トヨタプリウスPHV ▲外観は通常のプリウスと大きく変わらないが、右側後部に充電リッドが追加されている
 

3代目プリウスに追加されたプラグインハイブリッド仕様

ハイブリッドカーの代名詞、プリウス。その3代目モデルに設定されたPHVがついに中古車平均価格100万円を切るようになってきました。

そもそも「PHV」とはなんぞや? という方に簡単にご説明致します。まず、通常のハイブリッド車はモーターを駆動させるための電力はエンジンを回すことで発電したり、ブレーキの減速エネルギーを電力に変換することでバッテリーに蓄えています。

しかし、プラグインハイブリッドの略であるPHVは、プラグ、すなわちコンセントから充電ケーブルをつないでバッテリーに充電することができるようになっており、バッテリーの電力を使いきるまでは電気自動車のようにモーターのみでの走行が可能となっているのです。

もちろん、ベースはハイブリッド車ですから、バッテリーの電力を使いきった後は通常のハイブリッド車と同じくガソリンを使用しながら走行を続けることができます。そのため、ロングドライブでも電力が減少していくことへの不安を感じることがないということになり、電気自動車とハイブリッド車のいいところを組み合わせたものと言えるでしょう。
 

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トヨタ プリウスPHV(初代) × 全国
トヨタプリウスPHV ▲こちらが車両右後部に設置された充電リッド。コンセントのマークが特徴的
 

そんなプリウスPHVは、ベースの3代目プリウスがマイナーチェンジを実施した2012年1月のタイミングで発売(発表は前年11月)。

基本的にはベースのプリウスと大きく変わらないルックスで、室内のユーティリティなども不変なため、プリウスの使い勝手のよさは全く変わりません。
 

トヨタプリウスPHV ▲インテリアはベースのプリウスと同一で使い勝手に差異はない
 

エンジンやモーターの出力は通常のプリウスと同等ですが、駆動用バッテリーを4.4kWhと大型化し、満充電で26.4kmのEV走行が可能となっているのが最大の特徴です。

26.4kmと聞くと短く感じる人もいるかもしれませんが、近所への買い物や子供の送迎などの日常使いであれば十分まかなえる距離。バッテリーが空の状態から満充電までは家庭用の200Vコンセントで90分と短時間ですから、普段使いではガソリンを全く消費しない可能性もあるほど。

ちなみに、満充電までの充電コストは契約の内容にもよって変動しますが、おおむね数十円レベル(100円未満)なので、通常のハイブリッドよりもコストパフォーマンスは高いと言えます。

ただし、外部の急速充電には対応していませんし、そもそもそこまで大きなバッテリーを搭載していないので、充電のためだけに外出するのも現実的ではありません。そのため、自宅で充電できる環境がない人にとっては、プリウスPHVは宝の持ち腐れになってしまいますのでご注意ください。
 

プリウスPHVの現状と狙い目は?

登場からまもなく10年を迎え、新型プリウスPHVも存在することで代替ユーザーが手放した手ごろな価格の物件も増えてきたプリウスPHV。当時のラインナップは下から「L」、「S」、「G」、「Gレザーパッケージ」の4グレードで、ベースのプリウスに存在した「ツーリングセレクション」や「G’s」といったスポーティなグレードは設定されていませんでした。
 

トヨタプリウスPHV ▲2014年8月に追加でオプション設定されたエクステリア加飾“スパークリングゴールド”をまとったプリウスPHV

上級グレードのレザーパッケージを選べば、プリクラッシュセーフティシステム(衝突被害軽減ブレーキ)やレーダークルーズコントロールも標準で備わりますが、お手入れの難しいレザーシートは評価が分かれるところ。せっかくなら上質なものを手に入れたいという方や、日々のお手入れも苦にならないという方にオススメです。
 

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トヨタ プリウスPHV(初代) ×Gレザーパッケージ × 全国

レザーパッケージではないGグレードでも、上記の装備はオプション設定されているので、お手入れが少しおっくうだと思われる方や、レザーデザインが苦手な方は、そういった個体を選ぶのもひとつの選択肢と言えるかもしれません。
 

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トヨタ プリウスPHV(初代) ×1.8G × 全国

また、2012年10月の一部改良ではAC100V 1500Wのアクセサリーコンセントと車外への電源供給を可能とするヴィークルパワーコネクターをセットでLグレード以外にオプション設定。これは非常時に電源にもなるため、アウトドアレジャーのときはもちろん有事の際には心強い装備です。
 

トヨタプリウスPHV ▲充電口から車外で電力を取り出すことができるヴィークルパワーコネクター

これを選択した車両にはフロントコンソールトレイ内とトランクの左側にアクセサリーコンセントが備わるため、しっかりチェックしたいポイントです。しかし、この装備のおかげもあり人気の車両のため、流通している数は多くありません。欲しいと思った方は早めに行動することをオススメします、
 

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トヨタ プリウスPHV(初代) ×コンセント(フリーワード) × 全国

そんなプリウスPHVですが、GもしくはGレザーパッケージで走行距離5万km未満の個体を狙おうとすると、総額で最低でも100万~120万円くらいの予算は見ておきたいところです。

安い個体では総額70万円前後から見つけることができますが、多くは10万kmを超えたものが中心となってしまいます。

物件数の豊富な通常のプリウスとは異なり、100台弱のプリウスPHVは店舗によって値付けに幅があるので、掘り出し物を見つけるという意味でも、できれば価格だけで判断せずに実際に物件を見て判断するのがベストかもしれません。
 

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※記事内の情報は2021年8月19日時点のものです。
 

文/小鮒康一 写真/トヨタ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。