BMW 3シリーズ(F30)▲全幅が1800mmあり、キドニーグリルが横に広がってヘッドライトの位置が低いため、ロー&ワイドな印象の旧型3シリーズ。写真は数々のM社製のパーツが備わるMスポーツ

Dセグメントを代表するFRスポーツセダン

コンパクトスポーツセダンの代表格であるBMW 3シリーズ。

コンパクトといっても、現在では全長4.7m前後になったDセグメントで、ライバルはメルセデス・ベンツ Cクラスやアウディ A4など、競合がひしめくカテゴリーだ。

今回取り上げるのは、2012年1月に登場した旧型(F30型)。2019年2月に販売が終了し、それからもうすぐ3年を迎えようとしている現在、中古車の平均価格は200万円を切り、なかなかお手頃ある価格になってきた。

直近の相場の状況を見ていくとともに、どんな物件が狙い目か見ていこう。

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BMW 3シリーズ(旧型・F30型)×全国 ※価格昇順

平均価格は1年前と比べて約20万円ダウン! 順調に値下がりを続けている

旧型であるF30型の中古車平均価格は、コロナ禍による新車販売台数減によって中古車の人気が高まっているため、昨年7月からしばらく200万円台で横ばいだった。

しかし、このところ順調に下落しており、最近では昨年末よりも約20万円も安い190万円台前半まで下がってきている。また、中古車掲載台数の推移を見ると、昨年中ごろには1200台ほどだったものが、今年の10月には1400台以上にまで増加している。

BMW 3シリーズの中古車平均価格グラフ▲今年に入り、平均価格は順調に下落を続け、過去最安値を更新し続けている
BMW 3シリーズ延べ掲載台数グラフ▲今年初頭に一気に掲載台数は増加し、以降1400台以上をキープし続けている

原因としては、現行型の中古車もそろそろ掲載台数が400台(原稿執筆時点)に迫るほど出回ってきており、旧型オーナーの現行型への乗り替え拍車がかかっていると予測できる。

また、安価なエントリーモデルとして2016年に投入された318i系グレードが、今年2回目の車検時期となる5年目を迎えるため、掲載台数が増えていることも、平均価格を押し下げている一因と言えるだろう。

さらに、流通している中古車の走行距離を見ると、7万km超が増えてきている。ライバルの旧型Cクラスセダンや旧型A4には見られない15万km超の中古車も何台かあり、コンディション低下による値落ちもあるようだ。

これらが平均価格を押し下げる一因であることは言うまでもないが、逆に言えばコンディション重視ならば早めに購入を検討した方がいい、というのが今の状況だ。

以下、改めて旧型F30型3シリーズはどんなモデルだったのか見ていこう。

パワーユニットが異なる「いろんな味」が用意された

BMW 3シリーズ(旧型)▲全幅1800mmを死守した日本仕様。ちなみに現行型(G20型)では全長4715mmと一気に90mmも伸び、全幅も1825mmに。現行型のプレスリリースでは「コンパクト」が取れて「プレミアム・スポーツ・セダン」となった

「プレミアム・コンパクト・スポーツ・セダン」をうたい、2012年1月に発表された旧型(F30型)3シリーズ。

先述のとおりDセグメントに属する車で、この時点でも全長4625mm(328i)だったが、全幅は日本仕様のみ1800mmに抑えられていた。これはBMWジャパンが日本の立体駐車場に対応するために、ドアハンドル形状を変えてくれたからだ。

2012年1月のデビュー時点では、最高出力245psの2L 直4ターボの328iのみだったが、その後パワーユニットのバリエーションがどんどん増えていくのがF30型の大きな特徴だろう。登場順に下記にまとめるので、選ぶ際の参考にしてほしい。

・328i:2L 直4ターボ搭載(最高出力245ps)|2012年1月~2015年8月
・320i:2L 直4ターボ搭載(最高出力184ps)|2012年4月~2019年2月
・アクティブハイブリッド3:3L 直6ターボ搭載(最高出力306ps)+モーターのハイブリッド|2012年7月~2015年8月
・320i xDrive:2L 直4ターボ搭載(最高出力184ps)。320iのフルタイム4WD版|2012年8月~2019年2月
・320dブルーパフォーマンス:2L直4ディーゼルターボ搭載(最高出力184ps)|2012年8月~2019年2月
・330i:2L 直4ターボ搭載(最高出力252ps)|2015年8月~2019年2月
・340i:3L直6ターボ搭載(最高出力326ps)|2015年8月~2019年2月
・330e:2L 直4ターボ+モーター(システムトータルの最高出力252ps)|2016年1月~2019年2月
・318i:1.5L 直3ターボ搭載(最高出力136ps)|2016年9月~2019年2月

