インスパイア▲アコードの上級車種として生まれたアコードインスパイアは、その後インスパイアという単体車種へ進化した

ホンダ アコードインスパイア/インスパイアの中古車は今

元々はホンダ アコードの上級車種として登場したアコードインスパイア。アコードにはないハードトップボディと、直列5気筒のエンジンで差別化を図っていた。

1992年には初代アコードインスパイアをベースに、3ナンバー化されたボディをもつインスパイアが登場。1995年に2世代目へフルモデルチェンジしたタイミングで、インスパイアに統合された。2代目モデルには上級車種のレジェンドと同じ3.2L V6エンジンを搭載する仕様も遅れて追加されている。

1998年に登場した3代目は、アメリカの工場で生産された車両を日本に輸入。先代に設定されていた直列5気筒エンジンは廃され、全車V6エンジンとなっている。

続く4代目モデルは、アメリカ仕様のアコードがベースで、搭載エンジンはV6 3Lのみ。装備面では、カメラやレーダーを使った先進安全装備が設定されていた。

2007年12月に登場した5代目は、ボディの大型化と搭載エンジンを拡大。ホンダの最上級セダンのレジェンドに近いものとなった。

アコードインスパイアとインスパイアの初代から3代目までは、流通量が極めて少ない。

4代目と5代目は価格がこなれており、お買い得に国産セダンを狙っている人にオススメの状況だ。


ここからは歴代インスパイアの特徴や中古車相場について、世代ごとに紹介する。
 

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アコードインスパイアの特徴と中古車相場

■アコードインスパイア DATA
生産期間:1989年9月~1995年1月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:110万~150万円
全長:4690mm × 全幅:1695mm × 全高:1355mm
 

アコードインスパイア ▲アコードの上級車種として生まれたアコードインスパイアは、その後インスパイアという単体車種へ進化した

■アコードインスパイアの特徴
アコードインスパイアは、1989年9月に実施されたアコードのフルモデルチェンジで新たに追加されたモデルだ。

アコードの派生車種ではあるものの、エンジンは2L 直列5気筒のものを縦置きするという世界初のFFミッドシップ縦置き5気筒レイアウトを採用。

ホイールベースもアコードよりも120mm延長させるなど、大きく差別化が図られていた。
 

アコードインスパイア ▲アコードインスパイアのインパネ

■アコードインスパイアの中古車相場
すでにネオクラシックカーとなっているだけに、物件数は5台程度と極めて少ない。

しかし、現在店頭に並ぶほどの物件ということは、比較的状態が良いものであろう。現に、車両本体価格で100万円を切るものはない。

特殊な縦置き5気筒エンジン搭載車ということもあり、購入後のメンテナンスにも相談に乗ってくれる店舗を中心に探したいところだ。
 

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インスパイア(初代)の特徴と中古車相場

■インスパイア(初代) DATA
生産期間:1992年1月~1995年1月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:50万~160万円
全長:4830mm × 全幅:1775mm × 全高:1375mm
 

インスパイア ▲3ナンバー化されたボディに伴って、エンジンも新たに直列5気筒 2.5Lが追加された

■インスパイア(初代)の特徴
初代のインスパイアは、アコードインスパイアの派生車種として登場した。

エクステリアデザインこそアコードインスパイアを踏襲するが、全長を140mm、全幅を80mm拡大した3ナンバーサイズボディ化。

また、2.5Lの直列5列気筒エンジンを搭載(2Lモデルも設定)した上級車種となっていた。

最上級グレードの「エクスクルーシブ」には、本革シートを標準装備。「25Xi」にはエクセーヌシートが用意されるなど装備も充実しており、一時はトヨタ マークIIに迫るほどの売り上げをマークした。
 

アコードインスパイア ▲インスパイア(初代)のインパネ

■インスパイア(初代)の中古車相場
こちらも年式的に旧車と呼んでも差し支えない年代のモデルのため、物件数はわずか5台のみ。

流通しているのはすべてが2.5Lエンジンモデルで、2L車は見つけられない。

グレードはエントリーグレードの「Gi」系が多く、上級グレードを探すのであれば根気が必要かもしれない。

価格は総額で100万円を切るものもあるが、状態の良いものは総額200万円に迫る勢いとなっている。
 

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インスパイア(2代目)の特徴と中古車相場

■インスパイア(2代目) DATA
生産期間:1995年2月~1998年9月
中古車流通量:―
中古車価格帯:―
全長:4840mm × 全幅:1785mm × 全高:1405mm
 

インスパイア ▲直線基調の初代に比べ、丸みを帯びたデザインとなった2代目インスパイア

■インスパイア(2代目)の特徴
1995年2月に2代目へとフルモデルチェンジしたインスパイア。先代の途中で追加された3ナンバーモデルが好評だったこともあり、アコードインスパイアは消滅しインスパイアに統合された。

ピラードハードトップボディは先代と同様だが、室内空間を稼ぐために全高は50mm高められている。
 

アコードインスパイア ▲インスパイア(2代目)のインパネ

搭載されるエンジンは先代と同じく直列5気筒の2Lと2.5Lをラインナップ。2.5Lモデルは新たにレギュラーガソリンに対応し、先代と同じハイオク仕様はスポーティグレードの「25S」に搭載された。

1995年7月にはレジェンドにも搭載されているV6 3.2Lエンジンを搭載する「32V」を追加。それに伴ってフロントまわりが一新され、専用のスタイリングが与えられている。
 

