スーパーキャリイ▲運転席の後ろに小さなスペースを設けることで、バッグなどの濡らしたくない荷物を置けたり、シートをリクライニングできるようにしたジャンボ軽トラ

今、アウトドアの趣味を楽しむ人たちを中心に、軽トラックがちょっとしたブームになっている。ここでは軽トラの中でも、室内に荷室スペースのある“ジャンボ軽トラ”に絞り紹介する。
 

 

室内の荷室スペースを備える“ジャンボ軽トラ”とは

一般的な軽トラは、車内に荷物置き場がほとんどなく、ちょっとした手荷物の行き場がなくなったり、シートをリクライニングするための余裕がなかったりする。

レジャー用途だと長距離移動も考えられるため、キャビンスペースにも快適性が欲しい。そんな人にオススメしたいのが、ジャンボ系の軽トラだ。

この“ジャンボ軽トラ”は、運転席の後ろ側に荷物を置けるスペースを設けることで、シートのリクライニングも可能になっているのが特徴。

ただ、軽自動車は全長などに制約があるため、キャビンが広くなるとその分、荷台が犠牲になる。しかし、軽トラは荷台に900mm×1800mmのコンパネを平置きできることが基本。

そこで“ジャンボ軽トラ”は、キャビン部分をえぐる形状にして荷台の長さを確保している。だから、長尺物を積みたいという人も心配ない。

現在、荷室がある“ジャンボ軽トラ”は、ダイハツ ハイゼットジャンボとスズキ スーパーキャリイの2モデルだ。
 

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“ジャンボ軽トラ”①|ダイハツ ハイゼットジャンボ

ハイゼットジャンボ ▲かたまり感のある力強いデザインが特徴のダイハツ ハイゼットジャンボ

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■ハイゼットジャンボの特徴
ジャンボ軽トラの老舗的存在が、ダイハツ ハイゼットに設定される「ハイゼットジャンボ」。最初に登場したのは、1983年のことだった。

室内の荷室スペースのサイズは幅1345mm、長さ175mm。雨の日に濡らしたくないバッグなどを置くには十分な広さだ。
 

ハイゼットジャンボ ▲ハイゼットジャンボの荷室スペースは、広い横幅が確保されているのが特徴

横方向に長いので、長めのバッグや釣り竿などを置くのにも便利。この荷室スペースにはルームランプが付いているので、暗い状況でも荷物の出し入れがしやすい。

シートは、運転席が140mm、助手席が100mmスライドできる。シートのファブリックには撥水加工が施されているため、洋服が濡れてしまっても気兼ねなく乗り込める。

車内にたくさんの収納スペースが備わっているのも魅力だ。
 

ダイハツ ハイゼットジャンボ ▲前後のスライドとリクライニングが可能

荷台の長さは1650mmだが、荷台のフロア長はスズキ スーパーキャリイより15mm長い1990mmある。しかも、荷台のえぐった部分は四隅がスクエアなので長尺物を積みやすい。

軽トラとは思えない押し出し感のあるデザインも特徴で、ボディカラーはオレンジやミント、カーキなど全8色用意されている。持っているアウトドアギアと、カラーコーディネートを楽しむことも可能だ。

先進安全装備は、歩行者にも対応した衝突回避支援ブレーキや車線逸脱警報機能などが備わるスマートアシストIIIを搭載。価格を抑えたスマアシ非搭載グレードもある。
 

ダイハツ ハイゼットジャンボ ▲フロア長はスーパーキャリイより15mmが長く設計されている

■ハイゼットジャンボの中古車相場
現行型ハイゼットジャンボの中古車は350台弱流通していて、価格帯は総額80万~270万円という状況。2WDと4WDの比率は1:3ほどで、4WDの方が多い。

