トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲「Robust & Minimalist(たくましくてミニマリスト、といった意)」という思想のもとデザインされたヤリスクロスは、同門のライズとは異なり、デザインコンシャスなコンパクトSUV。ボディカラーは全8色でツートーンも選べる

同じトヨタのライズを押しのけて2位に輝いたコンパクトSUV

カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにした、毎年好例の中古車注目度&競争率ランキングの「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。2021年の第2位を射止めたのは、現行型トヨタ ヤリスクロスだ。

デビューは2020年8月のため、中古車市場に本格的に流通し始めたのは2021年からだが、同社のコンパクトSUVで人気もあるライズや、ヤリスクロスより少し大きなC-HRを押しのけて早くも2位に輝いた。


扱いやすいサイズで手頃な価格、流行のSUVスタイル、それでいて装備も充実しているだけに、人気が集まるのも納得だ。

そんな人気車を中古で購入するなら、どんな探し方をすればいいのだろうか? まずはどんな車なのかをおさらいしてみよう。

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トヨタ ヤリスクロス(現行型)×全国

デザイン重視のコンパクトSUVだが、装備も充実している

トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲ヤリスと同じGA-Bプラットフォームを採用。1.5L+モーターのハイブリッドシステムはWLTCモード30.8km/Lという低燃費を実現している。最低地上高は170mm
トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲高速走行中に強い横風を受けても車線を逸脱しないよう車両姿勢を制御するS-VSCを全車標準装備

トヨタのコンパクトハッチバックであるヤリスのSUV版がヤリスクロスだ。

同社にはほぼ同じサイズにライズがある。しかし、ベーシックなコンパクトSUVというライズに対し、ヤリスクロスはベースのヤリスがそうであるように、パーソナル感を重視している。

また、ボディサイズはデザイン重視のため、ライズより少しだけ大きくなっている。

具体的には全長はヤリス(3940mm)やライズ(3995mm)より長い4180mm。全幅に至っては1765mmと3ナンバーサイズだ。

その分ラゲージ容量は390Lと、ライズのガソリン車369Lより若干大きい。最小回転半径はライズの4.9~5mより大きい5.3mだが、街中で取り回しに困るほどではない。

パワートレインは1.5L×CVTと1.5L+モーターのハイブリッドという2種類。いずれもFFと4WDが用意されている。グレード構成はいずれも価格の安い順にX、G、Zとなり、ガソリン車には最廉価のX Bパッケージもある。

4WDシステムはガソリン車とハイブリッド車で異なり、ガソリン車の4WDは泥濘地&砂地/岩場&ダート/ノーマルの3モードから路面状況に応じて任意に選べるマルチテレインセレクトが備わる。その他にスノーモードも装備。

一方、ハイブリッド車はスノーモードの他、タイヤが空転した際に空転側にブレーキをかけて反対側の接地している側に駆動トルクをかけて脱出するトレイルモードが備わる。

さらに、ガソリン・ハイブリッドとも一定速度で坂を下れるダウンヒルアシストも装備するなど、このサイズのSUVとしては高い悪路走破性が備わる。

先進安全機能「トヨタセーフティセンス」はX Bパッケージを除いて全車標準装備。トヨタセーフティセンスには全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールや、ハイビーム時に対向車などを検知すると自動で照射範囲を変えてくれるアダプティブハイビームシステム、レーントレーシングアシストも含まれている。

ディスプレイオーディオは全車標準装備で、ナビ機能はスマートフォンのナビアプリを連動させて使える他、ディーラーオプションで備えることもできる。

新車時の車両本体価格はガソリン車が179万8000~244万1000円、ハイブリッド車が228万4000~281万5000円と、ハイブリッド車の方が約40万円高い。

