カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー常連のマツダ RX-8。今年も5位入賞を果たしたが、今狙うならどんな物件がオススメか?
2021/12/23
一度は体感してみたいと考える人多数!? 孤高のロータリーエンジン
カーセンサーだけがもっている膨大なデータをもとにしてはじき出したランキングで、その年の中古車の注目度&競争率が一目で分かる「カーセンサー・カー・オブ・ザ・イヤー」。
そのランキングで2015年、2017年、2018年と3度のイヤーカーに輝いたマツダ RX-8は、今年も第5位と上位にランクインしました。
スポーツカー需要の減少が叫ばれている昨今ではありますが、潜在的な需要は決して衰えていないようです。
特に、孤高の存在であるロータリーエンジンを搭載しながらも、ギリギリファミリーカーとしても成立する4ドアボディをもつRX-8は、ターゲットになるユーザーが多いため、このような結果につながっているのではないでしょうか。
そんなRX-8は2003年5月に販売をスタート。
搭載されるロータリーエンジンは、それまでRX-7に搭載されていたターボではなくNA(自然給気)のみ。最大出力こそ減少しましたが、市販ロータリーエンジンとしては初のサイド吸気ポートを採用することで、ロータリーエンジンの弱点といわれていた燃費性能の改善と低速トルクの向上を実現しました。
また、NAとなったことで高回転まで伸びやかに吹け上がるようになり、フィーリングの良さはRX-7以上ともいわれるほどでした。
13B-MSP型と名付けられたロータリーエンジンは、当初吸気ポートが6つのものと4つのものの2種類が用意され、前者が250ps、後者が210psとなっていました。
2008年3月のマイナーチェンジでは全車6ポートのものに統一され、ハイパワーモデルが235ps、スタンダードモデルが215psに改められています。
そしてロータリーエンジン同様、RX-8の大きな特徴と言えるのが「フリースタイルドア」と名付けられた観音開き式の4ドアでしょう。
それまでのRX-7のように申し訳程度のリアシートではなく、大人4人がしっかり座れることを前提としていましたが、それによるボディの大型化を嫌ってコンパクトでありながら大きな開口部を実現できる観音開き式のドアが採用されたのです。
このドアはフロントドアを開けないとリアドアが開かない仕組みとなっているため、やや不便さを感じる一方で、小さなお子さんが不意に後部ドアを開けてしまうといったアクシデントを未然に防げるという利点もあります。
また、開口部の大きな観音開き式ではありますが、後部ドア内部にはビルトインピラーが組み込まれており、ドアを閉めた状態であれば、通常のピラーがある車両と同等のボディ剛性を実現しています。 そのため、利便性を上げつつも運動性能が犠牲になっていないところも嬉しいポイントです。
このような理由で、純粋なスポーツカー好きからスポーツカーを諦められないファミリー層まで、高い注目を集め続けています。
それでは以下、気になるRX-8の中古車市場の状況を見てみましょう。
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マツダ RX-8 ×全国RX-8の気になる平均価格と掲載台数の推移は?
