテッド スポーツ」が比較的多くなっている。

このように走行距離と価格の相関関係は比較的ハッキリしており、走行距離1万km以上の物件は500万円台前半がボリュームゾーンとなっている。逆に走行距離500km以下の物件は、車両本体価格700万円以上の価格帯に集中している。

走行距離と価格に典型的な相関関係が見られるのは、バリエーションが限定的で、かつ「スポーツ」と「サハラ」の新車販売価格差が70万円ほどしかないことも一因だろう。

■ラングラー(現行型)|登録済未使用車
ナンバー登録はしてあるものの未使用で、新車に近いコンディションを保持しているのが登録済未使用車だ。

ラングラーで登録済未使用車の物件の流通量は7台。ラングラー全体の流通量のうち、登録済未使用車の割合は1割にも満たない。

価格帯は車両本体価格で598万~782万円。

やはり5ドアの比率が高く、登録済未使用車全体の3分の2を占める。

グレードでは「アンリミテッド サハラ」の3.6L V6ガソリン車が最も多い。

また、調査したタイミングが理由かもしれないが、限定車や「ルビコン」といった希少モデルの流通量が意外に多いのも特徴だ。
 

▼検索条件

ジープ ラングラー(現行型) × 全国

※記事内の情報は2022年5月17日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/ジープ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。