トヨタチェイサー▲ドリフトをはじめ、走りを楽しむ人から今なお絶大な支持を得るチェイサー。相場は高騰していて、今後も大きく値落ちすることはないだろう

トヨタ チェイサーの中古車は今

トヨタ マークII、クレスタ、チェイサーという“マークII 3兄弟”の中で、スポーツ路線を担ったのがチェイサー。

1988年デビューの80系と1992年デビューの90系は中古車がほとんど流通していないが、新車時に大ヒットした100系は今なお絶大な人気を誇っている。

中でも280psを発生する1JZ-GTE型エンジンを搭載する「ツアラーV」の中古車は、プレミア価格で取引されている。

流通している「ツアラーV」の中古車はほとんどが5速MTになり、ATからMTに換装された物件も多い。

流通している100系「ツアラーV」の中古車のボリュームゾーンは車両本体価格250万~350万円。そのため、最低でも予算300万円はみておきたい。

今後は相場がかなり上昇することが想定されるので、欲しい人は早めに動いた方がいいだろう。

ここからはチェイサーの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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チェイサー(80系)の特徴と中古車相場

■チェイサー(80系) DATA
生産期間:1988年8月~1992年9月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:60万~130万円
 

トヨタチェイサー ▲先代のスポーティなイメージを継承した80系チェイサー

■チェイサー(80系)の特徴
マークIIの兄弟モデルとして1977年6月に第1世代が登場したチェイサー。80系は通算4世代目となるモデルで、マークII、チェイサー、クレスタという3兄弟の中では高級路線に進んだモデルだった。

ハイソカーブームの中で先代がヒットしたことで、80系チェイサーは70系のイメージを踏襲。ボディタイプは当時流行した4ドアハードトップとなっている。

エクステリアは先代の特徴だった斜め格子柄を継承。ヘッドライト横のコーナリングランプも当時を象徴する人気装備だった。
 

トヨタチェイサー ▲先代よりも丸みを帯びた80系チェイサーのリアデザイン(写真は1990年8月以降の後期型)

上級グレードには前席ドアにドアミラー用のワイパーが付くとともに、超音波雨滴除去ドアミラーも搭載されるなど、最先端の装備が奢られていた。

搭載エンジンは2L直6を中心とした構成で、ツインターボやスーパーチャージャー搭載グレードも用意。また、1.8L直4や2.4Lディーゼルもラインナップに加えられた。

高級モデルらしく、1.8L直4搭載車にも装備を充実させた「ラフィーネ」というグレードが設定されたのもチェイサーの特徴だ。

1989年8月には3Lエンジン搭載車を設定。現代の車では考えられないような幅広いエンジンラインナップとなった。

1990年8月のマイナーチェンジでは2Lターボとスーパーチャージャーが廃止され、2.5L直6 NAと最高出力280psを発生する2.5L直6ツインターボが追加された。
 

トヨタチェイサー ▲デジタルメーターが採用された80系のインパネ(写真は1990年8月以降の後期型)

■チェイサー(80系)の中古車相場
30年以上前にデビューしたモデルということもあり、80系チェイサーの中古車はほとんど流通していない。

現存しているのは2L直6搭載の「アバンテ」が中心で、価格は予算90万円以内で狙える範囲になっている。

ごくわずか、2.5Lツインターボの「GT」が流通していて、予算160万円で買える価格帯だった。

この世代のチェイサーは、目当てのグレードを探そうと思ってもなかなか見つかるものではない。無理せずもう少し新しい年代のものを探すのが賢明。

どうしても欲しい人はかなり腰を据えて探す覚悟をしておこう。
 

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チェイサー(90系)の特徴と中古車相場

■チェイサー(90系) DATA
生産期間:1992年10月~1996年8月
中古車流通量:約5台
中古車価格帯:60万~340万円
 

トヨタチェイサー ▲全モデル3ナンバーサイズに進化した90系チェイサー

■チェイサー(90系)の特徴
チェイサーはこの世代から全グレード3ナンバーサイズとなった。これに伴い、エクステリア、インテリアともにプレミアム感が高められている。

ボディラインは直線基調の中にも、上部に丸みをもたせることで高級感を演出。また、この90系でも斜め格子のグリルデザインは継承されている。

インテリアもラグジュアリー志向に磨きがかかり、エレクトロマルチビジョン、チェイサースーパーライブサウンドシステム、GPSカーナビゲーション、電動チルト&テレスコピックステアリング、ゆらぎ制御付きのマイコンフルオートエアコンなどの豪華装備が設定された。
 

トヨタチェイサー ▲テールライトも大きくなり迫力を増したリアデザイン

この代からスポーツ系のグレード名が「ツアラー」に変更され、「ツアラーS」には2.5L NAエンジン、「ツアラーV」には最高出力280psを発生する2.5Lツインターボを搭載。

また、「ツアラーV」にはトルセンLSDを標準装備した5速MTも用意された。

ラグジュアリーグレードは2Lと2.5Lの「アバンテ」系、1.8Lと2.4Lディーゼルの「ラフィーネ」(どちらも標準グレードも用意)が設定された。
 

トヨタチェイサー ▲装備面での充実も図られた

その後、いくつかの追加や変更が加えられている。主なものは下記のとおり。

【1993年10月 グレード追加】
・「2.5 アバンテ」系にフルタイム4WDを追加(「2.5 アバンテFour」、「2.5 アバンテG Four」)

