新車時価格の半値近くになったBMW i8だが、そもそもこのハイブリッドスポーツはどんな人に向いてるの?
2021/10/22
平均価格は過去最低、延べ掲載台数は過去最高に!
2014年に発売され、2020年6月まで生産が続けられたBMWのプラグインハイブリッドスポーツカー「i8」。そのi8の平均価格が今、めっぽうお安くなっています。
もちろん「お安くなっています」と言っても、もともとは2000万円級のスーパースポーツですので、当然ながら200万円とかで買えるわけではありません。
しかし、「新車時価格の半値ぐらいまでは下がった」ということで、ある種の人にとっては「お買い得」「狙い目」と感じられるようになった可能性を否定できません。
そのため本稿では、対象人数は少ないのかもしれませんが「BMW i8……ちょっと買ってみたいかも?」と思っている人に向け、直近の中古車事情等をご紹介いたします。
まずは下のグラフをご覧ください。
2019年からずっと「1200万円ぐらい」といったニュアンスのレンジを行き来していたBMW i8の平均価格は、2021年初頭から明確なダウントレンドに転じ、直近では「1000万円台」にほぼ定着しています。
そして延べ掲載台数も、それまでは「40台ぐらい」のレンジをうろうろしていましたが、直近の9月には過去最高となる「52台」を記録。まぁこれでも少ないと言えば少ないのですが、相対的には「BMW i8の中古車は今、過去最高レベルに買いやすい状況になっている!」と言うことはできるでしょう。
それを踏まえたうえで「では、どんなi8のユーズドカーがオススメなのか?」ということを考えたいわけですが、その前にBMW i8という車自体について、簡単に振り返ってみます。
▼検索条件
BMW i8(初代)×全国システム全体の最高出力は362~374ps
BMW i8は、次世代モビリティを提案するBMWのサブブランド「BMW i」から、小型EVであるi3と同時に初めてリリースされたプラグインハイブリッドスポーツ。日本では2013年11月に予約受付がスタートし、翌2014年9月にデリバリー開始となりました。
総アルミニウム製のシャシー(ドライブモジュール)と炭素繊維強化プラスチック製のキャビンを組み合わせた「LifeDrive構造」を採用し、車内レイアウトはいわゆる2+2。ドアは上方に跳ね上げる「シザードア」という形状になります。
搭載されたパワーユニットは最高出力231psの1.5L 3気筒ターボエンジンと、定格出力131psの電動モーターという組み合わせで、車両全体で362ps/58.1kgmのアウトプットを発生。0-100km/h加速は4.4秒と発表されました。また、電動モーターとバッテリーの電力のみで35kmの走行が可能であり、「コンフォートモード」では満充電・満タン状態から500km以上の距離を走ることができます。
2018年4月には一部改良が行われ、リチウムイオンバッテリーの容量を従来モデルの20Ahから33Ahへと拡大した他、走行用電気モーターの最高出力を従来モデルの131psから143psへと強化。1.5L直3ターボエンジンと合わせたプラグインハイブリッドシステム全体の出力を374psとしました。
またこのタイミングで、電動開閉式ソフトトップを備える2座モデル「i8ロードスター」も追加し、それに伴って、2+2クーペの方は車名がi8から「i8クーペ」に変更されています。
そして2020年6月、BMWは最終限定モデル「アルティメット・ソフィスト・エディション」を世界限定200台発売したうえで、i8の生産を終了しました。BMWによれば、累計生産台数は約2万500台だったとのことです。
この実用性の高さをどう評価するか?
さて、そんなBMW i8とは「どんな人に向いているスポーツカー」なのでしょうか?
もちろんどんな人が買っても何の問題もなく、ご自由になさればよろしいわけですが、なるべく客観的に考えてみると、BMW i8という車にマッチするのは「スーパーカー嫌いのスーパーカー好き」ではないかと思われます。
スーパーカーの特徴である低く構えたフォルムや、まさにスーパーな質感やフォルムの美しさ。そしてスーパーな動力性能と圧倒的な存在感……等々は大好きなのだが、実際のスーパーカーはあまり好きではない。なぜならば、エンジン音がうるさすぎるため、早朝や深夜は出かけたり帰宅することすらはばかられるし、運転もハッキリ言ってちょっと大変。要するに扱いづらいから――と考える人は、けっこういらっしゃる気がします。「見るだけならいいけど、自分が乗るのはちょっとネ……」というやつですね。
しかしそんな場合でも、というかそんな人にこそ、BMW i8という車は向いています。
BMWはi8のことを「スーパーカーです」とは言っていませんが、フォルムと見た目はまごうことなきスーパーカーのそれであり、性能も、まぁスーパーカー的であると言っていいでしょう。
そんなカギカッコ付きの「スーパーカー」であるBMW i8ですが、プラグインハイブリッド車ですので、ご近所迷惑になるようなエンジンの爆音は皆無。早朝や深夜でも普通に住宅街を走行できます。運転も非常にラクな車ですので、全長4690mm×全幅1940mm×全高1300mmという大きさについてはちょっと持て余すかもしれませんが、それさえなければ、運転初心者でもフツーに運転できちゃうでしょう。
そして、一般的なスーパーカーが2座式であるのに対してi8は2+2ですから、後ろに人を乗せる……ことはあまりないと思いますが、ゴルフバッグ2セットを普通に後席に置けますので、割と実用的な車として使うことも可能です。
以上のとおり書いてきた内容を「つまらん! そんなのはスーパーカーじゃない!」と考える方は普通のスーパーカーをお買いになればいいわけで、「なるほど。そういうスーパーカーもアリというか、逆にいいかもしれないね」と思う方に、BMW i8は向いている――ということです。
実際の総額は「1000万円弱ぐらい」がメイン
もしもこれからBMW i8の中古車を購入するとしたら、2021年9月時点での平均価格は、本稿の冒頭付近に掲載したグラフにあるとおり「1084.6万円」です。
……2000万円級だった新車価格から見ると半額ぐらいになっているわけですが、それでも1084.6万円というのは、決してお安い金額ではありません。
しかし1084.6万円というのはあくまで「平均価格」です。2000万円ぐらいで売られている超カスタムモデルや、1500万円ぐらいの2020年式が押し上げている数字とも言えますので、実際はもう少し安価なゾーンで見つけることもできます。
実際の中古車価格やスペックは1台ごとに千差万別ですが、「大まかなイメージ」としては、下記のようなニュアンスの中古車を見つけることができるでしょう。
●典型例1
2015年式 BMW i8
車両価格940万円/支払総額960万円/走行2.1万km/記録簿付き/修復歴なし
●典型例2
2018年式 BMW i8
車両価格1150万円/支払総額1180万円/走行1.0万km/記録簿付き/修復歴なし
あくまでイメージではありますが、2018年4月の一部改良以前の低走行物件が「総額1000万円弱ぐらい」で、一部改良後の低走行物件が「総額1200万円弱ぐらい」というのが、BMW i8の直近の相場感です。
これを「リーズナブル!」と感じるか、「高っ……」と感じるかは人それぞれでしょう。
しかし、もしもあなたが前述したとおりの「スーパーカー嫌いのスーパーカー好き」であるならば、平均価格をグッと下げてきたBMW i8のユーズドカーには、ぜひぜひご注目いただきたいところなのです
▼検索条件
BMW i8(初代)×全国※記事内の情報は2021年10月21日時点のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。