なお、原稿執筆時点でトヨタのホームページを確認すると、新車の納車期間の目安は4~5ヵ月となっている。

トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲運転席電動シートやステアリングヒーター、シートヒーターなどが用意されている。ディスプレイオーディオのディスプレイはXが7インチ、GとZは8インチ。また、GとZはインパネのセンタークラスターがピアノブラック、Xはブラックとなる。写真はG
トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲グレードによってシート地が異なり、Xはファブリック、Gは上級ファブリック、Zは合成皮革+ツイード調ファブリックとなる。写真はG
トヨタ ヤリスクロス(現行型)▲ラゲージのフロアボードは6:4分割式で、左右どちらでも外すと床が深くなり、背の高い荷物を載せやすい。バンパー下で足を振るとバックドアを自動開閉できる機能がGとZにオプションで用意されている

新車デリバリーの遅れから、中古車の価格は上昇中

では、中古車の状況はどうだろうか。

原稿執筆時点で600台以上ある現行型ヤリスクロスの中古車。デビュー以降どんどん中古車台数は増え続け、直近11月の延べ掲載台数は800台と、順調に増えていることがわかる。

物件の内訳を見てみると、デビュー間もないこともあり、登録済未使用車や未登録車の物件が多くヒットするのも特徴だ。

トヨタ ヤリスクロス(現行型)の中古車延べ掲載台数推移▲2021年中頃より急激に掲載台数が増え、6月には500台を突破。その後も勢いは衰えていない

中古車平均価格を見てみると、直近11月のデータでは261.3万円と、上位グレード「ハイブリッド Z」の新車時価格を上回っている。

下記グラフからわかるとおり、今年8月には237.3万円だったことを考えると、たった3ヵ月で24万円もアップしていることがわかる。

これは、前述のとおり新車のデリバリーが遅れているため、中古車の需要が高まっているのが要因とみて良いだろう。

トヨタ ヤリスクロス(現行型)の中古車延べ掲載台数推移▲今年の9月に急激に平均価格が上昇。その後も高価格で推移している

では、このような状況下ではどのように中古車を探すのが良いのだろうか? 以下見てみよう。

最上級グレードの2WDのZは台数が多くて選びやすい

原稿執筆時点で、ガソリン車とハイブリッド車はほぼ同じ台数。

いずれも最上級グレードの2WDのZが最も多く、ガソリン車のZはガソリン車全体の6割近く、ハイブリッド車のZはハイブリッド車全体の7割以上を占めている。

また、どちらも3割以上が登録済未使用車で、新車未登録もそれぞれ10台程度あるといった状況だ。

選択肢の豊富さという点で、この「Z」系グレードが一番の狙い目になってくるだろう。

しかし人気車ゆえ、全体的に価格は下がっているとはあまり言えず、新車時の車両本体価格を上回っているものも多い。

一方で、ハンズフリーバックドアといったメーカーオプションや、カーナビなどのディーラーオプションを備えていることで高めのプライスになっている物件もある。

探す際には、新車時の車両本体よりも高いというだけで除外するのではなく、どんなオプションが備わっているのかをしっかり確認してから判断するようにしよう。

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トヨタ ヤリスクロス(現行型)×1.5 Z/1.5 ハイブリッドZ×全国

台数的な選びやすさで言えば、ガソリン車・ハイブリッド車とも「Z」になるが、装備的には2WDの「G」でも十分ではないだろうか。

先進安全装備は「Z」と変わらず、それでいて新車時価格は20万円程度安いため、中古車でも同程度安く狙える。手頃な価格で納車の早いヤリスクロスを求める人にはオススメだ。

GはZに次いで台数が多く、それぞれガソリン車全体の2割以上、ハイブリッド車全体の2割近くを占める。

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トヨタ ヤリスクロス(現行型)×1.5 G/1.5 ハイブリッドG×全国

正直なところ中古車ゆえの価格的なメリットはほぼ見込めないが、前述のとおり新車のデリバリーが大きく遅れている今、中古車の納車の早さは大きなメリットと言えるだろう。

新車での購入を検討している人も、一度チェックしてみる価値はあるはずだ。

ただし、中古車との出会いは一期一会のことが多いため、ボディカラーや装備などの欲しい条件が揃った中古車を見つけたら、即行動が肝心だ。

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トヨタ ヤリスクロス(現行型)×全国
文/ぴえいる、写真/尾形和美、トヨタ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。