インスパイア ▲モデル途中で追加されたV型6気筒3.2Lエンジンを搭載する「32V」

■インスパイア(2代目)の中古車相場
ちょうどミニバンブームと重なったことや、販売期間が短かったこともあって販売台数が少なかった2代目。

そのため、執筆時点で中古車の流通は確認できていない。
 

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インスパイア(3代目)の特徴と中古車相場

■インスパイア(3代目) DATA
生産期間:1998年10月~2003年5月
中古車流通量:1台
中古車価格:15万円
全長:4840mm × 全幅:1785mm × 全高:1420mm
 

インスパイア ▲北米市場での人気の影響を受けてアメリカ産の輸入車として販売された3代目モデル

■インスパイア(3代目)の特徴
1998年10月に登場した3代目モデルは、ホンダの北米拠点で企画、開発、製造がなされた輸入モデルとなった。

生産国が変わったことで今までのハードトップボディからサッシドアとなり、エンジンも縦置きではなく横置きのV6エンジン(2.5Lと3.2L)のみとなっている。
 

インスパイア ▲インスパイア(3代目)のインパネ

2001年4月にはマイナーチェンジが実施され、全車ATが4速から5速へと多段化。

また、スポーティグレードの「タイプS」が3.2Lモデルに追加され、出力も225psから260psへと向上した。
 

インスパイア ▲マイナーチェンジのタイミングで追加されたホットモデルの「タイプS」

■インスパイア(3代目)の中古車相場
執筆時点ではわずか1台のみが流通していた3代目モデル。掲載物件は2.5Lモデルで走行距離10万km超だったため、車両本体価格が15万円となっていた。

プレミアム価格が付いているという状況にはなく、現状底値に近い相場が続いている印象だ。
 

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インスパイア(4代目)の特徴と中古車相場

■インスパイア(4代目) DATA
生産期間:2003年6月~2007年11月
中古車流通量:約20台
中古車価格帯:20万~50万円
全長:4855mm × 全幅:1820mm × 全高:1455mm
 

インスパイア ▲いち早く先進安全装備や運転支援システムを搭載した4代目インスパイア

■インスパイア(4代目)の特徴
2003年6月に登場した4代目は、再び国内生産に戻された。

ベースとなったのは北米市場で販売されていたアコードだが、エンジンはアコードに搭載されていたものではなく、V6 3Lエンジンのみがラインナップされていた。

世界初の「追突軽減ブレーキ」を採用した他、車線維持支援機能付きレーダークルーズコントロール搭載車も設定するなど、当時としては最先端の運転支援システムを備えていた。
 

アコードインスパイア ▲インスパイア(4代目)のインパネ

2005年11月にはマイナーチェンジを実施し、エクステリアを大幅にリニューアル。

前述の先進安全装備が、上級グレード以外でもオプション装着ができるようになった。
 

インスパイア ▲後期型では、エクステリアを中心に大幅なリファインがなされている

■インスパイア(4代目)の中古車相場
セダン不人気の影響を明らかに受けている4代目インスパイアは、最も高い物件でも車両本体価格が50万を切るという相場状況。

上質なセダンを安価に手に入れたい人には、もってこいのモデルと言える。

走行距離5万km以下のものもそれなりにあり、買い得感は非常に高い。

ただし、2005年11月以降の後期型は物件数が少なくなっている。
 

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インスパイア(5代目)の特徴と中古車相場

■インスパイア(5代目) DATA
生産期間:2007年12月~2012年9月
中古車流通量:約40台
中古車価格帯:20万~90万円
全長:4940mm × 全幅:1845mm × 全高:1475mm
 

インスパイア ▲現時点で最後のインスパイアとなった5代目モデルは、レジェンドに匹敵する大柄なボディをもつ

■インスパイア(5代目)の特徴
最後のインスパイアとなる5代目モデルは、2007年12月に登場。先代と同じく北米市場向けのアコードがベースとなっている。

ボディはアメリカンサイズで、全長は5mに迫る4940mmとフラッグシップモデルのレジェンドに匹敵するものとなっていた。それに伴ってエンジンもV6 3.5Lと、歴代インスパイアの中で最大の排気量となった。

この3.5Lエンジンは、280ps/34.9kg-mという出力を誇りながらも、他社の同クラスの車両とは異なりレギュラーガソリン仕様となっている。また、カタログ燃費9.8km/Lと経済的であることもアピールされていた。
 

インスパイア ▲インスパイア(5代目)のインパネ

2010年8月にはマイナーチェンジを実施。エクステリアの変更の他、グレード体系を一新しモノグレード化された。

また、ナビを標準装備し、快適装備なども充実させている。
 

インスパイア ▲装備を厳選しモノグレードとなった5代目インスパイアの後期型モデル

■インスパイア(5代目)の中古車相場
比較的年式が新しいこともあってか、歴代インスパイアの中では最も物件数が多い。

また、ほとんどの物件が総額100万円以内で購入できる、非常に選びやすい状況となっている。

中にはディーラー系中古車店で販売されている物件もあり、しっかりしたアフターサービスを求めるのであれば、そういった物件をオススメしたい。

価格帯別では総額60万円以下で選択肢が確保できる。このゾーンでは走行距離が7万km以上の物件が中心となるが、タイミングが合えば6万km程度のものも見つかるだろう。

総額80万円以上の価格帯では、走行距離4万km以下の低走行車や、1オーナーの物件が選択肢に入ってくる。

今後、流通量が増えていくことは考えにくいため、コンディション重視で選ぶなら早めに物件選びを始めた方がいいかもしれない。
 

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※記事内の情報は2021年12月1日時点のものです。

文/小鮒康一 写真/ホンダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。