数年前までは安価に購入できるFRスポーツモデルとして知られていたRX-8ですが、昨年夏までの底値状態から一転、価格が上昇し続け、2021年11月の時点では114.9万円までになりました。
ここ3年での最安値が76万円ほどでしたので、そこから比べると40万円近い値上がりということになります。
これは、生産終了から8年ほどが経過したことで、状態があまり良くない物件、つまり安価な物件が市場から姿を消したことが理由のひとつとしてあげられます。
もうひとつは、最終型に近い年式の新しい物件の価格が上昇したことでしょう。特に最後の特別仕様車である「スピリットR」は、すでに新車価格を超えるプレミア価格となっています。
延べ掲載台数も、2019年時点では800台を超えるタイミングもあったほどですが、2021年は500台半ばで推移していることから、店頭に並ぶ物件が厳選されつつあることを物語っているのではないでしょうか。
その唯一無二なモデルゆえ、今後似たようなモデルが現れることは予想しにくく、その結果が中古車市場に反映されていると言って良いでしょう。
では、今中古のRX-8を狙うなら、どんなものがオススメなのでしょうか? 以下筆者の考えとともに紹介していきます。
今後さらなる価格上昇もあり得る
最後の特別仕様車、スピリットR
2011年11月に発売された最後の特別仕様車「スピリットR」は、専用の内外装を備えたRX-8の有終の美を飾るモデルです。
ブラックベゼルの前後ランプやレッド塗装のブレーキキャリパー、専用塗装のアルミホイールなどが特別感を演出しています。
装備内容はMT車とAT車で異なり、MT車にはレカロ社製のバケットシートや19インチアルミホイールが備わります。
AT車にはブラック&赤ステッチの本革シートやステアリング、MT車同等のスポーツサスペンションや大径ブレーキ、そしてガンメタ塗装の18インチアルミホイールなどが備わっていました。
新車時価格は312万円(AT車)と325万円(MT車)と、今考えると非常にリーズナブルな価格のスピリットRでしたが、現時点でヒットしたおよそ30台の中には新車価格を超えるものも存在し、最も高値だったのはおよそ360万円という物件でした。
その一方で、車両価格200万円を切るなど、比較的お得に狙える物件もちらほら存在しています。
最終型ゆえの性能の高さはもちろんですが、今後ますます価格が上昇することも見込まれるため、今のうちにチェックしておくことを強くオススメします。
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マツダ RX-8 ×スピリットR×全国ラグジュアリーで優雅なRX-8はいかが?
「タイプE」系 × 2006年8月以降生産モデル
ロータリースポーツと聞くと、どうしてもMTで乗りたくなってしまうものですが、ここはあえてATしか設定のないラグジュアリーグレード、タイプEにターゲットを絞ってみるのはいかがでしょうか。
本革のパワーシートやフロントシートヒーターといった上級車種並みの内装をもつタイプEは、RX-8の違った魅力を感じ取ることができるハズ。
特に2006年8月のマイナーチェンジ以降のモデルであれば、ATが4速から6速へと多段化され、エンジンも4ポートから6ポートになっているため、より上質な乗り味が楽しめます。
気になる価格も、ATということでMTよりは手ごろとなっています。具体的には、ほとんどが車両価格100万円以下で、走行距離も5万~7万km台のものが多いため、良質な物件を安価で狙うことができそうです。
ミッションにかかわらず、RX-8のスポーティな走りを楽しみたいという人に対して、ぜひともオススメしたい選択肢です。
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マツダ RX-8 ×タイプE系×2006年8月以降生産×全国ロータリーをMTで操りたい人向けの穴グレード
ベースグレード × MT
RX-8をMTで、というとどうしてもハイパワー版のエンジンと6速MTを搭載したタイプS、タイプRS系を狙いたくなってしまいますが、圧倒的に高値安定という問題が存在します。
そこでオススメしたいのが、ベースグレードに存在していた5速MTモデルです。
スタンダードモデルとはいえ210psというカタログ値は、1300kg前半の車重からしてみれば決してローパワーではありませんし、5速でもMTの楽しさは変わりません。
そして、何より価格が一気に手ごろになる点が最大のメリット。
執筆時点では30台ほどがヒットし、安価な物件では車両価格40万円台から見つけることができます。また、走行距離6万km台でも総額100万円を切る物件もあり、非常に現実的な価格となっているのです。
欲を言えば2008年3月のマイナーチェンジ以降の6ポート化されたモデルを狙いたいところですが、2009年5月の改良でベースグレードのMTモデルが廃止されてしまったこともあり、かなり希少となっています。
そのため、あまり年式やマイナーチェンジにこだわらず、一度幅広くチェックしてみることをオススメしています。
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マツダ RX-8 ×ベースモデル×MT車×全国現時点では、最後のロータリーエンジン搭載車となっているRX-8。少なくとも駆動用にロータリーエンジンを搭載した新モデルが登場するまでは、注目度が下がることはないでしょう。
すでにとんでもない価格となってしまったRX-7のように、手が出ない価格になる前に購入するのであれば、残された時間はそこまで多くはなさそうです。
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マツダ RX-8 ×全国自動車ライター
小鮒康一(フナタン)
スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。