▲スタイリッシュで超実力派でもあるドイツのハッチバック、現行型メルセデス・ベンツ Aクラス。いい車だけあって高額なのがネックでしたが、実はここ2年間で平均価格が約100万円も下がっています。では、全般的にお手頃になったなかから「どれ」を選ぶのが正解なのでしょうか? いろいろと考えてみます! ▲スタイリッシュで超実力派でもあるドイツのハッチバック、現行型メルセデス・ベンツ Aクラス。いい車だけあって高額なのがネックでしたが、実はここ2年間で平均価格が約100万円も下がっています。では、全般的にお手頃になった中から「どれ」を選ぶのが正解なのでしょうか? いろいろと考えてみます!

憧れの「メルセデス」だが、実はけっこう現実的なプライスだった

「ベンツ」というと、ゴツくて怖い感じの車がイメージされる場合も多いかもしれません。

しかし、約3年前に発売された現行型のメルセデス・ベンツ Aクラスは、本当にちょうどいいサイズ感でスタイリッシュなハッチバックモデル。走りも装備も「さすがはメルセデス!」といった感じですので、程よく上質で扱いやすい車を探しているすべての人に、強くオススメしたい1台です。

とはいえ、やはり「ベンツ」であるため価格はちょっとお高いのですが、その中古車価格は、この2年間で100万円以上お安くなっています。

下のグラフをご覧ください。
 

Aクラス 価格

2019年の前半はおおむね440万~480万円といったところだった現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの中古車平均価格ですが、同年後半から微妙に下がり始めました。年末に一度上昇していますが、2020年初頭に90万円レベルの下落を記録。以降は「横ばいまたは微下落」という状態が続いていますが、いずれにせよ昨今、現行型のAクラスは「けっこう現実的な価格水準」になっているのです。

本稿では、そんな現行型メルセデス・ベンツ Aクラス中古車の「どんなモノをどうやって選ぶのが正解か?」ということを、極力わかりやすく検討してみたいと思います。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型)×全国
▲こちらが2018年10月に発売された現行型メルセデス・ベンツ Aクラス。搭載エンジンは1.3Lの直4直噴ターボが基本で、ボディサイズは全長4440mm×全幅1800mm×全高1420mmという、「大きすぎず小さすぎず」のちょうどいいサイズ感です▲こちらが2018年10月に発売された現行型メルセデス・ベンツ Aクラス。搭載エンジンは1.3Lの直4直噴ターボが基本で、ボディサイズは全長4440mm×全幅1800mm×全高1420mmという、「大きすぎず小さすぎず」のちょうどいいサイズ感です

デザインも走りも一級品と言うほかない仕上がり

まずは現行型Aクラスという車自体のご説明をいたします。

Aクラスは、基本的には大きな高級車だけを作っていたドイツのメルセデス・ベンツが初めて作ったコンパクトクラスの車です。

とはいえ1998年に登場した初代と、2005年に発売された2代目は――メルセデスがまだ小型車作りに不慣れだったせいでしょうか――正直ややビミョーな車だったのですが、2012年に誕生した3代目(先代)で「デザインも走りも本当に素晴らしいといえる5ドアハッチバック」に大変身しました。

2018年10月に発売された現行型4代目のメルセデス・ベンツ Aクラスは、そんな3代目をさらに発展・進化させた、スタイリッシュで上質な1台。

当初の搭載エンジンは1.3Lガソリンのダウンサイジングターボで、そこに7速DCTという非常に高効率なATを組み合わせています。また、テレビCMなどでご覧になったかもしれませんが、「ハイ、メルセデス!」と声をかけると起動し、音声でナビの目的地入力やオーディオの選曲などを行ってくれる「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」を採用した点も、この車の魅力のひとつです。
 

▲「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」は自然言語認識機能により、例えばエアコンの設定温度を変更したい場合には「暑い」と言えば、すぐさま設定温度を下げてくれます▲「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」は自然言語認識機能により、例えばエアコンの設定温度を変更したい場合には「暑い」と言えば、すぐさま設定温度を下げてくれます

2019年5月には2Lのディーゼルターボエンジンを追加し、またその他に最高出力306psの強力な2Lターボを積むモデルも用意している現行型メルセデス・ベンツ Aクラスのグレードバリエーションは、下記のとおりです。

●A180|1.3ガソリンターボのベーシックグレード。とはいえ、普通に必要と思われる装備は最初からおおむね標準装備です。

●A180スタイル|上記の装備類をさらに充実させたグレード。液晶ディスプレイは大型になり、前席がパワーシートになるなどの違いがあります。

●A180 Edition1|現行Aクラスの発売を記念して登場した500台の限定車。スポーティかつラグジュアリーな装備が充実しており、後輪のサスペンションも凝ったものが採用されています。

●A220d|2Lのディーゼルターボエンジンを搭載するグレード。低回転域から力強さを発揮します。

●A250e|2021年5月に追加されたプラグインハイブリッドモデル。やや特殊なモデルであり、中古車の流通もまだ始まっていないため、本稿では割愛します。

●メルセデスAMG A35 4MATIC|306psの超強力な2Lターボエンジンを搭載するスポーツモデル。走りも値段もちょっと別格ですので、こちらも本稿では割愛します。

それでは次章より、「もしも現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの中古車を買うなら?」という問題について、様々なニーズ別に具体的な対応策を考えてまいりましょう。
 

▲グレードやパッケージにより細かな違いはありますが、現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。写真は左ハンドルの本国モデルですが、日本仕様はすべて右ハンドルです▲グレードやパッケージにより細かな違いはありますが、現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの運転席まわりはおおむねこのようなデザイン。写真は左ハンドルの本国モデルですが、日本仕様はすべて右ハンドルです

●もしも「なるべく低予算で買いたい」と思うなら?
→底値圏(総額270万~300万円ぐらい)で「レーダーセーフティパッケージ付き」を探す

▲平均価格を大きく下回る「総額300万円以下」の価格帯でも、まずまず好条件な1台が探せるはず。ただ、その際は「レーダーセーフティパッケージ付き」であることにこだわったほうがいいでしょう▲平均価格を大きく下回る「総額300万円以下」の価格帯でも、まずまず好条件な1台が探せるはず。ただ、その際は「レーダーセーフティパッケージ付き」であることにこだわった方がいいでしょう
 

現在、現行型Aクラスの中古車平均価格は362.1万円ですが、そこまで出さずとも、車両価格250万~280万円ぐらい(総額270万~300万円ぐらい)でも、走行1万km台から3万km台ぐらいの好条件車を普通に探すことができます。

その価格帯で狙えるグレードはベーシックな「A180」が中心にはなりますが、より装備が充実している「A180スタイル」や、魅力的なディーゼルターボエンジンの「A200d」も、数は少なめですが、いちおう探せるはずです。

その際、お好み次第でどのグレードを選んでも特に問題はないのですが、できれば「レーダーセーフティパッケージ付き」と表示されている物件を選んだ方が、購入後の満足度はより高いものとなるでしょう。

レーダーセーフティパッケージというのは、高速道路で前走車を勝手に追随してくれる「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付き)」や、車線や先行車を認識してステアリング操作をアシストする「アクティブステアリングアシスト」、高速道路でウインカーを操作するだけで自動的に車線を変更する「アクティブレーンチェンジングアシスト」などなどがセットになったオプションパッケージです(※2020年9月以降は標準装備に変更)。

これがあるとないとでは長距離を走る際の疲労度がまったく違いますし、リセール価格もけっこう変わってきますので、「レーダーセーフティパッケージ」または「レーダーセーフティPKG」という文字にはぜひご注目ください。
 

▲アダプティブクルーズコントロール機能である「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付き)」と、車線や先行車を認識してステアリング操作をアシストする「アクティブステアリングアシスト」の概要を説明している図版です▲アダプティブクルーズコントロール機能である「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック(自動再発進機能付き)」と、車線や先行車を認識してステアリング操作をアシストする「アクティブステアリングアシスト」の概要を説明している図版です

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型)×総額270万~300万円 ×レーダーセーフティパッケージ付き ×全国

●もしも「もうちょい出せるので、さらにいいやつが欲しい」と思うなら?
→総額320万~370万円ぐらいで「A180スタイル」の「AMGライン」を探す

総額300万円以下のゾーンでもまずまずいい感じのモノが探せる現行型Aクラスですが、総額320万~370万円ぐらいをイメージできるのであれば、さらにいい感じのモノが見つかるはずです。それは、上級グレードであるA180スタイルの「AMGライン」というやつです。

A180スタイルは、ベーシックなA180と違って、

・前席メモリー付きフルパワーシート+シートヒーター+電動ランバーサポート
・10.25インチコックピットディスプレイ
・パークトロニック(前後バンパー付近の障害物を感知してくれる機能)
・リバースポジション機能付きドアミラー[助手席側]
・プライバシーガラス(後席左右・リアウインドウ)
・キーレスゴー(キーを身につけるだけでドアを解錠できる機能)


等々が標準装備となる上級グレードです。

そして「AMGライン」というのは、ベーシックなA180には装着不可なパッケージオプションで、
・AMGスタイリングパッケージ[フロントスポイラー、サイド&リアスカート]
・Mercedes-Benzロゴ付きブレーキキャリパー[フロント]
・ステンレスアクセル&ブレーキペダル
・本革巻きマルチファンクションスポーツステアリング(パドルシフト付き)
・レザーDINAMICAシート(レッドステッチ入り)
・DINAMICAインテリアトリム
・18インチAMG5ツインスポークアルミホイール
・マルチビームLEDヘッドライト
・アダプティブハイビームアシスト・プラス


等々の、かなり上質でカッコいい感じの装備類が追加されることになります。
 

▲諸事情により車の前半分の写真で恐縮ですが、「AMGライン」はこのようなフロントマスクと、写真のとおりの「18インチAMG 5ツインスポークアルミホイール」などが採用されています▲諸事情により車の前半分の写真で恐縮ですが、「AMGライン」はこのようなフロントマスクと、写真のとおりの「18インチAMG 5ツインスポークアルミホイール」などが採用されています
 

総額320万~370万円ほどの予算を見込んでおけば、これの走行1万km台から2万km台ぐらいのモノがごく普通に見つかりますので、スポーティで上質なイメージを好む方はコレを選ぶのが得策でしょう。

ちなみに、ディーゼルターボエンジンのAMGラインが欲しいという場合はもうちょっと高めのご予算が必要で、具体的には総額390万円~というのが目安です。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Aクラス(現行型)×総額320万~370万円 ×A180スタイル ×AMGライン ×全国

故障の心配は特にはする必要がなく、流通量も豊富!

以上のとおり現行型メルセデス・ベンツ Aクラスの中古車は、決して「激安価格!」というわけではないのですが、同クラスの国産新車を買うのとおおむね似た水準の予算で走行1万km台から3万km台ぐらいの物件が探せてしまうという、輸入車に興味がある人にとっては絶対に注目すべき存在です。

輸入車というと「……故障が心配かも?」という人もいらっしゃるかもしれませんが、現行型のAクラスはそのあたりの心配も特にはなく、「しょっちゅう壊れる」みたいな車では決してありません。

流通量がそこそこ豊富であるため「自分好みの色や仕様を探しやすい」という美点もある中古車ですので、この機会にぜひ一度「メルセデスデビュー」を真剣にご検討していただけたなら幸いです。
 

▲同じコンパクトクラスのハッチバックでも、やはりメルセデス・ベンツのクオリティとオーラは「別格」といえるものがあります。「ベンツならではの世界」をぜひ堪能してみてください!▲同じコンパクトクラスのハッチバックでも、やはりメルセデス・ベンツのクオリティとオーラは「別格」といえるものがあります。「ベンツならではの世界」をぜひ堪能してみてください!
 

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メルセデスベンツ Aクラス(現行型)×全国
文/伊達軍曹  写真/ダイムラー

※記事内の情報は2021年9月21日時点のものです。
 

伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。