BMW 5シリーズ▲5シリーズ初のハイブリッドモデルや、前期型には自然吸気の直列6気筒搭載モデルが用意されるなど、パワートレインのバリエーションが豊富

BMWを代表するエグゼクティブセダンが軽自動車並みの価格に!

5シリーズセダンは、メルセデス・ベンツ Eクラスやアウディ A6などがライバルとなる、BMWのエグゼクティブセダン。その始まりは、かつて同社の苦境を救ったモデル「ノイエクラッセ」だ。6代目となるF10型は2010年3月に日本へ導入された。

2017年1月に現行型(G30型)に切り替わってから約5年が経過。中古車の平均価格は順調に下落を続け、今年8月以降は160万円台と新車の軽自動車並みの価格で推移している。

お手頃感が増してきた今、どんな物件が狙い目なのかさっそく見ていこう。

▼検索条件

BMW 5シリーズ(旧型・F10型)×全国

現行型の中古車とも競合するようになり、順調に値を下げている

旧型BMW 5シリーズの新車時車両本体価格は700万円超だったが、昨年頭には中古車の平均価格が200万円を切り、直近10月には160万円ほどまで落ちている。

これは、デビューから間もなく12年がたち、経年相応に順調に値下がりしている結果と言って良いだろう。

昨年1月からの平均価格を見ると、一時価格が急上昇した期間がある。恐らく200万円を切ったことでお手頃感が高まり、比較的安めの物件を中心に売れ、逆に高価格のものが残った結果だろう。

しかし、昨年11月をピークに、以降は順調に値下がりを続け、直近10月には過去最安値帯の160万円台で推移している。1年前と比べると、20万円以上平均価格が下がっていることになる。

BMW 5シリーズの中古車平均価格推移グラフ

併せて、現行型5シリーズの中古車とも競合するようになってきたことも、値下がりの一因と言えそうだ。

現行型もデビューから間もなく5年がたつこともあり、中古車が増加。現状では旧型と現行型でほぼ同じ中古車台数になっている。現行型の中古車平均価格こそ約400万円だが、旧型と同じ価格帯となる200万円台から狙える中古車も多い。そのため、旧型に値下げ圧がかかり、順調に値落ちを続けていると言えるだろう。

旧型5シリーズは、2013年11月のマイナーチェンジを境に前・後期型となる。流通台数は前期型がやや多めだが、後期型も十分流通しており、走行距離3万~7万kmのものが中心となる。

そんな旧型5シリーズから何を選ぶべきか、モデル概要を振り返りつつさらに詳しく見ていこう。

貴重な直列6気筒搭載モデルからハイブリッドまでバリエーションが豊富

BMW 5シリーズ▲上位機種にあたる7シリーズにも採用されている新構造をベースに開発された。2970mmというロングホイールベースを生かした広い車内と、ラグジュアリーサルーンらしい乗り心地、それでいてBMWらしい駆けぬける歓びを備えている

2010年3月から日本へ導入された旧型(F10型)5シリーズ。新型エンジンや8速AT、回生システムなどの採用などにより、5代目に対し約40%も燃費が改善され、同社として初の「エコカー減税対象車」に認定されたモデルでもある。

もちろん「駆けぬける歓び」も追求されている。同社こだわりのFRレイアウトや前後50:50の重量配分、さらに先代より大幅に軽量化が図られ、走行状況に応じた四輪操舵機能(インテグレーテッド・アクティブ・ステアリング)も備えられた。

同年10月には、同社のハイパフォーマンスモデルを手がけるM社が開発した専用装備パッケージ「Mスポーツパッケージ」が追加された。専用サスペンションや8速スポーツATから、専用スポーツシート、アルミホイールなどがセットになった人気のパッケージオプションだ。

BMW 5シリーズ▲トランクルーム容量は520L。エンジンやトランスミッション、サスペンションなどを統合制御して、コンフォートやスポーツなど走行性能を任意に選べるダイナミック・ドライビング・コントロールは全車標準。550iは横揺れを低減するアダプティブ・ドライブも標準装備
BMW 5シリーズ▲10.2インチワイド・コントロール・ディスプレイと、HDDナビやオーディオなどを統合制御するiDriveは標準装備。オプションでヘッドアップディスプレイが用意された
BMW 5シリーズ▲トランクを開ける際、バンパー下で足を振ると自動で開くコンフォートアクセスが一部車両を除き装備されている。2013年9月のマイナーチェンジで、「モダン」と「ラグジュアリー」という2つの内外装デザインパッケージが用意された

同社の中核モデルゆえ、エンジンバリエーションは豊富で、同じグレード名でも新エンジンに切り替わったりしているので下記にまとめておく。なお、トランスミッションはいずれも8速ATだ(価格は初登場時の車両本体価格)。

