クライスラー300C▲クライスラー伝統のHEMIエンジンの第3世代が搭載された300C。クルージング時は4気筒を休止して燃料消費を抑える

クライスラー 300Cの中古車は今

クライスラーの高性能ラグジュアリーシリーズの名が与えられた、プレミアムセダンの300C。

クラシカルな雰囲気の中に押し出し感を盛り込んだルックスが話題となり、日本でもヒットモデルとなった。

搭載エンジンは3.5L V6と気筒休止機構を備えた5.7L V8 HEMI、そして2006年5月には5.7Lをボアアップした6.1L V8 HEMIを搭載するモデルも設定された。

ただ、中古車では6.1Lエンジン搭載車はほぼ流通しておらず、3.5Lが約4割、5.7Lが約6割となっている。

最安値帯は総額50万~80万円となっており、走行距離15万km前後のものが多い。一方、総額100万~200万円の価格帯では走行距離5万km以下の物件も見つけることができる。

ここからは300Cの特徴や中古車相場について紹介する。
 

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300C(初代)の特徴と中古車相場

■300C(初代) DATA
生産期間:2005年2月~2012年11月
中古車流通量:約70台
中古車価格帯:40万~360万円
 

クライスラー300C ▲本国での車名は「300」で上級グレードの名称が「300C」になるが、日本では300Cが車名になった

■300C(初代)の特徴
クライスラーのラグジュアリーモデルであるレターシリーズ。

1955年に登場したC-300を皮切りに、以降、300B、300C、300D……と毎年進化を遂げ、1965年に登場した300Lまでシリーズが続いた。レターシリーズと呼ばれるのは、300の後のアルファベットが代を重ねるごとに一つずつ進んでいったからだ。
 

クライスラー300C ▲1955年登場のC-300(左)と2004年(日本デビューは2005年)に登場した300C

2005年2月に日本に導入された300Cは、2000年に日本に導入された300Mの実質的な後継車であり、レターシリーズの世界観を現代によみがえらせたモデルだ。

特筆すべきはそのデザイン。クラシカルな雰囲気を感じさせる外観ながら、その顔つきは押し出しが強く威厳にあふれている。

サイドウインドウより下の厚みと、アメリカの伝統的なカスタムであるチョップドルーフを連想させる低いルーフ(実際には低くないのだが、ショルダーがかなり高いので相対的にルーフが低く見える)。

このあたりの造形も、押し出しの強さに一役買っている部分だろう。
 

クライスラー300C ▲大きなホイールアーチが大迫力。ショルダー部の厚さによりルーフを切ったような雰囲気を感じさせる。ホイールベースは3050mmとかなり長い

1998年にダイムラー・ベンツとクライスラーが合併してダイムラー・クライスラーになったことにより、この300CはW210型Eクラスとサスペンションなどを共用していた。

インテリアは随所にシルバー加飾を施し高級感を演出。上級グレードにはステアリングやシフトノブにレザーと本木目も使われている。また、シートには高級なレザーが惜しみなく張られている。
 

クライスラー300C ▲本革と本木目でゴージャスな雰囲気にした5.7L V8 HEMIエンジン搭載車のコックピット

搭載エンジンは最高出力249psを発生する3.5L V6と、最高出力340psを発生する5.7L V8“HEMI”エンジンの2種類。

HEMIエンジンには高速道路の巡航などエンジンへの負荷がかからない際に、8気筒のうち半分を休止させる“気筒休止システム”が備わっている。

トランスミッションは3.5L V6が4速AT、5.7L V8が5速ATで、駆動方式はFRだ。

2005年2月の日本導入時は3.5L、5.7Lともに左ハンドルのみの設定だった。

クライスラー300C ▲5.7L V8“HEMI”は気筒休止システムにより、この時代の大排気量車としては比較的低燃費となる6.4km/L(10・15モード)を達成

300Cは日本導入後、何度か改良が加えられている。主な内容は以下のとおり。

■2005年11月 仕様変更
・3.5L、5.7Lともに右ハンドルに仕様変更

■2006年5月 グレード追加
・「SRT8」:最高出力431ps、最大トルク58.0kg-mを発生する6.1L V8 HEMIエンジンを搭載したハイパフォーマンスグレード

■2008年6月 一部改良
・テールライトのデザインを変更
・パークアシストセンサーをリアだけでなくフロントにも追加
・3.5Lのシートをレザーシートに変更
・フロントシードサイドカーテンエアバッグを標準装備

■300C(初代)の中古車相場
約70台の中古車のうち、3.5Lエンジン搭載車は25台ほど。5.7L HEMIエンジン搭載車は40台弱流通している。

それぞれ価格帯は総額で3.5L車が40万~160万円、5.7L車が90万~250万円となっている。同程度のコンディションであれば3.5L車の方がより低価格で狙えるため、パワートレインにこだわらなければ3.5Lを本命に探してみよう。

デビューから15年以上たっていることもあり、総額90万円以下の低価格帯は走行距離15万km前後のものが多い。走行距離が10万km以下のものは予算100万円くらいから見つけやすくなる。

3.5L、5.7Lともに総額200万円以上の高価格帯は、リムジン仕様や日本に正規輸入されていない4WD車、ショップのコンプリートカーになる。

サンルーフやシートヒーターといった人気装備が付いている物件が比較的多いのは◎なポイント。いずれも購入時は動作確認を忘れずに行いたい。

また、排気量や価格帯を問わず、流通している中古車はホイールをインチアップしていたり、ローダウンされたものが多くなっている。検討時はどこに手が加えられているかを把握したうえで購入してほしい。
 

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※記事内の情報は2021年8月16日時点のものです。
 

文/高橋満 写真/クライスラー
高橋満(たかはしみつる)

自動車ライター

高橋満(BRIDGE MAN)

求人誌編集部、カーセンサー編集部を経てエディター/ライターとして1999年に独立。独立後は自動車の他、音楽、アウトドアなどをテーマに執筆。得意としているのは人物インタビュー。著名人から一般の方まで、心の中に深く潜り込んでその人自身も気づいていなかった本音を引き出すことを心がけている。愛車はフィアット500C by DIESEL