【1994年9月 マイナーチェンジ】
・フロントバンパー、テールライトなどのデザインを変更
・シート表皮、ドアトリム表皮の変更
・オーディオの機能向上
・ATにスノーモードを追加

【1995年8月 一部改良】
・全グレードに運転席エアバッグを標準装備
 

■チェイサー(90系)の中古車相場
90系チェイサーの中古車も、現在はほとんど流通していない。

低価格帯は2Lと2.5Lの「アバンテ」が見つかる。どちらも走行距離5万km台のもので、よくこの条件のものが現存していたなと感心するほど。

運が良ければ、車両本体価格250万円以上の高価格帯で「ツアラーV」の5速MT車が見つかるかもしれない。

「ツアラーV」は希少な280psターボ+5速MTということもありプレミア相場になっている。この条件に絞って探すなら、じっくりと納得のいく物件が出るのを待つしかなさそうだ。
 

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チェイサー(100系)の特徴と中古車相場

■チェイサー(100系) DATA
生産期間:1996年9月~2001年6月
中古車流通量:約150台
中古車価格帯:30万~570万円
 

トヨタチェイサー ▲明確に走り志向のモデルへと進化した100系チェイサー

■チェイサー(100系)の特徴
チェイサーの中古車で“本命”となるのが、物件の選択肢が多いこの100系だ。

マークII、クレスタという兄弟車種とともに1996年9月にフルモデルチェンジ。この世代で3兄弟はこれまで以上に明確に性格がすみ分けられた。

マークIIはスポーティな雰囲気と高級感を共存させたモデル、クレスタは落ち着いた雰囲気を醸し出すコンサバティブな高級モデルになり、チェイサーはスポーツ路線を一層高めた。

それは、エクステリアデザインからも感じ取ることができる。

ヘッドライトは4灯式を採用。ヘッドライトブロック内のブラックとウインカーのオレンジ色のコントラストが攻撃的なイメージを与える。上級グレードのヘッドライトは、トヨタ車初採用となったディスチャージヘッドライトになっている。
 

トヨタチェイサー ▲全幅は1775mmに拡大

全長はマークIIが4760mmなのに対し、チェイサーは4715mm。前後のオーバーハングを切り詰めて、スポーティなデザインを実現していることがわかる。

搭載エンジンは2L直6、2.5L直6のNAとツインターボ、3L直6、そして2.5Lディーゼルターボが用意された。

中でも最も注目されたのは最高出力280ps、最大トルク38.5kg-mを発生する2.5L直6ツインターボだ。

このエンジンを搭載する「ツアラーV」は4速ATだけでなく5速MTも設定され、走り志向のユーザーから絶大な支持を受けた。この人気は今なお衰えていない。
 

トヨタチェイサー ▲高級感を増したインテリア

2001年6月の生産終了までにいくつかの追加や改良が行われた。主要なものは下記のとおり。

【1997年4月 グレード追加】
・1.8L直4エンジンを搭載する「XL」と「ラフィーネ」を追加

【1997年8月 一部改良】
・「ツアラー」系にランプオートカットシステムを標準装備
・「ツアラー」系にディスチャージヘッドライトを標準装備

【1998年8月 マイナーチェンジ】
・グリル、バンパー、リアコンビライトなどのデザインを変更。テールライトが丸型4灯に変更された
・電子制御の4WD車を追加
・2.5Lと3LエンジンにETCS-iを装備
・「ツアラーS」を5速ATに変更

2000年10月、マークIIは110系へとフルモデルチェンジを行ったが、チェイサーとクレスタは2001年6月に生産が終了。そして、同年7月にチェイサーとクレスタを統合したニューモデルのヴェロッサが登場した。
 

トヨタチェイサー ▲1998年8月のマイナーチェンジ後の100系

■チェイサー(100系)の中古車相場
今なお高い人気を誇る100系チェイサーは、何年も中古車相場が上昇傾向にある。

中でも1JZ-GTE型エンジンを搭載する「ツアラーV」は、プレミア相場で取引されているものも多い。

流通している中古車の約7割にあたる110台ほどが「ツアラーV」で、そのうち90台が5速MTになる。ただ、この中にはATからMTに載せ替えたものもあるので、その部分を気にする人は購入時に要確認だ。

「ツアラーV」のMTモデルの価格帯は、車両本体価格180万~400万円。高価格帯はコンクールコンディションレベルのものが流通している。

ただし、それらの中にも修復歴があるものが存在する。デビューから25年経過しているモデルなので、価格は修復歴の有無や走行距離だけではなく、総合的なコンディションで判断されているのだろう。

「ツアラーV」の最安値帯は、車両本体価格で200万円前後だが、選択肢は限られる。総額200万~250万円で買える物件もごくわずかなので、300万円以上の予算を考えておいた方がいいだろう。

流通している中古車のボリュームゾーンは、車両本体価格で250万~350万円となっている。

100系チェイサーはスポーツ走行を楽しむ人から支持が高いモデルなので、チューニングが施された物件が多い。この中にはドリフトをはじめ、ハードに使われていたものも少なくない。

購入時は車両の状態を入念に確認し、購入後の整備費用も含めてじっくり検討して欲しい。

そして、車と同じくらいショップのこともしっかり見て、信頼できるショップから購入することを強くオススメする。

1996年デビューの100系チェイサーは、2021年にアメリカの25年ルールの規制が取れた。その関係で今後も相場が下がることは考えづらい。購入を考えている人はなるべく早めに動いた方がいいだろう。
 

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※記事内の情報は2021年9月5日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/トヨタ

高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL