次のやつはマッチョ顔……ということで、流通量が増加中の現行型ルノー カングーを今のうちに買うならどう選ぶ?
2021/09/19
「かわいいカングー」は現行型が最後になるはず
箱型で実用的な車の中では「世界一かわいい車」と評しても過言ではない(?)現行型ルノー カングーの中古車流通量が今、妙に増えています。
たぶん2022年中には日本でも発売される新型のカングーは「マッチョ顔」に変わってしまいますので、「かわいいカングー」は、おそらくですが今のものが最後になります。
本稿ではそんなかわいい現行型カングーの中古車を、今のうちにお手頃予算で手に入れるための方法をいろいろ考えてみたいと思います。
今年の春頃から妙に流通量が増加中!
まずは、本稿の主題である2代目ルノー カングー=日本における現行型の、直近の中古車事情を見てみましょう。下のグラフをご覧ください。
2020年後半の流通量は、「おおむね250台ぐらい」という状態をキープしていましたが、今年、2021年の春頃から再び増加傾向に転じ、直近は延べ掲載台数が300台を大きく超えるという、2020年最盛期の8月の「281台」を上回る台数となっているのです。
2代目カングーの流通台数がここへきて急増した理由はいまいち不明ですが(シトロエン ベルランゴという競合が登場したから?)、まぁ「理由」は割とどうでもいいです。話のポイントとして重要なのは「今、2代目カングーの流通量が豊富である=良いモノを見つけやすい」ということなのです。
次に、下記のグラフもご覧ください。
ここへきて流通量が増えた2代目カングーですが、残念ながら「だから平均価格も下落した」ということは特にないようです。というか、昨年の秋ぐらいから上昇に転じた平均価格は「高止まりしている」というのが現状となります。
これは若干残念な話ではあるのですが、年月がたっても平均価格が落ちないというのは「その車の人気が高い=魅力的と考える人が多い」ということの証しでもあります。
また、高止まりしているといってもせいぜい150万円台での話ですので、輸入車を手に入れるための価格としては「ごく標準的か、むしろ安い」とも言えます。
欧州では一般的な「フルゴネット」の乗用車
それではルノー カングーという車の基本情報を簡単におさらいしておきましょう。
ルノー カングーは、フランスのルノーという自動車メーカーが作っているフルゴネットタイプの乗用車。「フルゴネット」というのは、普通の乗用車の後ろに荷箱をくっつけたようなスタイルの車のことで、国産車では少ないのですが、欧州車では昔からよく作られていたボディタイプです。
初代ルノー カングーは2002年に発売され、その愛らしいルックスと実用性の高さ、そして実は走りも良いということで大人気となりました。
2009年には2代目(現行型)へフルモデルチェンジを実施。ボディサイズは初代より大きくなりましたが、初代同様の「愛らしいルックス」は健在だったため、これまた大人気に。
搭載エンジンは、最初のうちは1.6Lのノンターボエンジンのみでしたが、2014年の途中から1.2Lのターボエンジンが追加されています。
そんな2代目(現行型)カングーに代わって、本国では2020年11月に3代目のカングーが発表されました。欧州ではすでに発売されているのですが(※日本への導入時期は未定)、その3代目の顔が……かわいくないというか何というか、とにかく「マッチョ顔」に大変身してしまった――というのが、さしあたっての現状となります。
▼検索条件
ルノー カングー(現行型)×全国どんなカングーをいくらで探すべきか、ズバリご指南!
では、前述したような状況にある2代目ルノー カングーの中から、いよいよ「中古車としてベストな価格帯またはベスト年式」をサクッと発表したいわけですが、10年以上にわたって販売されている2代目カングーですので、その種類と変遷はあまりにも多岐にわたっています。
また、ご予算や価値観も当然ながら人それぞれかと思いますので、ここでは「ニーズ別のベストバイ」を探ってまいりたいと思います。
なるべく手頃な予算でカングーを買いたい
→総額100万~130万円ぐらいの2009~2014年式
2代目ルノー カングーの中古車は、いちばん安い部類では総額50万円ぐらいから探すこともできます。が、このあたりの物件はド初期の多走行車が大半ですので、ビギナーの方には正直オススメできません(マニアが自分でコツコツ直しながら乗る分には悪くないと思いますが)。
あくまでも「車に詳しいわけではない」という人が「比較的安価な予算で2代目カングーを買いたい」という場合は、総額100万~130万円あたりのゾーンで2009~2014年式の物件を、下記の選び方を参考に探してみるのが得策です。きっと「悪くない」といったニュアンスの1台が見つかることでしょう。
・内外装に「荒っぽく扱われてきた痕跡」はないか?(要するに内外装に小キズや大キズの後が少なく、車内に変なニオイがしみついていないか)
・走行距離よりも「整備履歴」を重視。特に「タイミングベルト」と「ウオーターポンプ」が直近に交換されているか?
・エンジンをかけた際(可能であれば試乗も行ってみて)、あちこちから「変な音」は聞こえてこないか?
ちなみに、2013年式の途中からは「現在のフロントマスク」になっていますが、2009~2013年途中までの2代目カングーは、今の顔立ちとはちょっと違う「前期顔」です。そして、この価格帯で狙えるカングーの中心は「前期顔」となります。
▼検索条件
ルノー カングー(下限なし~2014年)×総額100万~130万円 ×全国程よい予算(高くもなく、かといって激安でもない予算)で、いい感じのカングーが買いたい
→総額140万~190万円ぐらいの2014~2016年式
本当は総額100万円ちょいぐらいの予算感で「いい感じ」の1台が見つかるといいのですが、残念ながら(?)2代目ルノー カングーは市場での人気が高いため、「いい感じの1台」を見つけるには、少なくとも、平均価格と同程度の、総額140万~190万円ぐらいの予算は必要となります。
しかし、このぐらいのご予算を用意できるのであれば、コンディション的に悪くない「後期顔(現在のフロントマスク)」がきっと見つかるでしょう。
また、もしもMT車の運転ができるのであれば、2014年5月に追加された「1.2L直噴ターボエンジン」搭載モデルもイケます。これは、やや大きく重くなった2代目カングーをグイグイ走らせるナイスなエンジンです。
ちなみに、このゾーンで選べるカングーの中で「ゼン」というのは、ボディ同色のバンパーやオートエアコンなどを採用した上級の(というか普通の)仕様で、「アクティフ」というのは、あえて簡素な樹脂製バンパーなどを採用した仕様です。
ゴージャスな(?)ゼンもステキですが、チープシックで業務用のギアっぽいアクティフもシブいですし、なかなかの人気を博しています。
▼検索条件
ルノー カングー(2014~2016年)×総額140万~190万円 ×全国お金はある程度出すので、「かなりいい感じ」のカングーを手に入れたい
→総額200万~250万円ぐらいの2014~2016年式
支払総額で200万円台前半の予算を投じることが可能なら、走行2万km台から3万km台までの“上モノ”といえる1台が検討可能になります。またこの価格帯ですと、2016年7月に採用された「6速EDC」という高性能なトランスミッションを搭載する世代も、少数ですが探すことができます。
中古車としては若干値が張るゾーンかもしれませんが、マッチョ顔になってしまう前の「最後のかわいいカングー」であることを考えれば、こういった上モノを入手し、長く愛し続けるというのも悪くないチョイスであるはずです。
▼検索条件
ルノー カングー(2014~2016年)×総額200万~250万円以内 ×全国多種多様な限定車にも注目しつつ、楽しく探して!
ここまでご紹介したもののほかに、ひとつずつご紹介しているとキリがないほど種類の多い「限定車」が存在し、かわいいボディカラーの種類も多いのが、2代目ルノー カングーの特徴です。
人気モデルゆえ「格安予算で買う!」というのはちょっと難しいのですが、さほど高額ではない「ある程度の予算」さえ用意すれば、なかなかいい感じの1台を、それも「あなた好みの色や仕様の1台」を、割とイージーに見つけることができるはず。
マッチョ顔な次期型を悪く言うわけではないのですが、ぜひぜひ今のうちに、「かわいいのによく走る」という稀有な存在である2代目のルノー カングーを、確実に手に入れていただけましたら幸いです。
▼検索条件
ルノー カングー(現行型)×全国※記事内の情報は2021年9月16日時点のものです。
自動車ライター
伊達軍曹
外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツ。