お手頃スポーツカーの最終型トヨタ セリカ。ここのところジワジワ値上がりしており、人気薄とは言えない状況に!
2022/01/09
ラリーウェポンからライトウェイトスポーツに変化した最終型セリカ
トヨタのスペシャリティクーペとして長い歴史を誇るのがセリカです。
1970年デビューの初代モデルからモータースポーツにも積極的に参戦していたセリカではありますが、そのイメージを決定づけたのは4代目モデルに設定されたターボエンジン&フルタイム4WD仕様の「GT-FOUR」でしょう。
このモデルはモータースポーツ、特にラリーでの活躍ももちろんのこと、映画「私をスキーに連れてって」の劇中でも活躍を見せ、セリカ=4WDという印象が多くの人に残るきっかけともなった1台。
その後、代を重ねても4WDターボ仕様のGT-FOURは設定され続けていましたが、1999年に登場した7世代目となる最終型セリカは一転してダウンサイジングが図られ、4WDモデルもターボエンジン仕様もラインナップから消滅してしまいます。
そのため、従来のGT-FOURのイメージを抱いていたセリカファンが離れてしまう結果となり、長らく不人気車種という扱いを受けてきた最終型セリカではありますが、ここのところ値上がりの兆しを見せ始めているのです。
気になる相場を見る前に、まずは最終型セリカがどんな車だったのか、簡単に振り返ってみましょう。
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トヨタ セリカ(最終型) ×全国“ライトウェイトスポーツカー”としてのポテンシャルは高い
セリカにGT-FOURのイメージを求める層からしてみれば、最終型セリカは物足りないモデルと言えるかもしれません。
しかし、純粋にライトウェイトスポーツカーとして考えるのであれば、1.8Lながら190psを発生するエンジンを搭載し、1トンちょっとの車両重量をもつ最終型セリカは魅力的な1台ではないでしょうか。
改めて最終型セリカを振り返ってみると、搭載されるエンジンは直列4気筒DOHC1.8Lの1ZZ-FE型(145ps)および2ZZ-GE型(190ps)の2種類で、前者が「SS-1」、後者が「SS-II」というグレード名となっていました。
ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、このエンジンはロータス エリーゼにも採用されたものと言えば、そのスポーツ性を垣間見ることができるでしょう。
そして組み合わされるミッションは、1ZZ-FE型モデルが5速MTと4速AT、2ZZ-GE型モデルには6速MTと4速ATが用意され、SS-IIにはフロントにトヨタ独自のスーパーストラットサスペンションを採用したグレードも用意。
さらに、リアサスペンションもFFでありながらダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、高い路面追従性と運動性を誇っていたのです。
また、コンプリートカーとしてトヨタテクノクラフト(当時)が手がけた「TRDスポーツM」というモデルも設定。これは、SS-IIのスーパーストラットサスペンション車をベースに、専用エアロパーツや強化サスペンション、専用スポーツマフラーなどを装着して+10psの出力アップを果たしており、希少車ながら狙ってみる価値はありそうです。
1990年代に生まれた1.8Lエンジンを搭載するホットモデルというと、初代インテグラタイプRばかりが注目されがちですが、実はセリカもインテグラタイプRに匹敵する実力を持ち合わせていたというワケで、ここのところの値上がり傾向は価値が再評価され始めてきているということなのかもしれません。
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トヨタ セリカ(最終型) ×全国気になる最終型セリカの平均価格と掲載台数の推移は?
190psをたたき出すホットグレードであるSS-IIであってもデビュー時の新車価格は197万円、最も安価な仕様では168万円と、今考えると格安とも思えるプライスタグが付けられていた最終型セリカ。
それだけに、中古車の平均価格もお手頃な50万円台あたりをウロウロしていたのですが、2020年半ばあたりから価格を上げ始め、2021年には一時70万円を超えるほどに。
原稿執筆時点の平均価格は70万円をわずかに下回ってはいますが、状態の良い物件では150万円弱ほどのものもあるほどになっています。
一方の延べ掲載台数は現状150台弱ほどとで推移していますが、もともとスポーツカー冬の時代に登場したモデルだけに新車販売台数もそこまで多くないことから、今後状態の良いものは減る一方と考えた方が良さそうです。
では、今最終型セリカを狙うなら、どんな仕様がオススメなのでしょうか?
打倒インテグラタイプR!
SS-II × 6速MT車
1.8Lという排気量ながら190psを発生するエンジンを搭載するSS-IIは、同世代のインテグラタイプRの1.8L 200psに匹敵するポテンシャルを秘めたFFスポーツモデルで、チューニング次第ではタイプRを上回ることも夢ではありません。
今やとんでもない価格となってしまったインテグラタイプRに比べると、まだまだ現実的な価格で狙うことができるSS-IIのMT車こそ今のうちに狙っておきたい1台と言えるでしょう。
SS-IIにはスーパーストラットサスペンションを装着した仕様も設定されていましたが、アフターメーカーの足回りを導入する予定であれば、非スーパーストラットサスペンション車の方が選択肢の幅が広くオススメです。
この条件では30台弱がヒットし、最も高額なものでも車両本体価格160万円弱、安いものでは50万円台から狙えるリーズナブルさも魅力ですね。
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トヨタ セリカ(最終型) ×SS-IIグレード×MT車×全国流麗なクーペとしてセリカが欲しい!
SS-I × AT車
90年代に登場したとは思えないほど、今見てもスタイリッシュな佇まいを魅せる最終型セリカ。
このデザインはトヨタがアメリカ・カリフォルニア州に設立したデザインスタジオが手がけたもので、日本車離れした雰囲気をもつのも納得ですね。
そんなセリカを美しいデザインのクーペとして狙うのであれば、145psのエンジンを搭載するSS-IのATであっても十分に堪能することができます。人気はやはり190psのエンジンをもつSS-IIですから、比較的安価で狙えるというのも魅力的。
執筆時点では20台弱がこの条件に当てはまり、安いものでは車両本体価格20万円台から、最も高価なものでも100万円を下回るというところから見ても、SS-IIのMTよりもかなり安価で狙うことができることが分かります。
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トヨタ セリカ(最終型) ×SS-Iグレード×AT車×全国このように徐々に値上がりの傾向が見られつつある最終型セリカ。
メカニカル的なトラブルはそこまで多くなく、エアコンなどの電装品など一般的なチェック項目を確認しておけば、「修理代の方が高くついてしまった……」といった可能性が低い点も評価できるポイントでしょう。
ただし、寒冷地や沿岸部で乗られていた物件はサビが発生している場合もあり、年式的にもボディの状態のチェックはマストでしておきたいところです。
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トヨタ セリカ(最終型) ×全国自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター、S660。