なお、いずれもトランスミッションは8速AT。320iには6速MTも用意された他、プラグインハイブリッドの330eも含め前後重量比約50:50としたのは、「駆けぬける歓び」にこだわるBMWならでは。

2012年9月以降はMスポーツサスペンションをはじめ、M社製の専用品が備わる「Mスポーツ」も設定されるようになった。

車両本体価格は、ある程度ラインナップの揃った2015年8月のマイナーチェンジ時点で427万~776万円。2016年9月に追加された318iは、409万~511万円だった。

BMW 3シリーズ(旧型)▲走行特性を任意に変えられるドライビング・パフォーマンス・コントロールやiDriveシステム、USBオーディオインターフェイス、ドアミラー一体型ETCなどは標準装備。さすがプレミアをうたうだけはある
BMW 3シリーズ(旧型)▲デザインラインはスポーティさを強調した「スポーツ」、デザイン性を強調した「モダン」、エレガントな「ラグジュアリー」の3ライン。それぞれでエクステリアとインテリアパーツが異なる。写真はスポーツ
BMW 3シリーズ(旧型)▲ルーフからトランクリッドへクーペのように流れるライン。フロントに対してリアトレッドが40mm拡大され、後輪で走ることが強調されている。ラゲージルーム容量は480L

登場時からブレーキ機能付きクルーズコントロールが備わっていたが、2013年8月には衝突被害軽減ブレーキが全車標準装備となり、2014年8月にはMTを除きストップ&ゴー機能付きのアダプティブ・クルーズ・コントロールが標準装備された。

そして、2019年3月に現行型(G20型)が登場し、販売が終了した。

BMW 3シリーズ(旧型)▲2015年8月のマイナーチェンジでLEDヘッドライトとリアライトが標準装備された。その他は、フロントバンパー下のエアインテークが拡大された程度で、デザインの大きな変更点はない
BMW 3シリーズ(旧型)▲プラグインハイブリッドの330e。システムトータルの最高出力は252ps、最大トルク420N・m。シフトレバーをM/S側に倒すと積極的にエンジンが発電する。バッテリーがトランク下に配置されるため、トランク容量は370Lに

絶滅危惧種のディーゼル搭載車、320dがオススメ

パワートレインが豊富な旧型3シリーズセダンだけに、まずはどのパワートレインを選ぶかが重要だ。

やはり台数が多くて選びやすいのは、中核モデルである320i系。原稿執筆時点で全体の約1/3となる約390台見つかり、特別仕様車も含めてバリエーションが豊富だ。

また、走行距離5万km未満でも新車時の半額以下なのはもちろん、支払総額120万円あたりから十分狙える。

しかし今回オススメしたいのは、ディーゼルエンジンを搭載した320d系だ。台数は320iに肉薄する約360台と、こちらも選びやすい。

320iより新車時価格が約20万~30万円高かった(2015年のマイナーチェンジ時点)こともあり、中古車価格も320iより少し高いが、それでも走行距離5万km未満で支払総額140万円あたりから狙える。

BMWはよく“エンジン屋"といわれ、「シルキーシックス」で有名な直6エンジンだけでなく、実はディーゼルエンジンも長年培ってきた実績がある。これだけ気持ち良くディーゼルを回せるメーカーなんて、他にあまりないだろう。

しかしこの先の電動化で、ディーゼルはガソリンエンジンより早く消滅しそうだ。そういった「今のうち」感があるのが320dを推す理由のまず1つ目。

また、320iの2L 直4のガソリンターボと比べて、最高出力は同じ184psだが、最大トルクは320iの290N・mに対して、320dは380N・mもある。もちろん、ガソリンエンジンの方が高回転まで回せる気持ち良さがあるが、公道で走れる速度域であれば、力強いトルクで加速する方が気持ちいいのではないだろうか。これが320dを推す2つ目の理由だ。

さらにMスポーツならば、ディーゼルターボによる力強い駆動力を、M社製の足回りで路面に伝えてワインディングを駆けぬければ、爽快な気持ちになれるだろう。

なお、2016年5月には320dの限定モデル「セレブレーション エディション スタイル エッジ」の発売を機に、新世代ディーゼルエンジン(最高出力190ps/最大トルク400N・m)に切り替わった。

新車時の車両本体価格は512万円~(2015年のマイナーチェンジ時点)だったが、原稿執筆時点で2012年式の走行距離5万km未満のMスポーツが支払総額約150万円から狙える。


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BMW 3シリーズ(旧型・F30型)×320d系グレード×全国

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BMW 3シリーズ(旧型・F30型)×全国
文/ぴえいる、写真/BMW

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。