【523i】
・2010年10月~2011年9月
2.5L直列6気筒エンジン:610万円
・2011年10月~2016年11月
2L直列4気筒ターボエンジン:610万円


【528i】
・2010年3月~2011年10月
3L直列6気筒エンジン:715万円
・2011年11月~2016年11月
2L直列4気筒ターボエンジン:715万円


【535i】
・2010年3月~2016年11月
3L直列6気筒ターボエンジン:835万円


【550i】
・2010年3月~2013年8月
4.4L V型8気筒ツインターボエンジン(最高出力/407ps、最大トルク600N・m):1040万円
・2013年9月~2016年11月
新型4.4L V型8気筒ツインターボエンジン(最高出力/450ps、最大トルク650N・m):1089万円


【アクティブハイブリッド5】
・2012年3月~2016年11月
3L直列6気筒ターボエンジン+モーター:850万円


【523d】
・2012年8月~2016年11月
2L直列4気筒ターボディーゼル:633万円


BMW 5シリーズ(旧型)▲2012年3月から導入されたアクティブハイブリッド5。3L直列6気筒ターボ+モーターのシステムトータルの最高出力は340ps、60km/hまでは電気モーターのみで走ることができる。写真は2013年9月のマイナーチェンジ後のモデル

BMWで人気の高い直列6気筒エンジン搭載モデルは、523iの2010年10月~2011年9月モデル、528iの2010年3月~2011年10月モデル、535iの3グレード。うち、523iと528iは自然吸気エンジンだ。さらに、アクティブ5もモーターが加わるとはいえ、エンジンは直列6気筒ターボとなる。

また550iは、同じ4.4L V型8気筒ツインターボながら、マイナーチェンジ(2013年9月)で新世代エンジンに切り替わっているので注意したいところ。

衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全運転支援機能の更新もめまぐるしい。まず、衝突被害軽減ブレーキと全車接近警告機能、車線逸脱警告機能を含む「ドライビング・アシスト」は2013年9月のマイナーチェンジ時に全車に標準装備された。

なお、マイナーチェンジで多少エクステリアとインテリアデザインは変更されているが、見比べないとわからないレベルだ。

2013年11月には先行車に自動追従する、ストップ&ゴー機能付きアクティブクルーズコントロール機能を含む「ドライビングアシストプラス」に進化している。

以降は、専用ボディカラー&インテリアを備えた特別仕様車がいくつか発売された後、2016年12月に現行型に切り替わっている。

手頃に狙える523iか、貴重な自然吸気の直列6気筒モデルか

全体の5割近くの台数を占めていて、選びやすいのが523iだ。3シリーズよりも高級感のある内外装と、7シリーズほど大きくなくて扱いやすいサルーンとして5シリーズを求めるなら、やはり523iがオススメだ。

走行距離5万km未満でも、支払総額120万円あたりから狙うことができる。

さらに、高速道路で便利なストップ&ゴー機能付きアクティブクルーズコントロール機能の備わったモデルでも、走行距離5万km未満で支払総額200万円以下から手に入る。エレガントな5シリーズにはピッタリな機能だけに、積極的に探してみてはどうだろう。

▼検索条件

BMW 5シリーズ(旧型・F10型)×523i系グレード×全国

一方で、自然吸気の直列6気筒エンジンという希少価値にこだわりたい人なら、523i(2010年10月~2011年9月)より528i(2010年3月~2011年10月)がオススメだ。

台数は原稿執筆時点で523iは約60台、528iが約40台なので、選びやすさで言えば523iだ。しかし、価格は523iと528iではほぼ同じで、どちらも走行距離5万km未満が約120万円から狙うことができる。つまり、おトク感で言えば528iの方に分がある。

どちらも同じN52型エンジンだが、グレード名が示すように、523iの直6が排気量2.5Lの最高出力204ps/最大トルク250N・mなのに対して、528iの方は排気量3Lの258ps/310N・m。台数が少ないとはいえ、希少な自然吸気のシルキーシックスで、ハイパワー。初代1シリーズ(E87型)130iや3シリーズ(E90型)330iなどにも搭載されていた名機だ。

もちろん523iのN52型も捨てがたいものがあるので、528iを狙いつつ、気に入った中古車がなかなか見つからないなら523iも視野に入れて探してみよう。

▼検索条件

BMW 5シリーズ(旧型・F10型)×528i系グレード×2010年3月~2011年10月生産モデル×全国

▼検索条件

BMW 5シリーズ(旧型・F10型)×全国
文/ぴえいる、写真/BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。