低価格帯の総額90万円以下は、先進安全装備非搭載で走行距離が10万kmを超えるものが中心となっている。

総額100万円あたりから、走行距離が5万km前後のものが見つかるようになる。スマートアシスト搭載車が欲しいなら予算130万円が目安。

4WD車も90万円以下で流通しているものの、選択肢を確保するには予算110万円以上を見ておいた方がいいだろう。
 

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なお、台数は少ないが、1つ前の世代の中古車も手に入れることができる。

こちらは約100台流通していて、価格帯は総額40万~110万円とお手頃だ。

総額50万円以下の低価格帯ゾーンは走行距離15万km以上のものが中心で、総額70万円前後から10万km以下のものが見つけやすくなる。

安全装備など機能面では現行型に見劣りするものの、予算を優先して探したいという場合はこの2代目も選択肢に入れてもいいだろう。
 

 

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“ジャンボ軽トラ”②|スズキ スーパーキャリイ

スズキスーパーキャリイ ▲キャビン後方の大きな窓が特徴的なスーパーキャリイ

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■スーパーキャリイの特徴
水抜き用の穴が備わる荷台や長靴を履いたままでも足をはめやすい荷台ステップなど、実用面の評価が高いキャリイ。その性能はもちろん、“ジャンボ軽トラ”のスーパーキャリイも同様だ。

荷台に積んだ荷物が急ブレーキ時にキャビン後方のガラス部に当たるのを防ぎ、長尺物をキャビン上にくくりつけるときの支えにもなるアングルポスト(鳥居)も骨太設計になっている。
 

スズキスーパーキャリイ ▲室内の荷室スペースはハイゼットジャンボよりも長さが取られているので、大きな荷物が置きやすい

スーパーキャリイの室内荷室スペースは幅1235mmで、長さが250mm。幅はハイゼットジャンボより狭いが長さがあるので、買い物かごなど大きなものも積みやすい。

この荷室スペースに付いている窓ガラスが大きいので、キャビンは明るく開放的な印象を受ける。

純正のディーラーオプションで、荷室スペースの使い勝手を高めるルーフバーやラゲージバー、ネットなども用意されている。
 

スズキスーパーキャリイ ▲地上高が低く設計されているのが特徴

室内荷室スペースが長く取られた分、荷台長さは1480mmと短め。ただ、荷台床面の長さは1975mm確保されているので、長尺物の積載も心配はない。

荷台の高さはハイゼットジャンボより低く設計されており、荷物の積み降ろしがしやすい。ちなみに、荷台はシャシーから分離できる設計になっているので、補修はもちろん錆びたりしたときは荷台を交換することも可能だ。
 

スズキスーパーキャリイ ▲「X」に搭載される5AGSのシフトノブ。ATのようにシフトチェンジを車に任せられる他、自分でシフト操作できるMTモードも搭載している

グレードは「L」と上級グレードの「X」の2種類。「X」には5速MT、3速AT以外に、2ペダルMTの5AGSも設定されている。

「X」の5速MT車の4WDは、路面状況に合わせて4Hと4Lをレバーで選べるパートタイム式になり、デフロックも備わる。

先進安全装備は、ステレオカメラで前方を監視して衝突被害軽減ブレーキを作動させるデュアルカメラブレーキサポートを搭載。このシステムは夜間の歩行者にも対応したものだ。

その他、車線逸脱警報やふらつき警報なども備わっている。
 

スズキスーパーキャリイ ▲運転席は最大40度、助手席は最大24度リクライニングできる。運転席の前後スライドは180mm

■スーパーキャリイの中古車相場
中古車流通量は約110台と、現行型ハイゼットジャンボに比べると少なめ。価格帯は総額100万~220万円となっている。

デビューから日が浅い分、走行距離が少ない中古車が多いのが特徴。総額110万円以下の低価格帯でも走行距離2万~3万kmのものが中心で、「L」なら届出済未使用車も見つかる。

4WD車は「L」で総額120万円前後、「X」だと総額130万円前後から探すことが可能だ。
 

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※記事内の情報は2021年11月25日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/柳田由人、ダイハツ、スズキ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL