▲スタイリッシュで高性能。でも価格がそれなり以上にお高いことが「欠点」ではあったドイツのステーションワゴン、現行型アウディ A4アバント。しかしその平均価格は、この1年間で一気に約60万円下がっています。好機到来! なわけですが、もしも本当に買うとしたら何年式の、どんなグレードを選べばいいのでしょうか? 各方面から検討してみましょう! ▲スタイリッシュで高性能。でも、価格がそれなり以上にお高いことが「欠点」ではあったドイツのステーションワゴン、現行型アウディ A4アバント。しかしその平均価格は、この1年間で一気に約60万円下がっています。好機到来! なわけですが、もしも本当に買うとしたら何年式の、どんなグレードを選べばいいのでしょうか? 各方面から検討してみましょう!

ちょうど1年前の平均価格は400万円を超えていたが……

こう断定してしまうといろいろ語弊はあるかもしれませんが、それでも「世界一しゃれたステーションワゴン!」と断定してしまいたくなる現行型アウディ A4アバントの平均価格が今、大きく下がっています。

まずは下のグラフをご覧ください。
 

▲こちらが現行型アウディ A4アバント。「アバント」というのは、ステーションワゴンのアウディ流の呼び方です

昨年までは400万円付近のラインをうろうろしていた現行型A4アバントの平均価格ですが、2021年の初頭から春にかけてグッと下がり、その後は340万円付近に張り付いています。そして今年9月の平均価格340.7万円というのは、1年前の同月と比べて「約60万円も下がった!」ということになります。

人気モデルであるはずの現行型アウディ A4アバントの平均価格は、なぜ下がったのか? そして、おいしいゾーンまで下がってきたそれを購入するなら、果たしてどんなグレードを狙うのが正解なのか? いろいろと検討してみたいと思います。
 

▲こちらが現行型アウディ A4アバント。「アバント」というのは、ステーションワゴンのアウディ流の呼び方です▲こちらが現行型アウディ A4アバント。「アバント」というのは、ステーションワゴンのアウディ流の呼び方です

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アウディ A4アバント(現行型)×全国

スタイリッシュなワゴンだが荷室も広さも十分以上

平均価格爆下げの理由や狙い目グレードの検討を始める前に、「現行型アウディ A4アバントというのはそもそもどんな車か?」ということを、軽くおさらいしておきましょう。

アウディ A4アバントは、ドイツのアウディというメーカーが昔から製造している「A4」というミドルサイズセダンのステーションワゴン版です。

A4という名前が使われるようになってから5代目にあたる現行型が発売されたのは2016年4月。「MLB evo」という最新世代の車台を採用したことで走行性能や安全装備のレベルは大幅に向上し、それでいて車重は先代より最大120kgも軽くなっています。

A4アバントは代々「スタイリッシュであること」が重視されているステーションワゴンですが、現行型の荷室容量は後席の背もたれを起こした状態でも505Lを確保。後席を倒せば最大で1510Lの広大な空間が現れます。

当初の搭載エンジンは排気量2Lの直列4気筒ターボで、FF車には通常出力版(190ps)が、フルタイム4WD車には高出力版(252ps)が搭載されました。トランスミッションはいずれも7速Sトロニック(ダブルクラッチ式AT)です。

2016年10月には1.4Lのダウンサイジングターボエンジン(150ps)を搭載するFFのエントリーグレードを追加し、2019年1月に仕様とグレード名を変更。そして2020年10月にマイナーチェンジを行い、内外装デザインをそこそこ大幅に変えるとともに「マイルドハイブリッドシステム」を全車に採用した――というのが、現行型アウディ A4アバントの大まかな概要とヒストリーです。
 

▲グレードやパッケージオプション、あるいは年式によって若干の違いはありますが、現行型A4 アバントの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。なんともしゃれたたたずまいです▲グレードやパッケージオプション、あるいは年式によって若干の違いはありますが、現行型A4 アバントの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。なんともしゃれたたたずまいです
▲荷室容量は最大で1510L。電動テールゲートは室内のスイッチやリモコンキーでも開閉できます▲荷室容量は最大で1510L。電動テールゲートは室内のスイッチやリモコンキーでも開閉できます

2020年10月の大幅改良の影響で前期型の相場が下がった

そんな現行型アウディ A4アバントの平均価格がこの1年間で約60万円も下がった理由は、「2020年10月のマイナーチェンジ」であると考えられます。

内外装デザインや装備をちょっと変えるぐらいのマイナーチェンジであれば、中古車相場にそう大きな影響は与えないものです。しかし、2020年10月に行われたA4アバントのマイナーチェンジは、

・全幅を5mm広げて「ブリスターフェンダー」というちょっとカッコいい形状にした
・「MIB3」という超最新のインフォテイメントシステムを採用した
・運転支援機能も強化された
・そして何より「12Vマイルドハイブリッド機構」が採用された


という、けっこう大がかりなものでした。
 

▲こちらが2020年10月に行われた大幅改良後のA4アバント。ヘッドランプのデザインが変わり、シングルフレームグリルもよりワイドな形状になっています▲こちらが2020年10月に行われた大幅改良後のA4アバント。ヘッドランプのデザインが変わり、シングルフレームグリルもよりワイドな形状になっています

そうなると、前期型を新車で購入した経済的に余裕があるオーナーというのは「……新しいやつに替えちゃおうかな?」なんて思い、それを実践する場合が多いもの。すると必然的に手放された前期型が中古車市場にたくさん出てきますので、その平均価格はどうしても下がっていく――ということになるわけです。

まぁ12Vマイルドハイブリッド機構が採用された2020年10月以降の新車や超高年式中古車はたしかに魅力的ですが、現行型アウディ A4アバントという車は前期型であっても――コンディションが良いものでさえあれば――十分以上にまだまだ魅力的です。

ということで以降は、マイナーチェンジの影響で平均価格がグッと下がった前期型の中から、具体的に「どれ」を選べばシアワセになれるのかを詳細に、かつざっくりと、検討してまいります。
 

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好バランスなのはズバリ「総額300万円前後」のゾーン

まずは「想定予算」です。

現行型アウディ A4アバント全体の中古車価格は2021年10月下旬現在、総額190万~670万円といったところ。それゆえ、その気になれば総額200万円ぐらいの予算でも買えないことはないのですが、このあたりの価格帯の個体はどうしても「値段なり」な部分も大であるため、積極的に狙うのは少々はばかられます。

逆に総額600万円ぐらいを出せば「……新車か?」みたいな1台を入手できるのですが、そこまでのお金を出すなら、わざわざ中古車を買うのではなく「自分好みの新車をオーダーする」方がシアワセになれるでしょう。

となると狙い目の価格ゾーンは、2021年9月の平均価格だった「車両価格340万円ぐらい=支払総額360万円ぐらい」かな? と思われますが、そうでもありません。

なぜならば、「340.7万円」という平均車両価格は、かなり安い物件の数字も当然含んでいますが、逆に「ほぼ新車のバカ高い後期型」の数字も含んだうえでの平均値だからです。

つまり、「コンディションさえ良ければ前期型でぜんぜんOK!」と開き直ったうえで探すなら、超後期型までを含む全体の平均価格よりも下の価格帯で「けっこういいやつ」が探せるのです。

調査によりますと、車両価格ではなく支払総額で270万から330万円ぐらい、つまり「総額300万円前後のゾーン」に、好バランスな現行前期型A4アバントは集まっています。

それでは次章以降、想定予算「総額300万円前後」に絞ったうえで、ニーズ別のオススメグレード&年式を見てまいりましょう。
 

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▲「総額300万円前後」というのは決して安い金額ではありませんが、「現行世代のドイツ製人気ステーションワゴンの金額」としては妥当というか、むしろ割安な部類に入るはず。写真は日本には導入されていないディーゼルターボエンジン搭載グレード▲「総額300万円前後」というのは決して安い金額ではありませんが、「現行世代のドイツ製人気ステーションワゴンの金額」としては妥当というか、むしろ割安な部類に入るはず。写真は日本には導入されていないディーゼルターボエンジン搭載グレード

ニーズ1「なるべく新しくて低走行なやつがいい!」
→2016~2018年式の1.4 TFSI系

中古車というのは「走行距離が短けりゃいい」というものでもないのですが、それを求める気持ちはわかります。また実際に内装のコンディションなどは、走行距離が短い個体の方が確実に良好な場合が多いものです。

そういった意味で「なるべく新しめのA4アバントが欲しい」と考えるなら、選ぶべきは1.4Lのダウンサイジングターボエンジンを搭載して2016年10月に追加されたFF車「1.4 TFSI」「1.4 TFSIスポーツ」「1.4 TFSI 1st Edition」です。これであれば、走行1万km台から2万km台のかなりキレイなやつを、総額270万~330万円付近で見つけることができます。

「でも1.4Lだとちょっと非力じゃない?」と心配される方もいらっしゃるでしょうが、まったくもってノープロブレムです。25.5kg・mという十分な最大トルクが1500~3000rpmというごく低回転域で発生しますので、発進加速も高速巡航も「力強い!」とすら感じることでしょう。
 

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アウディ A4アバント(2016~2018年式)×総額300万円以下 ×1.4 TFSI系 ×全国

ニーズ2「やっぱり王道の2Lターボがいい!」
→2016~2017年式の2.0 TFSI系

個人的には1.4Lのダウンサイジングターボでぜんぜん十分だと思いますが、小排気量エンジンというのはどうしても「せせこましい感じ」の回り方をしますので、もうちょっとゆったりしたニュアンスと、さらなるパワー&トルクが欲しいと考える方もいるでしょう。

その場合には、2016~2017年式の2L FF車である「2.0 TFSI」または「2.0 TFSIスポーツ」「2.0 TFSIスポーツ Sラインパッケージ」を、総額260万~330万円付近のゾーンでお探しください。1.4TFSI系よりは若干距離が延びますが、それでも走行距離5万km以下で設定すると、3万km台から4万km台の、いい感じの1台が見つかるはずです。
 

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アウディ A4アバント(2016~2017年式)×総額260万~330万円 ×走行距離5万㎞以下 ×2.0 TFSI系 ×全国

●ニーズ3「せっかくアウディを買うならクワトロ(4WD)がいい!」
→2016~2017年式の2.0 TFSIクワトロ系

最高出力190psの直4ターボを搭載するFFモデル「2.0 TFSI」でも個人的にはぜんぜん十分と思いますが、もちろん「モアパワーが欲しい!」「アウディといえばクワトロだろ!」という気持ちもよくわかります。

そういったお気持ちであるならば、同じ2Lターボでも最高出力252psにセッティングされているフルタイム4WDモデル「2.0 TFSIクワトロ」または「2.0 TFSIクワトロスポーツ」「2.0 TFSIクワトロスポーツ Sラインパッケージ」がいいでしょう。というか、それしかありません。

最高出力252psといえば、2.7LのV6ツインターボだった先代の「アウディ S4」に匹敵するほどのパワーですので、2.0 TFSIクワトロはとにかく速い車です。そしてフルタイム4WDならではの安心感と安定感があり、それでいて最新プラットフォームの恩恵で比較的軽量に仕上がっていますので、軽快感のある走りも堪能できます。

ただ、ハイスペックな分だけ中古車価格は若干お高めで、2.0 TFSIクワトロ系が欲しい場合は「総額300万~360万円ぐらい」のゾーンで、走行距離4万km台付近か、それ以下の物件を探すことになります。もしもこの総額を許容できるのであれば、ナイスな選択となるでしょう。
 

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アウディ A4アバント(2016~2017年式)×総額300万~360万円 ×走行距離4万㎞以下 ×2.0 TFSIクワトロ系 ×全国
▲最高出力252psの高出力版2Lターボを7速Sトロニックで軽やかに変速させ、フルタイム4WDのトラクション性能を駆使しながら走るのは当然ステキですが、2Lターボと1.4LターボのFFモデルも、それはそれで十分以上にファンで上質な走行感覚を堪能することができます▲最高出力252psの高出力版2Lターボを7速Sトロニックで軽やかに変速させ、フルタイム4WDのトラクション性能を駆使しながら走るのは当然ステキですが、2Lターボと1.4LターボのFFモデルも、それはそれで十分以上にファンで上質な走行感覚を堪能することができます
 

以上のとおり「総額300万円前後」という、現行世代のプレミアムなジャーマンステーションワゴンを買ううえでは「リーズナブル」といえる予算感で、現行型アウディ A4アバントは性格のやや異なる3方向の選択肢を検討することが可能です。

どの方向性が貴殿に合っているのかはわかりませんが、いずれの方向性もかなりステキであることに変わりはありません。ぜひ、この機会に本気で探してみてください。
 

文/伊達軍曹 写真/アウディ

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※記事内の情報は2021年10月27日時点のものです。
 

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。